亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

見えない利上げ終着点、下値を固められないNY金

2022年11月01日 19時52分33秒 | 金市場

週明け10月31日のNY市場の金価格は3営業日続落となった。本日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に様子見ムードが広がる中、前日に続きドルが主要通貨に対し強含みに推移し、また米長期金利も上昇。金市場は売りが先行する流れが続いた。NYコメックスの通常取引は前日比4.10ドル安の1640.70ドルで終了した。

10月1週目にいったんは1700ドル前半まで値を戻したNY金だが、その後下旬に向け売りが先行する流れが続くことになった。中旬に発表された9月の米消費者物価指数(CPI)がインフレの高止まりと長期化を示唆したことから、米連邦準備理事会(FOMC)の利上げ加速観測が高まったことが、売りの手掛かりとされた。結局、10月は31.30ドル、1.87%の下落となった。これで7カ月連続安となるが、1982年3月までの7カ月連続下落以来とされる(ダウ・ジョーンズ調べ)。

 

本日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)では、4会合連続となる0.75%利上げが見込まれており、そうなれば政策金利は3.75~4.00%となる。市場の関心はすでに12月の会合での利上げ幅に移っており、利上げペースの減速が指摘されるものの市場の見方は固まっていない。今回の会合で方向性を示唆する手掛かりが得られるのか市場は探ろうとしている。

一方、株式市場は先行して利上げ幅の緩和方針を織り込みに掛かり、ダウ30種平均の10月の上昇率は約14%と月間として1976年1月以来、10月としては1900年以来の大幅上昇となった(ロイター調べ)。すでに景気に対し中立的とされる金利水準(2.5%)を超えており、ここから先は景気を冷やしすぎる「オーバーキル」のリスクも格段に高まることになる。FRB内部でもインフレ対応を引き続き重視するべしとの主張と、この先は慎重に利上げを進めるべしとの見方に意見の割れが見られているとされる。

市場では利上げ減速への期待が高まる一方で、今回の利上げサイクルの終着点の金利水準が見通せない状況が続いている。これまでは23年2~3月の会合で利上げは打ち止めとみられていたが、引き上げ幅を縮小しつつ、より長期にわたって利上げを続けるとの見方も生まれている。

金市場が弱含みに推移し底打ちに確信が持てない状況が続いているのは、金融政策の先行き不透明感が大きい。

この日ドルは幅広く上昇した。英ポンドは、3日に英中銀イングランド銀行も0.75%の利上げを行うと予想されているにもかかわらず、ドルやユーロに対して弱含みに推移し、ユーロも円も対ドルで下落した。この結果、ドル指数(DXY)は前週末の110ポイント台半ばから水準を切り上げ111.527で終了。米10年債も2営業日連続で水準を切り上げ4.054%で終了。ただし、3カ月物は4.079%で終了しており、10年債との利回り逆転(逆イールド)現象が続いている。3カ月物と10年債との逆イールドは近い将来の景気後退入りを示す外れのない手掛かりとされている。

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