今日は2月大歌舞伎の千秋楽になりますが、先週末今年初めての歌舞伎座へ行きました。
一番目の演目は「春調娘七種」(はるのしらべむすめななくさ)
中村橋之助らの舞踊劇。中村芝雀の水色が効いた蝶の柄の着物が艶やかだし、足の運び具合が滑らかで、す~っと後ろからひっぱられてるのかと思うようなところがあったり、中村歌昇ら場面場面で衣装の肩を抜いて下に着ている着物の色あいを見せたり、袂の柄を見せたりと目を楽しませてくれます。
二幕目は「一谷嫩軍記」(いちのたにふたばぐんき)
源氏と平家の戦いにまつわる話になっています。源氏方の熊谷直実(松本幸四郎)が平家方の平敦盛(中村福助)と戦うも、敦盛は直実に追い詰められてしまいます。
かたや直実のほうは、追い詰めた敦盛が、息子と同じ年頃と知って悩み苦しむ様が見ていて心に迫ってくるものが。
悩みながらも敦盛の首を刎ねたそのときに、敦盛を慕って深傷を負いながらも探しに来た玉織姫(中村芝雀)は変り果てた敦盛を見てそこで絶命してしまいます。
亡くなってからやっとふたりになれた敦盛と玉織姫を直実は川にふたりの亡骸を流していく情景は無情とやるせなさを感じる所です。
ところでこの「一谷嫩軍記」にはそれぞれ敦盛と直実が馬に乗って出てくるシーンがあるのですが、馬の足が人の足そのまま(タイツ?みたいなのははいてます)なので娘とすっかり和んで?見てました・・
三幕目は「浮塒鴎」(うきねのともどり)
恋仲の若いふたり、浅草の大きな商家のひとり娘お染め(尾上菊之助)と丁稚の久松(橋之助)、その二人とたまたま隅田川の近くで会った女猿曳(中村芝翫)とのやり取り、心中しようかとあぐねている二人をなんとか取り成そうとする・・という筋立てです。
芝翫と橋之助は親子共演になります。後ろで三味線などをひく清元の方々の調べが粋。
そしてなにより80歳近くなる中村芝翫さん!なぜか娘がTVで素顔の芝翫さんを見てすっかりファンになってしまい、今回初めて芝翫さんを見る事が出来るとすごく楽しみにしてました。
人間国宝にもなっている方で、昨年末は体調不良で休演した時期もあったので心配していましたが、すっかり回復して元気な姿を見て安心したようです。
そして菊之助、いつ見てもかわいらしいく華やかな女形を演じていて舞台がぱ~っ!と明るくなるようです。
四幕目は「極付幡随長兵衛」(きわめつきばんずいちょうべえ)
上映している舞台に酔客が花道に乱入して一時中断になる大騒ぎを起こします。
導入部分でこの花道でのやりとりが多かったので、座った席からは花道が見えないので音やセリフで楽しんで?いました。
その騒ぎを鎮めたのが義理人情に厚く任侠家の幡随長兵衛(中村吉右衛門)
そしてその様子を見ていて長兵衛と普段から敵対していた旗本の水野十郎左衛門(尾上菊五郎)は腹の虫が収まらず、長兵衛を自分たちの屋敷に呼び出します。
長兵衛の女房役お時(坂東玉三郎)、女房役で眉が無く地味な色合いの着物で出てきますが、やっぱりじ~っと見つめてしまうさすがの存在感が!
このまま水野の元に出向いていけば、もう二度と家に戻ることが出来ないと察しながら残された者のことも案じ、後のことを弟分の権兵衛(市川段四郎)へ託します。
そして潔く水野の元へ単身向い、屋敷に着いてからも殺される覚悟がついているかのような落ち着いた堂々とした振る舞いに男気が感じられるところ。
こういう親分的で、弱きを助け強きを挫く役は吉右衛門さんにすごくぴったりきています。
今回は3階西の席で舞台には距離的にはかなり近くなりましたが、高さが在るぶん死角が出てきてしまうのは仕方なかったです。
でも緊迫した場面や見得を切るときに、舞台の上手の床の上に置いた板(付け板)を拍子木で打って音を出す("つけ"というそうです)所作がすっかり見えたり舞台袖口あたりが見えたりとちょっと楽しい発見があっておもしろい席ではありました。
それと初めてWEB予約したので、歌舞伎座の前のチケット発券機で、決済したクレジットカードを差し込んだらするするとチケットが出てきたのでちょっと拍子抜けな感じがしたのは否めません。
それに窓口で買うと一緒に行く娘は学割がきくので、WEBではそれが出来ないのもちょっと残念かなぁ。