モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

セリ科の高山植物はいかがかな。

2022年01月04日 | 高山植物

(冬場は山には行きません。夏場の回想記事が主体となります。
その手始めに「高山植物」のカテゴリーを創設し、山の花について語って行きたいと思います。
今回はその第一号記事です。)


セリ科植物の花は白い小花が散形花序ないしは複散形花序となるものが多く、すぐセリ科と判断がつくものの、

花は皆、同じなのでそれだけで種名の特定はほとんど不可能だ。
そのため高山でよく見かける植物群でありながら、
私自身、セリ科には関わりたくないと ε=ε=へ(+´π`;)ノ 逃げる傾向があった。

ところが昨年、一昨年はコロナ禍もあり、遠出が出来ない。近場の限られた山に繰り返し出かけることになった。
こういう時は今まで苦手としていた花たちを勉強するいい機会なのかもしれない。
というわけで、本カテゴリー、「高山植物」では、苦手としていたセリ科植物から始めてみることにした。

一枚目写真は昨年夏、焼石岳で見たセリ科のお花畑。

2021/08/04 焼石岳姥石平



二枚目は鳥海山で見たもの。

2021/07/31 鳥海山薊坂



どちらも近寄ってみたら、シラネニンジンだった。

シラネニンジンの葉は細かく裂けて羽状複葉となり、ニンジンのようにも見える。

シラネニンジン 2021/07/31 鳥海山にて。                  2021/07/31 鳥海山にて。
 


次のセリ科はハクサンボウフウ
シラネニンジンと花は全く同じ、草丈も同じくらいだが、小葉のサイズも形も明らかに違う。
こちらの葉は切れ込みが少なく、ニンジンよりもミツバに似た印象だ。

ハクサンボウフウ 2021/09/03 鳥海山にて。



鳥海山では、シラネニンジンは乾き気味の草原や稜線、
ハクサンボウフウは雪渓の融けた跡・・・と棲み分ける傾向が有ったものの、
場所によっては両種が混生していた。
だからこの二種に限っては、遠目に見て言い当てることは不可能、
近寄って葉を見てから判断しなければならないと気づく。

次はイブキゼリモドキ
先の二種と較べると、花付きは疎らで華奢な印象、葉の形も違う。

いがりまさし氏の解説では、シラネニンジン属だが、シラネニンジンは茎に葉がほとんどつかず、
茎が花茎状なのに対し、イブキゼリモドキの葉は多くが茎葉になっている。とのこと。

イブキゼリモドキ 2121/07/24 真昼岳にて。                    2121/08/05 焼石岳にて。
 


イブキゼリモドキ 2121/08/17 鳥海山にて。



鳥海山や焼石岳の高山草原ではこの三種類がやたらと多かった。

更に鳥海山ではこの三種の他にミヤマセンキュウも加わり、たいへんややこしい状況になっていた。

ミヤマセンキュウは草丈が先の三種類に較べると、やや高く、中には1mを越えるものもあった。
なお若い葉の葉柄の下部は鞘状に膨らむ傾向が有り、展開した葉は細かく裂け、フワフワと羊歯植物のような印象だ。

ミヤマセンキュウ 2021/07/31 鳥海山で見た開花前の姿            2021/09/20 鳥海山で見た開花時の姿
 



シラネニンジンやハクサンボウフウは亜高山帯以上の草原に生育するのに対し、
ミヤマセンキュウは低山の暗い林から高山の草原まで幅広く分布していた。

ここで中型のセリ科をもう一種追加。

ドクゼリ 2021/08/04 焼石岳にて。



ドクゼリは猛毒植物として有名だ。低地の水辺に生育するものと思っていたが、
焼石岳では標高1000mを越える高所にも進出していた。ただし水が張った場所のみ、乾いた草原には進出しない。


シシウドの仲間は春に芽吹き、真夏に壮大な草姿になるのに冬の前に全て枯れてしまう。

いわゆる独活(うど)の大木だ。
その最たるものが、エゾニュウで草丈は2m前後、北地ほど多いようで、
秋田では高山に限らず、低山や海岸近くでも見られる。
秋田駒ヶ岳、ムーミン谷の群生はみごとだが、
この植物はクマさんの好物なので、出会ったりしないようにご注意。

エゾニュウ 2015/08/16 秋田駒ヶ岳ムーミン谷の群生



エゾニュウの散形花序をアップで。                       ミヤマトウキ2021/07/31 鳥海山にて。
 



ミヤマトウキ 2018/07/27 焼石岳にて。



ミヤマトウキは花(散形花序)が大きく、見ごたえがあるが、草丈は50センチ以下とあまり高くならない。

亜高山帯より上の岩の多い斜面や稜線でよく見かける。

オオバセンキュウは今年初めて認識した。
大型で丈は1~2m、当初、ミヤマシシウドかなと思ったが、
詳しい友人の指摘でオオバセンキュウとわかったような次第。
いがりまさし氏の解説では「茎葉が各節ごとに曲がり茎葉全体が半曲するのが大きな特徴。」とのこと。
焼石岳の中腹の湿原で多く見かけた。ここでは先のドクゼリと混生していた。

オオバセンキュウ 2021/08/04 焼石岳にて。                再度、ドクゼリ 2021/08/04 焼石岳にて。
   


シシウド属のラスト、エゾノヨロイグサは草丈は割と高いわりに茎は細く、ヒョロヒョロとした印象。
しかも茎の色が紫を帯びているので割とわかりやすかった。

エゾノヨロイグサ 2021/08/17 鳥海山にて。                                             2018/07/26 秋田・薬師岳にて。
   



オオカサモチはエゾニュウほどでかくはならないが、大型のセリ科で遠目にも目立つ。
茎が緑色で、葉は細かく分裂する。
また総苞片(花序全体の基部を包む苞を総苞といい、個々の総苞を総苞片という。)が切れ込むのが特徴。
東北の高山ではあまり多くない。焼石岳や和賀山塊、早池峰山でときどき見かける程度か。

オオカサモチ 2018/06/23 焼石岳にて。               2018/07/09 秋田・薬師岳にて。
 



ミヤマウイキョウはシラネニンジン属の一種だが、
葉がハーブの一種、フェンネル(ウイキョウ)に似て線形なのですぐ見分けがつく。
セリ科の中では最も高山植物然とした風貌だ。

東北では少なく、私自身は早池峰山の岩場で一度見かけただけ。

ミヤマウイキョウ 2020/08/19 早池峰山にて。



以上。



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2 コメント

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shuさんへ。 (モウズイカ)
2022-01-04 09:35:52
コメントありがとうございます。
セリ科は分類が難しいですね。私も実は昨年夏、
少しリキを入れて勉強するまでは、ほとんど無知でした。
特に大型のセリ科は何でもシシウドかと思っていたら、詳しい御方から秋田にはそれが無い
とのご指摘を頂き、自らの無知を思い知りました。
アザミにも後で少し触れるつもりですが、もっと難しいですね。
ドンドン変異している真っ最中のようで、いまだに新種が続々と発見されています。
判るものからひとつずつ潰していくしかないですね。
今年もよろしくお願い致します。
返信する
本年もよろしくおねがいいたします (shu)
2022-01-04 09:22:04
おはようございます。
昨夏・秋はセリ科の植物について詳しくご教授いただき、ありがとうございました。
1年経って忘れないよう、夏山シーズン前にこのページを読み直して出かけたいと思います。
セリ科もそうですが、キク科(特にアザミ属、キオン属、シオン属)も私には難しいです。
今年もお世話になりそうですが、どうぞよろしくお願いいたします。
返信する

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