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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『SOUL TRAIN』握手会

2008-04-16 02:26:44 | SOUL TRAIN
前月26日の『SOUL TRAIN』DVD発売を記念して、2007年2月3日、渋谷のHMVにてメインキャストらによる握手会が開催されました。
参加者は勝地涼くん、掟ポルシェさん、高橋真唯ちゃん、おばちゃんこと浅見千代子さん、森谷雄プロデューサー、原作者の石原まこちん先生。
トークショー→豆まき大会→握手会という流れだったようです。

これまで舞台挨拶やトークショーなど生の彼に会えるイベントに参加したことはありませんでした。
役としてそこにいるのならまだいいんですが、「素」の彼を直接見る、というのはどうにも刺激が強すぎるというか、心臓止まりそう、などと思っていたのです。
でもこの日はたまたますぐ近くに用事があり――さんざん悩んだあげく足を運ぶことにしました。
そんな具合なので15分ほど遅刻してしまい、トークショーの部分はほぼ全部見逃してしまいました。しかもイベントスペースはもう仕切られていたため、仕切り外から遠目に眺めることに。まあ私的にはちょうどよい距離感ではありましたが。

だからこの日の話をブログに書くかどうか大分迷いました。レポートとしては情報価値の低い、単なる個人的感慨にしかならないので。
それをあえて書こうと決めたのは、先月まで放映していた連続ドラマ『未来講師めぐる』の中で勝地くん演じる海老沢ユーキが自分を「京王稲田堤のリバー・フェニックス」と称する場面があったから。
初めて生で見た勝地くんの第一印象(の一つ)がまさに「リバー・フェニックス」だったのです。

私がこれまで彼の外見を評するのに多く用いてきた表現は、1に「綺麗」、2に「可愛い」なんですが、この日初めて肉眼で彼を見たとき、意外にも「可愛い」という感想は全く浮かびませんでした。
ビジュアル的には映像で知っている勝地くんと何ら変わらない、当時出演していた連ドラ『ハケンの品格』の浅野くんまんまなのに(この日もイベントの後『ハケン~』の撮影があるという話をしていました)、何か妙に迫力がある。

とっさに連想したのはジェームス・ディーンやリバー・フェニックス、レオナルド・ディカプリオなど、やや不良っぽい雰囲気のスター達。顔の造作ではなく雰囲気が似てる感じ。といってもそれぞれ『エデンの東』『スタンド・バイ・ミー』『タイタニック』くらいしか見てないのですが(そしてなぜか欧米人ばかり)。

別に態度がぶっきらぼうとかではなく、穏やかな笑顔を随所で見せていたし周囲への気配りも好青年そのものだったんですが、あの圧倒される感じは何なのだろう。
おそらくはあれだけ可愛かった「はなまるカフェ」の時も感じた(こちら参照)彼特有の目力に、スクリーンやテレビ画面を通さず直接触れたせいなんでしょうね。
とにかく存在感があって、そして本当に格好良い人でした。

イベントの進行自体は、もっと間近で最初から見た方々のレポがあるのでそちらに譲るとして、私の知るかぎり他で触れられていない、ちょっと心温まるエピソードを一つ。
握手会で赤ちゃんを抱いた女性が目の前に立ったとき、握手の前か後かは忘れましたが、勝地くん、そっと手を伸ばして赤ちゃんの頭や頬を軽く撫でてたのです。
若い男の子はあまり自分から赤ちゃんを触ったりしないイメージがあったので、ちょっと驚きました。
(・・・ひょっとしたら他の方も撫でたりしてたのかもですが、なにせ勝地くんしか視界に入ってなかったものでそのあたりが定かでない)

その時の表情が、お客さんに向ける笑顔とはまた違う、本当に優しい微笑みを浮かべていて・・・。20歳そこそこの青年が見ず知らずの子供に、あんなに愛情深い眼差しを向けられるものなんだなあとしみじみ感じ入ってしまいました。
それも父性愛というよりはむしろ――気恥ずかしいのでこそっと書くと
――まるで天使が祝福を授けているようなそんな印象でした。

出演作を思い返しても、『この胸いっぱいの愛を』のラストや『~めぐる』での餅つきのシーンなど、子供に囲まれている場面でのちょっとした仕草や表情に子供好きなのが滲み出してる気がします。
以前『Vivi』2007年2月号で「将来は黙って見守る父親になりたい」と言っていた勝地くんですが、さぞ子煩悩なパパになるんじゃないかなー、などと思ったものでした。


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『SOUL TRAIN』メイキング(2)

2008-01-27 01:48:45 | SOUL TRAIN
・黄川田将也くんクランクイン。開口一番「うちの勝地がすみません」。
勝地くんと黄川田くんは『バトル・ロワイアルⅡ』で共演してますが、相変わらず仲いいんだなあと微笑ましくなりました。
この後もたびたびじゃれあっていますが、どちらかというと6歳年上の黄川田くんの方が勝地くんに甘えた感じなのが面白い。

・川村の付け胸毛。本編ではほとんどわからなかったのが残念。
川村のトレードマーク?の、着る人を選びそうな紫色のシャツも実にお似合いでした。

・真唯ちゃんが回すメイキングカメラに向かって「やっぱりソウルトレインだよねー」とわざわざ意味なさすぎる会話をする勝地くんと黄川田くん。何でも「ソウルトレイン」と――(以下略)。

・いきなりモノマネをやらされた黄川田くんが「誰かとつながっていたいから」とか言って勝地くんの手首を握る。
さらに「涼はね、(モノマネが)上手いんだよー」と振るし。「何ゆってんだよ」と勝地くん逃げに入るし。
「あゆ(浜崎あゆみさん)のモノマネとかよくしてた」(『BRⅡ』のときに?)そうですが、どっちかというとあやや(松浦亜弥さん)のモノマネがはまるイメージが。双子役出来そうなくらい顔のタイプが似てますよね。

・ポルシェさんがピーな台詞を言いたがるも「ソウルトレイン風紀委員会」の反対により果たせず。
勝地くんと二人のシーンを撮影してるときも、アドリブで一杯下ネタ喋ってたのに、編集段階でザクザク切られてしまったとか。

・殴られメイクをしたポルシェさん、「ソウルトレイン」といかにも痛そうに言ってみせるのですが、これが真に迫っていて・・・。
ポルシェさんは『ソウルトレイン』がほとんど初演技だそうですが、俳優としても十分いけそうです。

・レジ前で記念撮影後、わざと偽傷を痛がってみせるポルシェさんと、笑いながら「大丈夫?」と言う勝地くんのやり取りがなんだか可愛いです。

・川村と「白い女」が抱き合うシーンで、監督が自ら演技をつける。真唯ちゃんの代わりに黄川田くんと抱き合うという・・・。
公式サイトのギャラリーでこの場面の写真を見たときも思いましたが、黄川田くん可哀そう(笑)。

・黄川田くん、歩くのが早すぎてフレームアウト。
「出ちゃった~」と照れ笑いする黄川田くん、顔立ちはクールなカッコいい系なのに性格的にはかなり可愛い人ですねえ。

・おばちゃん(浅見千代子さん)が監督の肩を後ろから抱くようにして記念撮影。その後のシーンで監督の左頬に口紅が(笑)。

・おばちゃんと勝地くん、ポルシェさんの3ショットで「ソウルトレイン」。このときの勝地くんとポルシェさんの手の位置が・・・。
2月のDVD発売記念イベントで勝地くんが「胸を触らされました・・・触らせて頂きました」とか言ってたというのはこれのことかー。そう思って見るとちょっと複雑そうな笑顔をしてます。

・須藤の罵倒台詞に監督の演出が入る。いろいろ罵倒のバリエーションを試す勝地くんの口調がどんどんヤクザっぽくなってる(笑)。監督も面白がってませんか?

・勝地くんのインタビュー。話し方がほとんど独り言のよう。
そして「と思う今日この頃です」とか強引な締め方(笑)。後の『犬顔家~』の時にも話してた彼のコメディー、笑いについての考え方も聞けます。

・乱闘シーンを撮ったあとにポルシェさんと黄川田くんが寝転んだまま軽く抱き合って(というか黄川田くんが腕枕して)記念撮影。「すごかった・・・」ってあなたたち(笑)。

・夜中に罵声シーンを撮影することで「近所の人はどう思っているんでしょうか」と気にする勝地くん。
こういう当たり前の感覚、常識というより良識を持ってるところが彼の良さですね。
しかし聞こえてくる台詞が「やりてえよおー!」「この童貞があー!」「マジぶっ殺すぞー!」とかですから、それこそ「どんな作品を撮ってるんだ!?」と思われてたでしょうねえ。ちょっと逃げたくなるかも(笑)。

・「時間は3時、30、5」と指を折って時間を示し、カメラに向かって笑顔で親指を立てる勝地くん。
疲労の色は隠せませんが、外見は須藤なのに仕草や表情のいちいちが何故こう格好いいのだろう。
メイキングの勝地くんを見ていると、須藤くん(がモテるため)に足りないものが何なのか見えてくる気がします。

・テーマソングのテンポに乗せて店内の張り紙などをクローズアップ。このあたりの画面の切り替え方がスマートでカッコいいです。

・主題歌を担当するFLOWのKOHSHIさん(ダリまがい役)が登場。
「FLOWからきましたKOHSHIと申します」という挨拶の文法の微妙さが笑えます。何となく『ハニカミ』でしずちゃんが「南海キャンディーズのしずちゃんと申します」と挨拶したのを思い出してしまった(笑)。
KOHSHIさんは本当にダリがお好きなんだそうで。本当にブロンソン好きの田口トモロヲさんと言い、何たる適材適所。

・エロビデオを両手に「ソウルトレイン」と笑顔で言うKOHSHIさん。ビデオのタイトルがアレなだけに笑えます。

・田口トモロヲさんのブロンソン語りの早送り。実際は何分間語り続けたのだろう。すごいお人だ。

・まこちん先生登場。開口一番「いーいところでやってんな」。
監督用のモニターがあるのはアダルトビデオのコーナーだとか。確かにちょっと役得かも。

・黄川田くんと勝地くんが手をぱちんとやろうとして、手前で勝地くんがよける→黄川田くんが「こいつー」って感じで勝地くんを押さえ込む。
作中では不仲(というかほぼ相互不干渉)な二人がむやみと仲良しなのが微笑ましいです。ついでに黄川田くんの「ソウルトレイン」の声がなんかセクシー。

・オールアップの黄川田くんを見守る勝地くんがすごくへろーんとしてる(笑)。そろそろ眠気もピークの様子。
「よく見ると明るいですよね。明らかに!」というエクスクラメーション付きの言い方に、「まだ終わらないよー!」という勝地くんの疲労のほどがしのばれます・・・。

・勝地くんオールアップ。「いやいやいや~」しか言わない(言えない)あたり、眠くて頭が回ってないんだろうなあ。
「終わった・・・」という言葉が「これで寝られるー!」に聞こえてしまった(笑)。

 

たった5日間(勝地くんはこちらのインタビューで「5日間?6日間じゃないかな?」と言ってますが、たぶん夜明け頃にアップした他キャストの感覚で行くと5日間、さらに10時頃まで撮影の続いた勝地くんの感覚だと6日間(実質5日半?)ということなんでしょうね)という超ハードスケジュールで撮られたこの作品。
とくに一部『吉祥天女』と掛け持ちしてた勝地くんはそりゃあ疲労困憊だったろうと思います。
最終日などほぼ一日半ぶっ続けの撮影だったようで、勝地くんいわく「『イージス』以上にきつかった」そうですし。
しかしある意味限界ぎりぎりの疲労によるナチュラルハイ状態が須藤の振り切れた演技につながったようにも思えます。

そしてキャスト以上に監督をはじめとするスタッフの疲れは相当なものだったでしょう。
黄川田くんがオールアップ時に勝地くんの襟首をつかみあげて「寝起きですこいつ」と言ってたように、キャスト陣はまだしも撮影の合間で仮眠することもできますが、監督たちはその間も次のシーンのための打ち合わせや準備に追われてるんでしょうから。
キャスト&スタッフの大変な頑張りのもとに、あのゆるーい作品が出来上がったというのが面白いです。
きっと演じた当人たちがモニターで演技を確認しながら、「暇そうでいいなお前ら!」とかツッコんでたんじゃないですかね。
『DVDでーた』2007年1月号でポルシェさんが語っていた通り、「ビデオ屋の店員が、バイト仲間の彼女がカワイイって身もだえするだけのダメダメな作品を、こうして1枚のDVDにしてしまうということ自体、日本の文化レベルが高いということのひとつの証明」な気がします。


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『SOUL TRAIN』メイキング(1)

2008-01-22 03:06:00 | SOUL TRAIN
1月26日に満を持して?発売の『ソウルトレイン』DVD特典。主演の勝地くんは当然ほぼ出ずっぱりとあって、ファンには実に美味しい(笑)。

またメイキングの構成も、高橋真唯ちゃんがカメラを回している場面に象徴されるように手作り感が満ちている一方、シーンの切り替え・映像の繋ぎ方にはCFかPVのようなテンポの良さがあった。こんなに見てて楽しいメイキングは初めてでした。
なんだか映像系専門学校の学生さんたちの卒業制作的(そういう作品を見たことあるわけじゃないので単なるイメージなんですが)な、「意気軒昂な才能ある若者が、メイキングという場を借りてショートムービー作っちゃいました」感があって、メイキングというより一個の映像作品として拍手を贈りたい気持ちになったものでした。
このメイキングの編集も三浦監督が手がけたんでしょうか?ともあれいいものを見させていただきました♪

 

・壁を背景に立つメインキャスト4人の撮影。カメラに向かってイーって顔でピースする勝地くん、気心の知れた黄川田くんが一緒だったからか何だかいたずらっ子モードです。隣でポルシェさんもカメラにガンくれてます。
目を細め満面の笑顔を浮かべる黄川田くんも、無愛想な川村とは対照的に人懐こい印象。彼といい勝地くんといい、服装やメイクは一緒でも役を演じてる時とは見事に別人ですね。
最後にみんなでイーッとするのも仲良し感があっていいなあ。

・店とバックルームの張り紙やら小道具やらを紹介。
「野木さんに貸しているお金リスト」(気弱な須藤が一人でこれ作ったとは思えないので野木は他のメンバーにもお金借りてるんでしょうね)とか細かいなあ(笑)。

・キャストやスタッフの語る言葉が字幕で出るのですが、この字幕が手書き(女の子文字)なのが、なんかアットホームな味わい。

・クランクインの挨拶。撮影準備中のため仕方ないとはいえ、勝地くんは寝ぐせ作製用のピンをとめたままなのが可笑しい。本人ちょっと気に入っているようですが。

・シーンの切れ目でたびたびキャストや監督が「ソウルトレイン」と合いの手?を入れる。なんかこういうところの気軽い手作り感がゆるーいこの作品にぴったり。

・「ソウルトレイン」と言いつつ踊るようなポーズの勝地くん。ポルシェさんともどもノリノリです。

・「白い女」こと高橋真唯ちゃんクランクイン。監督いわく「はやくきれいなもの撮りたくてね」。勝地くんじゃダメですかー?
真唯ちゃんがにっとした笑顔でカメラに向けて両手親指を立てて見せるのがキュートです。

・「白い女」ってどんな人?との質問を受けて、「つかめませんね」と答えた勝地くんが、それきり言葉につまったか意味なく「ソウルトレイン」と続ける。何でも「ソウルトレイン」って言っときゃいい雰囲気ですねもはや。
ところで勝地くんの「トレイン」の発音が何げにちゃんと英語っぽい気がするんですが。

・勝地くんがくしゃみをしてNGを出す。みんなから「えーっ」と非難の声?を浴びせられて「すみません」と苦笑気味に謝る姿がちょっと須藤風(あんなにおどおどしてないけど)。
このくしゃみなんですが、豪快というには可愛らしく可愛いというには豪快で、そこがすごく勝地くんらしい気がして何だか妙にツボに入りました。
「女性の好きな仕草はくしゃみ」だという勝地くんの気持ちがちょっとわかったような。

・ポインタのように伸びるボールペンでポルシェさんの頭をこそっと突っつく真唯ちゃん。カメラに向けた「やっちゃいますよ~」という感じの笑顔がコケティッシュ。
先に星型のついたこのボールペン、彼女が持つと何だか魔法のステッキのように見えてきます。ポルシェさんの反応も何だか可愛いなあ。

・ポルシェさんと真唯ちゃんが二人の手でハートを作り「ソウルトレイン」と声をそろえる。
なんかこのメイキングを見てると、ポルシェさんと真唯ちゃん、勝地くんと黄川田くん、の仲良し度が高い感じです。

・撮影当時、勝地くんが事務所のメッセージで話していたケータリングの食事。
讃岐うどんについて「デュラムセモリナ100%です」とボケるポルシェさん。隣の勝地くん、意味わかってなさそうだぞ?(デュラムセモリナ粉はスパゲッティを作る時に使う小麦粉の種類)

・ぬぼーっとした表情でカメラにうんと寄ってみたり、おっぱいおもちゃを揉みしだいたりしてみせる勝地くん。こらこらこらっ(笑)。

・ヘア&メイクの記録写真撮影。何故に口を開ける、勝地くん? 
携帯の写真を見て「ひどい顔してる」って、わざと変顔しといて何を言う(笑)。

(つづく)


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『SOUL TRAIN』(2)-4(注・ネタバレしてます)

2007-12-18 01:48:15 | SOUL TRAIN
第10章

・「今日僕は彼女に告白する」はいいとして、「何なら結婚を申し込んでもいい」・・・。
出会って数日、口をきいたのは数回でこのヒートっぷり。妄想パワーでどんどん暴走するあたりはさすが野木と気が合うだけあるというか。

・自分の嫁の外見を表現するのに「バケモノみたいな」ってひどい(笑)。それで通じちゃうし。
彼女が川村とデキてる、という須藤のものすごい発想に笑った。
最終章の「野木さんのこと、好きになっちゃったの」もそうですが、第一の妄想を一部だけ塗り替えた第二の妄想がちょっと間を空けて出てくる映像表現も笑いを増幅している。

・いきなりすごい打ち明け話をはじめるおじさん(蛭子能収さん)。リストラ親父といい、須藤は他人の長話にしょっちゅう付き合わされてしまう。キャラ的にすごーくわかりますけど。

・ついに念力に頼りだす須藤。今お客が入ってきたら、随分アヤしい店員だと思うことだろう・・・。

・「すべては僕の勘違い・・・。だとしたら僕はとんだピエロ?」 いやはじめっから・・・。

・『マルキン』を見て川村と「白い女」が仲直ししたんだろうなーとやたら楽しげな野木。先には川村への意趣返しに彼女と須藤をくっつけようと煽っていたのに。
内心須藤に彼女ができるのは、さらに気にくわない事態なんでしょうねえ。
野木が出てゆくのを見送る須藤のふくれっつらがえらく可愛いです。

・自転車の前でハイテンションで足をばたつかせながら言葉以前の奇声を発する須藤。その後のバンザイ三唱以上に心底の喜びっぷりが伝わってきました。
こういうとこ、須藤は格好悪いけど可愛いんですよねえ。

 

最終章

・「僕の妄想はもう妄想ではない。現実になってるんだ」。いや妄想だから(笑)。
それにしても彼女が別れ話のもつれで川村に殴られてるところを妄想して、本気で助けに向かってしまう須藤は妄想と現実の境目を見失ってるわけで・・・考えてみると一歩間違えばサイコホラーにもなりうる題材ですねこの話。

・川村のハーレーを追ってママチャリを方向転換させる須藤の意外と敏捷な動き。たしかに「今の僕はかっこいい」かも。
店に到着して自転車を普通に止めずにことさら倒してゆくのも、急いでたからというよりカッコ付けの一環のように思えます。

・川村に殴られる野木の情けなさ過ぎる弱っちさ。ポルシェさんこの作品がほとんど初演技とは思えません。
しかし須藤は無視で野木のみポコったのは、「白い女」からあのビデオは野木が押し付けた(須藤はむしろ別のを勧めてた)と聞いてたからか。単に須藤が不在だったからか。
「あの人たちが勧めたの」という野木引用による彼女の台詞からだと後者っぽいです。須藤は悪くないんだけどなあ。

・「ウンコ」を連呼するナレーション。おいおいおい(笑)。
このシーンといい、「もうパンパンだ」のあたりといい、どんな顔してナレーションしてたのやら。

・怪我に構わず野木に事情を話せと迫る須藤。
このシーンに限らないですが、高めの声と「これがなんなの?」のような子供っぽいしゃべり方のせいで、須藤は設定年齢(25歳)よりずいぶん少年ぽく初々しい印象があります。
撮影当時勝地くんはまだ19歳なので設定年齢より若く見えるのは当然なんですが、苦労してないぶん精神的に幼い今どきの若者って感じで、むしろその初々しさがはまってます。

・「濃厚ホイッププリン」のPOP、なぜにラーメンマン(笑)。

・賞味期限切れもしくは期限切れ近いプリンをあげた程度で「いつかやらしてくれる」と期待するコンビニ店員たち。この物語に出てくる男は川村以外みんな妄想屋ばかりか。

・なぜか須藤たちは川村の家を知っている。全然仲良くないのに。そして勇ましく川村の家に行ってからの格好悪さはさすがです。

・須藤と野木が妄想する「白い女」と川村の情事。こんなところでこけし再登場。
正直なところ原作を読んだとき、須藤が彼女に幻滅したのはつまるところ彼女がキャバ嬢なのが原因ぽいのがちょっと引っかかったのです(キャバ嬢の何が悪いのだ)。
まあ初心な青年としては抵抗あっても仕方ない(むしろ自然)かも、でも男としての器量は川村の方が断然上だねー、などと思ってたんですが、DVDだと「白い女」と川村のセックス現場を押さえた(と思いこんだ)ことで、彼女が自分に気がないとはっきりわかって妄想が破れた、という感じになってたのでそこは納得。

・川村宅に乗り込んで「来年30なんぞ、しかも童貞なんだ!」と意味不明な暴露を始める野木。
これ実は須藤の妄想なので、須藤の中の野木イメージがこうなんですよね。ひどいなあ(笑)。

・いきなり柄悪く「白い女」を罵倒する須藤。でも微妙に敬語で一人称は「僕」(笑)。
「全然可愛くねえから!」と語尾の「ら」が巻き舌になり、「このブサイクがあ!」のくだりは一音ずつスタッカートのような発音。これじゃヤンキー通り越して長距離トラックのおっちゃんみたいだよ須藤くん。
「白いからってなあ、調子のってんじゃねえぞこの野郎!」は野木なみに意味不明だし。
思い切りすごんでるようでいて、わざとツッコミどころ満載のユーモラスな感じに仕上げている。話の展開上、直後の「白い女」を迫力で上回っちゃまずいですもんね。

・「白い女」豹変。うわあド迫力。力ない笑いをうかべながら「すみません・・・」とつぶやく須藤。妄想の中でさえ勝てないのか・・・。

・「白い女は黒い女になった」のナレーションとともに思い出の中の彼女の笑顔がブラックな表情に塗り替えられてゆく(この一連の表情が実に良い)。
まあ実際の彼女は白くも黒くもない普通の女の子だと思うんですよ。須藤に対する思わせぶりな態度も、場の雰囲気をなるべく居心地よくする工夫+仕事の癖ってだけで、悪意あってもてない男をからかったわけじゃないのでは。
メイキングで真唯ちゃんも 「「白い女」ってどんな人?」との質問に「全部良かれと思ってやってる」と答えてますし。

・何もしないまま慌てて逃げ出す二人。しかも結局ハーレーを100円玉で傷つけるだけという・・・。
100円玉でギーッてやってる時の二人、とくに須藤が妙にいい笑顔をしている。ああ小さいなあ。

・並んで座って笑いあい、やがて嗚咽する二人。これもまた青春か。一部のモテ男以外の男たちの青春とはこうしたものなのかも。
この時バックに「なぜだか僕はその時こう思った。こいつとずっと付き合っていこうと。・・・たぶん。」というナレーションが入るのですが、勝地くん自身は『TV Bros』でのポルシェさんとの対談で「その後もずっと親友だったわけではないと思うんです。青春のイチ期間だけの関係っていうのがまたいいなあって」と、この時の須藤の気持ちは一過性のもの、という見解を語ってます。
実際『ソウルトレイン』原作のあとがきによると、まこちん先生と野木のモデルになった先輩とはいつしか音信不通になってしまったそうなので、それを思うと「刹那の友情」が何だか胸に沁みてきます。

・「白い女」に恋して以来マシになっていた須藤の寝ぐせが復活している。
この須藤の寝ぐせ設定ですが、「イケてない」「ダメー」な感じを出すのに無精髭とかでなく寝ぐせをもってきてくれたのに、勝地くんファンとして感謝(笑)。

・写真撮影。妄想のプリクラで「白い女」がいた位置に野木がはまりこむ。恋は破れ友情が残ったことが端的に示されている。

・水着アイドルのグラビアを見ながら、ビキニの端のあたりを指ではがすような動作をする須藤。こらこらっ(笑)。

・『ソウルトレイン』のアピール写真、二人の手には友情の証?の100円玉。実に無駄のない綺麗なオチ。
すっかり元通りのグダグダ生活に戻ってしまった、こんな二人の青春はもうしばらくは続きそうです。オープニングと同じ音楽、同じレコードが回転する映像はその象徴ですね。

 

p.s. 上記の感想文を書くため『ソウルトレイン』を見返していた11月半ばごろ、当の勝地くんは蜷川幸雄演出の舞台『カリギュラ』に出演中でした。
観劇された方の感想を見るに勝地くん演じるところの詩人シピオンは、「圧倒的な透明感」「壊れそうなほどに繊細」「儚げで美しい」――。
こうした感想を読んだ後に『ソウルトレイン』を見るとあまりのギャップに笑いが止まらない。ちょっとちょっとシピオン!
彼の役の振り幅の大きさを改めて痛感し、顔で大笑いして心で感じ入ったものでありました。


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『SOUL TRAIN』(2)-3(注・ネタバレしてます)

2007-12-15 01:48:51 | SOUL TRAIN
第6章

・何とか「白い女」方向に話を誘導しようとする須藤のナレーションが腹黒い(笑)。勝地くんもこの腹黒いところが面白いっていってましたね。
しかしさりげなく言える状況を作ろうと丸一章分腐心する流れが可笑しすぎる。ストレートに言やあいいものを。

・立て板に水のごときナレーションは超早口なのに内容がしっかり聞き取れる。
滑舌の良くない俳優さんならこのナレーションは成り立たないわけで、勝地くんを須藤役に起用した効用がこんなところに。

・「うわー、なにそれ?ハズカシー!」って口調がまるで女子高生のようで(笑)。「いや、そんなにこの男が賢いわけがない」とかさらっとひどい事考えてるし。

・「恋をしてる童貞としていない童貞」って勝手に野木も童貞認定してますが、ちゃんと根拠あるんですかね。
野木の性格上自分から打ち明けたりしなさそうなので、単なる須藤くんの想像か?

・自分を奮い立たせようとする「行け行けっ」ってちょっとかすれた声の必死さも、少し後の「すみませんすみません」の弱弱しいようでいてなんか誇らしげな響きも、感情の乗せ方が絶妙。反応なさすぎる野木に対する「死んだ?」も笑ってしまった。

・「俺、メロンて苦手なんだよね」から「野木は故障したようだ」の流れが笑えるやら緊迫感に満ちているやら。

 

第7章

・須藤妄想ビジョン。「もう教えない」でふくれる「白い女」がキュートです。

・27時間前の話題にいきなり「え?」と返事を返すとは。いつもいきなりな野木とはいえ、相当にショックが強かったんでしょうね。

・「すまんな須藤君」は怪人二十面相のごとく、「問題は川村や」はヤクザ映画のごとく。「あいつはな、ここソウルトレインのガンなんだよ」って川村くんが一体何をした(笑)。

・野木の語る須藤と「白い女」をくっつける計画。これは単なるハッタリとあとでわかりますが、27時間このネタを考えてたのかな・・・。

 

第8章

・再びリストラ親父登場。ちょっと心温まるいいシーン。このブロンソンに関する薀蓄は全部田口さんのアドリブというからすごい。びくびく引きつる表情も含めまさに怪演。
しかし「毎回話聞いてくれて」って何回このオヤジにつかまってるんだ須藤。

・リストラ親父の「君ってモテるでしょ」に気をよくしたか、須藤は一人プリクラを。
この写真、実にいい表情で笑ってるんですよね。日頃からおどおどしないでこのくらいさわやかな笑顔をふりまいてたら、きっと本当にモテるようになるよ・・・。

・「バイトの帰りにここ通るんですけど」 彼女が深夜の仕事をしてるのがこの時点で明かされていて、「実はキャバ嬢」の伏線になっている。

・ゲームの画面に向かって一人バカバカ言い続ける野木。ちょっと鬼気迫るものがあるかも。

第9章

・「昨日の彼女の行動、映画の中で恋に落ちていく女性のそれに限りなく類似している」。
第5章での「J-POPの詩の中にこの気持ちの答えがありそうな気がした」もそうですが、映画や音楽の中にしか比較例を見つけられないのが、いかに実生活で恋愛にうといかを浮き彫りにしている。
独白なのにかかわらず妙に説明的なのも笑いを誘う。

・再びソウルトレインにやってくる「白い女」。
昨日と服が同じなのが、これが須藤の妄想だという伏線(若い女の子が二日連続で全く同じ服装ということはまずない)になっている。しかし予知夢なみに正確な妄想だこと。

・イチジクと手だけが出てくるしょーもないビデオ『マルキン』。
『TV Bros』2006年12月23日-1月8日号で勝地くんが語ったところによると、「あの卑猥なビデオ、プロデューサーがイチジク2パック使って撮ったものなんですよ(笑)。」だそう。
いかにも低予算低レベルっぽいこのAV?、ダメーな感じのビデオ屋に実にフィットしている。

・「女の子にやさしい、よくわからない映画」という表現が笑える。勝地くんお気に入りの『The World of GOLDEN EGGS』あたりいかがですか?
彼女が須藤のお勧めの方を持っていってれば彼の甘い妄想はもうしばらく続いたものを。

・野木が彼女に『マルキン』を勧めたときの「邪魔しないでよ」と言いたげな須藤の顔、彼女に『マルキン』を押し付けようとする野木の有無を言わさぬ笑顔がどちらもいい味です。

・プリンを渡して去ってゆく「白い女」を見送る須藤の表情が・・・。なんつー締まりのない顔してるんだ君は(笑)。
くにゃくにゃ腰砕けな動きといい・・・名優ですよほんと。

・「ハーレー乗ってんだから女くらい殴って当たり前だ」。 
野木の暴論の中でも最高クラスの一つ。この作品ほとんど野木語録が作れそうな勢いです。

・妄想のキスシーン。超へっぴり腰なのに大爆笑。
これほど格好悪いキスシーンを見たのは初めてです(笑)。妄想の中でくらいもうちょっとビシッと決めて見せんかい。

(つづく)


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『SOUL TRAIN』(2)-2(注・ネタバレしてます)

2007-12-11 02:02:46 | SOUL TRAIN
第3章

・妄想ビジョンによる「僕の時間、川村の時間」。二人ともなぜあのポージング。とくに川村(笑)。

・野木の話の振り方は例によって唐突にして過激。そしてその展開を完璧に読んでいる須藤。これって名コンビ?

・昨夜の「白い女」登場を川村が仕掛けたドッキリじゃないかという野木。
しかし見知らぬ女(しかも可愛い)がいきなり入ってきたら「驚く」のはわかるが、「どうにもこうにもならなくなる」ってのはどうなのか(笑)。いかに自分たちが女に免疫がないか告白してるようなもんだよなあ。

・ハーレーに傷をつけられた場合の川村の反応を野木が想像するのだが・・・何そのハードボイルド。
この場面に限らないが、野木の妄想力は断然須藤を上まわってる気がする。

・不気味に笑いながらデータの自爆テロに走る野木。わけわからん事で一人暴走し一人冷静に返る野木といいように振り回されっぱなしの須藤のあわて方が可笑しい。
多くがこの二人の会話劇と言ってよいこの作品、表情から声のトーンに至るまでの二人のキャラの立ち方が物語を支えている。「支えている」という表現の芯の通った響きがおよそ似合わない作品ですが(笑)。

・「ゲームつけっぱなしでこいつらずっとセックスしてたんじゃねえの!?」 発言の根拠が全くわからない(笑)。
「わざわざセーブする?」という須藤の疑問に対する「ゲームをセーブすることだけは忘れてねえんだよ」という回答も無理やりすぎて。

・「僕は少し怖くなった。黒い妄想がどんどんとエスカレートしてゆく自分に」のナレーションを受けて、妄想の中で「白い女」にこけしでせまる須藤がどんどんアップになりそのまま暗転。なるほど黒い。

 

第4章

・カウンターで化粧するおばちゃん(浅見千代子さん)。ほとんど台詞もないのに、パーマヘアと無表情の白い顔は大仏様のごときインパクト。

・川村に話しかける須藤の声の小さいこと。そして「すみません」を連発するキョドりっぷり。本人も認めるとおり、男として、というか人として何かもう最初から完全に負けている。
長身痩躯のモデル体型な川村と並ぶと須藤がいかにももっさりと冴えなく見えてくる。
公式サイトの壁紙でメインキャスト4人で並んでいるところや、セルDVDのメイキングでじゃれあってる時には全然見劣りしないのに。
以前こちらでも書きましたが、メイクや衣装は同じでも中の人格次第で別人のように違って見える勝地くんに改めて感心したものでした。

・エプロンをつける須藤。左右のひもが捻じれてますが、これはキャラ演出としてわざとやってるんでしょうね。
メイキングで「わざと服がよれるようにリュックしょったりしてる」(概要)と語ってましたし。

・川村は一応一つ年上の須藤にそれは横柄。野木は川村が彼女を使って自分たちにドッキリを仕掛けたと勘ぐってたけど、ドッキリ仕掛ける以前に彼らのことなど全く眼中になさそうだ。
しかし何故彼女を連れてくるかな。「白い女」だって須藤とバックルームに二人きりになる時間があるんじゃ気詰まりだろうに。それだけ一緒にいたいってことですかね。

・ほぼ初対面の女の子に持ち出す話題が「ガンダム好きですか」→「ザクってわかります?」。
前回、須藤・野木はいわゆるオタクじゃないと書いたんですが、とっさにガンダムしか出ないあたりやっぱり微オタですかね(笑)。まあ美少女アニメのネタを振らなかっただけマシというものでしょうか。

・妄想の中でソファに押し倒した?「白い女」に迫る須藤が「マジでヤリたそうな顔」をしていてちょっとドキッとした。一種色っぽいというかエロいというか。
通常勝地くんが演じる役は本人の人間性を反映してか、時に透明な少年の色気、稀に男の色気を感じさせはしても決していやらしくはならない。
しかし『ソウルトレイン』では、その透明感やさわやかさがぎりぎりまで抑えられていて、結果須藤くんには他の役では見られなかったたぐいのエロティシズム―ムッツリスケベ感が備わったように思います。
ちなみに2007年夏の舞台『犬顔家の一族の陰謀』で演じたさわやか少年・野見山玉男も根は結構なエロガキでしたが、玉男の場合「さわやかじゃないことがしたーい!」と晴れやかに叫んでしまうほどにさわやかなスケベだったので、ムッツリ感もエロティシズムも全然でした。

・須藤に笑顔で話しかけてくる「白い女」のカットは、距離感からすると須藤の目線で撮られている。
ゆえに彼女の仕草のいちいちや襟足、スカートから伸びる足などを舐めるような映像の流れが何やらエロ。

・「会話のボールがピンポン玉のような軽やかさとスピードで跳ねていた!」 
単に盛り上げ上手な彼女の言葉に「そうっすね」とドモり気味にうなづいてるだけなのだが。これでも女性と話した中で最も中身のある会話なんだな・・・。

・落とした飴を拾う「白い女」を見つめる須藤のナレーション。切れ切れな言葉の羅列→喘ぎ→「ダメだ。もうパンパンだ~」という流れがエロ全開。声がかすれ気味なのも何だか色っぽい。
その直後机に頭をぶつけてうめくところや「ちょっとコンビニ言ってきます」という台詞のトーンに表れた必死さ・・・。一連の情けない演技に、改めて「上手いなあ」と思ったものでした。

・カウンターで川村がなんと洋書を読んでいる。意外にインテリ。
しかもイケメンでスタイル抜群でハーレー乗ってて喧嘩も強い――これで金回りがよかったら無敵ですね。

・コンビニの立ち読みシーンで原作者の石原まこちん先生が登場。まこちん先生曰く須藤を演じる勝地くんを見て「(顔の造作は)全く違うのに、『オレがいる』と感じた」そうです。

・憑かれたように話し続けるリストラ親父(田口トモロヲさん)。目付きといい突然激昂するところといい実にヤバそうな感じ。
わけわからん薀蓄につきあわされる須藤とバックルームで楽しげに話す二人のコントラストが楽しいというか悲しいというか。

 

第5章

・前章のエロモードから一転して純情路線に妄想が転換。
しかし自分で押し倒して?おいて「自分を大切にしてほしい」もないもんだ。台詞のいかにもな陳腐さも須藤らしいというか。

・「名前は美穂」に始まるやたら具体的かつ清純な妄想。妄想ビジョンの全てにソフトフォーカスがかかってるあたりが夢心地。

・原作ではこの第5章に相当するあたりから何度か須藤の家庭が登場するのですが、DVDではそこの部分―「親不孝息子・須藤」をすっぱり切って、「ダメーなフリーター・須藤」にキャラの見せ方を限定している。
それもまた原作より湿り気のない、ポップな青春ムービーに仕上げるうえで大きかったように思います。

・自転車でソウルトレインに向かう場面はバックルームの「白い女」同様須藤目線で撮られている。恋する男の目に映る街はいつもより輝いている?

(つづく)


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『SOUL TRAIN』(2)-1(注・ネタバレしてます)

2007-12-07 02:14:31 | SOUL TRAIN
第1章

・棒読みに近い淡々としたナレーションは、「白い女」(高橋真唯ちゃん)登場以降、急速にテンションが上がってゆく。このへんの緩急のつけ方はさすが。

・バックルームでゲームに興じる須藤と野木(掟ポルシェさん)の顔のドアップ。
この場面以外でも『ソウルトレイン』は超アップを多用している。第6章などとくに。
これだけ顔のドアップが連続する作品もなかなかないのでは?撮られる側も結構勇気を要しそうです。
ナレーション言うところの「むさくるしいバックルーム」感がよく出ています。

・須藤は自分ではゲームをやらない(やっている場面がない)のにやたら攻略法に詳しい。
家でやりこんでるってことなんでしょうが、ゲームにはまってるからというより、他にやること、やりたいことがないからだらだらゲームしてる感じなんだろうと想像されます。
須藤も野木も外見はオタク的(ビジュアルに無頓着)ですが、何かに一点集中しているオタク特有の熱さは感じられない。
ぬるーい日々を送っている彼らだからこそ、須藤が熱くなれる対象=「白い女」を見出したときに物語が動き出してゆく。

・大井町の姉妹店の「イケメン従業員がタラタラしてる」と文句を垂れる野木。バックルームでゲームを(現在進行形で)しているあなたが言えることでは・・・(笑)。

・「ここで時間をつぶせば1時間900円もらえるのだから」 東京・深夜のバイトなのに時給安っ!まあこれだけ仕事してなければ妥当な気はしますが。

・「SOUL TRAIN」と書かれたレコード盤が回転するタイトルバック。
「ソウルトレイン」というタイトル(店名)がおそらく70年代の音楽番組「ソウルトレイン」から取られている(もしくはジョン・コルトレーンのアルバム『ソウルトレーン(SOUL TRANE)』?)のをふまえたのでしょう。
ダルそうなコーラス+メロディラインのBGMも作品の雰囲気を象徴している。

・ホモカップル登場。「たまに客は来る」というそっけないナレーションが妙にツボ。
この二人、ペアルックと何かと見交わす視線だけでさりげなくアヤしい感じを醸しだしてるのがさすが。
画面からは見切れてますが、メイキングを見ると、カップルの一人(山崎樹範さん)がもう一人(家城啓之さん)のバッグから会員証を取り出すところが写っています。ますますアヤしい(笑)。

・「おまえここのバイトで殺したいやつとかいる?」 いきなりすぎる野木の言葉に笑う。
「あんな奴眼中にねえ」といったそばから川村(黄川田将也くん)の悪口をまくしたてるところや、「殺す」「ブッ殺す」の説明といい、野木キャラ全開。
このあたりの野木の台詞はポルシェさんのアドリブかと思ったんですが、原作見返すとほぼその通りの台詞なんですね。全身で野木を体現してるかのようなポルシェさんのはまりっぷりを実感。

・「川村は(中略)いわゆるイケメンだからだ。っていう僕もそうなのだが」のくだりで、一瞬「須藤は自分をイケメンだと思ってるのか?」と勘違いしてしまった。
須藤の容姿が原作通り(毒舌の野木に「不潔っつーか、ハックルベリーみたいな面構え」と言われてるくらいで具体的描写はないが、「我ながら目を背けたくなる・・・」ともあるので、どう考えてもハンサムではありえない)ならまず誤解しえないんですが、実写の須藤くんは「元」が良いのでつい(笑)。

・あまり人の悪口を表立っては言いたがらない(優しいからというより気弱さのゆえに)いい子ちゃんキャラの須藤と毒舌調の野木が仲が良いのは不思議みたいですが、ダメ同士でコンプレックスを刺激されないからでしょうね。
お互い内心では「こいつには勝ってる」と思ってそう。

・「でも川村くんの彼女って管野美穂そっくりらしいっすよ」 まったく意味をなさない反論が可笑しい(須藤自身もツッこんでるし)。実際それで野木も黙るし。
こういうしょうもない会話の流れがリアルで、ダメーな感じの若者たちのダメーな青春を生々しく伝えてくる。

 

第2章

・店長=グッチョ(田中要次さん)に新作をもっと入れるよう進言する時の、須藤の不安げな視線の揺れとおどおどした笑顔がナイス。須藤のキャラがわかりやすく出ている。

・「君たちさあ、ホモなの?」 グッチョの凶悪な笑顔がコワイ。
そして「えっ?」って顔になってる須藤の目がキラキラしてて綺麗。須藤は基本的に光のない黒ベタな目の印象が強いのですが、時に見せる澄んだ目の色はやっぱり勝地くんだなあ、とちょっとホッとしたり。

・グッチョが帰ったことを確認した野木が須藤の後ろでドアを閉め電気を消す。「ホモなの?」会話の直後だけに、一瞬ヤバいものを感じてしまった(笑)。
それを狙った演出ですよね。

・「AV観るとき電気消すだろ」の発言からすると、二人一緒にAVを観るのは初めてのよう。確かにいつもゲームばかりだもんなあ。
この日に限りゲームをしないのはプレステが持ち出されたからだと後で明かされますが、「ゲームがなきゃAV」というのが・・・。他にすることないのかと。

・須藤、野木の間をカメラが行き来するときにしばしば(特に須藤寄りに)おっぱいおもちゃがたびたび写りこむ。
こういう小道具も「いかにもありそうな感じの部屋」を演出している。

・「40つったら貯金億は欲しいよな」。 
これ原作では40歳ではなく29歳(原作でのグッチョの年齢)、しかも野木は28歳設定なので一年で億貯められる気でいるわけだ(具体的な当ては皆無)。
映画では現在29歳だから一応11年の猶予があるわけで、ちょっとは数字にリアリティが出たようでもある。ちょっとだけだけど。

・オレンジのピンポン玉を転がす野木の手のアップ。
原作では「へこましたり、戻したり」してるものを「転がす」に変えただけで妙にエロに。AVから流れる嬌声とおっぱいおもちゃも相乗効果。

・「白い女」登場。真唯ちゃんは本当にちょっと管野美穂さんに似ている。
それもあってのキャスティングでしょうが、雰囲気や細かな媚態に溢れた挙措もまさに「白い女」でした。ハマリ役だなあ。この作品本当にキャストにハズレがない。

・「そして白い」→「彼女は白い女」というナレーション=思考の流れが意味不明(笑)。「白い女」というネーミングもセンスもあるんだかないんだか。

・「管野美穂とか加藤あいとかそっち系」。 この数ヶ月後にリアル加藤あいさんと『ハケンの品格』で共演(しかも彼女に片思いする役で)してるのを思うと、何か感慨深いなあ・・・。
『POTATO』2007年3月号によると、久々の連ドラの現場で上がりまくってた勝地くんが周囲に馴染むきっかけを作ってくれたのも加藤さんだったらしいですしね。

・須藤の妄想ビジョン発動。「おしゃれな紙袋」というボキャブラリー、「何かおしゃれなやつ」と続けるあたりのダサさがいかにも須藤らしい。

・「白い女」が紙袋の中から取り出したのはこけし。AV見てるときは特に鼻の下伸ばす風でもなかった(でも静かにガン見)須藤ですが、内心は結構なムッツリスケベのようで。
妄想ワールドに繰り返し登場するこのこけし、原作を読み返したら出てなかったのに驚いた。インパクト強すぎてつい原作から存在してたような気になっていた。
ちなみに後にこのこけしは希望者に抽選でプレゼントされました(笑)。

・「白い女」は川村の彼女と知った男二人は、「ていうか、ブスじゃね?」「まあ、大したこと、ないよね」。いじましいよ君たち。

(つづく)


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『SOUL TRAIN』(1)-2

2007-12-04 01:30:14 | SOUL TRAIN
勝地くん以外のキャスティングも実に秀逸。まず須藤の先輩・野木を演じた掟ポルシェさん。
この作品で初めて知った方だったのでいっさい先入観がなかったせいもあるのかもしれませんが、それにしてもビジュアルも雰囲気も話し方も、全てが原作の野木そのままだった。というよりポルシェさんの野木の印象が強すぎて、原作を読んださいの野木イメージがすっかり「ポルシェ色」に塗り替えられてしまった感じです。
なもんで、素のポルシェさんもああいう人のような気になってしまってるんですが、実際どうなんでしょうね。
『ソウルトレイン』がらみの一連のインタビューを読むかぎりでは、大枠では野木のイメージを裏切られませんでした(そう言われてご本人が喜ぶかは微妙ですが)。
ただ『ピクトアップ』でのインタビューには芯に一本筋の通った人柄を感じて、以来密かに尊敬の念を覚えたりしています。 

「白い女」を演じた高橋真唯さん。
「白い女」はコンビニの店員たちに「マジエロイ」と言われるだけのコケティッシュな色香と須藤の白い幻想の対象足りうるだけの清純さを合わせ持たねばならない、なかなか難易度の高い役柄。それを真唯ちゃんはしっかり自分のものにしていました。
ラスト付近の「黒い女」への変貌シーンもお見事でした。 

川村役の黄川田将也くん。勝地くんも出演していた『バトルロワイアルⅡ』で名前を知った俳優さん。
黄川田くん自身もメイキングで語っていたように、川村という役は「クールで嫌味なイケメン」という表層しか描かれていない。
実際の川村がどんな男なのかほとんど手掛かりがなく、須藤目線のストーリー展開上細かい役作りはかえって邪魔になってしまう。
これまた難しい役柄だったことと思いますが、さらっとごく自然に演じていたのはさすがでした。
メイキングで、単に仲が良いというだけでなく、何かと勝地くんを主役として立ててくれているのにも人柄を感じたものです。 

その他の脇のキャラクターも田中要次さん、田口トモロヲさん、蛭子能収さんなどなど、見事に癖者揃いのキャスティング。短い出演時間の中で実に濃い存在感を作品に焼き付けていました。
しかし実はこの作品一番の「癖者」は勝地くんだったんじゃないだろうか。これだけの個性派キャストの中で、正統派俳優である彼が主役を張っていることがある意味最大の見所というか。
勝地くんも『ピクトアップ』のインタビューで言って(答えて)ましたが、須藤は主役でありながら、そして彼の妄想を機軸に物語が展開してゆくにもかかわらず、受けの芝居が中心なのですよね。
野木のまくしたてる暴論&突発的怪行動に翻弄され、店にやってくるヘンな客たちに振り回され・・・。自身は強い個性を示すことなく、周囲の個性を受けて月のように静かに輝く、そんな感じでしょうか。 

そして最後に監督の三浦大輔さん。「劇団ポツドール」を主宰されている、本来演劇界の方であり、『ソウルトレイン』は初めて手がけた映像作品だったそう。
須藤の家庭関連のエピソードを全部切ったり川村の家に殴り込ませたり、原作の改変具合が実に絶妙でした。
とくにこけしに代表されるエロ要素を多分に追加しつつも、淫靡にならずシュールなポップ感覚に結び付けているあたり。
メイキングで勝地くんが「(監督は)天才ですね。」と言っていたのが頷けます。 

この作品、DVDレンタル開始に先がけ、10月~11月にかけて「yahoo!動画」で全11話が数話ずつ配信されましたが、そのうちテレビ地上派の深夜枠なんかで1話ずつ放送したりすると面白いんじゃないかな。
個性派揃いのキャストと妄想まみれのゆるいストーリーでマニアックに受けそうな気が。
1話ごとの長さがバラバラなのがネックですが、それもまた『ソウルトレイン』らしいゆるさってことで。


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『SOUL TRAIN』(1)-1

2007-11-30 01:39:11 | SOUL TRAIN
2006年12月22日レンタル開始、2007年1月26日発売のDVDドラマ。
事務所公式のメッセージで7月初め頃に告知されたこの作品、「今までにない【勝地涼】」という表現に、これまで幅広い役柄を演じてきた勝地くんだけに「今までにないってどんな役なんだろう?」と考えこんだものです。
当時ファンの方たちのブログでも様々な予想がなされていた記憶があります。
(セットにカンヅメ状態での撮影らしい様子から「シチュエーションコメディではないか」と推測された方の慧眼には後々感心したものでした)

その後9月になって『SOUL TRAIN』というタイトルが発表になり、作品の公式サイトもオープン。
原作は『THE 3名様』で知られる漫画家・石原まこちん先生初の自伝的小説と知って、さっそくに読んでみました。
読んでの感想は・・・おそらくは勝地くんファンの多くが思ったことでしょうが、なぜこの役を勝地くんに振った?フリーター、27歳(DVDでは25歳設定)、童貞、不細工(推定)・・・一つも勝地くんとかぶるところがない(笑)。

同じくアット・ムービー社が製作したDVDドラマ『THE 3名様』も塚本高史くん、佐藤隆太くん、岡田義徳くんの男前3人組(原作はあの絵柄なので断言はできませんが3人ともまず男前ではないだろう)での映像化でした。
原作のイメージ通りのキャスティングだと映像にした時におそらくもっと地味で暗い感じの、マイナー系の作品になっていたろうところを、ストーリーやキャラ配置は基本原作通りでも演じ手にイケメン俳優たちをもってくることで、ポップなお洒落感が加わってより多くの層に受け入れられ、ヒットシリーズになりえたのでしょう。
もともと仲良し&そろって原作ファンの3人が持ち込んだ企画だけに(詳しくはこちら参照)、製作側の計算に拠らずたまたまそうなったのかもしれませんが。
この『3名様』の成功を受けて、『ソウルトレイン』製作に際してこれまた原作より数段男前の勝地くんを主人公須藤役に持ってきたんだろうなーとか想像したものでした。

それにしても勝地くんにとっては、「2006年は挑戦の年」だったと本人が語っていた通りに多分に冒険的な役柄でもあったのでは。
勝地くんは多彩な役をこなせる役者さんですが、どの役をとっても芯に凛としたものがあった気がします(『1980』あたりは微妙かな?)。
しかし須藤というキャラは原作の描写からすればいわゆる「キモい」タイプのダメダメな男子なわけで、凛としていては役として成立しない。須藤を演じるにあたってはその凛としたもの、彼の持ち味である爽やかさをできる限りセーブする必要がある。
まさに「今までにない【勝地涼】」だったわけですね。

けれど一方で、本気でキモくなってしまっては本末転倒というか勝地くんをキャスティングした意味もない。
爽やかさを制限しつつもぎりぎりキモくなりきらない寸止め状態に持っていけたのは彼独特の透明感とそれをある程度コントロールしうる演技力あればこそだと思います。

またビジュアル的な利点も大きかった。たとえばここで共演している黄川田将也くんが須藤を演じたとしたら、いかに演技力でカバーしようと顔もスタイルも格好良すぎて説得力がなかったでしょう。
勝地くんは確かに美形なんですがアクの強い顔立ちではないので、あの印象的な目力を封印してしまうと比較的小柄な体型もあいまって意外なほど目立たなくなる。
だからそこに須藤特有のダサいファッションや猫背もプラスして、「元は悪くないんだから磨けば光りそうなのに・・・」という男の子像を作り上げることができたのだろうと思ったものでした。

(つづく)


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