飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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万葉アルバム(中部):長野県、千曲市 住吉公園 春の苑・・・

2012年11月05日 | 万葉アルバム(中部)

春の苑(その)紅にほふ桃の花
下照る道に出で立つ少女(をとめ)
   =巻19-4139 大伴家持=


春の園は紅色に照り輝いている。その桃の花の木陰までも輝いている道に、つと立っている少女の、なんと美しいこと!、という意味。

この歌は「にほふ」が効果的で、「にほふ」は”みずみずしい盛り”を暗示している。桃の花のみずみずしさと、少女の初々しさの両方にかけている。

題詞に、天平勝宝2年3月1日の夕暮れに、春の庭の桃と李の花を眺めて作った歌とある。
少女は、前年に越中に下向してきた家持の妻・坂上大嬢(さかのうへのおほいらつめ)を指しているようだ。それまで四年近く越中国府(現在の高岡)として単身赴任であったが、やっと正妻が来た嬉しさをすなおに読んだ歌である。

家持は越中に来てからの四年間、寂しさや辛さをバネにしたおかげで、すばらしい万葉歌を多く作った。
逆境なくしては、名歌が生れなかったという、まさに人生のお手本であろう。


住吉公園(左:住吉の里碑、中央:春の苑万葉碑、右:住吉万葉碑)

 この万葉歌碑は上山田温泉街に入る手前の住宅街の一角にある住吉公園(千曲市上山田温泉4-32)に建っている2基の歌碑のひとつ。


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