旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

武見奨励賞(2)

2011-12-21 22:34:11 | できごと

もう一人は藤沼康樹さん。

わが業界のカリスマ指導者です。

わが母校の後輩ですが、依怙贔屓しているわけではありません。家庭医療の指導者としてわが国では数名の人がいますが、藤沼さんは正式の留学をしていません。

わが母校には脳研究所があります。ぼくも脳神経の研究者に憧れました。入学のとき、椿忠雄先生の新潟水俣病の講演を聞いて脳研究こそわが使命と感じたものです。

藤沼さんも憧れは同じ、しかし、研究の前に臨床をと考えたために人生が狂いだします。出身地の東京に戻って研修。そこで役割モデルとなる医師に出会い、さらに都立病院では血液学の研究をし、やがて患者さんへの思いが強くなり、初期の研修病院にもどり、新しくできた診療所に飛び込んでいく。

それからヨーロッパのgeneral practiceの指導者たちに手紙を書き、全員から返事をもらう。一番重い返事をくれたロンドン大学のFreeman教授に師事し、通信教育を始める。相当宿題の本を読んだようだ。

さまざまな学習方法、評価方法を修得し、それを教育実践に生かす。

彼に憧れた研修医は最初から家庭医療をめざしていた人だけでなく、他の専門領域を歩んだ人も開業前に集まってくる。

何ともうらやましい教育環境を整えた実績はすばらしい。

贈呈式では「武見太郎先生に風貌が似ているとの声もありました。推薦者としてよかったと思っています。