MONEY VOICE 2019年10月29日
台風による暴風雨が猛威を奮ったばかりで考えたくはないが、2020年からの大災害多発の可能性について、太陽活動のサイクルをもとに解説したい。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)
温暖化か、寒冷化か。2024年頃から大災害多発の予測が出ている
台風がどんどん凶悪になっている
今回は2020年から始まる太陽活動のサイクル25と、大災害多発の可能性について解説したい。
10月13日から14日にかけて東日本に上陸した台風19号は、予想を越えた被害を東京・神奈川・埼玉・茨城・栃木・長野・福島・宮城など広範な地域にもたらした。筆者も東京都の八王子市在住なのでヒヤッとしたことがあったが、今回の台風で被害にあわれた方々には心からお見舞い申し上げる。早期の復興を祈っている。
近年は、大規模な台風の日本上陸が相次いでいる。今年は千葉県を中心に大きな被害を出した台風15号、そして10月の台風19号、そして昨年には西日本で大被害をもたらした台風21号があった。
毎年災害にみまわれる日本だが、それでも近年の台風の被害は予想を越えて巨大になっている。いまの状況は、首都圏を含め日本のどこに住んでいても、災害の被害に遭う可能性はもはや否定できなくなっている。
地球温暖化が原因?
すでにさんざん報道されているので周知だと思うが、巨大台風の日本上陸や接近が相次いでいる原因のひとつとして考えられているのは、地球の温暖化である。
台風が発生する南太平洋の海面温度が上昇し台風が発達しやすくなっていると同時に、日本周辺の海面温度も高いので、台風の勢力が衰えることなく日本に接近、または上陸しているのだ。
これまでは日本の海域の海面温度は南太平洋に比べて低かったので、台風が大きな勢力を維持することはできなかった。
それが、地球温暖化の影響による海面温度上昇で、そうではなくなったということだ。
これからも温暖化が継続すると、巨大台風が接近、ないしは上陸するケースは増大することが予想されている。
これがいま一般的に受け入れられている説明だ。日本のマスメディアでは、これに反論する意見はほとんど見られない。
地球寒冷化説も
一方、ネットを中心に、地球温暖化ではなく、むしろ寒冷化に向かっているとする見方もある。
筆者も一時期、そのような可能性はあるのではないかとも思っていた。それというのも、それが合理的に聞こえる根拠があったからだ。それは、次の2つの理由からである。
地球寒冷化の根拠その1:熱塩循環の崩壊
世界の気候は熱塩循環という海流の循環によって維持されている。
メキシコ湾海流のような海の浅いところを流れる海流は北極で深く沈み込み、北大西洋深層水となる。この深層水は数百メートルの深さで海流を形成し、1200年かかって北東太平洋で表層に再度出て来る。
海流の移動は、熱やガスそしてあらゆる溶解物質を運ぶ。これは地球の大気に影響し、気象のパターンにも影響する。
地球の温暖化が進むと水循環が活発となり、さらに温暖化が進む。水循環とは、海水が蒸発して雲になり、そして雨となって海水になり、また蒸発するという循環である。
これが活発になると、いっそう多くの水蒸気が蒸発して雲が厚くなるため、地上の熱が上空に逃げにくくなる。このため温暖化が進行するが、それが原因でさらに多くの水蒸気が蒸発し、温暖化が加速する。
他方、温暖化の加速と降雨量の増加で、地表の氷河や万年雪が大量に溶け出し海へと流れ込む。これにより海水面が上昇すると同時に、海水の塩分濃度が低下する。
海水の塩分濃度の低下があるレベルに到達すると、世界の気候を維持していた熱塩循環が停止し、気象変動の引き金となる。
過去3回の寒冷化は、温暖化を引き金とした熱塩循環の停止が原因で起こったことが分かっている。
地球の温暖化は60年間続いている。温暖化はそろそろピークに達し、過去同様、今回も熱塩循環の停止から寒冷化の時期に入ることが予想される。
そしてそれは、8200年前に起こった急激な寒冷化に近い状態となると思われる。
地球寒冷化の根拠その2:太陽活動の変化
地球温暖化にしろ寒冷化にしろ、その最大の原因は人為的な温室効果ガスの発生ではない。それは背景のひとつではあっても、根本原因ではない。
地球の気温変化の最大の要因は、太陽活動の変化である。
太陽は11年周期で変動を繰り返しているが、現在のサイクル24ではピーク時の黒点数は82に過ぎなかった。これは過去のサイクルのピーク時の平均黒点数、140から220を大きく下回っている。
黒点数の増減は、太陽活動の活発さを表す指標である。黒点の多いサイクルでは太陽活動は活発となり、太陽放射も大きくなる。少ないサイクルでは逆の現象が見られる。現在のサイクル24の黒点数が少ないことは、これから温暖化ではなく寒冷化に向かうことを示している。
2019年後半から2020年のはじめに始まるとされている次のサイクル25は、「グランド・ソーラー・ミニマム」と呼ばれる時期で、黒点数がさらに減少して太陽が不活発になると予想されている。
これは、黒点数は平均で50ほどしかなかった1645年から1715年まで続いた「マウンダー極小期」と同様の状況になる可能性を示唆している。「マウンダー極小期」では、特に北半球の平均気温が0.2度ほど低下した。このため、記録では、1683年から84年にかけて、冬にはイギリスのテムズ川が2カ月間、28センチの厚さの氷で凍結した。氷はイギリス、フランス、ベルギー、オランダなどの沿岸部の沖、数キロまで拡大し、交易や漁業に大打撃を与えた。さらに農業にも大きな打撃があり、食料生産が減少した。
「マウンダー極小期」の寒冷化の原因は、太陽活動の停滞である可能性が高い。
そうであれば、黒点数が減少して太陽活動が不活発なサイクル24から、さらに停滞するサイクル25にかけて、寒冷化を示唆する現象が現われていてもおかしくない。
熱塩循環は停止していない
これらが、地球は寒冷化に向かっているとする根拠である。しかし現実には、寒冷化を示す現象も兆候もほとんど観察されていない。
ここに興味深い過去のレポートがある。それは、2003年に米国防総省の求めに応じて提出された気候変動予測レポートである。執筆者は、未来予測で有名な研究機関「ロングナウファウンデーション」を主催する著名な未来学者、ピーター・シュワルツ博士である。
ここでは、熱塩循環の停止から地球が寒冷化し、2020年前後には次のようなことが起こると予想していた。
<未来学者ピーター・シュワルツ博士の2020年予想(2003年時点)>
・熱塩循環の停止で暖かいメキシコ湾流はヨーロッパまで到達しなくなる。このため北ヨーロッパや北西ヨーロッパの平均気温は低下する。この地域では砂漠化が進行し、2020年頃にはシベリアのような状態になる。平均気温は3.3度低下する。
・ヨーロッパや北アメリカで干ばつが頻繁に起こり、食糧不足が深刻になる。
・アジアと北アメリカの地域では平均気温は2.7度低下する。
・オーストラリア、南アメリカ、南アフリカなどの南半球では平均気温は逆に2.7度上昇する。
・冬には強烈な嵐と風に見舞われるようになる。特に西ヨーロッパと北太平洋は西からの強風に襲われる。
以上である。これが2003年時点での寒冷化の予測であった。一見して分かる通り、2019年10月現在、予測は完全に外れている。的中しているものは皆無だ。
また調べると分かるが、将来はどうなるのかはっきりとは分からないものの、熱塩循環はさほど弱まってもいないし、ましてや停止などしていない。
黒点極小期でも温度は上昇
また、黒点数が少なく、太陽活動が不活発になる極小期にも、逆に地球の表面温度は上昇しており、温暖化が進行していることが分かっている。
以下は最近、アメリカの「NASA」が公表したグラフだ。下の黄色い線は黒点数の変動、上の赤い線が地球の平均気温の変動である。これを見るとはっきり分かるが、地球温暖化のスピードが極端に速く、黒点数と太陽の活動性に関係なく気温が上昇していることが分かる。
出典:The Causes of Climate Change – NASA Global Climate Change
また最近の調査では、大気圏の上層にある成層圏ほど気温の上昇はゆるやかで、大気圏の地上に近い層ほど気温の上昇が激しいことが分かっている。
もし太陽活動が地球温暖化、及び寒冷化の原因であれば、太陽に近い成層圏ほど気温の上昇が激しいはずである。現実はこの逆なので、気温の上昇は地表で人間の活動から発生する温暖化ガスが原因であるということになる。
このように、地球の温暖化や寒冷化に対する太陽活動の影響は比較的に小さいと見られている。地球の平均気温を0.3度変動させる程度の影響だとされている。このまま温暖化ガスが抑制されないと、2081年から2100年には平均気温は4.8度上昇すると予測されている。それから見ると、0.3度とは比較的に小さな影響だ。
たとえサイクル24や25の極点極小期に太陽活動の停滞で気温が低下しても、温室効果ガスの圧倒的な影響で、完全に相殺されてしまう程度のものだ。
しかし、1645年から1715年まで続いた「マウンダー極小期」の平均気温の低下は0.2度であった。とすると、極端な極小期の可能性もある2020年からのサイクル25では、「マウンダー極小期」と同じような寒冷化が起こるとも見ることができる。
しかし、この程度の低下であれば、加速する温暖化によって完全に相殺されてしまうと考えたほうがよい。寒冷化が起こるとは考えにくい。
極小期と火山噴火の激増
このように、寒冷化の現象は現われていない。むしろ、平均気温の上昇、海水面の上昇、偏西風の変化、巨大台風やハリケーンの発生など、異常気象などの極端な変化が現れている。
それらはみな、地球の温暖化から予想できる現象ばかりである。
では、2020年頃からはじまる新たな極小期「サイクル25」でも、そのまま温暖化が進行するのだろうか?
急速な温暖化によって寒冷化の効果が完全に相殺されている現状では、たしかにそのようにいうことができるだろう。
しかし一方、極小期と興味深い対応を示す現象が観察されている。それは、極小期に火山噴火、そして地震が集中して発生するという現象である。
「マウンダー極小期」、さらに1790年から1830年まで続いた「ダルトン極小期」にも、こうした現象が記録されている。以下が、これらの時期に噴火した巨大火山だ。
・1580年:ビリー・ミッチェル火山(パプアニューギニア)
・1600年:ワイナプチナ火山(ペルー)
・1641年:マウント・パーカー(フィリッピン)
・1641年:ロング島火山(パプアニューギニア)
・1783年:ラキ火山(アイスランド)
・1815年:タンボラ火山(インドネシア)
これらはみな巨大な火山である。こうした火山の噴火が極小期に連続的に集中したのだ。
現代の理論では、「マウンダー極小期」と「ダルトン極小期」の寒冷化は、太陽活動の停滞というよりも、巨大火山の連続噴火によって、特に北半球の大気が火山灰で覆われ、太陽光線が遮断されたことが原因ではないかと見られている。
火山噴火の激増による平均気温の低下である。
なぜ極小期に火山噴火が集中するのかは、はっきりとは分かっていない。しかし、同じ時期に巨大地震が多発することも記録されている。
2020年から「グランド・ソーラー・ミニマム」
いまのサイクル24は極小期である。黒点数は少なく、太陽活動も不活発だ。
たしかに2009年の12月頃からはじまったサイクル24では、これまでにないほどの火山噴火や地震が相次いで起こっている。2011年の東日本大震災はその代表的な例だろう。
だが、「マウンダー極小期」や、また「ダルトン極小期」で起きたような寒冷化がこれから起こるとは考えにくい。急速に進む温暖化によって、寒冷化の効果は相殺されてしまうからだ。
しかし、2020年からはじまるサイクル25は、サイクル24よりもさらに黒点数が少なく、太陽活動が不活発になる「グランド・ソーラー・ミニマム」になると予想されている。サイクル23など過去のサイクルの黒点数を93%から97%の確率で予測に成功しているイギリス「ノーサンブリアン大学」の数学者、ヴェンレンティナ・ザーコヴァ教授は、サイクル25を予測して、黒点数が極端に減少し、太陽活動が不活発になる「グランド・ソーラー・ミニマム」になると予測している。
もし極小期に火山噴火と地震が増加するのであれば、2020年以降はいま以上にこれらの発生が増える可能性が高い。サイクル25のピークは2024年から2026年頃と見られている。
火山噴火・地震・異常気象・巨大台風が同時に押し寄せる
また、温暖化の進展によって極小期の寒冷化の現象が相殺されているのだとすれば、この時期には引き続き温暖化による現象が現われることだろう。
つまり、火山噴火と地震、そして異常気象や巨大台風などの現象が一緒になって現われるということだ。これまで以上に環境変動は激しくなる。
台風19号は大きな傷痕を東日本に残した。そして、災害はこれで終わるわけではない。
来年からはもっと激しくなると見ておいたほうがよい。日本では絶対に安全な場所などないので、十分に準備してサバイバルしてほしい。
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その時期は、すぐそこまで来ている。いや、すでにその時期に入っているのだ。考えられるすべての対策を、いますぐに!!
今朝の雪。
今年最後のトマトジュース造り。