サキは花畑にいた。
遠くから誰かがやってくる。
目を凝らしてみると、大きな「くまもん」だった。
サキは花畑を駆けていき、くまもんに抱きついた。
くまもんの目がキラっと光り、大きな口を開けた。
「くまもん?・・・きゃー――。」
ねえ、サキ。着いたよ、空港だよ。という声に起こされた。
ミノルとサキは飛行機の中にいた。
「あぁ、夢か・・・。」サキは寝ぼけながら、窓の外を見る。
空港の周りには何もない。
ただ、平野と山だけが見える。それも本州の山ではない。ヨーロッパのちょっとした山脈みたいなやつが佇んでいる。
「自然・・・。」とサキは呟いた。
こんなに自然しかないと、逆に不自然だなと思った。
ミノルはサキの手を引いて飛行機の外へ向かった。
空港にはミノルの両親がいた。
見た目はごく普通の優しそうな、おじさんとおばさんだった。
やたらニコニコしている。息子の彼女を見られるということで、おそらくテンションが上がっているのだろう。
「いらっしゃーい。初めまして、ミノルの母です。サキさん、遠いところ、わざわざありがとうねぇ。」
「いえいえ、突然お邪魔して本当にすみません。」
ミノルの父はどうしていいのか分からないのか、何となく微笑している。そして、「こんにちは。いらっしゃい。」とだけ言った。
車は空港から何もない、ひたすら真っ直ぐな道を走る。
だんだん美瑛に近づくにつれて、見たこともない丘陵地帯に入っていった。
サキは息をのんだ。
「きれい・・・。」
緑と茶色のなだらかな丘が延々と続いている。そして、所々に大きな木がぽつんと立っている。まるでヨーロッパの絵画のような風景だ。
日本とは思えない。イギリスもこんな感じだろうか?とサキは思った。
「きれいだねぇ。」ミノルもこの風景を見るのは久しぶりであり、そもそも彼も札幌という多少の都会に住んでいたので、この自然には深く感じるものがあるらしかった。
「すごいでしょう。ここは北海道でも一番きれいな丘陵地帯なの。若いから知らないと思うけど、昔、タバコのCMが撮影されたのよ。タバコと大自然、ってなんだかよく分からない取り合わせよね。」と、ミノル母が言った。
「ロマンじゃないかな。」と運転しているミノル父が言った。
「よく分からないでしょ?」と、母がすかさず重ねた。
サキは笑った。お父さん、よく分からない人。という第一印象になった。
ミノルの実家は丘陵地帯の真ん中の道を曲がって、まさに丘の中心部にぽつんと立っていた。
遠くから誰かがやってくる。
目を凝らしてみると、大きな「くまもん」だった。
サキは花畑を駆けていき、くまもんに抱きついた。
くまもんの目がキラっと光り、大きな口を開けた。
「くまもん?・・・きゃー――。」
ねえ、サキ。着いたよ、空港だよ。という声に起こされた。
ミノルとサキは飛行機の中にいた。
「あぁ、夢か・・・。」サキは寝ぼけながら、窓の外を見る。
空港の周りには何もない。
ただ、平野と山だけが見える。それも本州の山ではない。ヨーロッパのちょっとした山脈みたいなやつが佇んでいる。
「自然・・・。」とサキは呟いた。
こんなに自然しかないと、逆に不自然だなと思った。
ミノルはサキの手を引いて飛行機の外へ向かった。
空港にはミノルの両親がいた。
見た目はごく普通の優しそうな、おじさんとおばさんだった。
やたらニコニコしている。息子の彼女を見られるということで、おそらくテンションが上がっているのだろう。
「いらっしゃーい。初めまして、ミノルの母です。サキさん、遠いところ、わざわざありがとうねぇ。」
「いえいえ、突然お邪魔して本当にすみません。」
ミノルの父はどうしていいのか分からないのか、何となく微笑している。そして、「こんにちは。いらっしゃい。」とだけ言った。
車は空港から何もない、ひたすら真っ直ぐな道を走る。
だんだん美瑛に近づくにつれて、見たこともない丘陵地帯に入っていった。
サキは息をのんだ。
「きれい・・・。」
緑と茶色のなだらかな丘が延々と続いている。そして、所々に大きな木がぽつんと立っている。まるでヨーロッパの絵画のような風景だ。
日本とは思えない。イギリスもこんな感じだろうか?とサキは思った。
「きれいだねぇ。」ミノルもこの風景を見るのは久しぶりであり、そもそも彼も札幌という多少の都会に住んでいたので、この自然には深く感じるものがあるらしかった。
「すごいでしょう。ここは北海道でも一番きれいな丘陵地帯なの。若いから知らないと思うけど、昔、タバコのCMが撮影されたのよ。タバコと大自然、ってなんだかよく分からない取り合わせよね。」と、ミノル母が言った。
「ロマンじゃないかな。」と運転しているミノル父が言った。
「よく分からないでしょ?」と、母がすかさず重ねた。
サキは笑った。お父さん、よく分からない人。という第一印象になった。
ミノルの実家は丘陵地帯の真ん中の道を曲がって、まさに丘の中心部にぽつんと立っていた。