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防衛費概算要求 思考停止の増額を憂う

2024年08月31日 | 生活

「東京新聞」社説 2024年8月31日 

 防衛省の2025年度予算概算要求は約8兆5千億円。防衛費増額の妥当性や財源の確保、自衛隊の人手不足を検証せず、22年改定の国家安全保障戦略に従って過去最大となった。思考停止で金額ありきの巨額計上を憂慮する。
 安保戦略は「防衛力の抜本的強化」を名目に、23年度から5年間の防衛費を総額43兆円とした。米国からアジア太平洋地域の秩序維持のための負担増を期待され、27年度に防衛関連予算を国内総生産(GDP)比2%まで急増させる計画だ。
 計画3年目の概算要求は、長射程ミサイル導入など敵基地攻撃能力(反撃能力)の整備や攻撃型無人機(ドローン)の導入、継戦能力強化に向けた弾薬整備に引き続き重点を置いた。軍備拡張を続ける中国、北朝鮮に対する抑止力・対処力の強化が目的だ。
 ただ、アジア太平洋地域の安保環境は一向に改善しない。中国は力による一方的な現状変更の試みを強め、北朝鮮は弾道ミサイルの性能を高めている。日本の防衛力強化はむしろ地域の軍事的な緊張を高める「安全保障のジレンマ」に陥っているのが実情だ。
 人口減少が進み、国力が低下しつつある一方、高齢化で社会保障費の増額は避けられない。限られた財源の中で、防衛費の倍増が身の丈に合っているのか、疑問は深まるばかりである。
 政府・与党は財源の一部を増税で賄う方針だが、国民の反発を恐れ、増税の時期はいまだ決められていない。23年度の防衛費の使い残しは1300億円に上る。使い切れなくても予算を増やし、その財源として増税を強いることに国民の理解は到底得られまい。
 自衛隊員のなり手不足も深刻さを増す。募集人数に対する採用人数の割合は23年度に過去最低の51%に落ち込んだ。このままでは高額な最新の防衛装備を急いで導入しても、使いこなす隊員がいないという事態になりかねない。
 自ら戦争を望む自衛隊員はいないだろうし、他国の争いに加わるならなおさらだ。時の政権が海の向こうで「戦う覚悟」(麻生太郎自民党副総裁)を求めるようでは処遇や職場環境をいくら改善しても、入隊希望者は増えまい。
 自民、立憲民主の両党首選を機に、防衛費水準や「軍拡増税」の妥当性など、あるべき防衛力整備について議論を深めてほしい。

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防衛費、上限オーバーに現実味…「防衛増税」さらに過酷に? 5年43兆円から上積み論も 兵器価格が高騰

「東京新聞」2024年8月31日 
 
 防衛省が30日に決定した2025年度予算の概算要求は、史上初の8兆円超に膨らんだ。政府は23年度からの5年間の防衛費を総額43兆円程度にする方針で大幅増を続けるが、値上がりで計画時の単価を大幅に超過した戦闘機や艦艇が目立つ。計画通り調達すれば、43兆円に収まらず、国民負担がさらに増える恐れがあるが、敵基地攻撃能力(反撃能力)に関連する新規の大型事業も次々と計上。識者は「節減の努力がみられない」と懸念を示す。(大野暢子)

◆価格が高騰…でも買う、買う、買う

 武器の値段はどれぐらい上がっているのか。
 米国から購入するステルス戦闘機F35Bは当初、4000億円で計25機を調達する計画だったが、円安傾向や人件費の高騰で、160億円だった単価が2025年度概算要求では202億円に上昇。2026、27年度にはさらに計7機を調達する予定で、このままでは計画額を超える可能性が高い。
 護衛艦は計画時の666億円から1046億円、潜水艦も800億円から1161億円まで高騰。防衛省は「まとめ買いや長期契約による効率的な調達に努める」と繰り返すが、効果は限定的。宇宙や無人機、サイバー分野で新たな経費を要求し、膨張する一方だ。

◆5年43兆円のままでも財源不足 防衛増税の開始時期は未定

 自民党議員は「想定を超えた円安で物価高もある。増額しないといけない」と強調。2022年末に閣議決定された防衛力整備計画に明記された43兆円の枠の引き上げを主張する。
 「物価や人件費の高騰、為替変動を考えると、43兆円の枠内で本当にできるのか見直す必要がある」。防衛省が設置した防衛力の抜本的強化に関する有識者会議の今年2月の初会合で、座長の榊原定征経団連名誉会長がこう口火を切った。
 榊原氏は「見直しをタブーとせず、より実効的な水準や国民負担を議論するべきではないか」とも述べ、物議を醸した。政府は現時点で43兆円の枠を堅持するとの立場だが、与党や経済界から声を上げさせ、増額を既定路線にしようとする思惑が垣間見える。
 43兆円ですら財源が約1兆円不足するとして防衛増税が決まっているが、開始時期は未定だ。43兆円の枠を取っ払って、防衛費が上振れすれば、さらなる増税など国民負担が一層重くなる不安は拭えない。

◆「さらなる増額を安易に許すような雰囲気には危うさ」

 防衛省では、海上自衛隊の潜水艦修理契約を巡り、川崎重工業が架空取引で裏金を捻出し、隊員を接待していた疑惑が浮上。特別防衛監察が行われており、防衛予算には国民から厳しい目が向けられている。
 慶応大の土居丈朗教授(財政学)は「財源の一部が確保できていないのに、さらなる増額を安易に許すような雰囲気には危うさを覚える」と指摘。「『物価が上がったから予算も上げて』では、国民の理解は得られない。近年の予算が適切に使われたかの検証や支出軽減が必要だ」と訴える。

 防衛力整備計画 自衛隊に必要となる防衛力の水準と、中長期的な装備をまとめた計画。2022年末に閣議決定された計画では、敵基地攻撃能力の強化やドローンなどの無人アセット(装備品)といった7分野を重視すると決定。2023〜27年度の防衛費を従来の1.6倍の43兆円程度にすると明記した。5兆円台だった防衛省の当初予算は、23年度に6兆8000億円、24年度に7兆9000億円に伸びた。


国民を守らず国を守るとは?
さらに問題なのは気候変動でこの地球が危機に瀕している中で軍事予算の増額は信じがたいものがある。
地球規模での軍縮が必須である。
戦闘の即時中止と世界的軍縮の実現が望まれる。