ぽれぽれ百綴り

犬好きおばさんのんびり雑記。

北岳へ。

2012-10-15 00:18:37 | ラン&クライム
夏の槍ヶ岳登山について、リポできなかったことが悔やまれるので、今回はちゃんと!
 
だって、登山ってね、本当に楽しいんですよ。
それに気持ちいいんです。
 
それをお伝えしたい。
 
美しい景色にうっとりなったり、秒速でめまぐるしく変わるお天気や山の姿に圧倒されたり、
静かでゆったり、どーんとした気持ちであると同時に、
もう心がたくさん、大きく動いて、それはそれは忙しいのです。
 
そして空気が澄んでいるからか、カラダも心も浄化されるかのよう。
 
ええ、私、にごってるんですよ。
心なんて、真っ黒ですよ。
 
 
楽しいだけじゃなく、というより、登っている時はほとんど、楽しいというより苦しいです。
それが、無事帰宅すると、すべて楽しい思い出になってるから不思議。
 
なんなんでしょうね、このひとを惹きつける力。
 
 
 
今回の北岳は日本第二の高峰、3,193メートル。
 
夜行バスで午前5時半に甲府入り。
そこからタクシーと乗り合いタクシーを乗り継ぎ登山口へ。
1日で登れるところまで登って、翌日は下山、そして帰路へ、という行程。
 
1泊2日の日程では、私のスキルと体力では登頂はかなわない。
 
 
そう考えていたのは私だけで、シロクマ相方は登頂する気まんまんでした
 
槍ヶ岳の時は2泊3日の日程で、登山そのものの全行程が35キロでした。
でも北岳は全行程が15キロほどらしい。
 
だから1泊2日でも登れると、私の足でもいけると、計算していたようで。
 
 
それは、登り始めてわかったことでした。
 
全行程が半分以下の距離なのに、
スタート地点の標高が低い上、山そのものも高いから、高低差は前回よりずっとある。
 
これが何を意味するかというと、
 
道のりの大半が、大変急な上り坂、ということです。
 
つまり私には、ほとんどの行程がとーっても困難、つらくしんどいのです。
 
 
前回、槍ヶ岳はスタート地点の上高地からはまったく見えませんでした。
だから、どっちに向かっているのか、あとどれくらい進むのか、初心者の私はとんと見当もつかず。
 
 
 
 
でもね、今回は違ったのです。
 
 
「ほら、もうそこに山が見えているぞ!あれが北岳だ!」と、
 
はるか前方を指差し、登山口で私を励ます相方。
 
 
 
 
 
あの…一番奥に見える、ちっこいのがソレですか?
 
     精一杯ズームしてコレ。
 
もうそこって、私の目にはずーっと、ずーっと、遠くにあるように見えますが?
 
あまりの遠さで、かすんでいるようにさえ見えますが。
 
 
 
あそこまで今日中に着けというの?
 
歩いて?
 
 
13キロのザックを背負って?
 
冗談はよし子さん。
 
 
 
しかし、相方は本気でした。 
 
 
「時間がないんだ!」
 
「もっとピッチをあげろ!」
 
 
「こんなところで写真を撮るんじゃない!」
 
 
「そんなにしょっちゅう立ち止まるな!」
 
 
登り始めて半時間も経たないうちに、鬼軍曹の形相に。
 
 
「写真は許可したところでだけで撮ってヨシとしよう」
 
中国のような規制まで
 
 
ほどなくして、ぶーぶー不満を言う気力もないくらい疲れてきた私。
 
「こんなの、ちっとも楽しくないじゃん」
 
むかむかしながらも、
ふつふつとその怒りをため、
もくもくと、ただもくもくと、一歩一歩前進しました。
 
これが、きゃいきゃい騒がなくなった分だけ、体力消耗も少なくてすんだようでして。
 
そして、怒りもエネルギーとなったようで。
 
歩兵の本領発揮ですよ。
 
 
 
 
むかむか、むかむか。  
 
  目的地がこんなに近づいてきました。
 
 
ふつふつ、ふつふつ。
 
 
    相方の目を盗むことを覚え、終盤は写真急増。
  
 
ずんずん、ずんずん。
 
      色とりどりのタペストリー。錦繍ですね。
 
 
 
 
           山が微笑みかけているみたいです。
 
 
最後の方では、ばててきた相方を置き去りにしてしまったくらい
 相方の名誉のために言っておきますと、彼は20キロ超のザックを背負っているのですよ。
 ぜい肉のない若者にだってそんなひと、あんまりいません。
 
 
 
 
こうなったら、
相方より先に今日のテント場まで着いてやりますとも!
 
歩兵をばかにすんなっ。
 
  ガスにかすむ前方。
 
そうなんですよ。
私たちのザックがなんでこんなに重いかというと、
今回もテント泊だからなんです。
 
相方は「山の魅力はテントで過ごしてこそわかる」という山男でして。
山小屋に泊まるって?何を軟弱な、とでも言いたいふう。
 
屋根つき、寝具つき、食事つきの山小屋泊と比べると、
テント道具、シュラフとシュラフカバー、調理道具に食料、水など、色々荷物が増えるのです。
たぶん、山小屋泊のひとより5~10キロ重くなるんじゃないでしょうか。
 
テント泊でもテントを張ってそこに荷物をおいてから頂上にアタックするという手もあります。
テント場をベースキャンプのように使う、って感じなのかな。
 
でも相方の今回のコースは、
 
「今日は山頂付近の山小屋のテント場でテント泊。
明日朝一番に起きて朝食、
テントを撤収たら、ザックを背負って、頂上に登り、向こう側へ降りる!」
 
というもの。
 
つまり、険しい頂上へ13キロのザックを担いでへろへろな足腰で登るわけですよ。
あ、相方の場合、20キロ超ね。
 
ついでに言うと、山の朝は早くて、相方の言う朝一番は午前3時です。
 
頂上に上るのは、日の出のずっと前。
 
暗がりの中、険しい険しいがけっぷちを登るわけですよ。
 
私の命もがけっぷちだー。
 
  これが本当のがけっぷち。この日の最難関。
 
 
   ちょっとー。私、初心者なのにー。
 
 
 相方を後ろにおいてきたから、聞けるひともいないよー。
 
わざわざそんな苦行を選択するのは、
登山慣れしたパワーあふれる若者ばっかり。
もしくは熱々カップルくらい。その場合も男の子は慣れていないとムリっ。
 
私もいつかは山小屋泊したい!
軽いザックできゃいきゃい言いながら、
山ガールとかいう若い女の子たちみたいに気楽に軟弱に登りたい!
 
今回もテント場では私たちがきっと最高齢
ついでに体脂肪率もナンバーワン。
 
 
山頂付近のテント場で、
 
中高年三段腹背脂のりのりカップルを見かけたら、それは私たちです!
 
 
そんなこんなで本日のテント場になんとか到着。
 
                 
 
15時30分、登りはじめてから8時間半。
 
 
 
標高3千メートルの世界です。
 
 
  小さいながらも明るい我が家の完成。
 
 
山小屋の真後ろに山頂、が見えるはずだったんですが、ガスで何も。
 
            
 
…神々しいですよ。
 
 
 
続きは明日に。
 
…確約ナシで。


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