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俳優・勝地涼くんのこと。

『水平線の光の中、また逢えたら』

2008-05-31 02:07:44 | 亡国のイージス
正確なタイトルは『水平線の光の中、また逢えたら another『亡国のイージス』 ジョンヒ ~静かなる姫~』。
『亡国のイージス』映画化記念のスピンオフ作品の一つ。『イージス』メインキャラクターの紅一点、崔静姫(チェ・ジョンヒ)を主人公に、彼女が「いそかぜ」事件以前に「島田唯」の偽名で東京に潜伏していた時期を描く。

映画の公開年(2005年)3月に橋口いくよさんによる小説版が刊行、7月11日から14日までTOKYO-FMでラジオドラマとして放送されました(こちら参照)。勝地くんはジョンヒの正体を知らぬまま想いを寄せる大学生・古屋研太役で出演。
ほかジョンヒ役に浅野真澄さん(ジョンヒは口がきけない設定なのでモノローグのみ)、ナレーションに映画では風間役の谷原章介さん。

その後18日から8月7日までネットでの無料放送も行われ、私は映画公開後にこの無料放送で聴いたのですが、第一回を聴いただけでしばらく放っているうちに放送期間が終わってしまい、後から悔しい思いをしたものです。
この度これまた「さる方」のご好意によって全編通して聞くことが叶いました。(これからしばらく「ご好意」シリーズ続きます)

上でリンクしたページに行とジョンヒが至近距離で見つめ合っているポスターが出ていますが、このポスターや二人の水中キスシーンを(映画全体から見ればとくに重要なシーンではないのに)入れたCMは「若い女性層にアピールするために恋愛映画と誤解させるような演出をしているのか?」とあまり評判が良くなかったようです。
このラジオドラマも「ジョンヒと物語の鍵を握る、勝地涼演じる如月行との関係が分かる内容」とアオりつつ、実際には行は最初と最後にちょっと出るだけで台詞もないという・・・。
(「勝地涼演じる如月行」と書きながら、ラジオドラマで勝地くんが演じるのが別の役だとは橋口さんの原作を読んでない人はまず思うまい。谷原さんについても風間役と書いてるので、「なぜここで風間が?」と混乱を呼んだのでは)

そもそも『水平線~』の小説のあらすじを知った時点で、「あのジョンヒと一般学生の恋愛ものとは何事!?」と思ったわけですが、「異色」でなく「異形の」ラブストーリーという説明文にたがわず、ジョンヒが男にうつつを抜かす姿などは一切なく、かえって寄せられた好意に対してああした反応しかできないジョンヒの歪な精神構造と孤独感を際立たせていて、原作のイメージを裏切らない出来になっていました。 

小説版ではジョンヒと研太両方の視点を交互に出してますが、尺の短いドラマ版ではジョンヒの視点に一本化。この作品の見所はジョンヒの「歪み」にあると思うので、彼女の視点を優先にしたのは適切だったと思います。
小説の文章を上手く生かしながらドラマ独自の情景描写なども美しかった。夕暮れの赤と青のせめぎ合いを「勝つ当てのない戦い」に例えてみせるとか。

さて研太役の勝地くん。原作ファンの中には映画本編より先にラジオドラマで、如月行でなく古屋研太として初めて勝地くんの声や演技に接した人も多かったんじゃないかと思います。
ソフトな響きの声は、予備知識がなければ行と同一人物とは気づかないのでは?おっとりと人の好い、その無防備さが一種の大物感をジョンヒに感じさせた研太のキャラによく似合っていました。
一方で行の声(このドラマでは出てきませんが)にはもっと凛とした、何かに急きたてられてるような緊迫感があって、これまた行のキャラクターにはぴったり。声の出し方だけでキャラクターの性格を自然と表現していたのはさすがです。
大げさな感情表現はなく全体に淡々としたトーンなのに、告白の場面などごくシンプルな台詞から切々たる想いが伝わってきました。
行と研太という、小説版でも対極と評された二人の若者をともに勝地くんが演じてることで、ジョンヒが行との戦いの中で研太を思い出す流れがよりスムーズになっていたように思います。

研太はごく平凡な市井の一青年にすぎないのですが、そんな彼があのジョンヒにとって「特別な存在」になりえたのは、まさにその平凡さにあったのだと思います。ジョンヒの激動の人生に平凡という概念は存在しないようなものだったはずだから。
つまりは研太以外の男でもジョンヒの「特別」になる可能性はあったのでしょうが、彼女に一目惚れして初対面から一方的に追いかけてきた――あくまで任務としてそこにいる、人間関係をやりすごすための表面しか存在しない「島田唯」の内に入り込もうとしたのが、たまたま研太だった。
彼の一連の行動は多分にストーカーじみていてある意味「平凡」ではないのですが、恋する者にありがちな、平凡な人間の一時の異常行動の範疇にとどまっている。
彼の平凡さと異常さの両方がからみあって、一大学生である研太とジョンヒの軌跡を一瞬近づけたのだと思います。
・・・考えてみると、これって勝地くん念願のストーカー役ですかね(笑)。

 


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『オールナイトニッポン 「亡国のイージス」スペシャル』(2)

2008-05-27 02:08:05 | 亡国のイージス
・原作者・福井晴敏さん登場。福井さんはさすがにメディア慣れしてるのか、緊張の様子もなく(「テンションが低い」とリスナーの方にも言われてました)例の淡々とした声でさらっと面白い事言っては笑いを取っています。
「宣伝スタッフ一同、死ぬほど頑張って、広報してきましたからねえ」との言葉は、原作者の立場を超えて映画スタッフの一員として殺人的に多量の宣伝活動をこなしてきた福井さんだけに、なんとも実感がこもっていました。
この年福井さんは『イージス』以外にも『終戦のローレライ』(映画版タイトルは『ローレライ』)『戦国自衛隊1549』と原作作品が一気に三本映画化され、その全ての宣伝活動に深く関わってたわけで・・・。
このあたりの死にそうっぷりは実録マンガ「東向島ディストラクション」(福井晴敏×樋口真嗣『爆発道場』収録)で知ることができます。

・福井さんによる如月行役オーディションの詳細。履歴書の束の一番上に勝地くんの履歴書があり、写真を見て「これでいいじゃん」と思ったと。
ただちに吉田さんが笑いつつ「今ね、二つの意味に受け取れる。ダントツによかったのか、もしくは誰でもよかったのか」とリスナーのツッコミを代弁してくれる。
それを受けて福井さんも「いつもキャスティングイメージというのは特に決めてないんだけど、無意識に想定してたんだろう行のイメージに勝地くんの写真を見た瞬間ピタッとはまるものを感じた」(概要)とフォロー。
そして決定打となったのはオーディションでの「目力」。しかし運動神経のテスト・・・これじゃやる意味ないじゃん(笑)。

・「さっきから40分以上の生放送を経て、どちらかというと勝地くんのアタフタぶりがリスナーの方には伝わっているかなという気がするんですが、今日の勝地くんの目を見て、福井さんどう思われますか?」との吉田さんの問いに「そういう意味でいうと、色気あるんですよね」とはちょっと意外なお答え。
それこそ微笑ましさが先に立って目力はどっかに消えちゃってるんだろうなとリスナーの方は想像してたろうし、吉田さんもそういう返事を予想してたんじゃ。
福井さんはオーディション時点でまだ17歳だった勝地くんの「ちょうど端境期にいるってところが、その危うい感じを含めて」、実年齢は21歳だけど精神的には15歳で止まっている行のキャラクターにちょうど良かったと続けてたので、「目からビーム」を飛ばしてるかと思えば生放送であたふたしつつ屈託なく笑ってるギャップの大きさ-一種の不安定さに「危うい色気」を感じたってことなんでしょうかね。
現在勝地くんは行と同じ21歳ですが、いくぶん大人っぽくなった気はするものの、今もって外見的にも内面的にも「端境期の危うさ」を持ち続けているように思います。
福井さんは「たぶん(本当の)21歳の人だったら如月行にはね、たぶん違ってたなって思うんですよね」と話してましたが、彼なら充分いけるんじゃないか。21歳の勝地くんが演じる如月行も見てみたいなあ。
この『オールナイト・ニッポン』の頃のような髪型で原作のラストシーンをぜひやってほしい。あるいは『オール・アバウト・如月行』の髪型で『920を待ちながら』とか。
ただ『920~』にせよ『C-blossom』にせよどちらも勝地くんが出てきた時点でネタバレになってしまうんですよね。『コール・ザ・ロール』は行の話だけだと5分で終わっちゃうし。

・ヨンファ役中井貴一さんのコメントが流れた後、中井さんが勝地くんのお母さんが経営するお花屋さんのお客さんでもあるという秘話?が明かされる。
これは『イージス』以前から、というか勝地くんのデビュー前からのようで、勝地くんがデビュー年(2000年)に映画『携帯忠臣蔵』で中井さんと初共演した時には「あの花屋の息子です」的な自己紹介をしたんだとか(このエピソードは『イージス』キャンペーンの頃に出演した別のラジオ番組で話してたみたいです)。
ちなみに勝地くんがスカウトされたさいにはお母さんが貴一さんのお姉さんの中井貴恵さんに相談をして、「フォスターはいい事務所」と教えてもらったそうです(これは勝地くんが2005年12月のトークショーで話してたそう)。
勝地くんのファンとして、彼のデビューの心理的後押しをしてくれた貴恵さんに感謝です。

・佐藤浩市さんからのメッセージを受けて、勝地くんが佐藤さんと一緒に取材を受けたさいに、緊張のあまり汗が止まらなくて「お前、汗すげーなー」とツッコまれたエピソードを紹介。
当時ワイドショーで「勝地涼 汗だく会見」とかタイトル付いてたあれですかね。取材自体に緊張してたのか佐藤さんと二人なのに緊張してたのか。来年公開の映画『少年メリケンサック』では再び佐藤さんと共演ですが、今度は一緒のシーンどの程度あるんでしょうね。
ついでに『イージス』での佐藤さんの「制服組とはまた違うスーツの男の格好良さ」の話から「佐藤さんのカッコよさとはまた違ったカッコよさを持つ男」というフレーズでゲストの軍事評論家・神浦元彰さんの紹介に持っていく吉田さんの強引な話術に笑ってしまった。

・「日本の自衛隊は陸・海・空の中でどこが一番強いんですか?」との質問メールに、「陸です」と間髪入れず解答する神浦さん。
その理由が「私が陸出身だから」(神浦さんは元陸上自衛隊員)というストレートな身びいきっぷりに笑います。神浦さん面白い人だなあ。

・ついでの質問メールは「神浦さんに質問です。好きな女性のタイプを教えてください」。
軍事ジャーナリストの方にこの質問ですか(笑)。勝地くんもメール読み上げながら途中で笑っちゃってます。
「俺、ダメだよ~」と笑いつつ言う神浦さんに吉田さんが「何照れてんですかー!」とツッコんでたり。結局吉永さゆりさんについてあれこれ語るのを「長くなりそうなんでCMの間に聴きましょう」と吉田さんに切られる。
軍事ジャーナリストというと固いお仕事なイメージでしたが、かなりイメージ変わりました。

・「キャンペーンではどんなことが一番印象に残りましたか?」という質問メールへの解答。ここから私の勝地くんファン歴が始まりました(詳しくはこちら参照)。
このメールを読む直前、吉田さんにイージス艦「いそかぜ」セットでの撮影について「大変じゃないですか、体力的に」と聞かれた時にも、
「大変だったんですけど、でも現場のみなさんが大変なシーンになると「おい、大丈夫か?」とか、どこ歩いてても声をかけてくれたりしたので、ものすごく元気になった」(概要)
と答えていて、自分だって大変なときに回りの人たちの思いやりをちゃんと受け止めて感謝する気持ちを持てる彼は、本当に素敵だなあと改めて思いました。

・髪型の話になったさいに、以前役のために坊主にしたこともある(2003年の単発ドラマ『さとうきび畑の唄』ですね)ので、「髪の毛なら、(どんな髪型でも)何でも・・・来いです」と答えていたのに、映画『東京タワー』でのモヒカンを思い出してつい笑ってしまった。この言葉に偽りはなかった!
しかし「何でも来い」というわりに、言葉に間が空いてたり語尾が弱々しかったり――微妙に自信なさそうなのはなぜだ(笑)。

・寺尾聰さんとのエピソード。初対面のさいに「君が如月行か。頑張れよ」と声をかけてくれ、撮影の空き時間にも「いいか、お前はとりあえず人に負けない特技を見つけろ」と励ましの言葉をくれたそう。
そしてジャパンプレミアの後、未成年だった勝地くんが先に帰るときには、「この先お前とは共演できるかわかんないけど、遠くで見守ってるからな」「なんかあったらいつでも言ってこい」と握手とともに言われて、「何とも言えない、今までにない感情の涙が出てきちゃって」。
寺尾さん何と男前な。「お前」という呼びかけも作中の擬似父子関係を思わせる暖かさです。
そして寺尾さんの言葉に涙を流し、帰りの車の中でマネージャーさんに向かって「超カッコいい!めちゃくちゃカッコいい!」と言い続けていたという勝地くん、なんて素直で可愛らしい。
もうすぐ19歳になる男の子にいきなり泣かれてしまって、寺尾さんもさぞびっくりしたことでしょう。泣いた本人さえびっくりしてるんだから。

・番組も終盤に入り、「落ち着いてきましたか」と吉田さんに質問されて、
「落ち着いてきましたけど、何言ってるかあんまりわかってないかもしんないです。・・・大丈夫です!」 
それ落ち着いてないじゃん!大丈夫じゃないじゃん!(笑)。

・リスナーからのメール紹介。携帯料金の請求が4万円も来てしまって、親に携帯を取り上げられそうになったという17歳の女の子から。
4万円はさすがに使いすぎ、ということで「何に使ったらそんなになるんだろう」という吉田さんに、「17歳ってことは、お年頃なので、彼とかに電話してるんじゃないですか?」と勝地くん。
「お年頃」という年寄りじみた表現に吹いた。あなただって18歳のお年頃じゃないか。

・勝地くんが電話よりメール派だというのを聞いて、吉田さんが「ちょっと意外。だって声めちゃめちゃ格好いいから電話した方が何かとウケが良さそうじゃないですか」。
本職(アナウンサー)の方が聞いてもやっぱりいい声なんだなーとちょっと嬉しくなりました。
映画や舞台などの感想を読むと、特にファンじゃない人からも「声がいい」と言われてること多いですね。
声優としての仕事(RPGゲーム『DRAG ON DRAGOON 2』、アニメ『銀色の髪のアギト』)は結構批判されてますが、声そのものがダメって意見は見かけませんし(むしろトータルでは批判しつつも「声質自体は良い」と書いてる人が少なからずいる)。
すごいところでは、店頭で『DOD2』のデモが流れてるのを通りすがりに見かけて主人公の声に一発で惚れ込み、声優が誰なのかどんなゲームなのか一切の知識がないままその場で購入してしまった、という方の話をブログで読んだことがあります。
この『オールナイトニッポン』から3年近く経ちますが、少年の清潔感と大人の落ち着きが同居した柔らかな響きの声は、今も変わってませんね。

・「長文ではなくて、本当に一行で終わるような短いメールを繰り返してるのが好きなんです。基本的に寂しがりやなんで」。 
テキストで初めてこの発言を読んだとき、軽くショックを受けたのを覚えています。まだ映画公開からさほど間もなくて、勝地くんに如月行のイメージを重ねる部分も強かったころなので、「寂しがりやで友達に一行メールを繰り返す行か~」と、今時の男の子な姿に役とのギャップを感じたのですね。
考えてみれば番組内での受け答えのすべてが行っぽくないんですけど(笑)、この台詞には特に「本当に普通の男の子なんだなあ」とつくづく感じました。
その子が役の上ではああなるわけで・・・今さらながら不思議です。

・先祖代々受け継がれているホクロを守りたい、という男の子からのメール。
四代続けてみんな唇の右下にほくろがあるのだそう。ジョースター家の星型のアザ(『ジョジョの奇妙な冒険』)みたい。しかし勝地くん&吉田さんも言ってましたが、どうやって守ればいいものなのか(笑)。
そこから勝地くんが両親のどちらに似てるかという話に。勝地くん曰く「お母さんに似てると言われますね」。
園芸雑誌の記事ほかでお母さんのお写真を拝見したことありますが、確かに顎のラインとか目元が似てる気がします。今よりもデビュー当時、13歳くらいの頃の方がより似てるかな。

・勝地くんのスケジュールのハードさ(朝3時まで生放送のラジオ番組をやったあとに翌朝は東京→名古屋の舞台挨拶)に「むちゃむちゃ大変じゃないですか」と驚く吉田さん。
でも勝地くんは「全然問題ないです」と余裕の口調で頼もしいお答え。「ちょっと今興奮してきちゃってるんで」。
たぶんアドレナリン出まくってナチュラル・ハイ状態に入ってるんでしょうね。

 


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『オールナイトニッポン 「亡国のイージス」スペシャル』(1)

2008-05-24 03:08:30 | 亡国のイージス
2005年7月30日に全国公開された映画『亡国のイージス』のスペシャル番組。公開前夜の29日~30日にかけての深夜2時間、ニッポン放送にてオンエアされました。
勝地くんは(ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記氏の名アシストのもとに)この日限りのパーソナリティを務めています。 

私が勝地くんのファンになったのは、『イージス』&勝地くんファンの方がサイトで紹介されていたこの番組中での発言がきっかけだったので(こちら参照)、実際の放送を聞けなかった(番組の存在自体ノーチェックだった)のがつくづく心残りだったのですが、このたび(2007年2月)さる方のご好意により、ようやく聴くことが叶いました。 以前番組内容をテキスト起こししたものは読んだことがあったのですが、実際に彼の声で聴くといっそう感慨深いものがあります。 

オープニングの挨拶は、文章をそのまま読み上げてるかのような、はきはきと歯切れよい生真面目な口調で如月行を彷彿とさせますが、一度つっかえてからはたちまちグダグダになり(笑)、苦笑しつつ懸命に言い直したりあたふたしたりしてる様子が実に可愛らしくて、一気に声に体温が篭ったようでした。
聴きながら自然と、『イージス』キャンペーンの頃の黒髪長髪だったまだ18歳の勝地くんの姿が思い出されました。
表情や仕草の一つ一つまで克明にイメージが浮かんでくる。それは彼の声にリアルな息吹が感じとれたからなのだと思います。
以下印象に残った部分を例によって箇条書き形式で。


・試写会を見たという吉田さんは、勝地くんを如月行のようなクールな「どんなことがあっても動じない人」としてイメージしてたそうで、実物が「めちゃめちゃ浮き足だって」るそのコントラストに突っ込む。
勝地くんも「いや~もう、ちょっと落ち着かないですねーさっきから、そわそわして」と笑ってました。
当時勝地くんはさほど知名度がなかったので、業界人・一般観客を問わず、無意識に如月行のイメージを重ねてしまって(いい意味で)想像を裏切られた人は多かったようです(こちらとか)。
こう見ると彼の場合、役と実態とのギャップはもっぱらいい方に働いてるみたいですね。

・タイトルコールの後もいまだ緊張が取れないという勝地くんに、吉田さんが、
「生放送なんで僕ら二人きりじゃないわけですよ。何かというとラジオの向こうには全国36局ネットのリスナーたちがいてくれるはずなわけですよ。生放送なんでメール・FAXとかもらうとどんな人が聴いてるかわかるので多少緊張がほぐれたりとか」
と励ましの言葉を。お客さんの存在を意識するとますます緊張しちゃいそうな気もしますが(笑)。

・『イージス』は超大物俳優さん4人の共演が目玉の一つだけに、宣材や作品解説で如月役勝地くんはスルーされることもしばしばだったんですが、今回勝地くん本人がパーソナリティをしてるだけに、作品紹介でちゃんと行にもスポットが当たっているのが嬉しい。

・実際の映画のシーンを抜粋しながらのあらすじ紹介。
ここで流れる行の声(「撃たれる前に撃つ、それが鉄則だ」「あんたは実戦を理解してない」)が、パーソナリティとして話してる勝地くんの声と全く違うことに今さらながら驚かされます。声そのものでなく発声の仕方、声の表情が全然違うのですね。
トーク番組など「素」で話してる時の声は笑いと空気を含んだソフトな響きで温もりを感じさせる。役に入ると発声はより明瞭になり、キャラクターに応じて高めの澄んだ声だったり低く太い声だったり。
行の声はやや高めで、鋭さと潔癖さが前面に出ている感じです。まあどの役の声もすごーくいい声なんですが♪
そして吉田さんにも言われてましたが、役の上で真田さんと対等に怒鳴りあってる彼とスタジオであたふた喋ってる彼が同じ人間だとは(笑)。

・勝地くんに『イージス』に関して10の質問。バックの音楽(『イージス』のサントラ)がやたらものものしい。
「撮影が始まり、大物俳優との絡みに内心ビビっていた」という質問に「イエス」と答えるなり勝地くんと吉田さんが二人して笑ってる。ここまでラジオを聴いてれば100%答えがわかる質問ですからね。
でも「出演シーンが多く責任も重大なので、もっとシーンを削って欲しいなとちょっと思った」という質問には迷いのない声で「ノー」と即答。むしろたくさん出たかった、とは頼もしい言葉。
人一倍緊張する性質なのに決してそこから、気持ちのうえでさえ逃げ出そうとはしないんですよね。「むしろいっぱい出たいって思った、俺」という独り言のような口調も、番組中ずっと丁寧語で通しているだけにすごく「素」な感じで、強がりじゃなくて本心なんだろうなと感じさせます。
作品の規模・役柄の重要性・豪華共演者と、『イージス』で勝地くんにかかった重圧は相当なものだったはずですが、作中の彼は実に堂々としていて、そんなプレッシャーを微塵も感じさせない(記者会見や舞台挨拶は噛み噛みでしたが)。
彼だからこそ如月行を演じきれたんだなあと改めて(欲目気味に?)思ってしまいました。

・「撮影中情けない失敗をした」という質問に長ーいタメのあとに疑問符つきで「イエ・・・ス?」。
この時の声のトーンとか一生懸命説明してる感じがえらく可愛いです。「失敗」の詳細はあとで明かされますが(ここで書いたコンタクトの話です)、確かに失敗ではない。

・「この質問で十問目である」というネタ質問に「イエス」と答えてから吉田さんと二人して大爆笑。緊張してると言いながらも終始朗らかなのは彼の良さですね。

・「夜が明けると、こう日本中の人が見に詰めかけるわけですよ。どうですか気持ちは?」と吉田さんに聞かれて「いやすごく、ワクワクします」と答える。
「緊張します」と言うかと思ってたのでちょっと意外でもありつつ、「エンタメキャッチ」での発言(こちら参照)など思い返すと、とても勝地くんらしい答えだなと感じました。
三つ上でも書いた「気持ちのうえでさえ逃げ出そうとはしない」性格が表れています。

・映画版『イージス』の一分間ストーリーダイジェスト。・・・なんかものすごい勢いでネタバレしてますが。

・ストーリーダイジェストが終わったところで再び勝地くんのご挨拶。「まだ緊張はとれてませんが、ちょっとトイレに行って気持ちが落ち着いてきました」。
「(緊張してるのかしてないのか)どっちなんですか」と吉田さんにさっそくツッコまれてます。わざわざ「トイレに行って」とか説明しちゃうあたりがあいかわらず天然さん。
彼がついさっきダイジェストで語られた「謎の青年・如月行」なんですからねえ・・・。

(つづく)


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日本アカデミー賞授賞式(2)

2007-07-14 02:30:30 | 亡国のイージス
あと撮影当時の真田さんとのエピソードとして、
「僕が息が切れてるシーンを撮影するさいに真田さんが『勝地、走ってこい』と言って、真田さんも一緒に走って下さったことがありました」(概要)
という話をしてました。真田さん男前だ
(『月刊SkyPerfecTV!』2006年2月号
(だったかな?)のインタビュー記事でもこのエピソードを話していましたが、そこでは「僕も40になったら若い奴に「走ってこい」と言って、一緒に走る男になりたいです」と続けていました。勝地くんも男前だ)。

もう一つ特筆すべきは受賞者が舞台にそろったところで流れた紹介映像。
冒頭の写真、若い!たぶん『六番目の小夜子』や『永遠の仔』よりも前、事務所に入ったばかりの頃に撮った最初の宣材写真なんじゃないでしょうか。
すごく大人しそうでいいところのお坊ちゃんという感じ。ちょっと女の子のようにも見えます。この顔でガキ大将だったなんて(笑)。


『オール・アバウト・如月行』で「代表作と呼べる役になってほしい」と語っていた通りに、彼の目下の代表作となった『亡国のイージス』。
いろんな意味でこの作品は彼のターニングポイントだったんじゃないかと思います。

以下は憶測になってしまうのですが、2004年初夏の頃には「大学には行くつもり」と語っていた彼が、最終的に進学せずに専業俳優の道を選んだのは、夏から秋にかけて撮影した『イージス』が大きな要因だったように思えます。
これだけの大役を演じきった達成感が、俳優一本でやって行きたい、やって行けるという手ごたえを与えてくれたんじゃないかな、と。
『Look at star! ovation』2006年3月発売号で挙げていた「2005年3大ニュース」の第2位が「映画『亡国のイージス』の公開」だったのにも、彼の作品に対する意気込みがうかがえる気がします(ちなみに第1位は高校卒業、第3位は自動車免許取得)。

あと撮影が忙しくて受験勉強する時間がなかったというのもあるのかも。
『イージス』の撮影は8月28日から11月までかかったうえ(撮影開始以前にも自衛隊体験入隊やアクション訓練を一ヶ月ほどやっている)、彼の撮影は静岡県相良町に建設されたオープンセットが主だったと思われる(オープンセットでの撮影は10月25日がラスト)ので、撮影中は受験勉強どころか授業にもろくろく出られなかったんじゃないでしょうか。
前掲『Look at star! ovation』で「仕事で出席日数が足りなかったので、卒業式の後も学校に通った」話をしていましたが、おそらく主たる原因は『イージス』だったのでは。
『イージス』出演を選べば大学受験はまず無理(その気なら一芸入試も使えたでしょうが)という状況(推測)で、『イージス』の方を選んでくれたことに心から感謝したいです。


p.s. 『イージス』ネタつながりで、以前書いた『イージス』(原作&映画)感想に若干の加筆を行いました。よろしければご笑覧ください。

 


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『笑っていいとも!』+日本アカデミー賞授賞式(1)

2007-07-10 22:55:50 | 亡国のイージス
2006年3月3日に放映。受賞式の方は前々からわかってましたが、『いいとも』は前日出演が知らされた(番組の形式上そうなる)ので、脳内がなかなか忙しかったです。
しかし昼と夜にどちらも生出演(授賞式の方は大分カットされてたので本当の生ではないのでしょうが)、それもかたや天下の『いいとも』、かたや授賞式という大舞台。緊張しいの勝地くんは前日ちゃんと眠れたでしょうか(笑)。

『いいとも』の「テレフォンショッキング」は思いのほか短時間だったんですが、「なぜお土産に『イージス』コレクターズBOXと通常版両方持ってくるのか(笑)」とか、野球のためなら4時起き5時起きOKの気合の入り方を語ってたりとか、なかなか楽しかったです。

真田広之さんからお花が来ていたのも嬉しかった。そして小栗旬くんと別口に「中目黒上腕二頭筋」名義のお花が来ていたのに笑った(注・「中目黒上腕二頭筋」は小栗くんや勝地くんが所属する草野球チーム)。おかげで話が膨らみました。

この番組の勝地くんは結構肩のカチッとしたジャケットを着てたせいかガタイ良さげで、低めの声で言葉少なに、穏やかな調子で話すせいもあって、いつにも増して大人っぽく見えました。
「今年で二十歳になります」と言ったとき会場が「えーっ!?」とどよめいてましたが、さもありなん。
しかし局が違うとはいえ、アカデミー賞についての話題が全く出なかったなあ・・・。


授賞式の感想は以前よそで書いたんですが、若干の補足を。
黒のフォーマルスーツを着た勝地くんはすらっと細身で、少年のように初々しく可愛かったです。同じ日の昼と夜でなぜこうも印象が違うのだ(笑)。

受賞者は男→女のアイウエオ順だったので、舞台への入場も挨拶も勝地くんがトップバッター。
だ、大丈夫か!?とハラハラしたんですが、どうしてどうして。

「噛むのはお約束だからいいとして(いいのか?)、絶句したりしないかなあ、いやいや号泣しちゃうかも(2003年の『さとうきび畑の唄』クランクアップ、2004年の初舞台千秋楽、2005年の『イージス』北陸キャンペーン、と毎年何かしら人前でボロ泣きしている彼なので)」
などという勝手な心配をよそに、滑らかに、とは行きませんが噛むことなくきちんと挨拶を述べていました。・・・成長したんだなあ(しみじみ)。

ただ後にBS日テレで放映された授賞式3時間ノーカットバージョンを見たら、3日の放送では短縮されてた真田さんのコメント(かなり誉めてくれてました)のところで、まず笑顔が消えて何か言いたげな表情(真田さんの言葉に胸打たれてたんでしょう)になり、口がへの字になり、さかんにまばたきを繰り返し・・・・・・あー!泣かないで泣かないで!と思ったら、次の中井さんのコメントが「大ベテランと言われたのがショックでした」と笑いを取る方向だったので、勝地くんも笑顔に戻ってホッとしました。
勝地くんに対する中井さんのコメントが「まあ、なかなかいい相手でした」と存外あっさりしてたのも、「これで俺まで誉めたら完全に勝地泣くぞ」とか思ってのことだったのかな、と想像したりしました。

(つづく)


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『亡国のイージス』DVD(2)

2007-04-14 00:47:55 | 亡国のイージス
・潜水艦「せとしお」を言い間違えそうだからと「せとしお」と書いた紙をスタッフに持っててもらう佐藤さん。
「これメイキングに入れないでね」と喋ってるのも入ってるというオチまでついている(笑)。

・水中シーン撮影のさい、普段コンタクト使用の勝地くんは裸眼で挑まねばならず、待機中は眼鏡着用。
でもメイキング用のカメラの視界を通るとき、「おはようございまーす」と挨拶しつつ眼鏡を外してる(笑)。
視力両目とも0.01だそうだから外すとほとんど見えないはずですが、そんなに眼鏡姿を見られたくなかったのか
(ラジオ番組で「すごく度が強いので眼鏡をかけると目が小さく見えてしまう」と語ってます)。
カメラに背を向けた途端に眼鏡かけ直してますし。
でもボートで撮影場所まで行く場面で結局眼鏡かけた横顔が映っちゃってる。いかにも秀才ぽい賢そうな感じで格好良かったですけどねえ。

・ヨンファ一味に捕らわれた行が脱走する場面を撮影するにあたって、監督の指示を聞いている勝地くんが行の顔になっていて「おお!」と思いました。
一方で行の血の飛んだ地図を見ながらヨンファと副長が「寺尾さんの家どのへんですか」なんて話をしてるのがシュール。

・水中キスシーン撮影のあと、「ハズカシー」と笑って顔を覆うミンソさんがすこぶる可愛らしい。
キスシーンそのものは二人とも照れなど微塵も見えない超真顔でしたけどね。撮影後、勝地くんの方はどんな顔してたのだろう。

・撮影所内、ワイヤーで宙に吊られるミンソさん。たぶん「いそかぜ」のスクリューに巻き込まれるシーンの撮影だと思います。
これが彼女のクランクアップで、カットがかかったところに勝地くんが小走りでやってくるのですが、その弾むような足取りも表情も無邪気な感じで・・・。
彼の方はちょっと前にクランクアップだったようですが、もう全然行に見えなくなってる。「如月行」から「勝地涼」に切り替わる瞬間も見てみたかったな。

 

私が原作を読んだのはもう映画版のキャストが全部発表されたあとだったのでリアルタイムでは知らないのですが、メイン4人以外のキャストが発表された前後は、「如月行を演じるのが誰か」ネット上で相当な盛り上がりだったようです。
行に思い入れの深い原作ファンは勿論のこと、海上自衛隊前面協力&超豪華キャストの大作映画ですこぶる重要かつ格好良い役回りを演じることになるとあって、「行」に選ばれる可能性のある若手俳優のファンの人たちの注目度も高かったらしい。

それだけに誰が選ばれたとしても、納得がいかないという人が大量に発生するわけで、行役の俳優へのブーイングは必至といってよかったでしょう。
それを思うと、勝地くん演じる行がおおよその観客に受け入れられたらしい(ネット上でのもろもろのレビューを読むかぎり、「アイドルをキャスティングしなかっただけまし」というような消極的評価も含めると、8割がたは「勝地行」を肯定している印象)のは、結構すごいことなんじゃないかという気がします。
『イージス』をきっかけに勝地くんファンになったという人もすごく多いですし。
そうしたファンの一人として、勝地くんを行に選んでくれたスタッフの慧眼に改めて感謝したいです。

 


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『亡国のイージス』DVD(1)

2007-04-11 01:13:44 | 亡国のイージス

発売当日にマスターズコレクションを購入しました。

勝地くんファン、そして如月行のファンとしてこのDVDで見たいと思ってたものが二つありました。
一つは体験入隊で見られるはずの「如月行´(ダッシュ)」。
ネットで勝地くんが行の衣装(海自の作業服)を着てる(行を演じてるのではなく衣装を着てるだけ)写真を見たことがあったのですが、何だか制服が似合ってないような気がしたのです。
映画の中で「如月行」として制服を着てるときはあんなに様になっているのに。
中の人格が変わったら外見の印象までこんなに変わるということに改めて驚いたものでした。
体験入隊では、作業服を着てるはずですが演技をしてるわけじゃないので、言うなれば「行のコスプレをした勝地くん」が見られるはず。
そう思ってたんですが、実際見てみればきりっと正面を見据える眼差しのせいか思ったよりも行っぽく見えました。
でもオープンセット記者会見やインタビュー映像で制服姿のまま話している勝地くんはやっぱり「行に似た別人」だったので、こちらの方で期待通りのものを見せていただきました
(オープンセット記者会見でも「お勉強」って言ってましたよね?挨拶かんじゃって「何でそこで噛むの」って突っ込まれてたり)。

ちなみに体験入隊の映像ですが、DVDのどこに入ってるのか探すのに苦労しました。自衛隊に詳しい人なら「下総」と見ただけでわかるんでしょうけど。
『オール・アバウト・如月行』で、「(菊政役森岡くんと二人だけの除隊式の時に)泣きそうになりました」とコメントしてましたが、確かにちょっと涙をこらえてる感じ。
そして行進のさい、年長の勝地くんが号令をかけるのですが、改めて張りのあるいい声だなあと感じたものでした。 

そしてこのDVDに期待していたもう一つは、メイキングや未公開映像で見られるはずの「如月行」の姿。
勝地くんを見る機会はこれからもいくらもあるだろうけれど「如月行」は『イージス』のフィルムの中にしかいない。これが新しい行に会える最後になる。
・・・なのに未公開映像の方は結果はあの通り(笑)。艦船オタク向けですかねあれは。
少なくとも行がダイスの訓練で食用ヘビを食べる場面を撮影していたことがはっきりしているので、これが入るだろうと予想、というより確信してたんですが・・・。
『イージス』関連のインタビューで「内心半泣きでトライしたのに本編でカットされた」というようなことを勝地くんが苦笑しつつ語っているのを読んで、日頃不平不満を口にしない彼がたびたび言及してるんだから、この場面をカットされたのがよくよく無念だったんだろうなあと感じていたので、ぜひこの機会に日の目を見せて欲しかった。
幻の映像ほかにもいっぱいあるんだろうなあ。嗚呼。

ただメイキングの方にはちらちらと「如月行」が出てきたので、それは嬉しかったです。このメイキングの個人的ポイントを箇条書きしてみます。

(つづく)


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『イージス』パンフレット

2007-01-20 23:41:28 | 亡国のイージス
普段映画を見てもあまりパンフレットは買わないのですが、これは迷わず購入。
ラストに台本が丸々ついてるのがお得でした。
台本読んで意味がわかった箇所も少なからずあったし。筆のルーツとか。

私事になりますが、キャスト紹介の白黒写真の勝地くん。
これまでは映画の予告や雑誌記事の写真などで「まあ格好いいし可愛いよね」とごく淡々と(客観的感想として)思ってたんですが、初めて「綺麗な顔してるなあ」とつくづく見惚れたのがこの写真でした。
イケメンとかハンサムとかより「綺麗」という感じ。といっていわゆる女顔ではなく、男性美というにはまだ幼く・・・・・・上手く表現できないんですが。
「あと4、5年もして幼さが完全に抜け切ったら、さぞいい男に成長するだろうなあ」と思ったものでした。
 

そして、わずかに眉を寄せ口を軽く引き結んだ何かに耐えているような表情、習性としてその身に纏っている(かのように感じさせる)暗い翳り、強さの中に哀しみを湛えた目――
『イージス』の勝地くんの写真をどれか一つ選べと言われたら、個人的には迷わずこれですね。
単に見た目が格好いいというだけでなく、この写真一枚に如月行という人物が集約されていると思えるから。

ところでこの写真を見つつ、「ヤクザの鉄砲玉とか板前さんとかの役もいけそうだな(着流しにドスとかいなせな格好とか似合いそう)」などと思っていたら、次回作(『この胸いっぱいの愛を』)で本当にヤクザの鉄砲玉役だったのに笑ってしまいました。着流しでもドスでもなかったけど。


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『オール・アバウト・如月行』

2007-01-20 23:34:48 | 亡国のイージス

『オール・アバウト・如月行』という本が出ると知った時、かなーりびっくりしました。
確かに行は原作で一番人気のキャラクターだし、映画では主役設定じゃないぶん原作の行ファンに向けてサービスしたんだろうな、とは思ったんですが、それにしても一キャラクターのファンブック(というのか?)が出版されるとは思いもかけなかった。
映画のいろんな場面が盛りだくさんのうえ、結局映画本編では使われなかった絵もいろいろ見られて、なかなかお得な本でした。 

さて勝地くんについて。表紙の子犬(色が茶色いので原作のシロをイメージしたわけではないのかな?)を抱いている写真は一瞬「誰?」と思ってしまいました。
そのくらい映画の行と雰囲気が違う。
髪が長くなってるせいもあるんですが、表情がもっと幼く儚げな感じで。
行は幼さを残しつつも「青年」だったけど、表紙の勝地くんは完全に「少年」だった。
子犬との組み合わせからいってもダイス訓練時代のイメージなんですかね。

インタビュー記事の写真は、勝地くんには珍しいパーマがかった髪のせいか、本当に「アイドル歌手でも通用」(『イージス』原作での、仙石の行に対する第一印象)しそう。
うっすら日焼けしたライトブラウンの肌・アーモンド型の目とあいまって、なんか南米の少年のようでもある(笑)。

そして内容のほうですが、自衛隊での訓練内容やアクション訓練の状況はこのインタビューが一番詳しいんじゃないでしょうか。
あと菊政役森岡龍くんとのエピソード。勝地くんはもっぱら先輩に可愛がられるイメージ(キャストで最年少の事も少なくないので自然とそうなる)なので、後輩との仲良し話はなかなか貴重です。

アクションシーンのない森岡くんも体験入隊をしたのは、勝地くん一人じゃ心細かろうというスタッフの配慮なんでしょうね。
必要ないのに自主的にアクション訓練に加わって「おれ、なんで参加してるんだろう?なんで?」などと言ってる森岡くん、リアル菊政って感じです。
そんな彼に対する勝地くんの「あいつ、かわいいヤツなんですよ。」というコメントには、「行も言葉にはしないけどきっと菊政に対して同じこと思ってたんだろうな」と嬉しくなりました。

ほかにもジョンヒ役ミンソさんの話とか、高校(インタビュー時点ではぎりぎり高三か?)の友達の話や俳優としての抱負などなど。

しかし勝地くんは堀越学園芸能コース卒業なのに、「橋をつくるのが夢」「電車の運転手になりたい」という友達(文脈からすると学校つながりの友達)がいるとは??
芸能コース以外との交流も盛んだったんですかね
(友人に言わせると、「芸能コースにいながら「橋をつくるのが夢」だからこそ、『お前、そんな夢持ってんのか』って驚いたんでしょ」。なるほどそうかも)。


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『亡国のイージス』(3)

2007-01-18 23:29:50 | 亡国のイージス
「役(如月行)と勝地くん本人のギャップに惚れた」うんぬんと書いてきましたが、その実この二人、深い部分では似通ったものを持っているように思います。 

 「絶対に逃げない」という掟で自分を縛り過酷な境遇に耐え続けてきた行。
それだけ強い精神力を持ちながら同時に人一倍の繊細さも内に秘めている。そしてとても純粋。
その純粋さの故に不器用にも良心の痛みや周囲のいろんな感情と真正面から向き合って、その分だけ繊細な感受性は傷を負う。

いっそ痛みに負けて、折れて曲がって歪んでしまえば楽になれるのに、なまじ耐えられる強さがあるだけにいつまでも純粋でいつまでも傷つき続ける。
その強さと純粋さにこそ惹かれながらも、「もっと楽に生きてもいいんだよ」と言ってあげたくなるような痛々しさ――程度の差こそあれこの「痛々しさ」を勝地くん自身にも感じるのです。

もちろん悲惨な幼少年期の果てに特殊工作員となった行と違って、勝地くんは『Boys Beat』(『JUNON』別冊のムック本)や『はなまるカフェ』での話を聞くに、ごく真っ当な家庭で愛情いっぱいに伸びやかに育ったようなのですが――。

現場に入る前に役柄について思い悩むことが多いと言う彼、クランクイン前日に台本を読み返しながらお腹が痛くなることもしばしばだという彼。
おそらくは本心からの言葉として「僕にはまだ力がないので」「すべてにおいて未熟だと思いますから」と繰り返し、誉められても浮かれるより自分はその賞賛に値する事ができたか(今後できるか)を考え込んでしまう彼・・・。
その謙虚さ、神経質なまでの真剣さが彼の人として俳優としての長所だと思いはしても、いつか神経が焼き切れてしまいやしないかと心配になります。

かと思えば護衛艦で体験航海した際にお昼のカレーをお代わりして士官室で爆睡するような豪胆な一面も持っている
(このエピソード、図々しいっちゃ図々しいんですが、関係者はむしろホッとしたんじゃないかと思います。
如月役の俳優には心身とも相当なプレッシャーがかかるのは確実なだけに、ある程度図太い部分がないと務まらないと思うので)。
「悩むだけ悩んだらあとはぱっと切り替えて遊べる」とも言ってましたし。

この芯の強さ、雑駁な言い方をするならAB型の勝地くんのB型の部分が繊細なA型の部分を支えていて、それでバランスが保たれている。
だから実際に彼が精神に変調をきたすことはまずないんでしょうが、

「何かに悩んで何かを考えてないと、自分がだめになっちゃうというか、成長しないじゃないですか。(中略)だからたぶん、僕はずっと悩んでいたいです。」(『シアターガイド』2005年5月号)

と言える強さを持つ彼は、その強さ・純粋さのゆえにこの先もずっと悩んだりもがいたりし続けるんだろうなと思うと、やはり「痛々しいな」と感じてしまいます。
そんな彼だからこそ、ずっと見守っていたくなるのですけれど。

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