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二極化・格差社会の真相 & 初霜

2019年10月14日 | 社会・経済

この政権の企みは消費税のさらなる大増税か安楽死の推進か

   日刊ゲンダイ 2019/10/09

斎藤貴男 ジャーナリスト

1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。

 

 消費税がまた増税された。大義名分だった“社会保障の充実”など真っ赤な嘘。政府は今後も社会的弱者を片っ端から切り捨て、滅ぼしていく。

 では先々はどうか。私見だが、ごく近い将来、私たちは消費税のさらなる大増税か、安楽死の推進かの二択を迫られよう。

 まず、いわゆる“生活習慣病”の自己責任論が全メディアを埋め尽くす。この際、糖尿病など以前は「成人病」と呼ばれた疾病群には遺伝的要因も強い実態は顧みられない。数年前にアナウンサーの長谷川豊氏が吐いた「自業自得の透析患者なんて全額自己負担にせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!」みたいな人でなしの独善が、社会全体に刷り込まれていく。

現実の動きも急だ。患者の“意向”だとして透析を中止し、死に至らしめて騒がれた公立福生病院(東京都)の院長は、3月の記者会見で森鴎外の「高瀬舟」を持ち出し、病に苦しむ弟の求めで“とどめ”を刺した兄に自らをなぞらえていた。

事件を受けてガイドラインの見直しに乗り出した日本透析医学会は、終末期の患者に限定されていた透析中止の検討対象を広げる方針という。とすれば福生病院の行為も追認される可能性が高い。

 背景には国策がある。政府は健康や生命の格差をむしろ歓迎し始めた。糖尿病患者を“金食い虫”呼ばわりしてきた麻生太郎副総理に近い主張で知られる経済産業省の江崎禎英氏(現、商務・サービス政策統括調整官)が、昨年から内閣官房健康・医療戦略室次長と厚労省医政局統括調整官を兼務。新設された「全世代型社会保障検討会議」の委員も、新自由主義の牙城「未来投資会議」や「経済財政諮問会議」で活動する財界人らに占められた。

 彼らは通常の社会保障論の枠を超え、“給付と負担のバランス”ではなく、病気や介護の“予防”を高らかに掲げる。予防の強調は自己責任論を絶対の正義に装う。賛否両論があり中断されていたが、自民党が再び法案策定を急いでいる「尊厳死」の議論の本質が、社会保障費の削減に他ならないことに鑑みれば、これらの問題すべてが結びついてくる危険を理解できる。

健康には個人差があるのに、なぜ「人生100年時代」などと言い切ることができるのか、ずっと不思議だった。が、その真意がわかった気がする。下々の病人など皆殺しにしてしまえば、権力と巨大資本に守られた層だけは財政の不安に苛まれることもなく、存分に長寿を堪能できるという筋書きではないのか。


 

強い初霜。

ペンキ塗り。

えぞりす。

枯れた木に来て枝を10cmほどに切りそろえ何本かくわえてドングリのなる大きな木の方へ移動していきました。巣を作っているのでしょうか?


関電幹部に渡った小判の出どころ

2019年10月13日 | 社会・経済

原発で手さえ抜けばカネが浮く。関電幹部に渡った小判の出どころ

MAG2NEWS 2019.10.08  by 高野孟『高野孟のTHE JOURNAL』

   次々と「不都合な真実」が明るみになり、さらに大問題に発展するとも囁かれる関西電力幹部らの金品受領事件。関電サイドは「原発マネー」の還流疑惑を払拭できない状況にありますが、そもそも彼らが受け取った金品はどのようにして作られたものなのでしょうか。ジャーナリスト・高野孟さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、かつてとある技術者が語った、原発建設現場での中抜きの実態でわかった「賄賂の作り方」を紹介。仮に今臨時国会でその真実が明らかにされれば、安倍政権は任期満了を待たずに終わると記しています。

 

プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)

1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

 

「憲法」よりまず「関電」が焦点となる臨時国会──安倍首相は残り2年間でどんなレガシーを残せるのか?

   10月4日臨時国会冒頭の所信表明演説で、安倍晋三首相がどれほどの勢いで改憲への意欲を宣言するか注目したが、翌日の新聞の見出しを借りれば「憲法改正、細心の訴え/野党批判封印、最後数分のみ」(読売)、「改憲固執、言葉は控えめ/強気封印、野党挑発避ける」(東京)という何とも中途半端な表現に終わった。自民党内の中堅からも「若干拍子抜けだ」との声も上がったという(朝日5日付)。

これでは任期中の改憲発議は無理ではないか

   読売が「数分」と言っているのすらいささか誇大で、実際にはその部分を読み上げるのに1分弱しかかっていない。しかも中身がボヤケていて言葉に力がない。その部分をほぼ全部引用すると、次のようである。

「未来を見据えながら、教育、働き方、社会保障、我が国の社会システム全般を改革していく。令和の新しい国創りを、皆さん、共に進めていこうではありませんか。その道しるべは憲法です。令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ憲法審査会ではないでしょうか。私たち国会議員が200回に及ぶ〔戦後国会の〕その歴史の上に、しっかりと議論していく。皆さん国民への責任を果たそうではありませんか」

   改憲の焦点は、自衛隊でも集団的自衛権ではなく、ましてや北朝鮮の脅威対抗でもなくて、いつの間にか「教育、働き方、社会保障」に移ったらしい。しかしそのどれをどうしたいのか、それは法改正では間に合わなくて本当に改憲なしには実現しないのかは、全く定かでなく、何も心に響くものがない。これは、安倍首相の側近で先月まで自民党憲法改正本部長だった下村博文氏が9月21日、憲法第24条で「婚姻は両性の合意のみに基いて」となっているのを「両者」と直して同性婚を認められるようにしたらどうかと語ったこととも平仄(ひょうそく)が合う。つまり2人とも、安倍首相が17年5月に発表した第9条に第3項を付け加え「自衛隊」の存在を条文上に明記することをはじめとした「安倍4項目」に必ずしもこだわらず、野党がそれで乗って来にくいなら社会保障や同性婚に問題をすり替えて、「どこでもいい、どこか1つでも改憲したというレガシーを作りさえすればいいんだ」という、ほとんど自棄(やけ)のやんぱち路線に突き進もうとしていることが判る。

   しかしそこまでハードルを下げたのでは、日本会議など右翼陣営や櫻井よしこら安倍親衛隊は納得しないのではないか。しかも両院の憲法審査会の“正常化”はまずは国民投票法改正から始まるので、これを今国会でクリアしないと中身の議論には入って行けない。ところがこの国会は67日間あっても即位の礼とそれに伴う首脳外交などもあって日程が厳しく、さらに野党は関電の巨額賄賂問題、消費増税と景気低迷、日米貿易交渉の裏の密約、千葉大停電の対策遅れ、かんぽ不正営業とNHK報道への圧力、あいちトリエンナーレ補助金ストップ問題など、喫緊の追及課題に事欠かないので恐らく国民投票法は一番後回しになる。そうすると来年1月からの通常国会でも改憲発議に繋がるような議論を始めることが難しく、安倍首相の残りの任期中にそれを果たすことは著しく困難になる。

   それが分かり切っているので、ここで安倍首相はド迫力を見せて改憲への執念を示すべきだったが、そうはしなかった。やる気がないわけではないだろうが、何が何でも勝負に出るという風でもなく、またもや「やっているフリ」をして時間ばかりを消費していくのだろう。

関電賄賂の本質は原発の「手抜き工事」

   さて、数々ある喫緊課題の中でも真っ先に火が着くのは関西電力の巨額賄賂事件だろう。まだその認識が広まっているとは言えないが、この本質は原発建設にまつわる恐るべき「手抜き工事」による賄賂原資の捻出にある。

   毎日新聞10月3日付「余録」は、勝海舟のこんなエピソードを紹介している。彼が唐津藩から頼まれて大砲を設計し鋳物業者に発注したところ、数日後にその業者が「お神酒料」を持って来た。中身は300両の大金で、1,000両の予算のうちこの程度を発注者に渡すのがしきたりだという。その分は材料の銅の質を落として捻出すると聞いた勝は怒るでもなく「俺は要らんからちゃんとした材料を使え」と突き返した、というのである。

   このような江戸時代には当たり前だった商慣行が関電と福井県美浜町の間では生き残っていたわけで、関電トップが受け取った金品の中に小判も混じっていたというのはまるで落語のオチに使えそうな話である。

   この原発の建設工事から魔法のランプのようにいくらでもマネーが湧き出てくる仕組みについて、本誌は2011年3月29日付のNo.561「東電:計画という名の無計画、安全という名の手抜き」で述べているので、以下に一部を再録する(高野著『原発ゼロ社会への道程』、書肆パンセ、12年7月刊にも所収)。

─〔再録開始〕────────────────────────

仮に設計が「絶対安全」だったとしても、施工が設計通りに行われているとは限らない。私は日本の原発の恐しさについて過去何度か取材をしているが、その中で出会った或る特殊塗装の高い技術を持つ企業の社長は、こう語った。

私は或る原発の塗装を請け負ったが、元請けの某ゼネコンが受け取った1平米当たりの塗装予算は8,000円なのに、間に何と7社が入って、末端で実際に施工するうちに来るのは1,600円。到底採算に合わないので、設計では2.5ミリ厚で塗らなければいけないのを1ミリ以下の0.何ミリでやるしかなかった。

他の下請けもみな同じで、鉄筋だって仕様通りのものなど入れられないから規定の何分の1の細いものを使うしかないと言っていた。

間に入る5社とか7社というのは、地元の自民党代議士やそれに連なる有力者で、彼らが割り振って中抜きをする。馬鹿馬鹿しいのと、仕事へのプライドから、一度だけで原発の仕事はやらなくなった…。

こんなことは、昔、あらゆる公共工事で当たり前に行われてきたことで、驚くには当たらないが、それにしても、本来は8,000円の価値のある仕事が現実にそれを実施する8次下請け会社には1,600円しか届かないということを、一体、国や東電はどう認識してきたのだろうか。

そういうことは世の中にたくさんあって、私が何十年か前に直接経験した例で言えば、或る週1回の民放テレビ番組でスポンサーが払っている1本当たりのコマーシャル料は1,000万円で、それを電通、テレビ局が抜くのはまだ分かるとして、その下に金丸信の関係会社とか(何でここに金丸が出てくるのか?)聞いたことも見たこともない会社が3~4社も入ってきて、それぞれ何もしないでマージンだけを取って、結局、制作現場には400万円ほどしか下りてこない。それでやり繰りして、外注に出す取材映像も値切り倒すから、下請け会社は手抜きとかやらせとかで誤魔化すしかなくな[西山1] る訳で、そうやって現場を犠牲にしながらプロデューサーとかは間に入った幽霊会社からバックマージンを得て私腹を肥やしている。そういう悪しき慣習がテレビの衰退を招いているのである。

テレビなんぞは観なければいいのだが、原発となると手抜きや中抜きは国民の命に関わるはずで、そこでもこんなことが日常横行してきたというのはおぞましいとしか言いようがない。

熟練した建設職人がいない

意図的な手抜きがなかったとしても、原発建設現場には原発の危険を知り尽くした熟練した現場監督がおらず、ズブの素人がいい加減な工事をしている。

私は、阪神大震災の1年ほど後だったか、原発の工事の現場監督として働いていて後に公然たる内部告発者に転じて有名になった故・平井憲夫氏にインタビューした際に、その事実を知って驚愕した。今はその記録も所在不明なので、彼が残したHPから要点を引用する。

● 平井憲夫「原発がどんなものか知ってほしい」

世間一般に、原発や新幹線、高速道路などは官庁検査によって、きびしい検査が行われていると思われています。しかし、新幹線の橋脚部のコンクリートの中には型枠の木片が入っていたし、高速道路の支柱の鉄骨の溶接は溶け込み不良でした。一見、溶接がされているように見えていても、溶接そのものがなされていなくて、溶接部が全部はずれてしまっていました。

なぜ、このような事が起きてしまったのでしょうか。その根本は、余りにも机上の設計ばかりに重点を置いていて、現場の施工、管理を怠ったためです。それが直接の原因ではなくても、このような事故が起きてしまうのです。

原発でも、原子炉の中に針金が入っていたり、配管の中に道具や工具を入れたまま配管をつないでしまったり、いわゆる人が間違える事故、ヒューマンエラーがあまりにも多すぎます。それは現場にブロの職人が少なく、いくら設計が立派でも、設計通りには造られていないからです。机上の設計の議論は、最高の技量を持った職人が施工することが絶対条件です。しかし、原発を造る人がどんな技量を持った人であるのか、現場がどうなっているのかという議論は一度もされたことがありません。

原発にしろ、建設現場にしろ、作業者から検査官まで総素人によって造られているのが現実ですから、原発や新幹線、高速道路がいつ大事故を起こしても、不思議ではないのです。

日本の原発の設計も優秀で、二重、三重に多重防護されていて、どこかで故障が起きるとちゃんと止まるようになっています。しかし、これは設計の段階までです。施工、造る段階でおかしくなってしまっているのです。

仮に、自分の家を建てる時に、立派な一級建築士に設計をしてもらっても、大工や左官屋の腕が悪かったら、雨漏りはする、建具は合わなくなったりしますが、残念ながら、これが日本の原発なのです。

ひとむかし前までは、現場作業には、棒心(ぼうしん)と呼ばれる職人、現場の若い監督以上の経験を積んだ職人が班長として必ずいました。職人は自分の仕事にプライドを持っていて、事故や手抜きは恥だと考えていましたし、事故の恐ろしさもよく知っていました。それが10年くらい前から、現場に職人がいなくなりました。全くの素人を経験不問という形で募集しています。素人の人は事故の怖さを知らない、なにが不正工事やら手抜きかも、全く知らないで作業しています。それが今の原発の実情です。

例えば、東京電力の福島原発では、針金を原子炉の中に落としたまま運転していて、1歩間違えば、世界中を巻き込むような大事故になっていたところでした。本人は針金を落としたことは知っていたのに、それがどれだけの大事故につながるかの認識は全然なかったのです。そういう意味では老朽化した原発も危ないのですが、新しい原発も素人が造るという意味で危ないのは同じです。

現場に職人が少なくなってから、素人でも造れるように、工事がマニュアル化されるようになりました。マニュアル化というのは図面を見て作るのではなく、工場である程度組み立てた物を持ってきて、現場で1番と1番、2番と2番というように、ただ積木を積み重ねるようにして合わせていくんです。そうすると、今、自分が何をしているのか、どれほど重要なことをしているのか、全く分からないままに造っていくことになるのです。こういうことも、事故や故障がひんぱんに起こるようになった原因のひとつです。

また、原発には放射能の被曝の問題があって後継者を育てることが出来ない職場なのです。原発の作業現場は暗くて暑いし、防護マスクも付けていて、互いに話をすることも出来ないような所ですから、身振り手振りなんです。これではちゃんとした技術を教えることができません。それに、いわゆる腕のいい人ほど、年問の許容線量を先に使ってしまって、中に入れなくなります。だから、よけいに素人でもいいということになってしまうんです……。

原発を知らない検査官

仮に設計も施工も完璧であったとしても、原発のような何が起きるか分からない悪魔のエネルギーを制御するには徹底的な日常検査が不可欠である。ところが、これも平井から聞いて驚いたのだが、無知な役人や天下りが行う検査はデタラメである。同じく上記HPより要約。

出来上がったものを見てもダメで、検査は施工の過程を見ることが重要。検査官が溶接なら溶接を、自分でやって見せる技量がないと本当の検査にならない。そういう技量の無い検査官にまともな検査が出来るわけがないのです。メーカーや施主の説明を聞き、書類さえ整っていれば合格とする、これが今の官庁検査の実態です。

原発の事故があまりにもひんぱんに起き出したころに、原発の新設や定検(定期検査)のあとの運転の許可を出す役人を運転管理専門官として各原発に置くことが閣議で決まりました。私もその役人が素人だとは知っていたが、ここまでひどいとは知らなかった。というのは、水戸で講演をしていた時、会場から科技庁の者だと名乗って発言した人がいて、「自分たちの職場の職員は、被曝するから絶対に現場に出さなかった。折から行政改革で農水省の役人が余っているというので、昨日まで養蚕の指導をしていた人やハマチ養殖の指導をしていた人を、次の日には専門検査官として赴任させた。そういう何にも知らない人が原発の専門検査官として運転許可を出した。美浜原発にいた専門官は3か月前までは、お米の検査をしていた人だった」と、その人たちの実名を挙げて話してくれました。このようにまったくの素人が出す原発の運転許可を信用できますか。

東京電力の福島原発で、緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動した大事故が起きたとき、読売新聞が「現地専門官カヤの外」と報道していましたが、その人は、自分の担当している原発で大事故が起きたことを、次の日の新聞で知ったのです。なぜ、専門官が何も知らなかったのか。それは、電力会社の人は専門官がまったくの素人であることを知っていますから、火事場のような騒ぎの中で、子どもに教えるように、いちいち説明する時間がなかったので、その人を現場にも入れないで放って置いたのです。

そんないい加減な人の下に原子力検査協会の人がいます。この人たちは通産省を定年退職した人の天下り先ですから、全然畑違いの人です。この人が原発の工事のあらゆる検査の権限を持っていて、この人のOKが出ないと仕事が進まないのですが、検査のことはなにも知りません。ですから、検査と言ってもただ見に行くだけです。けれども大変な権限を持っています。この協会の下に電力会社があり、その下に原子炉メーカーの日立・東芝・三菱の3社があります。私は日立にいましたが、このメーカーの下に工事会社があるんです。つまり、メーカーから上も素人、その下の工事会社もほとんど素人ということになります。だから、原発の事故のことも電力会社ではなく、メー力ーでないと、詳しいことは分からないのです……。

─〔再録終わり〕────────────────────────

   こういう訳なので、関電の幹部が受け取った常識を超えるほどの金品は原発工事の手抜きによって捻出されたマネーを原資として提供され、幹部らはそれを百も承知で受け取っていたのである。国民の命をないがしろにして私服を肥やす、「イノチよりカネ」という原発文化の象徴的行為と言える。

国会での議論がこの「手抜き工事」の実態解明にまで進んで行けば必然的に全原発は即ストップということになる。そういう展開となれば、安倍改憲が吹き飛ぶばかりでなく安倍政権そのものが任期満了を待たずに終わる。



 台風被害を受けられた皆様にお見舞い申し上げます。一刻も早い復旧を祈ります。

 それにしても、「環境問題」についいての認識が甘すぎます。世界的課題として多くの国々で議論が進む中、先の政府「所信表明演説」においても一言もないありさまです。

明日は冷え込みます。

パオパオという保温資材でミニトマトを囲いました。


関電幹部に庶民の怒り

2019年10月12日 | 社会・経済

#大竹まことゴールデンラジオ#金子勝 (文化放送 2019-10-11)

 

辞任で逃げ切り? 逮捕されない関電幹部に庶民の怒り

  日刊ゲンダイDIGITAL2019/10/11

    関西電力をめぐる原発マネー還流問題で、福井県高浜町元助役の森山栄治氏(3月に死去)から多額の金品を受け取っていた関電トップら7人がようやく引責辞任を決めた。問題発覚から2週間。この間、浮き彫りになったのは関電の薄汚い隠蔽体質。そして、原子力ムラの醜悪な癒着構造だ。

 森山氏サイドから関電役員らに渡った金品は、判明分だけで約3億2000万円。これはあくまで、昨年9月に関電の社内調査委員会が上げた金額に過ぎない。調査委メンバーの半数は関電役員の身内組織で、調査対象は2011~18年に原子力部門などに在籍していた一部の役員限定。そもそも調査委が設置されたのは、森山氏が顧問を務めていた建設会社「吉田開発」(高浜町)に金沢国税局の査察が入ったことで、関電とのズブズブの関係を把握されたからだった。

 お手盛り調査結果は取締役会に報告されず、取締役の不正行為をチェックする監査役会も報告見送りを追認。組織ぐるみで悪事をヒタ隠しにしていたのはアリアリである。しかも、食らったペナルティーは減給や厳重注意にとどまっていた。

■不祥事調査の経験がない第三者委メンバー

 世間の猛批判にさらされた関電は、経営陣の辞任発表と同時に金品受領問題を再調査する第三者委員会を設置。経産省などの指示を受け、社外弁護士4人が選任された。

 委員長は元検事総長の但木敬一氏、特別顧問が元日本弁護士連合会会長の久保井一匡氏。元第一東京弁護士会会長の奈良道博氏、元東京地方裁判所所長の貝阿彌誠氏が委員だ。年内をメドに調査結果をまとめ、その段階で岩根茂樹社長は辞めるという。

 調査の焦点は▽森山氏や原発関連工事受注業者からの金品受け取りの実態、▽社内調査の妥当性、▽問題を非公表とした関電の対応――だが、真相を解明できるのか。

 元特捜検事の郷原信郎弁護士は言う。

「委員長の但木氏をはじめ、法曹界のキャリアという点で言えば申し分のない面々です。ただ、大半の方が70歳オーバーの高齢の上、不祥事の事実調査で経験があるメンバーがいない。但木氏は典型的な法務官僚で、現場捜査や公判経験は任官後の2~3年だけ。第三者委の構成を見る限り、誰が中心となり、どんな調査をするのか全く見えません。幅広く社内調査をしただけでは、言い訳を積み上げるだけになりかねない。森山氏の資金の出元とされ、関電が特命発注していた吉田開発に切り込まなければ、真相究明には近づけません」

第三者委の調査終了まで検察は様子見

「過去から続く森山氏の影におびえてきた」「必ず手土産を持参してきて、受け取れないと言うと激高された」「森山案件は特別だった」――。

 森山氏の“特異性”に責任をおっかぶせる盗人猛々しい関電トップの被害者ヅラにも呆れたが、調査すべきは同じ穴のムジナの経産省が事実上、仕切っている第三者委ではなく、捜査当局ではないのか。

 元特捜検事の若狭勝弁護士はこう言う。

「関電経営陣は会社法の収賄罪や特別背任罪に該当する可能性がありますが、第三者委による調査結果が出るまで検察が動くことはないとみています。刑事告発されたとしても、当面は受理されない可能性が高い。捜査機関を早急に動かすウルトラCがあるとすれば、森山氏の遺族による大阪地検特捜部への告訴です。関電トップは会見で森山氏から脅されたと繰り返していて、事実であれば脅迫罪に問われるのは明確。逆に虚偽であれば、死者の名誉毀損で親族が訴えることができる。特捜部が結論を出すには、森山氏と関電の関係をつぶさに調べる必要があるため、真相に迫れるチャンスは広がります」

ただ、森山氏の孫のひとりは東京地検特捜部所属の現役検事。関電との全面対決をよしとするかは微妙ではある。

 関電幹部らは所得税の修正申告をし、追徴分などの納付を済ませたという。これまで明るみになった事実を並べただけでも、庶民感情からすれば「脱税、特背、お縄が当たり前」なのに、捜査当局の腰の重さは一体何なのか。

 関電に還流した原発マネーは巨額だ。森山氏を通じた金品受領は原子力部門以外でも見つかっていて、少なくとも80年代からとも、大飯原発元所長も対象だったとも報じられている。関電の原発を舞台に広範囲に脈々と続いていたのは間違いないだろう。にもかかわらず、八木誠前会長は辞任会見でも「もらってはいけないと分かっていたが、いったんお預かりせざるを得なかった」と言い張っていた。何億円ももらって「預かっていた」で済むなら、あらゆる泥棒が万々歳である。

■安倍側近にも還流する原発マネー

 辞めて無罪放免ならば、この国は悪人天国。舵を取る安倍政権が率先してそれを実現している。

「政治とカネ」をめぐる問題で小渕優子経産相、松島みどり法相、西川公也農相、甘利明経済再生相らが辞任。安倍首相の盟友の甘利にいたっては、UR口利き疑惑で秘書2人が現金500万円を受領した上、自身も大臣室などで計100万円を受け取っていた。それがバレると大臣を辞めて体調不良を理由に雲隠れ。おとがめナシとなったらドヤ顔で表舞台に復帰し、自民党の選対委員長から税調会長に横滑りして党内にニラミを利かせている。

 10日の衆院予算委員会で側近に原発マネーが還流していた問題を問われた安倍は、「政治活動については一人一人の政治家が、国民から信頼を得られるよう自ら説明責任を果たすべきものと考えている」と受け流した。

前経産相の世耕弘成参院幹事長の資金管理団体は、森山氏が非常勤顧問に就いていた関電受注企業の「柳田産業」(兵庫県高砂市)から計1050万円の献金を受け取り、稲田朋美幹事長代行が代表を務める政党支部も、森山氏が筆頭株主だった関電受注企業の「オーイング」(高浜町)などから計168万円の献金を受領。稲田については、企業献金を自粛している電力会社が政治資金パーティー券を計112万円分購入していたことも新たに分かった。

 政治評論家の森田実氏は言う。

「原発マネーが還流していた関電幹部が第三者委のメンバーを選ぶデタラメ。安倍首相の“助さん格さん”とも言うべき側近まで原発マネーを受け取っている堕落。そうした問題を問われても安倍首相はマトモに答えようとしない。臭いモノにはフタをし、関電一社の問題にコトを矮小化しようとしているのでしょう。このままではこの国のモラルは破壊しつくされ、正義が消え去ってしまう。野党がここを突破し、政権を木っ端みじんにしなければ、この国は腐りきってしまいますよ」

庶民の素朴な疑問と怒りは「上級国民ならば捕まらないのか」に尽きる。福島第1原発事故をめぐって業務上過失致死傷の罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3人に、東京地裁は無罪判決を言い渡した。東京・池袋で車を暴走させ、母子を死亡させた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長も逮捕を免れている。

 安倍が固執する原発推進に反発する世論は根強い。内閣がいくつ吹っ飛んだか分からないほど醜聞まみれにもかかわらず、安倍政権はしぶとく生き永らえている。捜査機関がグダグダなら、野党が国政調査権を駆使して白日の下にさらすべきじゃないか。


司法から腐っているのだから何をせん!

ペンキ塗り。

ようやく2F部分終わりました。(写真はもうすこしのところ)
降りてきたら太ももがバンバン。
筋肉が弱ってる~。

「圃場」の様子。



雨宮処凛がゆく! 第498回:香港のデモと、あいちトリエンナーレ問題。の巻

2019年10月11日 | 社会・経済

 マガジン9 2019年10月9日

       https://maga9.jp/191009-1/

10月1日、香港でデモに参加していた高校生が警察に実弾で撃たれた。

 高校生は一命をとりとめたが、当然ながらデモ隊の間には警察への激しい怒りが広がっている。

 「覆面禁止法」施行前日の4日には、14歳の少年がやはり実弾で太ももを撃たれ、重体と報じられた。

 「逃亡犯条例」改正に反対する大規模デモが始まって、既に4ヶ月。6月13日には、日本でも香港政府に抗議し、香港の人々に連帯する集会が行われた。渋谷ハチ公前には2000人が集まり、私は同日、東京・高円寺で開催された集会に参加した。「反送中!」「香港加油!」。路上にはそんな言葉が書かれた横断幕が広げられていて、香港をはじめいろんな国の人がかわるがわるスピーチし、今、香港で何が起きているかを語ってくれた。

 また、6月に大規模デモが始まって以来、友人、知人の多くが香港を訪れてデモに参加したり現場を取材したりしている。

「日本だっていつ自由が侵害されるかわからない。今の香港から学ぶことは多くある」と口にする活動家も多くいる。7月には、香港に行った人々の報告会があり、参加した。現在の巨大デモでは多くの最新ツールが使われていたり、権力と対峙するためのさまざまなノウハウが日々のデモの中から開発・発明されていたりして、そんなことが多く報告されたのだが、残念ながら他言はNGなので書けない。

 が、デモ隊が利用しているモノなどを知るたびに「なんて頭がいいんだ!」「その手があったか!」と思うことの連続だった。

 さて、そんなことを知り、「いつかこういうノウハウが必要になる日が来るかもしれない」と思ったのが7月。しかし、今、「もし、この国で言論の自由や様々な権利が侵害されそうになっても、香港のように立ち上がる人なんて圧倒的少数では」という思いに囚われている。そう思ったきっかけは、あいちトリエンナーレの補助金不交付という一報に接したからだ。

 開催当初から「表現の不自由展・その後」が問題となり、脅迫電話やメール、FAXなどが相次いだことはご存知の通りだ。展示はわずか3日で中止となり、そうして9月26日、文化庁は「あいちトリエンナーレ」への補助金を全額「不交付」と決めたのである。

 これに対しては、沈黙を守っていた知識人たちからも「検閲だ」「政治介入だ」と大きな批判が上がった。補助金カットの理由は、警備上の問題についての報告がなかったというもの。脅迫やテロ予告の報告がなかったということで、しかし、本当にそれが理由なら、いつも「テロに屈しない」と言っている政権なのに思い切り屈したことになる。その上、それで補助金カットなんて、加害者側の要求を受け入れて、脅迫された被害者を一緒になって叩くような構図ではないか。しかし、文科大臣は「内容は関係ない」の一点張り。そう言っている文科大臣自身がモリカケ問題で疑惑だらけなのだから、もう遠い目になってくる。

 一度採択された補助金がこのような形でカットされることは、あらゆる萎縮、そして「忖度」を生むだろう。政権に都合の悪いもの、望ましくない表現は一切しない、という先回りが生まれることは間違いないと思うのだ。

 10月2日、文化庁前で開催された「あいちトリエンナーレへの補助金不採択撤回! 文化庁前抗議」に参加した。

 「文化庁は表現守れ!」「政治介入絶対させるな!」「脅迫行為を追認するな」「萩生田文科相今すぐ辞めろ!」「補助金カットありえない!」「トリエンナーレに圧力かけるな!」

急遽呼びかけられた行動で、平日夜だったにもかかわらず、この日は230人が集結。文化庁前で声を上げた。

 「来年のオリンピックに、『爆破するぞ』ってFAX来たら、オリンピックやめるんですか? 税金使うのやめるんですか?」

 マイクを握った男性が言うと、あちこちから「そうだ」の声。

 また、どのような議論のプロセスで「不交付」と決まったのか、議事録の開示を求めた国会議員がマイクを握り、結局、議事録自体が「存在しなかった」ことも判明した。

 私も勧められて、マイクを握った。自然と口をついて出てきたのは、今回の補助金不交付という事態は、第二次安倍政権がこの7年かけてやってきたことの「総仕上げの始まり」ではないかということだ。

 この日、私はとんでもないことが起きたと、必ず声を上げなければと、今がこの国の大きな曲がり角ではないかという思いから文化庁前に駆けつけた。だけど、考えてみればそういう思いは第二次安倍政権以降、何度もしてきた。特定秘密保護法や安保法制や共謀罪など、「今、声を上げないと本当にヤバい」と行動してきた。

 だけど、止められなかった。止められずに、モリカケ問題の疑惑の渦中の人物が文科大臣となり、「忖度政治」という言葉が生まれ、「何をやっても無駄」とばかりに政権の「お友達」が優遇され、目障りなものは排除され、都合の悪いことはスルーされ、政権を忖度するように、選挙演説にヤジを飛ばす人も容赦なく口を封じられてきた。

 表現が、言論が、ゆっくりと封じられていくような感覚。「こんなこと書いていいのかな、なんか最近うるさいし」。みんなが少しずつ萎縮すれば、それはきっと「完成」する。物書きとなって19年。「表現者」のはしくれの一人として、自分の中にも19年前には、そして第二次安倍政権以前には微塵もなかった恐怖心が、いつからか存在する。それは、決して権力の弾圧という露骨な形など取らず、政権の意向を勝手に「忖度」した何者かによって何かがなされるかもしれないという種類の漠然とした恐怖である。

 「検閲 恐怖政治」。この日、そんなプラカードを掲げる人もいた。だけどここまで露骨なことが起きてもメディアは韓国叩きの報道ばかりで、そのこと自体が既に「完成している」気もしてくる。

 政治的な言論がすぐに「炎上」する今だからこそ、文化や芸術、文学には今まで以上に大きな役割があると思ってきた。韓国バッシングがメディアなどに溢れる一方で、『82年生まれ、キム・ジヨン』が日本でもベストセラーになったり、「韓国・フェミニズム・日本」を特集した『文藝2019秋季号』が異例の売れ行きを見せたりといった現実に希望を感じてきた。文学やアートにしかできないことが確実にあって、それが「最後の抜け道」になるかもしれないとも思ってた。だからこそ、補助金カットには衝撃を受けた。

10月7日、愛知県の大村知事は、中止となっていた「表現の不自由展」を8日から再開する方針を固めたと報道された。

 この原稿がアップされる頃には、既に再開されている。

 どうなるのか、見守っていきたい。


ついに氷点下の予報。

 台風はだいぶそれてくれたようで、ここはひとまず安心?
進路に重なるち地域の皆さん、くれぐれもご注意ください。
でも、とうとう氷点下の予報が出てしまいました。その後も1℃2℃、いよいよ年貢の納め時か

 


吉野彰さん、ノーベル化学賞 おめでとうございます。

2019年10月10日 | 社会・経済

ノーベル化学賞 少年期の「なぜ」原点 教諭との出会い 科学の魅力知る

東京新聞2019年10月10日 朝

 

 

   小学四年の時、担任の女性教諭との出会いが、吉野彰さんの偉業の原点となったという。薦められた英国の科学者、ファラデーの著書「ロウソクの科学」。なぜ燃えるのか? 炎の色が異なる理由は?…。誰もが浮かぶ素朴な疑問に対して、子どもでも分かりやすく解説した内容に引きこまれた。 (安田功)

 同じ頃の遠足での出来事も忘れていない。飯ごう炊さんに必要な石を水中に入れながら運んでいると、重かった石が軽くなったことを発見。喜んで、この教諭に伝えると「これがアルキメデスの浮力の原理なんだよ」と教えてくれた。教諭は大学時代に化学を専攻していたといい、「身の回りにある現象を通じ、化学の面白さを教えてくれた」と感謝する。

 四人きょうだいの三番目として、大阪府吹田市に生まれた。今は大規模なニュータウンとなったが、少年時代は池や竹やぶなど手付かずの自然が残されており、毎日のように昆虫を追い掛けた。互いに接近しあうトンボの習性を利用し、最初に捕まえた一匹を棒に結びつけたひもでくくり、別の個体を呼び寄せる工夫を凝らした。

 理科だけでなく、若い頃から考古学や地理への関心も高かった。今でも羽田-伊丹間の飛行機に乗る際は窓側の席を予約し、眼下に広がる奈良盆地の地形や古墳群に目を凝らす。「邪馬台国(やまたいこく)や卑弥呼(ひみこ)とか、詳しく分かっていない歴史は面白い」

 昨年四月から名城大(名古屋市)で週一回の講義を受け持つため、頻繁に名古屋入りする生活となった。ただ「なごやめしは苦手。酒のつまみに『世界の山ちゃん』の手羽先くらいかな」と苦笑する。

 カラオケ好きで、松任谷由実さんの「ルージュの伝言」や中島みゆきさんの「悪女」などを歌う。「シンガー・ソングライターは、まず独創性が必要で、それがヒットし、広く世間の人に共感してもらう才能がいる。研究開発とまったく同じ。研究者でなかったら、なってみたかったかな」

◆「壁にぶつかれ」学生に説く

 吉野彰さんが教授を務める名城大天白キャンパス(名古屋市)でも学生が快挙を祝福した。

 週一回の講義に出席する学生は十五人ほど。「好奇心が旺盛」と評される吉野さんは議論を好み、学生の意見に熱心に耳を傾けるという。口癖は「常にニーズ(需要)とシーズ(技術)を意識しろ」。未来に必要な技術を見据えて研究を進める必要性を説く。

 講義を受けている理工学研究科一年の林拓未さん(22)は自動運転を研究しており、「IT革命を支えた吉野先生のように、自分も社会を便利にする研究に励みたい」と意気込んだ。

 同じく受講生の岩月駿弥さん(22)は、「壁をありがたく思え」という吉野さんの教えが印象強いという。リチウムイオン電池の電極の材料を見つけるまで苦労した経験を明かした際に「壁にぶち当たることで、新しいことは生まれる」と話してくれたという。


アロニア

今日、すべて収穫。

屋根からの眺め

ペンキ塗り再開
 前の急斜面はほとんどゴミもなかったのですが、暖斜面ですので結構ゴミが多く、取り除くのに結構な時間がかかりました。1/3のところでペンキ切れ。購入してこなければ・・・


入管施設 ハンスト男性が「飢餓死」

2019年10月09日 | 事件

 「しんぶん赤旗」 2019108

 出入国管理庁は、今年6月に長崎県大村市にある大村入国管理センター(大村センター)で亡くなった収容者に関する調査報告書を発表しました(1日)。死因は、長期収容に抗議するハンガーストライキを行ったことによる「飢餓死」と明記されています。長期収容の問題に取り組んでいる市民有志「#FREE USHIKU」は緊急声明を発表(3日)し、「入管行政を直ちに変えるべき」と訴えています。

 死亡したのは、ナイジェリア国籍をもつ40代の男性。支援者らによるとサニーさんと呼ばれていたといいます。2000年に日本に入国。窃盗罪などで実刑判決を受け、仮釈放になった15年から大阪入国管理局(当時)に収容され、16年から大村センターに移されていました。

 入管職員が、男性が食事をしていないことを把握したのは5月30日。報告書によると、男性は「約10年間自由がありません。仮放免でも強制送還でもいいので、ここから出してください」とのべたといいます。その後も食事を拒否し、6月24日に死亡が確認。60・45キロだった体重は、司法解剖時には46・6キロでした。

 法務省は、大村センターの対応について「本人が治療を拒んだことにより、十分な治療の実施に至らなかった」としてやむを得えないとしています。送還や仮放免を求めていたにもかかわらず実施しなかったことについては、「他の被収容者の拒食を誘発するおそれがある」として、職権で行うべきではなかったとしています。

無期限収容のあり方改めよ 市民団体

 「#FREE USHIKU」の緊急声明は、長期収容という入管の対応が男性を死に追いやったと指摘。「私たち日本社会に住む者は今回、『入管庁はなぜ治療しなかったのか』を問う以上に、『なぜ収容し続けたのか』と問うべきである」とのべています。

 医療環境の改善なども必須であるとした上で、無期限収容のあり方そのものを改めるべきだと強調し、「別の制度は、可能である。私たちは入管行政を直ちに変えるべきである」と呼びかけています。


7日午後から降り始めた雨、今日昼までの雨量です。

霜注意報が出たようで、まだ枯れていない豆を収穫。

イチゴ(四季なり)、誰かにかじられている。


独居高齢者 10年で生活保護1.7倍

2019年10月08日 | 社会・経済

  しんぶん赤旗 2019年10月08日

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-10-08/2019100801_02_1.html

年金水準の底上げ急務

 生活保護を利用する1人暮らしの高齢者世帯が増え続け、10年間で1・7倍、全利用世帯の半数に達しました。1人暮らしの高齢者世帯には、無年金や低年金の世帯が多い現状があります。安倍政権が進める年金水準の削減や医療・介護の自己負担増をこのまま許せば、1人暮らしの高齢者世帯を中心に生活保護利用世帯の増加に拍車がかかることになりかねません。

全世帯の半数

図

 厚生労働省の調査によると、今年7月に生活保護を利用した世帯は約162万9千世帯で、約89万7千世帯が高齢者世帯でした。その9割にあたる約82万世帯が1人暮らしの高齢者世帯で、全利用世帯の半数を占めました。

 生活保護を利用する1人暮らしの高齢者世帯は年々増加。2018年度は月平均80万4873世帯で、10年前(08年度・46万8390世帯)の1・7倍となりました。同じ期間の他の利用世帯は1・3倍増ですから、1人暮らしの高齢者世帯での増加はきわだっています。(グラフ)

 1人暮らしの高齢者世帯で生活保護利用が増え続けている背景には、同世帯に無年金と低年金の世帯が多いことがあります。

目立つ無年金

 18年国民生活基礎調査で、「65歳以上の者のいる世帯」で、世帯類型別に「公的年金・恩給受給者のいない世帯」の割合をみると、夫婦のみ世帯では1・6%(12万5千世帯)でした。ところが、男性の1人暮らし世帯では8・7%(19万4千世帯)、女性の1人暮らし世帯では3・6%(16万5千世帯)でした。このなかには、働くなどして収入を得ている世帯も含まれていますが、1人暮らしの高齢者世帯で無年金の世帯が多いことがわかります。

 また、17年老齢年金受給者実態調査をもとに、老齢年金を受給する1人暮らし世帯の家計の状況をみると、平均年収は約204万円で公的年金(年平均約145万円)が7割を占めています。また、4割近い世帯が年収150万円未満という状況です。

 現在、1人暮らしの高齢者世帯は683万世帯(18年)ですが、国立社会保障・人口問題研究所は、40年には896万3千世帯に達すると推計しています。生活保護を利用する1人暮らしの高齢者世帯の増加に歯止めをかけるためにも、無年金の解消と年金水準の底上げなど“減らない年金”“暮らせる年金”の実現が急務となっています。

背景に現役時代の不安定な働き方

 生活保護の利用が急増する1人暮らしの高齢者世帯で、無年金や低年金の世帯が多いのは、現役時代に、低賃金や低収入で不安定な働き方を強いられた人たちが多いためです。

 たとえば、自営業やパート勤務などで働き、厚生年金保険に加入できず、国民年金(満額でも年金額は月6万5千円)にしか加入できなかった人たちや、厚生年金保険に加入できたものの、低賃金や短い雇用期間だったために年金額が低額になっている人たちなどです。

 1人暮らしの高齢者世帯の割合(独居率)について、国立社会保障・人口問題研究所は、今後も増加すると推計しています。さらに、65歳以上の結婚していない人の割合(未婚率)も男性を中心に急増するとしています。(グラフ)

最賃上げこそ

 最低賃金の大幅引き上げや正社員化などで現役時代の賃金や収入を増やすことは、無年金や低年金の世帯の拡大に歯止めをかけるうえで重要です。

 安倍政権は「全世代型社会保障改革を進める」として、▽国民(基礎)年金部分の給付水準3割削減▽介護保険サービス利用時の2~3割自己負担(原則1割)の対象拡大▽75歳以上の医療費窓口負担(原則1割)の原則2割への引き上げ―など年金給付を切り下げ、医療・介護の自己負担をいっそう重くする「改革」を推し進めています。

 「全世代型社会保障改革」が、1人暮らし高齢者世帯の生活困窮化をさらにすすめることは明らかです。

 消費税10%の増税は、全世代に重い負担を強いるもので、暮らしのゆとりを奪うものです。

世論と運動を

 いま求められているのは、国に対して、▽消費税を5%に引き下げて長期にわたる経済低迷を打開すること▽年金水準の削減を中止して、無年金者をなくし、年金水準を底上げする公的年金の改革を進めること▽現役時代の賃金や収入など国民の所得を増やす経済政策に転換すること▽大企業と富裕層に応分の負担を求めることを中心にすえた税財政改革を進め、それを消費税減税と年金など社会保障充実の財源に充てること―を迫る世論と運動です。(村崎直人)

 


 昨日、書き忘れたが、とうとう雪虫が飛び始めた。

 


 


ゲノム編集食品 選ぶ権利を奪うのか

2019年10月07日 | 野菜・花・植物

  東京新聞社説 2019年10月7日

 ゲノム編集食品解禁。人の手でさまざまな特徴を付与された野菜や魚が、食卓に並ぶことになる。だが、ゲノム編集であることを表示する義務がないのは不可解だ。消費者には「選ぶ権利」がある。

 ゲノム編集とは、生命の設計図といわれる遺伝子を、より正確に切ってつないで、生き物に新たな形や性質を人工的に与える技術である。遺伝子組み換えの進化形と言えるだろう。

 肉厚のマダイや血圧を下げる成分を多く含んだトマト、アレルギー物質の少ない卵…。さまざまなゲノム編集食品が、日本のスーパーなどにも順次、お目見えすることになる。

 消費者としてはいずれも魅力的だが、店頭に並ぶに際して気がかりなことが二つある。

 第一に、国による安全性の審査がない。

 従来型の遺伝子組み換え作物(GMO)は、食品会社が毒性や発がん性の有無などのデータを国の食品安全委員会に提出し、厳格な審査を受けることになっている。ところがゲノム編集食品の場合には、他の生物から新たな遺伝子を組み込まず、自前の遺伝子を切り張りするだけならば、届け出だけで、審査は必要ないとした。

 それ以上に不可解なのは、ゲノム編集食品であることの表示を義務付けないという、消費者庁の判断だ。遺伝子の切り張りは、交配による品種改良と同じメカニズムなので自然のものと見分けがつかず、表示義務違反があっても摘発が難しいからだという。摘発が難しいから義務付けない-。それでは本末転倒ではないか。

 狙った遺伝子を切り取る精度は格段に進化した。しかし「オフターゲット(切り間違い)のリスクはゼロではない」と、専門家も指摘する。将来世代に影響が表れないという保証はない。口にするのを不安に思う消費者が、少なくないのも当然だ。

 欧州連合(EU)は、GMOと同等に扱い、当局が検査し、流通記録を保管、販売時に表示する義務を課す。米国でも表示義務はないものの、消費者団体が流通経路をさかのぼり、バイオ企業の特許を調べ、独自の表示をしようと試みている。わが国でも何らかの対応ができないか。知恵を絞ってほしい。

 何もせず非表示では不安をあおる。生産者も販売者に表示を促すべきだ。それでこそゲノム編集のメリットをアピールできる。「選択」は消費行動の基本である。


「命」をこのように変えてもいいものか・・・・・

落葉キノコ

デカ

ヤナギタケ。手が届かず断念。


香港―「緊急法」→「覆面禁止法」

2019年10月06日 | 社会・経済

「緊急法」とは? “緊急事態“に政府が議会無視で法案施行が可能に 香港返還後で初の発動

「覆面禁止法」がまずは議会の承認を経ずに施行。民主派は「政府のやりたい放題になる」と警鐘を鳴らしている。

ハフポスWORLD 2019年10月05日  高橋史弥(たかはし・ふみや)

   2019年10月4日、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が「緊急法」を発動した。これにより、翌5日から政府への抗議デモで、参加者が顔を隠すために着用しているマスクを禁じる「覆面禁止法」が施行された。

   緊急法の発動の翌日には、政府の思い通りの法案が施行される。この緊急法とは一体どういうものか。それによって成立した「覆面禁止法」とは。解説する。

(写真省略)

■返還後、初

  「緊急法」の正式名称は「緊急状況規則条例」。詳しい内容が電子版香港法例にある。それによると、行政長官と行政会議(日本の閣議に相当)が「緊急的な状況、および公共の安全に危害がある」と判断した場合発動できる。

   発動されると、行政長官に権限が集中され、「公衆の利益に合致する」範囲ならば、いかなる規則も制定可能になる。通常必要な立法会(日本の国会に相当)の承認は経ずに制定・施行できる。

   発動されるのは1967年の英国植民地時代以来、約50年ぶり。1997年の中国返還以降では初となる。民主的な普通選挙などを求めるデモに対し、民主主義的なプロセスを無視して対抗する形となり、デモ参加者や民主派からの反発は必至だ。

「緊急法」の持つ力は強い。条例によれば、出版物や市民の交通・通信、それに写真などに対し検査を実施し、制限を加えることができるほか、財産没収なども想定される。

■覆面禁止法とは

   この緊急法の元で10月5日から施行されたのが「覆面禁止法」だ。その内容を政府資料から読み解こう。

まず、適用されるのは「非合法な集会」や「政府の許可を経ていない集会」などだ。ここで「身分の識別を妨げるため顔を覆うものを着用」した場合対象となる。罰則は、最高2万5000香港ドルの罰金とおよび1年以内の禁固刑。

宗教や健康上の理由などで着用していた場合は、罪に問われることはない。

なぜ政府はこの法律の施行に踏み切ったのか。政府の広報文に林鄭行政長官の説明がある。

林鄭行政長官は、施行の背景として、デモ参加者による「暴力」がここ数ヶ月エスカレートし、更に多くの学生が参加していることを「非常に危険なサインだ」とした。

その上で、デモ参加者のほとんどがマスクで身分を分からないようにし、刑事責任を逃れようとしていると指摘。現行の規則では十分に対応しきれなかったと釈明している。

■反発必至

   デモ参加者や民主派たちからはすでに多くの反対の声が上がっている。

民主派団体・デモシストのメンバーで、日本語を使って情報発信を続けている周庭(アグネス・チョウ)氏は「政府のやりたい放題になる」と警鐘を鳴らしている。

   そもそも、林鄭行政長官は、デモの火種となった「逃亡犯条例」改正案の撤回を発表した際、自ら、市民と積極的に対話する方針を示していた。

しかし、警官がデモに参加していた高校生の胸めがけて発砲するなど、参加者に向けた実弾の使用が続く。緊急法の発動も加わり、反政府ムードが高まるのは必至だ。

 周庭 Agnes Chow Ting

只今、香港政府が緊急法を引用して覆面禁止法を成立させました。こんなバカバカしい法律を実施したら、市民の怒りは上がるしかないです。

でも、一番大きな問題点は緊急法です。緊急法を通して、政府は立法会を回避して直接法律成立することができます。いわゆる、政府のやりたい放題になります→

0:27 - 2019年10月4日

周庭 Agnes Chow Ting

  緊急法を使って、覆面禁止法だけではなく、政府は多くの制限や弾圧を加えることができます。例えば、インターネット、出版物や交通に制限を加えたり、財産を没収したり、住宅に入って検査したり、人を国外追放したりすることができます。

香港に住むのは怖い、と初めて感じられました。でも負けません


今朝の最低気温

ハウス内の温度計で2.2℃でした。
明日からはまた少し上がるようです。

栗も食べきれません。

何の実かな。


「食品ロス」削減へ

2019年10月05日 | 社会・経済

「食品ロス」削減へ弾み 推進法あす施行

東京新聞 2019年9月30日 夕刊

 

 食べ物が無駄に捨てられてしまう「食品ロス」を減らすため、食品ロス削減推進法が十月一日に施行される。国は「国民運動」と位置付けて本年度中に基本方針をまとめ、自治体は削減に向けた推進計画を作る。先進的な活動をしている自治体や団体は「弾みがつく」と歓迎。一方、違反に対する罰則がない点について「海外並みに強制力を持たせるべきだ」という指摘もある。

 長野県松本市は二〇一一年、「30・10(さんまる・いちまる)運動」を提唱した。宴会で乾杯後三十分間と、締める前の十分間は自席につき、食事に専念する。食べ残しを減らす効果がある。

 市内百五十九の飲食店が「推進店」と認定され、市は広報誌で紹介している。市の担当者は「各店から『片付けが楽になった』という評判も耳にする」と話す。同様の取り組みは全国に広がった。

 京都市では、飲食店に対し「食べ物を持ち帰りたい」という客の要望に応えることを条例で定めている。

 企業や家庭などから食べ物の寄付を受け、困窮した世帯や施設に提供する「フードバンク」も活発だ。山梨県のNPO法人「フードバンク山梨」は、県内の母子家庭や児童養護施設など希望する人に月数回、段ボール箱詰めの食品を送っている。

 難点は、活動資金が寄付金頼みでボランティアの協力も欠かせないこと。同法人の米山けい子理事長(66)は、推進法にフードバンク支援が盛り込まれた点を評価。「法律に明記されたことは画期的。手弁当の団体が多く、活動の後押しになるはずだ」と期待する。

 食品ロス問題に詳しいフリージャーナリストの井出留美さんは、法施行を「国民が問題の深刻さを知る機会となった」と評価する一方、「他国に比べれば、はるかに遅れている」と指摘する。

 フランスでは、大型スーパーが売れ残った食品を原則廃棄してはならないと定めた法律が一六年に制定された。違反すれば罰金が科される。フードバンクが盛んな米国では、寄付された食品に問題が生じても、故意や重大な過失がなければ寄付した人に責任を問わない。多くの寄付を促す効果があるという。

 井出さんは、コンビニや大手スーパーなどでの過剰な生産と流通も問題視する。「食品の再利用のリユースだけでなく、過剰生産を減らすリデュースが大前提。企業に法的責任を課すべきだ」と強調する。


 湧き水を汲みに行ってきた。珈琲を控えめにして、天然水を・・・

 この石段の右側に石像があるが、その下の手前に湧き水が出ている。4㍑ぺットボトルに6本持ち帰った。



雨宮処凛がゆく! 第497回:消費税増税に、人参の皮では勝てない理由。の巻

2019年10月04日 | 社会・経済
  マガジン9 2019年10月2日 

「首相官邸に人参の皮を大量に送りつけたい」

 9月23日、新宿で開催されたデモの参加者が掲げるプラカードには、そんな言葉が躍っていた。

 日本経済新聞電子版に掲載された「ニンジンの皮もおいしく!増税に勝つ食べきり術」という記事に対するレスポンスだろう。

 この日開催されたのは、「STOP消費税 暮らしを守る緊急デモ」。約1週間後に迫る10%への消費増税に「待った」を突きつけるデモだ。

 そうしてこの原稿が更新される頃、すでに消費税は10%に上がっている。

8%から10%への増税。あなたはどう受け止めているだろうか?

 「いや、でも日本は財源ないっていうし、必要じゃない?」とか言う人が周りに一人くらいいるかと思ったが、残念ながら今回の増税を受け、私はただの一人からもそんな言葉を聞いていない。「もう、ムリ」「もっと消費したい」「台風被害者への追い打ちやめろ」。この日のデモでもそんなプラカードがあったが、デモに参加したことのない友人知人からも、「ほんとムリ」「やめてほしい」という声ばかりを聞く。

 「まだ8%になった現実にも慣れてなくて、服とか買うと8%の消費税がデカすぎて毎回びっくりするのに、また上がるなんて!」

 友人たちと集まれば、そんな話になることも多い。

 デモでは、増税に反対する様々な声も紹介された。親が入っている介護施設の利用料も上がるという声。下請けや中小企業の利益は増えていないのに増税されるなんて、という声。年金額は変わらず、物価は上がる一方で貯金もできないのに、という声。本来使うべき福祉や教育に使われていないから増税に反対、という声。

 貧困問題を取材する私にとっても、今回の増税はリアルに命にかかわると思っている。

 特に生活保護世帯は、2013年からの度重なる生活保護基準引き下げに苦しめられてきた。そのたびに食費を削り、猛暑の夏でも節約のためにエアコンを極力使わないなどして、文字通り命と健康を犠牲にするようにして耐えてきた。

「もうこれ以上なにを削ればいいの?」

 引き下げのたびに耳にしてきた言葉だが、「今回はトドメって感じがする」という声を聞く。そして、「国から死ねって言われてる気がする」とも。

 さて、そんな消費税が1989年に導入されてから、今年で30年。

 社会保障のためにと導入され、それからどんどん税率が上がっていった消費税だが、この30年間で「あぁ、消費税払ってるおかげで社会保障が充実していろんな恩恵があって、こりゃ老後も安心だなー」と思っている人はこの国に存在するだろうか?

 残念ながら、私は出会ったことがない。その理由は簡単で、89年から14年までの消費税税収は282兆円なのに対し、同じ89年から14年までの間、法人税収は255兆円も減っているからである。大企業減税の穴埋めに使われているのである。

 14年、消費税は5%から8%に上がった。この時も「増税分は全額社会保障の充実に使う」と言っていたものの、蓋を開けてみれば社会保障に使われたのは16%。あとの82%は闇の中。それが我が国の消費税である。社会保障が充実した実感がないのも、安心感が得られないのも当たり前だ。それどころか、今年6月には「老後2000万円問題」が浮上したことは記憶に新しい。

 最近、ある勉強会で都留文科大学名誉教授・後藤道夫さんの話を聞き、衝撃的なデータを知った。それは1997年と2015年を比較して、子育て世帯の年収が97万円も下がっているというデータだ(児童のいる世帯 所得関連諸指標の推移「国民生活基礎調査」所得票調査より)。

 95年と15年の「40代男性」を比較したデータにも驚いた。

 95年は結婚していて子どもがいる40代男性は70.7%なのに、15年は51.1%。実に約20ポイントも減っているのだ。

 一方で、「口座を保有しているが、現在、残高がない」世帯も増えている。

 18年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、20代で残高がないのは21.8%、30代で35.3%、40代で34.0%、50代で38.5%。60代で21.9%。すべて単身世帯だ。

 また、金融資産を保有していないのは、20代は45.4%、30代は39.7%、40代は42.6%、50代で39.5%、60代で26.7%。こちらも単身世帯だ。このような残高ゼロ、貯蓄ゼロの層は第二次安倍政権以前と比較して増え続けている(18年から調査のやり方が変わったので単純比較できなくなったのが残念なところだが)。

 安倍政権は有効求人倍率の高さを自慢しているが、その求人内容を見ると、月収10万円台が6割を占めているという現実がある。今年4月、改正入管法が施行され、国は外国人労働者の本格的な受け入れに舵を切ったわけだが、このような現実を見るにつけ、日本社会は10万円台の給料で文句も言わず働く労働力だけが欲しいんだな、と遠い目になってくる。

 ちなみに国税庁によると、18年の非正規雇用の平均年収は179万円。非正規男性は236万円、非正規女性は154万円。非正規女性は月収にすると12万8000円だ。年収数億円の人と、月13万円以下の人が同じ税率で消費税を払うのである。そして問題なのは、今、非正規雇用率は4割に迫るということだ。

 そんなことを思うと、今年の夏に報道されたある事件を思い出す。

 それは、92歳の母親の遺体を車の中に放置したとして、50代の娘が逮捕された事件。

 驚いたのは、逮捕された女性が、92歳の母親と27歳の長男と3人で、1年間も軽自動車で車上生活を続けていたということである。いわば、3世代のホームレス。数日前に亡くなった母の遺体をそのまま車に放置していたことについて、娘は「会えなくなってしまうと思った」と供述しているそうだ。

 貧困率が15.6%ということは、貧困状態の人は約2000万人いるということである。その中には、いつ車上生活や路上生活になってもおかしくない人も相当数、含まれている。

 そんな層にまで、10%の消費税がかかる。

 納得できないのは、増税を決めたのは、決して人参の皮まで食べきる必要がなく、それどころか、家計を気にしながら日々スーパーで買い物をするという経験をおそらく一度もしたことがない人たちだということだ。




今日は一日雨。畑にも出ず「お勉強」。

そんなわけで、昨日はジャガイモ堀に専念。

キタアカリ。

メークイン。

1品種コナフブキ(お好み焼き用に)だけ残ってしまいました。

サンショウオでしょうか?

 ところで、今年は超大きなカエルに遭遇しました。嫌いな人もいるので写真は載せませんが。今までこんな大きなのは見たことがありません。両手を合わせたぐらいです。「ヒキガエル」なんでしょうか?北海道は分布域に入っていないのですから、温暖化のせいなのでしょう。

 それから久しぶりに家の裏へ。

落葉キノコです。いいのが出ていました。

こちら、江部乙の栗の木です。

まるで巨大盆栽のよう


「家族に迷惑をかけずに死にたい」

2019年10月03日 | 健康・病気

「家族に迷惑をかけずに死にたい」日本で安楽死合法化が危険な理由

「誰が命を選ぶのか」 河合香織×宮下洋一

   文春オンライン2019.10.01

    人の「生き死に」の領域まで医療が及び始めた現代。終末期医療では、安楽死を求める声が年々増加し、出生時でも先天的な病や障害を理由とした胎児の中絶が行われるようになっている。

   『安楽死を遂げた日本人』を上梓した欧州在住ジャーナリスト・宮下洋一氏と、『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』で大宅賞・新潮ドキュメント賞をW受賞したノンフィクション作家・河合香織氏が「命の選別」をテーマに語り合った。

家族に迷惑をかけないための「安楽死」?

宮下 安楽死について書くのは今作で2冊目です。前作『安楽死を遂げるまで』では、スイスとオランダとベルギー、アメリカといった安楽死容認国の現場を取材して、安楽死は、文字通りの安らかで楽な死なのかを考えました。取材現場で戸惑うことも多かったものの、安楽死を認めるかどうかは、その国の文化や歴史に深く根差していることがよく分かりました。つまり、国民の理解の上で成立している選択肢ということです。

 取材の最後に、日本を訪れ、安楽死の是非を取材しました。日本でも、安楽死を求める切実な声があることを知りましたが、それでも、この国で安楽死を法制化することは危険だと思いました。欧米では、個人の人生における最後の選択肢として、どう逝きたいかの選択肢が尊重されています。一方の日本では、個人の選択肢というよりも、家族や医師を含めた周囲の考えが、死の局面まで影響を及ぼしているのではないか、と。

河合 そのあたり、ご著書では、日本の「迷惑文化」と呼んでいましたよね。つまり、高齢者や難病患者が、家族に迷惑をかけないために、安楽死を請うケースもでてくるのではないか、と指摘されていました。

宮下 はい。医師や安楽死団体が、患者に安楽死を施すか否かを判断するにあたって、各国共通の条件が四つあります。(1)耐え難い苦痛がある(2)回復の見込みがない(3)代替治療がない(4)本人の明確な意思がある――。このうち、最後の「本人の明確な意思」を、良くも悪くも“空気を読む”日本人の場合、確認することができるのか、私にはわかりませんでした。

 その「空気」は、河合さんの『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』にも、感じ取れたので、とても面白いと思いました。生と死、対極的なテーマだけど、共通項がいくつもあるんですよね。

出生前診断は「陰性」……出産してみたらダウン症だった

河合 そうですね。私の本は、函館のある裁判を中心に書いています。出生前診断を受けて「陰性」だと医師から言われた女性が、いざ出産をしてみたら実は子どもがダウン症だった――。その子どもは、ダウン症の合併症で、3カ月半で亡くなってしまいました。母親は、「もし出生前診断で結果がわかっていたら中絶できたかもしれない」という理由で医師を訴えました。

 裁判の顛末は拙著を読んでいただくとして、先ほどの宮下さんの言葉を受けていえば、主人公の女性の父は、孫が障害をもって生まれてくる可能性があるとわかったときに、「検査を受けられるのか」「(陽性だった場合)堕ろせるのか」と女性に聞いたそうです。だから、この女性は父親と「命に対して、どうしてそういうことを言うの?」と対立したと話していました。 ただし、女性はそうした周囲の声に対し抗しきれず、安心のために出生前診断を受けておこうか、と考えるようになります。彼女に限らず世の女性は、本当の意味で自己決定しているのではなく、そうせざるをえないところに追いやられていることもあるのではないかと、取材を通して感じました。

宮下 私が住むスペインにもダウン症の子も沢山います。ですが、日本同様に外の目を気にするかといえば、そうとは言えない気がします。

河合 先ほどの主人公の父は最後に「孫が生きていたらって今でもよく思うよ。最初は人目を気にしたと思います。でも、だんだんと愛着がわいていて、人の目なんてなくなっていったと思います」と話していました。だから、時間を過ごすうちにまた違った感情が生まれてくるはずですが、最初の入り口や、関係性を築くまでに、「世間の目」を気にしてしまう風潮が、まだ日本にはあるかもしれませんね。

「畳の上で死にたい」をスイスで叶える

宮下 中絶もそうですが、安楽死も、実行されてしまえば取り返しがつきません。だから個人の判断が明確ではない日本で、安楽死を法制化するのは危ないと前著で書いたわけです。ですが、それに対し、日本人の読者から、「筆者は欧米社会の暮らしが長いから日本社会の変化に気づいていない」「現在の日本では個人主義も尊重されるようになった」といった声が多く寄せられました。そこで改めて日本人のことを取材しようと思っていたところに、小島ミナさんとの出会いがあった。彼女が実際にスイスにわたって安楽死するまでを描いたのが今作『安楽死を遂げた日本人』です。

 小島さんは、数年前から全身の自由が少しずつ失われていく難病にかかっていました。この病の恐ろしい所は、癌などと違って余命が見えない、だけど確実に進行していくこと。現時点で有効な治療は存在しません。

彼女は生前、「癌のように余命が見える病なら安楽死を選んでいない」「身体的な痛みや苦しみなら耐えられる」と語っていました。彼女のメンタリティに接した限りでは、それは強がりではなく、本当だったと思います。彼女は、精神的な迷いで安楽死に辿り着いたわけではなく、彼女なりの信念があって、スイス行きを希望したのだと思います。

河合 先ほどまでの話の流れで、安楽死というのは、欧米の個人主義的な選択だと思った方がいるかもしれません。でも、この本を読むと、私はそれだけとも思えなかった。日本人は、よく畳の上で死にたいと言いますよね。一見、スイスで死を遂げた小島さんの思想とは対極的に思えます。

 けれど、小島さんは、親身になって付き添ってくれたお姉さん二人に囲まれて、「ありがとう」とか「大好きだよ」と言われ、見守られて死んでいった。ある意味、畳の上で死にたいという日本人の思いを、スイスの地で実現したんじゃないかなとも感じました。

宮下 なるほど、初めての感想ですね。仰るように、家族に見守られながら、そしてその場にいた全員が死を受け入れるなかで、小島さんは亡くなっていった。最後に、笑顔を見せながら逝った姿が、いまも目に焼き付いています。NHKでもその姿を放映したので、多くの視聴者から反響が寄せられたようです。

ただし、スイスに渡ってまで死を遂げたのは、小島さんの強い意志あってのもの。また、最終的に、その逝き方を尊重したお姉さんたちの存在も大きかった。つまりは彼女にしか出来なかった最期の形だったと理解しています。今回の出来事をもって、日本で法制化を前進させるべきだとは思っていません。

安楽死を施した医療者のトラウマ

河合 小島さんが生きていたら聞いてみたかったことがあります。医学が進み、様々な局面で新たな治療法が生まれていますよね。エイズは昔不治の病だったけれど、いまは薬ができて症状をコントロールできる病になりました。そういった医療の発達ということに対して、彼女は希望を抱かれていなかったんでしょうか?

宮下 すぐに、新たな治療法が開発されるとの希望は持ってなかったと思います。一方で、身体的なケアは難しくとも、精神的なケアなら可能だと思われた医療関係者は多いようです。だから彼らの間に、小島さんの安楽死は早すぎるという意見があがっていることは、私も知っています。

河合 医療者からしたら、当然迷うはずですよね。少し次元が違ってしまいますが、宮下さんは、スイスやオランダでは、安楽死を施す医療者のストレスが大きくてトラウマを引きずっているケースもあると述べられていますよね。

宮下 はい。オランダの例で言うと、実際に安楽死法が成立したのは2001年なんですけど、それから法の解釈によって、当初は想定しなかった患者が安楽死を遂げるようになってきています。最近では、認知症患者への安楽死措置を巡って、オランダで訴訟が起こりました。

法制化された当時は安楽死に賛成だった医者も、実際にやってみて、これは自分にはできないという判断になった人もいます。本来は、人を救うために医療を志すわけですから、やはりそのギャップは大きいのだろうと思います。

 ところで、河合さんの本にも、似たような悩みを持つ医療者が紹介されていましたね。中絶手術に関わってきた助産師の方が中絶手術に疲弊し、仕事を辞めようと思いつめたというエピソードが印象的です。

「命を選ぶことができる」は幸せか

河合 はい。欧米では医療者に「特定の医療を良心に基づいて拒否する権利」が認められているところもあります。例えば良心や宗教上の理由で中絶手術をしたくないと医師が主張することで、病院内でその医師は中絶手術には関与しなくてもいい配慮が取られる場合もあると聞いてます。けれども、日本ではそのようなことはまだ難しい段階です。

 羊水検査で胎児の異常がわかって中絶という流れに至った場合、中期中絶となり、人工的に陣痛を起こして出産と同じような形で胎児を「産む」ことになります。命を救うことに高いモチベーションを抱いている医療者にとってはストレスが大きいと感じる場合も少なくないようです。

宮下 出生前診断がどんどん普及していくなか、現場の医療関係者が実は苦しんでいるのだとしたら、そのことも議論しなければなりませんね。

 話は変わりますが、医療がどんどん発達していく世の中で、「選ぶことができる」というのが人間に何をもたらしたかについて、安楽死の取材をしていて何度も考えました。昔は、誰もが自然死だったわけじゃないですか。安楽死なんて考える余地がなかったほうが幸せだったかもしれない、と。

河合 そうですね。命を選ばなければいけない場面に直面することが多い時代になっています。出生前診断は、新型出生前診断や羊水検査だけの話ではなく、誰もが受ける妊婦健診でさえ、胎児に異常がないか調べられているわけです。

 病気を知ってしまったら、やはり何らかの選択をせざるをえない。知ることと選ぶことは対なんだと思います。

 大江健三郎さんはノーベル文学賞を受賞当時、四国の森の中で生まれ、子どもが障害を持って生まれたことを含め、偶然の中に自分の人生の根拠があると仰っていました。人生をコントロールしようとすればするほど、偶然の楽しみをなくしているのではないかと考えます。

宮下 選べるということは、偶然の出会いというのを少し減らしちゃっているんじゃないか、という話ですよね。

河合 はい。もう一つ、取材をしていて感じるのは、選ぶことができない人というのも世の中にいるんですよね。障害を持つ子が生まれる可能性を指摘されたお母さんで、確定診断を受けないまま、障害があるという疑いだけで中絶してしまう人がいます。選ぶ責任を取りたくないから、事実を知ることを避けるわけです。だから、出生前診断のような技術が発展しても、誰もが強く「自己決定」をして、選べるわけではないと思います。そういった方へのまなざしとか、ケアみたいなものも必要かもしれないと思っています。

宮下 良きにせよ、悪しきにせよ、医療技術は今後ますます発展していくでしょう。そこに現場の理解や、生命倫理が追いついていません。いま様々な場面でハレーションが起きています。だからこそ、そうした現状を伝えるのは私たちの仕事だと思っています。

河合 そうですね。答えが簡単に見つからないからこそ、その都度、書く側の問いかけや時には迷いすら、発信していきたいと思っています。


河合香織氏/1974年生まれ。神戸市外国語大学卒。主な作品に『セックスボランティア』『帰りたくない 少女 沖縄連れ去り事件』。『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』で、小学館ノンフィクション大賞を、『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』で大宅賞と新潮ドキュメント賞をW受賞

*本対談は9月1日、B&B(下北沢)にて開催された両氏によるイベント「誰が『命』を選ぶのか――終末期医療・生殖医療の現場から考える」をもとに、再構成しています。


 以前、わたしがフォローしていた方に「安楽死」を求める人がいました。今、どうしているのでしょう?「人としての尊厳」の問題なのでしょうか?それともそうさせる「周り」のもんだいなのでしょうか?

もっと議論が必要かと思います。



雨宮処凛「生きづらい女子たちへ」86 「女」というだけで~東京医大等の不正入試問題、その裁判に行ってきた

2019年10月02日 | 社会・経済

Imidas連載コラム2019/10/02

  雨宮処凛 (作家、活動家)

   「東京医科大学で女性受験生の減点が行われていた、そのニュースを見た時の衝撃や絶望は今でも鮮明におぼえています。その時は、まさか自分が巻き込まれているとは思っていませんでしたが、それでもそのニュースがあってから、数日は勉強が手に付きませんでした」

「そんな不安定な数日を過ごしている中、支援者の方々、一般の方々が東京医科大学の前で抗議してくれたことを知った時は、恥ずかしながら自習室で泣いてしまいました。私たち受験生の怒りや絶望を言語化してくれたことが、とても嬉しかったのだと思います」

 2019年9月6日13時すぎ。東京地裁510法廷にて、その女性は落ち着いた声で述べた。

 法廷の真ん中で意見陳述をしている女性は、Aさん。女子受験者への一律減点など不正入試が行われていた東京医科大学、昭和大学、順天堂大学を訴えた受験者である。

 昨年、複数の医大を受験した彼女のもとには、すべての大学から不合格の通知が届いた。しかし、医大における不正入試の問題が続々と報道されたのち、彼女のもとには東京医科大学、昭和大学から本来であれば合格していたという連絡、また順天堂大学については、一次試験に合格していたという連絡がもたらされたのである。

 女子受験者が一律減点されていたという東京医大不正入試問題が報道されたのは、18年8月2日。女性は出産、子育てなどで現場を離れることが多い、激務に耐えられないなどの理由から、長年、女子合格者を3割以下におさえる操作が行われていたというのだ。

 その翌日の8月3日、この報道に「黙っていられない」と100人ほどが東京医大前に集まった。急遽開催された抗議アクションを呼びかけたのは、作家の北原みのりさんなど。参加した女性たちは「下駄を脱がせろ」「女性差別を許さない」などのプラカードを掲げ、多くの女性たちが涙ながらにスピーチした。

「なぜ、女というだけでこれほど理不尽な扱いを受けなければいけないのか」

 この日、集まった女性たちが口にした言葉だ。私も「黙っていられない」という思いから医大前に駆けつけた一人だ。この日のアクションについては、本連載「東京医大の減点問題と、母」でも書いたので、ぜひ読んでほしい。

「でも、やっぱり女性は妊娠、出産とかするし、医者には向かないんじゃない?」という人もいるかもしれない。そんな人には世界の実情をお伝えしよう。OECD諸国平均で女性医師の割合は4割。比較して日本は2割。ただ単に、日本は他国のように女性医師が働き続ける環境を整えていないだけなのである。

 それでも「女子一律減点は仕方ない」という人に問いたい。

 あなたが「男だから」とか「〇〇県出身だから」とか「乙女座だから」などという、自分ではいかんともしがたい理由で「はい、一律減点ね」と言われたとしたら。しかもその大学に入るために何年間も、寝る間も惜しんで努力をしてきた果てに、である。「ああそうですか、仕方ないですね」と引きさがれるだろうか。「女子一律減点」とは、こういうことである。

 東京医科大学の不正入試が8月初めに報じられると、昭和大学、順天堂大学など他の医大でも同様の不正が行われていたことが発覚した。そんな騒動後、Aさんは3大学から「実は合格してました」という連絡を受けたわけである。そうして彼女は東京医科大学、昭和大学、順天堂大学の提訴に踏み切った。

 この日行われた意見陳述で、彼女は提訴へ至る経緯を述べた。

 医療系大学を卒業後、数年間は医療機関で働いてきたこと。学生時代に経験した父の急死や、医療機関で働く中で医師になりたいという思いが強まり、医学部再受験を決意したこと。2年の計画で受験勉強をし、1年目は国公立のみを受験し、不合格。そうして2年目、東京医科大学、昭和大学、順天堂大学を含む5校を受験したこと。

 その結果、すべて不合格(本当は受かっていた大学もあったのだが)。

 諦めるか、もう一度受験するか。貯金も尽き始めた中、そんな二択の岐路に立たされ、Aさんはもう一度受験することを決め、勉強に打ち込んだ。

 そうして3度目の挑戦に向けた受験勉強の最中に発覚したのが、東京医科大学の裏口入学問題。便宜を図った見返りとして、文部科学省の官僚の息子が不正に同大へ入学した問題である。その報道をきっかけとして、女子受験者や多浪生への一律減点が次々と明らかになり、また、他の医大でも同様のことが行われていることが発覚していった。

 まさにそれらの大学に入ろうとして、2年以上もの間、受験勉強を続けていたAさんにとってこのニュースはどれほどの衝撃だったろう。

「今こんなに頑張っていても、私が女性であり再受験者であるから、きちんと評価をしてもらえず、医学部に合格することなんてできないんじゃないかと、そんなことを思いました」

 Aさんは意見陳述でこう述べている。

 そこに飛び込んできた、多くの女性たちが医大前に集まり、抗議したという情報。Aさんはさっそく支援者と連絡を取ったという。が、この段階では真の合否は分からない。自分の力不足で落ちたのでは? と言われてしまえばそれまでだ。

 しかし、そんなAさんのもとに18年11月、東京医科大学から「入学意向確認書」が届く。合格していたのだ。続いて12月には順天堂大学より、本来一次試験に合格していたこと、19年1月には昭和大学で一般入試II期において本来なら繰り上げ合格だったことを知らされる。結果として、5校受験したうちの3校で不正入試に巻き込まれていたのだ。

 私がこの日の裁判を傍聴していて驚いたのは、その後の大学の対応だ。

 あれほどメディアで騒がれ、多くの批判が集まった「事件」である。丁重な謝罪がなされ、また精神的苦痛や、しなくてもいい受験勉強に多くの時間を割いたことについての補償も手厚くされたのではないかとばかり思っていた。しかし、Aさんの語った事実に愕然とした。

 まず東京医科大学。第三者委員会の報告書を公表し、不正入試が起きた経緯などの書類が届いたという。成績開示もされ、その結果、Aさんは合格基準を「結構、上回る得点」だったことも判明。補償に関しての聞き取りもあったが、提示されたのは実費のみ。

 順天堂大学については、書面や対面などではなく電話で「実は一次試験に合格していた」ことが伝えられ、また補償として受験料の6万円のみ返還すると言われたという。一次試験が受かっているなら二次試験の機会が欲しいと伝えると、それはできない、今年も一次試験から受験してほしいと言われ、19年1月に6万円だけが振り込まれ、それっきり――って、なんか新手の詐欺みたいだ。

 昭和大学も、やはり電話をかけてきたという。入学のための手続きの話をされ、辞退するなら受験料だけ返還すると言われたという。結局辞退すると、19年2月に6万円が振り込まれ、やはりそれっきり。

その昭和大学については第三者委員会の報告書も公表せず、どういう経緯でAさんが落とされたのか、説明すらないままだという。

 これらの多くが、受験直前や受験が始まっている最中に対応を迫られたのだ。

 東京医科大学から、実は合格していたと知らされた時のことを、Aさんは以下のように語った。

「入学意向確認書が届いた時、自分も不正に落とされていたのだという絶望感をさらに味わいました。2年目の受験が終わった時に絶望し、苦しみ、それでも受験を続けていたこの1年間はなんだったのかと」

「不正入試が明らかになり判明したのは、私の学力や医師になる資質が不十分だったからというのではなく、私が女性でかつ18、19歳の受験生ではなく、親族に医師がいなかったから、という理由で不合格にされたのだということです」

「手元に合格通知が届いた時も、喉から手が出るほど欲しかったものなのに、正直、あまり嬉しくありませんでした」

「各大学からの答弁書も届き始めていますが、私たちは悪いことをしていたという認識はないけれど、指摘されてしまったから仕方なく、という姿勢にはまったく誠意が感じられません」

そうして意見陳述の最後、彼女は提訴した理由を述べた。

「1年間という時間をムダにし、本来必要のないお金もかかり、医師になるのが1年遅れたにも関わらず、その補償が実費だけ、受験料の返還だけ、というあまりに不十分で不誠実な対応をされたから」

「2点目として、今後、不正入試を起こさないための再発防止対策が不十分であるということです。いまだに第三者委員会の報告書を出していない昭和大学、最終報告を出していない順天堂大学にはきちんと報告書を公表、再発防止対策を提示して頂きたいと思っています」

 裁判の後、Aさんと初めて話した。名刺を渡すと私の名前を見て、抗議に行ったことを知ってくれていた。

「ありがとうございます」という彼女の言葉に、デモとかに行ったことで誰かにお礼を言われたのって初めてかもしれない、と思った。逆にいつも、「うるさい」とか「そんな暇あったら働け」とか、見知らぬ人に罵倒ばかりされている。最近はそこに「日本人じゃないだろ」というヘイトまで加わる。

 だけどあの日、「他人事じゃない」と思った女性たちが医大前に駆けつけた。それが報じられ、Aさんにちゃんと届いたことが、心から、嬉しかった。そうか、ちゃんと嫌なことに嫌と声を上げていたら、当事者に伝わるんだ。そうしてそれが、裁判につながった。

 意見陳述を、「とても緊張しました」と笑うAさんは今、3大学とは別の医大生だという。今はまだ出会ってなくても、私たちはつながってるし、支え合っている。

 そうしてこの裁判から約1週間後、嬉しい報道を目にした。 Aさんの裁判でも「いつ出すのか」が問われていた「昭和大学の第三者委員会の調査報告書」がホームページで公表されたのだ。報告書は、「一部の繰り上げ合格者の男女比に『合理的理由を見いだすことができない』差があるとし、女性差別があった可能性を指摘した」(朝日新聞、19年9月14日朝刊)。

 東京医大前のアクションから、一年。事態は確実に動いている。


栗が樹上ではじけています。(ピンボケ)

 トタン屋根のペンキ塗り一番厄介なところ今日終わりました。あとは傾斜の緩いところなので、足場の心配は…。でも細心の注意です。明日、70歳になっちゃいます。


乗り換えようか!

2019年10月01日 | 社会・経済

純利益1兆円のソフトバンク「法人税ゼロ」を許していいのか?

孫さんは「日本は後進国」と言いますが…

   週刊現代  2019.19.30

 消費増税のうえ、医療費・介護費の負担増が見込まれる日本。一方で、過去最高売り上げのソフトバンクは1円も法人税を払っていない。金持ちだけがより儲かるこの国、いくらなんでもおかしくないか。

社内で株を回し租税回避

 「日本はAIにおける開発分野で、完全に後進国になってしまった。このまま目覚めないと、やばいことになる」――。

ソフトバンクG(グループ)主催のイベント「ソフトバンクワールド2019」(7月18日)で、基調講演に登壇した孫正義氏は、こう言って嘆いてみせた。

AIや自動運転など最新の技術がテーマとなったこの講演。「日本企業の戦略は焼き直しばかり」「衰退産業にしがみついている」と厳しい発言が増えている近ごろの孫氏だが、この日も冒頭のように、日本経済の現状を辛辣な言葉で一刀両断。テクノロジーについては「日本は後進国」と言い切った。

 ソフトバンクGは'16年には英半導体大手アーム社を3.3兆円で買収、'18年には主幹事業であった携帯キャリア事業を子会社化した。こうした流れの中でいま、孫氏がもっとも注力しているのは、SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)なる投資事業だ。

単なる通信サービス企業から、日本最大規模の10兆円を運用する投資ファンドへと変貌を遂げようとしている。

孫氏は同講演で次のようにも語っている。

 「『孫さんは日本の会社にちっとも投資していない。何か思いがあるのか』とよく聞かれる。悲しいことに、日本には世界でナンバー1といえるユニコーン(創業10年以内、評価額10億ドル以上の未上場企業)が少ないのが現実で、投資したくても投資できない」

もはや日本には、投資する価値がある企業がないとすら言う孫氏。カリスマの言葉に同調し、にわかに国内産業の未来を憂い始める向きもあるようだが、それ以前に、私たちが知っておくべき事実がある。

 ソフトバンクは国内の投資云々以前に、もっとも大切なおカネを日本に払っていない。それは、莫大な利益に対する「法人税」である。

 2018年3月期の決算で、ソフトバンクGの売上高は約9兆1587億円の過去最高額、純利益は1兆390億円を計上していた。ところが、これほど儲けている企業が、日本の国税に納めた法人税は、なんと「ゼロ」。実質的に1円も払っていないというのだ。

 単純計算はできないが、本来であれば1000億円単位の法人税を国に納めていてもおかしくないはずのソフトバンク。孫氏は合法的な「租税回避」を計画し、国税の手を逃れたのだ。

「ポイントになるのは、'16年に買収したアーム社の株式です。ソフトバンクGはこの株式の一部を、グループ内のSVFに移管しました。

この移管で会社側に損失があるわけではないのですが、税務上の処理ではアーム社株の時価評価額が取得価格を1.4兆円下回り、同額の『欠損金』が生じたという計算がなされた。

その結果、ソフトバンクGの'18年3月期決算は税務上、1兆円超の黒字が消えたうえ、赤字扱いになったのです」(税理士の奥村眞吾氏)

純利益1兆円のソフトバンク「法人税ゼロ」を許していいのか?

孫さんは「日本は後進国」と言いますが…

開き直った孫さん

 東京国税局は欠損金のうち4000億円は'18年3月期に計上できないと指摘し、ソフトバンクGもこれに応じて修正申告している。それでも、1.4兆円という欠損金の処理額があまりにも大きく、追徴課税は生じなかった。

簡単に言えば、買収した企業の株を社内で売り買いして作った損を計上して、課税利益を作らないようにしている。法の抜け道を利用する形で、公表利益と税務利益がかけ離れた、数字の「マジック」を作り上げたのだ。

「かつて日本IBMが米国の親会社との事業再編における株取引で損を発生させ、法人税の圧縮を目論んだのではないかと国税が指摘し、裁判に発展したことがありました。'16年に判決が出たこの裁判は、IBMの勝訴でした。

 今回のソフトバンクGの件のスキームや国税の調査の詳細はわかりませんが、IBM事件のような判例から、海外企業との株取引をうまく使えば節税になるのではないかと判断した可能性があります」(公認会計士で税理士の深見浩一郎氏)

国税の修正申告にも応じたうえで法人税がゼロというのだから、ソフトバンク側からすればむしろ「適法」のお墨付きをもらった格好になる。

こうした結果を見込んでか、今年6月19日のソフトバンクG株主総会で孫氏は、開き直ったかのような発言をしている。

「世界の投資家は世界のルールのなかで色々な節税を合法的にやっている。合法的な範囲のなかである程度節税を図っていく」

 ソフトバンクは租税回避の「前歴」がある。'13年に米携帯電話大手スプリント社、'14年に米携帯卸売り大手ブライトスター社を買収した後、2社の売り上げに関してタックスヘイブンで知られるバミューダ諸島を経由させ、税負担を軽くして利益を増やそうとした。

'13年~'16年の4年間で、申告漏れと指摘された金額は約939億円。もしこれが「違法」とみなされていれば、とんでもない金額のごまかしとして糾弾されるところだった。

だが、国税は「意図的な税逃れではない」と判断。ペナルティーである重加算税は課されなかったのだ。この国は税金を納めなくても怒られない。そう、孫氏は味を占めていることだろう。

こうした孫氏の手法について、経済学者の野口悠紀雄氏は大きなため息をつく。

「今回の件のアーム社株は非上場株で、しかも子会社への売却です。ソフトバンクGが算出した時価評価額が適正なものかどうか、客観的に知ることは私たちにはできません。

ですから、国税がこれを正しく評価し、きちんと追及できたのか疑問が残ります。

 法律的に見れば問題はないのかもしれませんが、日本を代表する企業が、世間一般から疑いの目をかけられるような税金の処理を行うのはいかがなものか、と思います。

携帯会社としてのソフトバンクは消費者に商品を直接販売して利益を出している企業ですから、信頼を失っては大問題です。信頼を失うようなことはないと思っているのでしょうか」

税金ゼロということは、利用者がソフトバンクにいくら携帯料金を支払ったところで、医療費や介護費などに還元されるおカネは1円もないということだ。

税務署もどうかしている

 「企業は社会の公器である」というのは、パナソニック創業者・松下幸之助の基本理念である。企業の利益ではなく社会の利益を追い求め、公共的責任を果たすことが、会社の役割であるという考え方だ。

ソフトバンクは研究開発に投資し、社会に貢献していると言うかもしれない。たしかに、東日本大震災が発生した時にいち早く100億円の寄付を申し出たり、「孫正義育英財団」を設立して優秀な人材を発掘したり、「表向き」の社会貢献は積極的に進めているように見える。

だが、「税金を払う」という基本中の基本の義務を果たしていなければ、単なる宣伝活動にしか映らない。「日本は後進国になっている」と偉そうに言われても、「お前が言うな」という話だ。

サラリーマンや年金暮らしの高齢者でも、少しでも生活を楽にするために、税負担を軽くするためのさまざまな控除を利用したり、相続対策を講じる人は多いだろう。

こうした個人のささやかな税金対策に関して、税務署は血眼になって調査する。少しでも税金を納めずにいると、督促状が届き、延滞金が加算され、場合によっては問答無用で金品を差し押さえられるなど、徹底的な追及を受けてしまう。

その一方で、明らかに「税逃れ」している大企業がなんのお叱りもないのは、いったいどういうことなのか。

 ソフトバンクGは、あくまで表向きは過去最高売り上げだ。そのため、役員報酬や株主配当は高くなる。

孫氏のCEOとしての年間報酬は2億2900万円で、企業規模から考えると控えめと言えるが、自身でソフトバンクG株を2億3000万株以上保有している。

ざっくり計算すれば、年間100億円以上の配当が受けられるうえ、その配当収入も「キャピタルゲイン課税」の扱いになり、給料や事業収入にかかる所得税の半分程度で済んでしまう。

要するに、ソフトバンクが税を圧縮して株価を維持していれば、孫氏の懐に大金が転がり込む仕組みになっているのだ。

孫氏だけではなく、ソフトバンクG株を保有する大口の個人投資家やヘッジファンドも同じように、同社が節税すればするほど懐に入ってくる額が大きくなる。そのため、株主総会で同社の節税スキームに異を唱える者が出ることもない。

これじゃ日本が終わるよ

 一方で、市井の一般国民や高齢者はどうだろうか。いくばくかの貯金をやりくりして暮らす高齢者は、国から言われるままに税金を吸い上げられる。かといって、少しでも稼ぎを増やそうと働きに出ると、様々な控除を外され、結果的に税負担増になる。

それどころか、政府や財務省は仕方のないことだと言わんばかりに高齢者の負担増を訴え、医療費や介護保険料の値上げが社会保障改革の指針に組み込まれている。

こうした幾重もの課税に加えて、今年10月には消費増税も控えているわけだ。元国税調査官の大村大次郎氏は言う。

「日本の法人税は世界的に高額と言われていますが、ありえないほど抜け穴が多く、タックスヘイブンレベルとさえ言うことができます。

『金持ちから1円の税金を取るのは、貧乏人から1万円を取るより難しい』と言ったりしますが、本来であれば消費増税をするよりも、こうした法人税の抜け穴をふさいでいくことで増収を見込むべきだと思います」

 消費増税による家計への負担は4.6兆円と見られている。とてつもない金額だ。だが、'89年から導入された消費税の税収を私たちがこれまで享受してきたかと言えば、そういうわけではない。

立正大学法学部客員教授の浦野広明氏は言う。

 「消費税が導入されてから、これまでに徴収された消費税収の累計は349兆円におよびます。

一方で政府は、法人3税(法人税、法人住民税、法人事業税)の優遇を進めてきました。この法人3税の減税額は'17年度までの累計で、実に281兆円にのぼるのです。

 消費税は逆進性が高く、高齢者をはじめとする所得が高くない世帯のほうが、重い負担を強いられる税金といえます。

 その消費税の8割近くを、法人税の減税で食いつぶしてしまった。税制的には、大資本を持った企業であればあるほど有利な状況で、むしろ格差を容認する仕組みを政府は作っているとさえ思えます」

 こうした我が国の現状は、はっきり言って「異常」だ。タックスヘイブンの活用や租税回避は外国で横行しているイメージがあるが、実際には違う。日本だけが、ソフトバンクのような大企業の「税逃れ」に対して見て見ぬふりをしている。

前出・奥村氏は次のように言う。

「G20会議では近年、『低税率国や租税回避地を利用した脱税に近い方法は、企業のモラルとして禁止しなければならない』と決議しています。

また、ジェフ・ベゾス氏がCEOを務める米アマゾンも税逃れの常習犯で有名ですが、トランプ大統領がベゾス氏を名指しで批判し、苦言を呈したこともありました。

 こうしたことを鑑みると、世界では法人の税逃れに否定的な風潮に向かっていると言えます。そのなかで、意図的に租税回避を行っている孫氏のやり方は、もっと日本で取り沙汰されてもおかしくないと思います」

 なけなしの年金から安くない携帯料金を、ソフトバンクに払っている人もいるだろう。そうして得た儲けは、すべて彼らの懐に入り、税金として世の中に還元されることはない。

 重税にあえぐ庶民から、さらにカネを吸い上げるだけの企業ばかりになったら、それこそ日本は終わりだ。

「週刊現代」2019年9月14日・21日合併号より

 


栗拾い

いがぐりをこじ開けなくても、大きな実が裸で転がっている。