飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
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1988年3月 越智・真弓の岡

2010年08月23日 | 思い出の大和路探訪
<1988年3月 「まうら悲しも越智・真弓の岡」(万葉の大和路を歩く会)>

 静かな飛鳥西側の丘陵地、歩く道沿いに桃の花が咲いていたのが印象的だった。

コース:橿原神宮前駅===越智・・・光雲寺・・・斉明天皇陵・大田皇女墓・・・束明神古墳・・・
   真弓丘・岡宮陵・・・桧隈里・・・於美阿志神社・・・近鉄飛鳥駅(徒歩約7km)

講師:甲陽学院高校教論 山内英正さん



光雲寺
高市郡高取町大字越智小字南西久保。
越智山光雲寺は黄檗宗の寺で、越智氏の菩提寺である。室町初期に京都大徳寺の義天が創建したと伝え、もとは興雲寺と称していた。越智氏が没落したあとは寺も衰微したが、天和年中(1681-84)に鉄牛が来住し、越智氏の石碑8基を改装し復興に務めたという。元禄11年(1698)天湫によって再興されてからは、光雲寺と称している。


光雲寺境内


斉明天皇陵
斉明天皇陵は高取町車木からアクセスするのが普通。車木の集落から斉明天皇陵がある越智岡の頂上付近までは石畳の階段が整備されている。そもそも車木という地名は、斉明天皇葬送霊車が来たりて止まったところ、すなわち車来であったとする地名紀元説話すらある。


この陵は女帝斉明天皇と孝徳天皇の皇后・間人皇后を埋葬した越智岡上陵と天智天皇の皇子・建王墓となっていて分かりにくい。
波乱の人生を生きた斉明天皇は、百済救援のために九州に下向した斉明7年(661)7月、朝倉宮で崩御した。68歳の高齢だった。


大田皇女墓
天智天皇の皇女であり天武天皇の妃であった大田皇女を埋葬した墓は、斉明天皇と間人皇女の合葬陵の前に位置している。
大田皇女は、中大兄皇子と蘇我倉山田石川麻呂の娘・越智娘(おちのいらつめ)の間に生まれた三人姉弟の長女である。下に鵜野皇女(のちの天武天皇の皇后、持統天皇)と658年5月、8歳で亡くなった建(たける)皇子がいる。大海人皇子(後の天武天皇)の妃となり、大伯皇女と大津皇子を生んだが、667年以前に亡くなった。




真弓の岡を望む


越智から真弓への道




真弓の岡
近鉄飛鳥駅の西方に広がる低い丘陵地帯が真弓の丘である。
「外(よそ)に見し 真弓の岡も 君ませば
 常(とこ)つ 御門(みかど)と 侍宿(とのゐ)するかも」 (巻2・一七四)
「朝日照る 佐田の岡辺(おかへ)に 群れ居つつ
 我が泣く涙 やむ時もなし」 (巻2・一七七)
 持統3年(689年)4月13日、日並皇子である草壁皇子が亡くなり、その殯宮のとき、人麻呂と皇子の舎人たちがその死を悼んで歌った挽歌の一部。


春日神社
境内に束明神古墳がある


束明神古墳(つかみょうじんこふん)
学者の間では、岡本天皇陵から300メートル離れた束明神古墳が草壁皇子であろうという説が有力。
ここは八角形墳といわれる横穴式石室で、そのレプリカが橿原考古学研究所付属博物館の敷地内にある。


草壁皇子を祀ってきた村人が天皇陵指定による立ち退きを恐れて石室上板を隠し、鉄の棒による探査を免れたも、その後の発掘でこの事実が検証されたそうだ。
村人は草壁皇子が石川の女郎(大名児)に贈った歌「大名児彼方野辺に刈る草の束の間も吾忘れめや」にちなみ、束明神(塚明神とすれば隠した事実が知れる)として祀ったとのこと。
当時を偲ぶ「束明神」「嘉永四年」の銘が残る灯籠が、現在塚に立っている。


案内板


岡宮天皇陵
岡宮天皇という名は追尊天皇名で、天武天皇と持統天皇の間に生まれた皇子「草壁皇子」のことをいう。
草壁皇子は天皇として即位することはなく、享年28歳という若さで逝去した。


桧隈の里
古代の桧隈の地は、後漢霊帝の曾孫(ひまご)という伝承をもつ東漢(やまとあや)の祖阿知使主(あちのおみ)が、応神天皇(15代)のとき、渡来し、定住した所と伝えれれている。力の弱い政権と蘇我氏はこの東漢の力を借りる為、飛鳥に宮古を移したといわれている。


於美阿志神社
この神社は延喜式の神名帳に記載されている式内社で、もとは古代寺院の檜隈寺があったところ。
 この地域は古代に渡来人が居住した地のひとつで、雄略天皇二年(475)に檜隈民使博徳(ひのくまのたみのつかいはかとこ)の存在が知られている。この人物が中国の呉との間を行き来して漢織(あやはとり)、呉織(くれはとり)、衣縫(きぬぬい)ら織機技術者を日本に連れてきた。檜隈氏は織物技術および建築技術などを請来し、やがて檜隈忌寸(ひのくまのいみき)を名乗って朝廷に仕え、そして居住地に先祖の阿智使主(あちのおみ)を祀ったという。


桧隈の民家


桧隈の民家

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