旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

リハビリテーションの深み

2012-07-06 23:10:20 | 読書
発達障害のリハビリテーションに心血を注いで、未知の世界に光を当てたのは人見眞理「発達とは何か リハビリの臨床と現象学」です。

以下、その主張の一部を紹介します。


私たちは心を見えないもの、身体を見えるものと勘違いしている。

身体の見えない事象に注目すると、身体の緊張、バランス感覚、姿勢制御、身体内感などがある。

発達ということも、観察者から見ると変化、能力の獲得と見えるが、本人にとっては感じとる働きや記憶の再編がなければ能力の獲得に至らない。

身体に固有の特徴を姿勢制御、重さ、身体運動感、身体イメージ、身体内感(身体があるという感じ)、気づきの6点を考える。これらのうち、身体運動感、身体内感、気づきが行為の調整能力である。

これらの感じ方を尊重して脳性麻痺患者のリハビリテーションに取り組み、経過を追って外部観察、内部監察、病理の考察を繰り返す。病理とはリハビリテーションにより、セラピストと患者が密接な関係となり、様々な変化が双方に起こることを指す。


著者は20年にわたる困難な取り組みを論文にまとめて急逝します。原因はインフルエンザだそうです。

発達のセラピストからの新たな問題提起は、まさに患者の外部と内部を見つめながら診療することの大切さを教えてくれていると思います。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿