五高の歴史・落穂拾い

旧制第五高等学校の六十年にわたる想い出の歴史のエピソードを集めている。

学校長職務規程  

2010-01-14 04:58:11 | 五高の歴史

ここに明治二十六年十月十四日改正の学校長職務規程がある。戦前の学校長の権限は独断でワンマンであったと解釈して来たが、この規程を眺めてみるとその実態がわかる気がする。学校運営については学校長からいざと言うときには必ず文部大臣に許可を求めまた報告している。現代の規程と最大の異なるところは学内の教職員間で会議を行って決定するなど言う言葉は一切ないと言うことでななかろうか!

校長職務規程

第一条 校長は判任官の進退を具状し及び高等官の進退に付き意見を具へて文部大臣に申稟することを得

第二条 校所属職員の除服出仕仮願及び高等官任官歴其の他の事業嘱託に応ずるの願は文部大臣の委任に依り校長之を判行す校所属の職員を各地に出張せしむるは校長の判行を任ず但し校長間の出張を判行するは学術研究の場合に限る

第三条 講師を嘱託するは文部大臣の許可を得るを要す雇員の進退は具俸給月額拾弐円以上の者は文部大臣の許可を得るを要し拾弐円未満の者は之を判行スルコトヲ得 嘱託講師及び雇員の各地出張及び除服出仕仮願は前条の例に依る

第四条 校長は教官の学科担任を定め事務員の分課を命ず

第五条 校長事故あるときは文部大臣の許可を経て高等官をして其の事務を代理せしむることを得

第六条 左の事項は文部大臣の許可を受けて後施行すべし

第一 学科課程を定むる事 第二 規則を定むる事 但し規定規則の範囲内に在て其の細則を設くるは此の限りにあらす 第三 授業料試験料其の他諸収入金の定率を定むる事 第四 外国人を雇い入れ具の条約を定め着くは条約期限内に雇いを止むる事  第五 雇外国人を各地に派遣する事 第六 地所建物を増減する事    第七 歳入歳出予算に依るの外新に義務を負担し及権利を棄却する事 第八 図書を刊行する事 但し規則書其の他例規あるものは此の限りにあらず 第九経費中の目を流用する事 第十 臨時休業する事 但し急速の場合に在ては臨時処分して後報申することを得 第十一右の外例規なき重大の事件を処置する事

第七条 校長は毎会計年度の終りに於いて前年の功程を具へ文部大臣に報告すべし

第八条 校長は医学部の事務に付き文部大臣より委任したる事項の範囲内に於いて便宜之を主事に委任することを得