
一番前のかぶりつきで見た田辺寄席。

田辺寄席のじっくりたっぷりの会に鶴二さん登場。

鶴二さん、「七段目」と「替り目」の二席、楽しみですな。
一、笑福亭笑助・・・・・・・・・・・・・・・・・「道具屋」
笑助さん、あの笑瓶さんの一番弟子。あとがいないので、一人弟子とか。
本拠地は東京であるが、大阪での出番も多く、落語の勉強もしっかりとしてますと。
師匠は、年に一二度しか落語されないので、弟子入りして、13年になるが
今年初めて、師匠の落語に出会えたと。・・おもしろかったと、感激。
噺っぷりは、東京の噺家さんっぽく。かっこいい。
道具屋も頼りないだけではなく、今風のキレテいる若者風でオモシロイ。
ヘンな規制がなく、形にはまらない「道具屋」・・
笑助さんの落語ワールドができている。
今後の、出会いが楽しみですな。
二、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「七段目」

舞台になった、祇園、一力の茶屋・・・夕方の京で見つけましたで・・・。
鶴二さんの「七段目」、これまった、すっきり、粋で、おもしろい。
この七段目、歌舞伎の七段目を観たことがないので、
何度聴いても、なぜ、兄の平右衛門が、妹のお軽を殺めようとするのかと、
疑問に思っていたが、今日お友達の方に聞いて納得。
大星由良之助の密書を知ったお軽が、由良之助に殺されようとしているのを知った
兄の平右衛門、どうせ殺されるなら、この兄が、そして手柄をたてて忠義をと、
「兄さんの、頼みとは」・・「兄の頼みとは、なぁ」
この台詞、鶴二さんの「七段目」でもきまりますで。
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「五両残し」
東京でいう、「星野屋」、騙すのは、男か女か、したたかなのはどちらか。
この前の、木津川先生ではないが、女性のアホが落語には登場しないのは、
現実の世界で、女性の方がしっかりしているからだと・・・。
この噺でも、一番したたかなのは、女性、それも年とった女性、お婆んですな。
この旦那さん、30両戻ったところで、単に取り返しただけ、
「五両残し」の、この五両の差が、男と女の差か、でも、いつの世も
人の心を試すというのは、する方も、される方も、後味に悪いもんですな。
四、笑福亭仁昇・・・・・・・・・・・・・・・・・「勘定板」
田舎の漁師町の便所のことを、「閑所」という処があったと。
そこの、親子連れが、大阪へ出てきての、言葉の違いでの失敗。
地方の言葉の思い違いは、今でもある。
嫁さんの島根では、「痛い」が「ハシル」と、結婚したて
「足がハシル」、「ええ、どこえ、なんで、走るんや」と大笑いした事がありました。
この「勘定板」、落語の中では、もっとも汚い噺ですが。
それほど、臭わないのは、旅館の部屋の広さに救われているのか・・・。
はたまた、仁昇さんの、清らかさからか・・・。
まあ、他にたくさん噺もあるのに、こんな噺を選ぶ心境は如何なものか、
聞いてみたいですな・・・・。前に聴いたのは、勢朝さんでおました。
五、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「替り目」
近頃、途中で終わる人が多い中、題目になっているサゲの「替り目」まで
鶴二さん、たっぷりと。
なにより嬉しいのは、酒のアテが無いと嘆く亭主に、
「角のおでんやヘ・・・・・・」と言われる前に、「何か、角のおでんやでもろうてくるは」と
言ってくれる、この気持が嬉しい。うどん屋に燗をさせただけと聞いて、
走って呼びにいく、いつも周りの人への気遣いを怠らない女房。
一方、亭主の方は、酒を呑みだしてからの、ウダウダ感、鶴二さん、最高。
うどん屋相手に、喋っているのだが、一人芝居、まさに「一人酒盛り」状態である。
そして、いつも心の中で、「ごめんなさい、ありがとうございます」と、
手を合せていると。
この酒のみと、ようできた女房。
夫婦のあり方、お互いへの思いやり、夫婦愛が「替り目」の真髄でおますな。
第540回・田辺寄席~笑福亭鶴二の段
2010年8月21日(土)午後1:10開演
桃ヶ池公園市民活動センター
一、笑福亭笑助・・・・・・・・・・・・・・・・・「道具屋」
二、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「七段目」
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「五両残し」
仲入り
四、笑福亭仁昇・・・・・・・・・・・・・・・・・「勘定板」
五、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「替り目」
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