昨日は東京に在住している五高卒業生、関係者の間では明治三十年頃には既に五高同窓会の芽生えが見えることを話したが龍南雑誌には同窓会通信として熊本に於いても同窓会の気運が窺える。
龍南雑誌題四十六号雑報から会友の洋行
◎会友の洋行 三根正亮君官命を以て米国に出張させられる留別の書状あり
拝啓小生儀此の度米国へ出張被命来る四月廿四日午前七時三十分新橋停車場出発仕候卒の際へば乍略儀以端書御暇乞申上候 草々
龍南同窓会通信(1896-6-8発行 雑誌第47号雑報)
◎本会支部の名称の下で東京に在住する五高卒業生は三根工学士の為盛大な祖道の筵を張ると言う。之を聞いた我らは海山三百里離れているといえども尚且快を憶えた。茲に通信の前文を掲げて同会の日に月に改まるを賀志、又同会員の年と共に増すことを祝す。
拝啓悠々御清福奉大賀候陳者会員三根正亮君此度洋行を命ぜられ候に付いては
我校卒業生中最初の事と云い時節最も喜ぶべき事に奉存候まゝ通常会を繰り上げ
兼ねて去月二十四日韻松亭にて同氏送別会を開き申候佐藤不破二学士を初め五
十余人近来の盛会に御座候野口山川森田諸氏の送辞ありてより杯盤の間談笑の
中御互いに胸中の秘密を叩き交遊の情味を尽くし頃来面白き事に御座候此日は又
前回の調査委員よりの請求により前回未決の案件を議了仕候委細の事は該委員よ
り御報告あるべく存候へ共大要を云えば今迄の組織を改め龍南同窓会と致し候幹
事三名毎回委員五名を置き専ら切磋の功を挙げらるゝ筈に御座候先者御報告まで
草々
五月二日 第二十回龍南会支部委員
熊本龍南会御中