飛鳥への旅

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死者の書の旅 その10(小説「死者の書」第18-19章”はた織り作業”)

2007年02月15日 | 死者の書の旅
第18章、はた織り作業
姫が機織がうまくいかなく悩んでいると、そこに化仏(菩薩の化身)が現れ、機織を手助けする。
「女は、尼であつた。・・・はた はた ちよう ちよう。元の通りの音が、整つて出て来た。
郎女は、ふつと覚めた。あぐね果てゝ、機の上にとろ/\とした間の夢だつたのである。だが、梭をとり直して見ると、
はた はた ゆら ゆら。ゆら はたゝ。
美しい織物が、筬の目から迸る。
はた はた ゆら ゆら。
思ひつめてまどろんでゐる中に、郎女の知恵が、一つの閾を越えたのである。」

第19章、壁代のようにつなぎ合わせる
俤人の肌を覆う上衣になり、当麻曼荼羅を連想する壁代ともなるように、
「望の夜の月が冴えて居た。若人たちは、今日、郎女の織りあげた一反(ヒトムラ)の上帛(ハタ)を、夜の更けるのも忘れて、見讃(ミハヤ)して居た。
この月の光りを受けた美しさ。
裁ちきつた布を綴り合せて縫ひ初めると、二日もたゝぬ間に、大きな一面の綴りの上帛(ハタ)が出来あがつた。」

(写真は、「中将姫一代記」(ちゅうじょうひめいちだいき)。5巻5冊。絵入の読本。寛政13(1801)年。第4巻の中将姫はた織りの場面)

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