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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『パパの涙で子は育つ』

2008-09-09 02:41:17 | 他作品

2007年6月15日放映の父の日記念スペシャルドラマ。
フリーのディレクター(主としてドキュメンタリーを手がける)である込山正徳さんの同名のエッセイ集を原作に、タイ人の奥さんに突然去られた男性の子育て奮戦を描く。

妻の帰国から離婚、幼い子供がいるために仕事もままならない、傍目には悲惨といえる状況を深刻にならずユーモラスに綴った原作の匂いを忠実に映像化しつつ、なぜか人名はほぼ全て微妙に変えてある。
主人公の込山さんは上山さんに、息子さんのイサラくん・ナユタくんはイサヤくんユウタくんに。面白いところでは元奥さんの愛称アップルさんがオレンジさんになってます。

勝地くん演じるADの斎藤幸一は「テレビ局から派遣されてきたアシスタントディレクターの伊藤くん」(※)がモデルかと思われます。
とはいえ「二十四歳。坊主刈り。通常はワイドショー番組の雑用をしている。風貌はちょっとイカツいが、腰の低い好青年」(※)だという伊藤さんに他の人物の役回りも担わせた、ほぼオリジナルのキャラクター。
(「風貌がイカツい」「腰の低い」、「テレビ局から派遣されてきた」=それまで付き合いがなかったというあたり、別人といってしまっていいほど違う)
実話モデル作品の中で重要なポジションにいるオリジナルキャラという点では『少しは恩返しができたかな』の牧内拓巳や『東京タワー オカンとボクと時々、オトン』の平栗くんに通じるものがあります。
ずっと年上の上山さんに時としてきつい忠言も口にし、普段でもさりげなく口が悪かったりするあたり、拓巳の方が近い感じでしょうか。

表面は今どきの若者らしくちょっとドライな(でも同時にソフトな)話し方をしながらも、休日返上で上山家の子供たちの面倒を見たり夜食を買出ししたり細々と気を遣ってくれる情のある青年で、まさに「女房役」といったところ。
そうした斎藤くんの性格づけに、勝地くんの持つちょっと古風な一本芯の通った雰囲気がよく合っていたように思います。
ついでに失礼な発言を上山さんに詫びるときわざわざ帽子をとって一礼する律儀さ、子供たちといる場面での馴染んだ様子も勝地くん本人に通じるものを感じました。

ドラマ自体も、突出した見所があるわけではないもののケレン味なく丁寧にまとめられた良作で、深刻なテーマを扱いつつ全体にほのぼのしたファミリードラマに仕上げられていました。
一方でこれまでまずドラマで見ることはなかったと思われるトイレトレーニングのエピソードや母子家庭に比べ父子家庭に対する福祉制度が整ってないことなど、シングルパパの苦労を実話らしいリアリティで伝えていたのも啓蒙的効果があったんじゃないかなと思います。
上山さん役の江口洋平さん・再婚相手役の薬師丸ひろ子さんも、かたや大らかな、かたやおっとり穏やかな雰囲気が役にぴったりでした。

 

※・・・込山正徳『パパの涙で子は育つ ~シングルパパの子育て奮闘記~』(ポプラ社、2005年)

 


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『涙と感動の仕掛人!ウェディングプランナー』

2008-09-05 02:31:13 | 他作品
2007年6月放映。心に残る結婚式をプロデュースするウェディングプランナーのお仕事を、実際のケース3つを通して紹介する。
1件目は18歳の臨月間近の妊婦さんの結婚式、2件目は子沢山夫婦の遅まきな結婚式、3件目は40代日本男性とブラジル人女性の結婚式。
勝地くんはスタジオゲストの一人として企画から式までの顛末を映した映像にコメントする役どころでした。6月15日放映のスペシャルドラマ『パパの涙で子は育つ』の宣伝としての出演だったようです。

勝地くんが一番反応していたのはやはりというべきか、2件目の子沢山夫婦の結婚式。
結婚直後からつぎつぎ子宝に恵まれたため生活にせいいっぱいで式をあげる余裕がなかった両親のために、19歳から8歳までの7人の子供たちがプランナーさんの全面的バックアップのもと手作りの結婚式をプレゼントする。
尊敬する人は「父親」で、雑誌などのインタビューでもご両親とりわけお父さんの話をよくしている勝地くん、好きな本も『流星ワゴン』『椿山課長の七日間』など親子愛ものが多いだけに、こうしたエピソードはもろツボに「きた」みたいです。

話はとびますが、2006年3月3日放映(生中継)の日本アカデミー賞授賞式(勝地くんは新人賞を受賞。くわしくはこちら)をテレビで鑑賞したさい、人一倍涙もろい彼が泣いてしまうんじゃないかと心配していました。
ドラマのクランクアップや舞台の千秋楽などで毎年のように人前でボロ泣きしていた彼だけに、感涙にむせんで何も喋れなくなっちゃうんじゃないかと。全国放送で大勢の人が見るだけに、泣いちゃったら女々しいとかケチつける人もいそうだし。
でも同時に『さとうきび畑の唄』DVDの特典映像で見たクランクアップ時の涙の美しさが目に焼きついているために、むしろ涙に期待する気持ちもあり・・・。

結局は一瞬涙ぐみそうになる場面はあったものの、基本的に礼儀正しく朗らかに、なんと噛むことなく(19歳当時の彼としてはこれは画期的なことだった)ちゃんとインタビューに答えていました。ホッとしつつもちょっと寂しいような。
隣りが当時12歳の神木隆之介くんだったし大きなお兄ちゃんが泣いちゃったら格好つかないからこれで良かったんだ、でも20歳すぎるとなかなか男の子が人前で泣くわけにいかないだろうから、ラストチャンスだったと考えると惜しいなあ、とかしょうもないことをいろいろ考えたものでした。

・・・それがまるっきり無意味だったことがこの番組を見て判明しました。
人前だろうが感動のままに素直に涙を流すところは20歳過ぎようと全然変わってなかった。
「号泣しすぎですよね」とちょっと照れ笑いしつつ目元を指で拭う姿に何だか胸がきゅんとしました。
女性陣は結構泣いてましたが、男性で涙ぐむのでなくボロボロ涙をこぼしていたのは彼一人。
30になっても40になっても、というわけにはさすがにいかないでしょうが、もうしばらくは涙もろい男の子のままでいてほしいような気がします。


p.s. 同年11月~12月公演の舞台『カリギュラ』の大千秋楽のカーテンコールでも勝地くんはボロ泣きしてたそうです。
その日の舞台を観劇された方たちがブログなどで書いてらしたところによれば、隣りに立つ主演の小栗旬くんが泣いてる勝地くんの頭を「いい子いい子」みたいに優しく撫でる姿がカリギュラとシピオン(二人の役名)の関係さながらだったそうです。見たかったなー。

 


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『エンタメキャッチ』(2005)

2008-06-07 02:58:50 | 他作品
2005年10月放映。当時公開中だった映画『この胸いっぱいの愛を』の宣伝がらみの出演ですが、むしろ内容的にも時間配分の上でも現在と未来の自分を語る部分の方に比重があるような感じでした。
放映時に見逃してしまい、かなり見応えのある内容だったらしいのがファンの方たちのブログなどから伝わってきただけに長らく無念を引きずってたんですが、1年数ヶ月目にして視聴が叶いました。 

まず目を引いたのは当時皆さん洩れなく言及されていた彼の痩せ方。
頬から顎にかけてのラインがとてもシャープで鼻梁もいつも以上にくっきりしてる。わりにぺったりした髪型といかにもほっそりした体型もあいまって、少年ぽいというか何だか中性的な印象でした。
いつもながらの低いトーンの話し声がミスマッチに思えたくらい。
普段勝地くんは細いながらも病的な感じはしないんですが、この時ばかりは折れそうなくらい儚げに見えました。

話の内容が翌11月発売の『QRANK』とも重なるような「子供と大人の狭間にある不安」が色濃いものだったせいもあるでしょうか。
自分の現在の気持ちを示す言葉として「漠然とした不安」という芥川龍之介の、それも遺書の中の一文に触れているのも、ナイーブな文学青年然とした雰囲気を強めています。

その不安の直接原因は大学に行かず専業俳優の道を選んだことにあるのでしょうが、
「ずっとバイトだけをして生活して役者を目指してる人とかいるじゃないですか。自分にそういう風にできるのだろうかとか思いますね。」
という発言からすると、これといって逆境を経験していないだけにいざ逆境を迎えたときにどうしたらいいのかという不安、恵まれた者ゆえの自信の無さみたいなものも根底にあるんでは。
17歳当時『Boys Beat』のインタビューで、
「(受験や就職などで)みんなが頑張らなきゃいけないとこで、僕は運だけで来てるから。この幸運を当たり前だと思っちゃったら、失礼かなって気がするんですよ。」
と話していたのが思い出されます。

まだ将来への不安など感じることもなかったろう中学時代にスカウトされて芸能界に入り、そのままコンスタントに仕事も入ってきている。
幸運なのは確かでしょうが、それは彼の才能と人柄、努力があればこそ。
彼の仕事の内容―テレビ・映画・舞台の仕事を比較的バランスよくこなし、番宣以外では基本的にバラエティは出ない―を見ると事務所も派手に売り出すのでなく、息の長い俳優に育てようとしているのを感じますが、それも彼にそれだけの見所があるからですよね。
何度も書いてますが、彼のこうした謙虚すぎるほどの発言に触れるたびにもっと自信を持っても大丈夫だよと言ってあげたくなってしまう。

最近はあまり将来への不安は口にしてない印象でしたが、『週刊女性』2008年3月11日発売号で当時出演中だった連ドラ『未来講師めぐる』の「他人の20年後が見える」設定にからめて、
「20年後に役者やってないよって言われたら、すぐに仕事やめて大学入り直しますね(笑)。」
と冗談ぽい口調で話していたのを読んで、この頃の不安感をやっぱり持ち続けてるんだなあとちょっと切なくなったものです。
もし大学に進んでいたら今年は四年生、早ければ就職活動を終えて卒論に精出してる頃ですもんね。改めて自分の先行きを考えてしまうのもわかります。
(まあ20年後も勝地くんは絶対役者やってると思いますが。どう見ても天職ですし)

でも同時に彼にはいつまでもこんな風に悩み続けていてほしいとも思うのです。
彼の謙虚さが好きだからというだけでなく、この時期特に顕著だった悩みや憂いが、胸苦しくなるような青少年特有の透明な色気を醸し出していたから。福井晴敏さん言うところの「端境期の危うさ」(詳しくは
こちら)。
勝地くんには申し訳ないようですが、まだまだ当分は悩める青少年でいてくれないかなあ。 


そして10年後の自分のイメージ。家族や友達など自分の基盤となる関係を「ホームグラウンド」と表現するのが、野球少年の勝地くんらしいです。
翌年1月の「はなまるカフェ」や翌々年6月の『月光音楽団♪』出演時にも、「ホームグラウンド」という語を使ってますね。

「何があっても友達っていうのは変わらずにいたいってそう思ってます」 
「帰るべき場所を持って、それぞれ頑張っていて、その時に自分がもし役者やってたとしても楽しんでやってなかったら、今の自分、過去から来て殴りたいですね」 

手振りを交えながら懸命に思いを語る姿は1年数ヶ月後に再び「エンタメキャッチ」に出演したときと変わらない。
10年後の話をしているのに「今の自分、過去から来て」と時制が混乱しちゃってるのや「殴りたい」というちょい過激な表現も含めて、彼のひたむきさが伝わってきてじんとしました。
「エンタメキャッチ」は放送時間は長くないものの、そのほとんどが(インタビュアーの質問部分を交えない)語りなので、密度が濃いですね。
一年に一回くらいの割で出てくれると嬉しいです♪

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『forget-me-not ~忘れな草~』

2008-06-03 03:13:11 | 他作品

第19回名古屋創作ラジオドラマ脚本募集入選作。2004年6月19日にNHK-FMの「FMシアター」枠で放送。
(くわしくはこちら参照。これを見ると翌週の放送作品は『幸福な食卓』原作者の瀬尾まいこさんの処女作『卵の緒』なのですね。意外な偶然)
駅でボケ気味のおばあちゃんの忘れた傘を駅員に届けようとしたのをきっかけに、勝地くん演じる主人公の浪人生・ジュンが「忘れられ物」をめぐるオカルティックな冒険へ踏み出す、という普通の少年が異界へ迷いこむ型の広義のファンタジー作品です。
(ちなみにジュンのガールフレンドのミカ役は同じ事務所の阿井莉沙さん)

一聴して驚いたのは勝地くんの表現力。ナレーションなどの別録り以外ではアフレコは初めてだったはずなのに、喜怒哀楽のメリハリをしっかりつけて、当然台詞も聞き取りやすく、場当たり的ないい加減さと思いやりを合わせ持った青年を演じていました。
声質も若干今より幼い感じです(台詞よりナレーションの部分でよくわかる)。また翌年収録の『水平線の光の中、また逢えたら』や『銀色の髪のアギト』より声の表情は豊かかもしれない。

「ラジオって本当にわかりやすく声で演技しなくてはいけなくて、わざとらしくないかなって思っちゃって・・・・・・。」
「演技は、舞台より大げさなんじゃないかなって思いましたね。」
(ともに『DRAMA GENIC』001号(2004年刊)のインタビュー)

という発言から、彼が意識的に「大きく」演じていたのがわかります。
勝地くんの声の仕事はアニメファン・ゲームファンから結構批判を受けてますが、このラジオドラマみたいな感じで演じてたらもっと受け入れられてたかも。

ただ個人的には『アギト』などの方がナチュラルかつ彼の「心意気」が感じられてなお好きだったりします。
勝地くんは役によって、技術的な安定感を強く感じる場合(『少しは恩返しができたかな』『ハケンの品格』など)、そのキャラクターが現実に存在しているように感じる場合(『さとうきび畑の唄』『幸福な食卓』など)があるように思います。
平たくいえば前者は「演技が上手い」、後者は「演技なのを忘れる」感じでしょうか。
『QRANK』のインタビュー(2005年)で、

「セリフを言うってことは、生身の勝地涼としては嘘を言っているわけじゃないですか。個人の感情として。それをどこまで役として本当の気持ちに近い状態で、演じられるかってことだと思うんです。」
「そういう(注・役に自分の気持ちをシンクロさせる)ことって、テクニックっていうより、どれだけその役のことを集中して考えられるかだと思うんです。」

と話していましたが、より役とのシンクロ度が高いのは後者なんじゃないでしょうか。
テクニックより心で演じることを重視した結果技術的には荒い部分もできるけれど、キャラクターとしての魅力は増している。
声の仕事でしばしば「棒読み」と言われるのも、わかりやすく誇張して演じる「テクニック」より、役の「心」を自然に表現するのを優先したせいではないかと。
どうも静の演技(「何もしなくていいわけじゃないけど何もするな」)を要求された『亡国のイージス』あたりをターニングポイントに後者の作品が増えていってる気がします。
まあ彼の演技作法が変わったというより、番手が上がってきて背景や性格設定がしっかりしてる役を演じることが多くなったからかとも思いますが。

作品自体も一応冒険物、ファンタジーに分類されるんでしょうが、ジュンが迷いこむ「異界」は日常と地続きの、下水道を思わせる暗渠のイメージで、主人公たるジュンは剣も魔法も持たない全くの非力、とヒロイックな要素は薄い。
むしろ家庭生活の軋轢と自身のトラウマを克服するためのジュンの心の旅の物語と解すべきでしょう。

そしてやたら彼女と手を繋ぎたがるところに表れる甘え癖―彼のトラウマに直結している「人との繋がりを欲する」性向が最終的に非力なジュンの唯一の武器となっていく・・・。
序盤からの伏線の出し方やその収斂方法が見事で、筋立ての爽やかさもあって心地好い後味を残す。「忘れられ物」というアイディア―ごくオーソドックスなテーマを「忘れられ物」というネーミングとアプローチの角度によって新味を出している―も秀逸。
また前述の甘え癖がジュンのキャラクターに母性本能をくすぐるような可愛げを与えていて、それが今以上に少年の匂いの濃い17歳当時の勝地くんの声によって増幅されている感があります。勝地くんを起用したのは大正解でしたね♪

 


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「キットカット」CM&「ハルノ呼吸」

2008-05-21 01:28:32 | 他作品

2007年1月、『幸福な食卓』の公開にわずかに先立って、チョコレート菓子「キットカット」の雪見桜バージョンのCMのオンエアが始まりました。
出演してるのはそれまでのイメージキャラクターだった鈴木杏ちゃんからバトンタッチした北乃きいちゃん、そして共演は勝地くんという、明らかに映画を意識したキャスティングです。3人とも同じ事務所というあたりはフォスターさんの政治力を感じたりもする(就任式の模様がこちらで見られます)。

映画では同級生の二人ですが、ここでは先輩後輩。きいちゃん演じる女の子が大学受験に赴く先輩(勝地くん)にキットカットを手渡すというストーリーになっています(くわしくはこちら)。
いっそ思いっきり映画とタイアップして佐和子と大浦くんでやっても良かった気がしますが(CMの二人のビジュアルも映画に近いし)、受験生応援グッズのCMとしては不吉になっちゃうか。

このCMにはちゃんとバックボーンになるストーリーが用意されていて、当時キットカットの公式サイト「Kitkat Breaktown」で公開されていました。タイトルは「ハルノ呼吸」。
地方都市の野球部マネージャー・ハル(きいちゃん)が、受験のため東京へ行った野球部OBのユウジ先輩(勝地くん)に想いを伝えるべく友達の付き添いのもと上京、果敢にもユウジ先輩が下宿する女子禁制の男子寮にもぐりこむ、という筋。いわばCM部分の前日談。
ちなみにサイトでは「ハルノ呼吸」のメイキング(きいちゃんが中心で勝地くんはさほど映ってません)も見ることができて、力入れてるなーと思ったものです。

「キットカット」にかぎらず、勝地くんがこれまで出演したCMはドラマ性があるものばかりですね。
小林薫さん演じるお父さんとの友達親子っぷりが微笑ましかった「アリオン」(2007年)、雨の中(勝地くん演じる「先輩」に名前を覚えててもらった)喜びのあまり踊り出す女の子に真顔でツッコミを入れる「なっちゃん」(2003年)、明確なストーリーはないものの、鈴木杏ちゃんと無邪気に海辺を駆け回る姿が印象的だった「ポカリスエット」(2000年)などなど・・・。
どれも相手役のポジションですが、ピンでの出演だとドラマ要素が生まれにくいので(単に商品名を言うだけでは面白味が乏しい)、これからもCMに出るなら主演助演を問わず共演者のある作品を個人的には希望です。


p.s. 2008年の1月から3月にかけて「キットカット」雪見桜バージョンの新作CMが放映されました。
きいちゃんの続投は予想通りでしたが引き続き勝地くんが共演だったのは嬉しいサプライズでした。
でもキャラ設定は新しくなっていて今度は受験生同士、ファミレスで二人が出会い心を通わせるといった内容(くわしくはこちら)。

きいちゃんはさほど変わりませんが、勝地くんはビジュアル的に去年のCMとは別人のようです(笑)。垢抜けたというか、田舎の少年→都会の少年という感じ。
ユウジ先輩は上京組だったから、キャラ設定にあわせて外見の雰囲気も変えてるわけですね。あいかわらず化けるなあ。
(まあCMのためというより、去年の秋頃からこっち、素で綺麗度が増してるような気も・・・)

ちなみに今回は「ハル」「ユウジ先輩」のような役名は用意されてないようです。
CMの中できいちゃんが「涼くん」と言うシーンがあるので、きいちゃんの役名も「きい」なんでしょうね。

 


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『エンタメキャッチ』(2)

2008-01-18 02:31:33 | 他作品
肝心のインタビューの中身についても印象深かった部分を少し。

『幸福な食卓』で演じた大浦勉学に関して、
「(大浦くんの魅力を)僕は見てるお客さんに伝えなきゃいけないかってのもあるとは思ったんですけど、まず第一に佐和子にとって大浦くんがどんだけこう大切な存在になるかってことが大事だと思ったんで」。

この作品の主人公は佐和子であり、物語はほぼ完全に佐和子の視点で描かれている。だから大浦くんというキャラクターもあくまで「佐和子の目に映る大浦勉学」なのですよね。
佐和子の知らない大浦くんの一面というのも確実に存在しているはずですが(たとえば「崩壊してる」家族といるとき、大浦くんはどんな表情をしているのか)、それは佐和子視点である以上描かれない。
主人公に視点を固定するのは一人称「私」の語り形式の小説では何ら難はないですが、映像だと観客の目に直接生身の役者が見えるわけで、視点となるべきキャラを通さず情報を受け取る形になるのでどうしても視点が三人称的になってしまう。何せ視点となるべきキャラも脇のキャラと同じように画面に映ってるわけですから。

しかしこの映画は極力原作同様に佐和子の目線に寄り添おうとしていた。そして勝地くんは『幸福な食卓』という作品があくまで「佐和子の物語」であることをきっちり理解したうえで、「佐和子にとっての大浦くん」を演じようとしていた。
そんな彼の姿勢が大浦くんをあそこまで嫌味なく愛すべきキャラたらしめた(恋する少女の目に映る彼氏はアバタもエクボで実体以上の素敵っぷりなはず)ように思います。

比較する意味でついでに書くと、一方の『ソウルトレイン』でも終始勝地くん演じる主人公・須藤の視点で話が進む。
『幸福な食卓』同様、視点となるべき須藤くんも画面に映ってるわけですが、膨大な量のモノローグ(実質ナレーション)が須藤の視点を補強し、時にはカメラが須藤の目線そのままを追っていることもあって、『幸福な食卓』以上に視点はきっちり固定されている。
主人公の妄想でストーリーが回ってゆく展開のため、まわりのキャラクターも須藤の目に映る彼であり彼女であることに徹していました(ワンシーンのみ意識的になされた例外があります。くわしくは『ピクトアップ』(3)を参照)。
結果としてあんまり「いい人」が出てこないわけなんですが(笑)。

ついで『ソウルトレイン』に関して。このインタビューに限らず勝地くんが須藤について語った言葉を見聞きしてると、彼にとってこの作品はほとんどファンタジーの世界だったようですね。そのくらいの別世界。
『ソウルトレイン』を鑑賞して深い共感を覚えた男性がこの番組を見たら「所詮こいつもあっちの世界の人間か」とかがっかりしちゃったりして。

「自分がこの仕事と出会ってなかったら」どうしてただろうかとイメージを働かせて須藤のキャラクターをつかんでいったそうですが、まあもし俳優になってなくても彼が須藤みたいな生活をしてた可能性はゼロに等しいでしょうね。
フリーターはともかくモテないわけないですもん(現在発売中の『ザ・テレビジョン』1月25日号のミニインタビューで「モテない」旨の発言をしてますが、絶対謙遜でしょ)。

これまでも幅広い役柄を演じてきた勝地くんではありますが、「見るからにモテなそう」、格好良かったらNGという役は今のところ唯一無二なのでは?(なぜかはっきり美形設定な役もやってないですけど) 
その意味では時代劇の若侍や、ともすれば女の子キャラよりもかけ離れた役どころ。外見的な制約がある中、よくあれだけ演じきったものだと思います。

なので、「(25歳フリーターの須藤をイメージするにあたって)自分が今の実質年齢より過去に遡るだけでなく、また未来を見なきゃいけなくて、すごく楽しかったですね。」という言葉にちょっと驚きました。てっきり「すごく大変でした」と続くのかと思っていたので。
そのあとに「年上を演じるってかなり大変なことだとは思ったんですけど」とも言ってましたが(昔から実年齢より上の役が多い気がしますが)、「楽しかった」という言葉が先に出てくるあたりが頼もしいです。
しばしば書いてることですが、試行錯誤の大変さも含めて、彼は演じることが本当に好きなんだなあと改めて思いました。

最後に「自身のイメージ」について。
つい先日『演劇ぶっく』2008年1月発売号での長谷川博己さんとの対談を読んだときも思いましたが、彼はよくこれだけ「自分が足りない部分」を見つけてくるな、と(笑)。単に謙遜して言ってるのではない切実なものが言葉に篭っています。
ここでは比較的「普通の人」を演じることが少なかった彼が、普通人の日常を演じることの難しさ、自分が20年間生きてきたにもかかわらず自身の生活経験・感情をちゃんとストックできていないことへの反省と危機感を語ってます。

本人はそう言うものの、バラエティーやトーク番組などで朗らかによく笑い、時には涙を流し、くるくると表情を変える彼を見る限り、人一倍豊かな感情の持ち主のように思えるのですが。プライベートでも映画を見ては泣き音楽を聴いては泣いてるようですし。
そしてそうした感情の豊かさはちゃんと役柄に反映されてるように感じます。
泣き、怒りなど感情の起伏の激しい芝居は言うまでもなく、むしろ日常のささやかな場面を演じるとき、大げさにもならず棒演技にもならず、言葉での説明が難しいほどの微妙な表情の変化で感情の細やかな動きを表現するのは彼の得意分野じゃないかと思うんですが、本人的にはまだまだ、なんでしょうね。
この向上心あればこそ現在の若手演技派俳優としての彼がいる。そしてこれからも成長し続けてゆくのでしょう。先行き楽しみです♪

 


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『エンタメキャッチ』(1)

2008-01-14 02:27:15 | 他作品

話題の映画・DVD・ライブなどを紹介するTBS深夜の情報番組。2007年1月21日放映分で勝地くんの5分間インタビューが流れました。
テーマは26日に発売されるDVDドラマ『ソウルトレイン』と27日公開の映画『幸福な食卓』。

同時期発売・公開の二つの作品のうち、『ソウルトレイン』では25歳のフリーター、『幸福な食卓』では15歳の中学三年生~高校一年生を、ちょうど真ん中の年齢に当たる20歳の彼が演じているとあって、その年齢幅の広さは、勝地涼という俳優を知らない視聴者にも一応のインパクトがあったんじゃないでしょうか。
(ちなみに『ソウルトレイン』は2006年7月、『幸福な食卓』は2006年2月の撮影なのでどちらも収録当時は19歳)

このインタビューなんですが、話の内容以前に真っ先に感じたのは一種の「懐かしさ」でした。
『亡国のイージス』『この胸いっぱいの愛を』(ともに2005年公開)のDVD特典のインタビューを思い出させるような・・・はっきり言っちゃえばヘタな話し方(笑)。
2006年1月放送の『BSなびTV』や「はなまるカフェ」を見たとき「だいぶトーク上手になったなー」と思ったんですが、それはトーク番組、パーソナリティの方の質問に逐一答えるような形式だったからのようです。

作品と役柄について語る前半はまだいいんですが、役者としての自分自身について語る後半は、とにかく句点が少なく、「~で、~ので・・・」式に話に切れ目がない。発言するそばから、思いついたことを補足したり誤解を招きそうな表現をフォローしたりの繰り返しで、一文が長々と続いてゆく。
会議のプレゼンなんかだったらまずアウト。当時出演中だったドラマ『ハケンの品格』の大前春子さんに思いっきりダメ出しされそうです。 

でもこの決して上手ではない話し方がとても好きなのです。
一文の中に言葉を詰め込んでしまうのは、限られた時間の中で自分の考えをきちんと、正確に伝えようとすればこそ。
だから彼の話は筋道がぱっと俯瞰できないにもかかわらず気持ちが届く。意志を伝達するためのスキルは不足していても伝達すべき思いがそこにある。
少し前に発売の『婦人公論』のインタビューで「ちゃんと自分で考えたことを話したい」と語っていたのが思い出されます。

もう一つ、上で書いたことと重なる部分が多いですが、完全に口語の文体(敬語口調だけど文法はめちゃくちゃ)なのも話の構造が見えにくくなる大きな原因のように思います。
普通に会話するときと同じように、その場・その時点の考え・感情を話しているようなライブ感があるというか。
何を質問されるかは事前に知らされてるでしょうし、一応の答えは用意してるんでしょうが(以前同じテーマで受けたインタビューと一緒の内容でいいのだし、むしろあまり違う方がおかしいわけで)、考えてきた台詞をそのまま言うのでなく「その時」の思いを言葉に乗せようとしているように思います。
だから彼の言葉には聞く人の胸を打つ熱がある。時に早口になり時にいくぶん言葉に詰まりながら身振りも交えて懸命に話す姿に彼の誠実さを改めて感じて、なんだか嬉しくなってしまいました。

すでにデビューから8年(この『エンタメキャッチ』時点では7年)を経ているのに芸能界擦れしない初々しさを彼が漂わせているのは、こうした真摯な態度に由来してるのでしょう。
話上手にならなくてもいいから、こういう部分をこの先もずっと失って欲しくないなと思います。

(つづく)


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『踊る踊る!さんま御殿SP』

2007-11-26 02:19:54 | 他作品
正確なタイトルは『踊る踊る!さんま御殿 お笑い怪獣大行進SP』。2006年11月28日に放映。二部構成の前半部にゲストとして勝地くんが出演してます。

8月の『さよなら』PV以来、映像では久々(雑誌の露出もほとんどなかった)にお目見えの勝地くんは、映画『阿波DANCE』の撮影終了から間もないせいか、ずいぶん日に焼けて、顎のラインもかなりシャープになってました。
司会の明石屋さんまさんに繰り返し「男前(になった)」と言われてましたが、確かにこの日の彼はすごく男っぽく大人っぽく見えたものです
(この少し後から収録が始まったであろう『ハケンの品格』ではあんなに可愛いのに)。

お笑いの人たちを中心とした濃いゲストの中にあって、初登場かつ口下手な勝地くんはほとんどスルーされるんじゃないか(『里見八犬伝』番宣の細木数子さんの番組のときのように)と心配してたんですが、『さとうきび畑の唄』で親子を演じた縁でさんまさんが結構話を振ってくれたのでホッとしました。
いつにも増して低めの渋い響きの声は大人びてるのに、緊張のためかやや早口に話す様子は相変わらず初々しく爽やかな印象。
勝地くん自身が笑いを取る場面はなかった(そういう役割を期待されてはないと思うのでノープロブレム)んですが、彼の発言内容をさんまさんや周囲のリアクションが上手く盛り上げてくれてました。
以下勝地くんを中心に例によって箇条書きで番組の内容を追ってみます。

 

・さんまさんが勝地くんを「男前になった」と誉めるのに、斎藤暁さんが「なんかすごーく、こう、立てるから(可笑しい)」と笑い出したのに対して、「男前になったから男前になったゆうてるんやろ、あんたが男前になったら、言うよ?」というさんまさんの返しに笑いました。
この紹介の場面以降、すっかり勝地くんは「男前要員」の扱いになっていきます。確かにあの面子の中にいわゆる「若手イケメン」って彼しかいなかったし。
一方、何かと言えば勝地くんとの対比で、「もてないキャラ」扱いになってたのが塚地武雅さん。「大学時代テニスサークルにいて~」と言っただけで笑われてたし(笑)。

・勝地くんと同じく初登場の澤山璃奈さんがまだ18歳、高校三年生というのにまわりが騒然。
勝地くんも(この日は)年より大人っぽいけれど、彼女は顔立ちも雰囲気もしっとり落ち着いた大人の女性という感じ。他のゲストの話に笑顔で頷いてる姿も好印象。
最初の紹介のとき以降、全然話を振られてなかったのが残念です。

・「彼女にしてほしいことは?」との質問に「耳掻きとか、されたいですね」。
つねづね「この子は本当、女好きだよなあ」と感じてたんですが(詳しくはこちら参照)、今回その理由がわかりました。言う事が微妙にマニアックなんだ(笑)。
別に変態ぽいとかではなく、むしろ微笑ましい系ですが。というか勝地くんの持つ雰囲気が発言内容をいやらしい響きにさせない。得な人だ。

・水中シーンの撮影(作品名は言ってませんが明らかに『亡国のイージス』)で、意識がない状態の演技のために本当に溺れそうになった話。
これはあちこちで話しているので相当苦しかったんでしょうね。でも真田広之さんとのシーンだったので「NG出すわけにいかない」と頑張ったとのこと。
この話を受けて、さんまさんが「俺の時はようNG出したよなあお前」とツッコミを入れたのに会場大ウケ。
自分から笑いを取りに行けない(そんな余裕もない)勝地くんを上手くいじって笑いに結びつけ、さらにNGの内容が「コンタクトが落ちた」という、俳優としての実力には関係ない、いわば事故なのも合わせてアピールしてくれる。
さんまさんのさすがのトークに感謝したものです。

・「『自分ってセコいなー』と思う時」というお題について、「男なら女に奢って当然」という女性陣と、「なぜ男が彼女でもない女に一方的に奢らなければならないのか」という男性陣が真っ向から対立。
そこに「勝地、お前(デートの時)どうしてるの」とさんまさんに振られた勝地くんがごくあっさりと「僕は割り勘ですね」と答えると、「まだ若いからね」(杉本彩さん)「可愛ければいいんですよ」(大沢あかねさん)と女性陣が一転して擁護にまわる(笑)。
「可愛いから(男前だから)いい」、さんまさんも言ってましたが結局これが本質ですよね。男前は得です。
そして自分を飾ろうとせず自然に「割り勘です」と言える勝地くんの素直さは、男前うんぬんを抜きにして改めて好印象でした。
やたら「男前」連呼されるのに対してどうリアクションしたらいいんだろうかとちょっと困ってるような面映そうな表情も初々しかったです。


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『The World of GOLDEN EGGS』(注・ちょいネタバレしてます)

2007-11-22 01:40:49 | 他作品
2005年にCSのキッズ・ステーション、MUSIC ON!TVで放映されたのを皮切りに、大人気を受けて方々へスピンオフ、英検のイメージキャラクターにも起用されたCGアニメーション。

『MORE』2006年4月号の「私のリコメンド」欄で勝地くんが紹介しているのを読んで存在を知ったのですが、その時はそのまま忘れていました。
その後、2006年放映の「SEASON2」に勝地くんがゲスト声優として参加していると知って、さっそく動画サイトで勝地くん出演の22話「ゾンビ島」&23話「3匹のネコ」を視聴してみました。

彼の役名はライアンJr.。「ああライアンさんの息子なのね」と思ったんですが、別の意味でもジュニアでした・・・ってか赤ん坊じゃん!
想像のはるか斜め上をゆくキャスティングに唖然としました。
台詞も当然ながら「あー」「うー」「ぎゃあー」とか台詞以前の音声のみという・・・。こりゃ勝地くんが声をあててると聞いてなければファンだってまず彼とは気づけまい(そのつもりで聞けば確かに勝地くんの声ではある)。

マウスで描いてペイントで色ぶちまけたかのようなカクカクした描線とぺったり原色の色使いといい、ヒロイン二人をはじめほぼ全キャラクターを声優二人(しかも男性)で担当してることといい、完全な口語口調、適当なストーリーと間で入る料理番組その他といい・・・「なめてんのか?」ってくらいのゆるさ適当さ。
この大味っぷりと台詞のいちいちに英語(スラング)が字幕で出ることからてっきり米国産翻訳アニメと思いきや実は日本製、実はフルCG。
一見した安さも適当さも実は綿密な計算のもとに仕込まれていた!・・・のかもしれない。
見るうちに何だか癖になってくるヘンな心地よさがあります。21話を見たら「~系?」という喋り方がついつい伝染ってしまいました(笑)。

ちなみにその21話(「オレの爺ちゃん」)に、小栗旬くんが寝たきりのおじいちゃん役でゲスト出演してます。
こちらも終始うめいてるばかりで台詞らしい台詞は「は・さ・み!」のみという・・・。
若手俳優を超もったいない使い方するのもネタの一環なんでしょうか。
スペシャルエピソードに勝地くんと同じ事務所で仲良しの鈴木杏ちゃんも出てるそうですが、こちらはどんな役なんだろう・・・。

p.s.『週刊朝日』2007年5月18日号の特集「金卵ってなんだ?」での製作元(プラスヘッズ)の代表取締役の臺佳彦さんインタビューによると、「勝地涼さんは「出さしてください」と直接お電話をいただきました。」のだそうです。意外に積極的なんだなあとびっくり。
また「小栗旬さんもファンだとうかがったので、連絡を差し上げたところ、マネジャーの方が「断ったら怒られます」と言ってくださいました。」とのことですが、前掲『MORE』4月号で「友達の小栗旬くんが「面白いから観て」と教えてくれた」と言ってたのを考え合わせると、小栗くんが金卵ファンだと言う情報源は勝地くんだったんじゃないですかね?
きっとアフレコ後に二人で「俺の台詞、「はさみ」だけだったよー!」「俺なんて意味ある台詞ひとっつもなかったよー!」なんて笑い合ったんじゃないかな。「これでこそ『金卵』!」とか喜びながら。

 

11/26追記-「ソース源」とか書いてましたが、「ソース」と「源」は意味一緒ですね・・・。「情報源」に訂正いたしました。


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『盲導犬クイールの一生』(2)

2007-10-15 00:32:23 | 他作品
とりわけ印象深かったのは政晴が盲導犬を否定する発言をした両親に怒鳴る場面。
TBSの単発ドラマ『さとうきび畑の唄』で昇(勝地くん)が友人をかばって上官に怒りをぶつけるシーンを彷彿とさせますが、昇の声が語尾まで発声が明瞭なのに対し、政晴の声はもっとざらついた、感情をそのままぶつけた風情の乱暴な響き。
どちらも怒りのあまり声が詰まり気味で泣きそうにまでなっているのは共通なのに、戦前の教育を受けた少年の背筋の伸びた感じ、現代っ子らしいちょっと甘ったれた感じがちゃんと演じわけられているのに驚きました。
撮影時期は数ヶ月しか違わないはず(『さとうきび畑の唄』は2003年7月~9月収録、『クイール~』は2003年6月~7月放映なので4、5月頃の撮影?)なのに。たいしたものです。

そして終盤、学校に戻ると宣言し歩き去ってゆく政晴の後ろ姿は、先に三都子に頭を下げて歩き去るときとは対照的に背筋が伸び、しっかりした足取りには進んで困難に立ち向かってゆこうとする決意が滲み出ていました。
その後政晴がどうなったのか、はっきりした説明はなされていませんが、仁井家のテーブルに飾られた写真の中、野球のユニフォームを着てチームメイトに囲まれた彼の笑顔だけで、宣言どおり野球部に復帰した彼が充実した日々を送っていることが察せられます。
クーちゃんと遊んでいる時、すでに柔らかな笑顔を見せるようになっていた彼ですが、バットを手にグラウンドに片膝をついた写真の彼はさらに生き生きした、これまでで最高の笑顔を見せているから。

原作に政晴にあたる人物は登場せず(彼に限らず第一回のゲスト・亜弓ちゃんも渡辺さんの娘や息子など少年少女キャラはほぼ全員ドラマ独自の設定)、「盲導犬は人間社会の犠牲者」という偏見に対する回答とアニマルセラピーの効能を合わせて描いたようなストーリーはやや強引な感もあり(お父さんの転勤はどうするのだろう?)、とくに盲導犬に対する無理解の象徴というべき政晴の両親の性格付けはかなり表面的なものになってましたが、政晴のキャラクターは極端に少ない台詞にもかかわらずしっかりと造型がなされていた。
最低限の台詞と動き、小道具でそれを表現した脚本・演出の巧みさと、その演出プランを見事に具体化した勝地涼という年若い俳優の実力を、大いに(改めて)思い知らされたものでした。


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