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俳優・勝地涼くんのこと。

『ちょっと待って、神様』(2)-4(注・ネタバレしてます)

2007-04-07 23:04:52 | ちょっと待って、神様
〈第16回〉

・必死に竜子/秋日子のもとを目指して走るお父さんを見つめての霊体秋日子のナレーション「あなたのためにこんなに一生懸命走ってくれる人がここに一人いるのだから」はフランクリンを取り戻すべくゴミ収集車を追いかける竜子を見つつ、「あんなに必死に何かを追いかけることが私にもあるだろうか」と自問する場面と対になっている。
しかし茂多くんたちが竜子を成仏させようとしてるときに、体に戻るべき秋日子がこんな離れた場所にいていいんだろうか?

〈第17回〉

・カウントダウンの途中で茂多くんの部屋に飛び込んでくるお父さん。
飾りつけはパーティー風だが、三人手を繋ぐ姿はほとんど降霊会。お父さんは何の集まりだと思っただろうか。

・原田さんの告白に対して、自分が今もおそらくはこれからもずっと、死んだ妻を思い続けて忘れることはない、と断りを入れるお父さん。
意外にさっぱり引き下がった原田さんは口調は明るく口元も微笑んでいたが、大きな目が涙でうるんでいる。
立ち上がったあと振り返ることなく足早に走り去ったのはきっと涙を見せたくなかったからだろう・・・。

・竜子が夫からこうも愛されていたと知って、「自分の代わりにおばさんが生きればいい」と言う秋日子を、竜子は「こんなに長いことあたしといっしょにいてまだわかんないの?どんなに人生が素晴らしいか。どんなにぎゅうぎゅう中身が詰まってるか」と諭す。
死んだ当初「こんな人生じゃ全然納得いかない」と神様に訴え、娘からは「お母さんみたいにはなりたくない」とまで言われた竜子が、今は人生の勝利者の顔をしている。
人の値打ちは優れた業績を打ち立てるとかそんなことばかりじゃないのだと教えてくれる場面。

・「あなたも自分の人生生きてみなさい。いろんなことやってみなさい。恋もしなさい。結婚もしなさい。できたら子供も作りなさい。やれることはなんでもやってみなさい。人生どんな味がするものか、苦いもの、甘いもの、しょっぱいもの、せいいっぱい味わってみなさい。生きていて損することなんか何ひとつない。」 
良い事も悪い事も含めさまざまな経験を積んで、泣いて笑って苦しんで悩んで、そうして人生も感性も豊かになってゆく。このドラマの中で一番好きな、一番重かった台詞です。
最近勝地くんがインタビューで、「二十年間生きてきて、その間にあった事を覚えてはいるものの、ちゃんと自分の引き出しに出来ていない、それが僕が今全然足りないところなんだとすごく痛感しています。もっと日常でいろんな事を感じ取ってそのことをちゃんと記憶として残していかないと」(「エンタメキャッチ」2007年1月21日放映分、概要)と話していたのを聞いて、この台詞が強く思い出されました。 

〈第18回〉

・お父さんと竜子/秋日子が思わず抱き合うところで、いきなり春夫が現れるという流れに笑う。ちょっとしたホラー作品のような怖さ。
最終回手前まで竜子がお父さんの前にも関わらず秋日子の姿を保っていたのは、来るべき別れをこれ以上辛くしないために気合いを入れて竜子の顔にならないようしてたんでしょうね・・・。

・お父さんと竜子/秋日子の関係を疑う春夫は、相手が女子高生ということでなく、「死んでから一ヶ月しか経たないのに、おふくろが可哀想だ」という観点から怒っている。
今まで母親を悪し様に言ってきた春夫の言葉だけにぐっとくる。
「ありがとう」と竜子/秋日子が応える本当の意味が彼には理解しようもないのがまた切ない。

〈第19回〉

・石の上から海に落ちた竜子/秋日子を助けに飛び込む春夫。あの程度の深さにあの飛び込み方は頭打ちそうで怖い(笑)。

・「今はまだ泣けない」。そう言いながら声を詰まらせ鼻をすする春夫。彼の一番の見せ場ではないかと思います。

・記念撮影から海辺を歩くシーンにかけて、いつもは(霊体の)秋日子によるナレーションが竜子(秋日子ボイス)のナレーションになっている。
家族一人一人への別れを込めた場面だからこそですね。

〈最終回〉

・海辺で本来の姿をとった竜子に出会うお父さん。強引に竜子を抱きしめ・・・えええ!? 
「冥土の土産」って!? 「言葉もいらない、見つめ交わす目もいらない」のはどうなった!?

・自分のことを、子供たちと話すときは「お父さん」、よその人と話すときは「私」という久留さんが竜子に対しては「俺」と話すのが新鮮で、お父さんがにわかに「男性」に見えてしまった。眼鏡を外した顔も二枚目だ。

・自分の体に戻ることへの不安を訴える秋日子の口調がリサと変わらないほどに幼くて、竜子の前では「娘」になってしまうんだなあ、としみじみ。

・「人生ってほんと素晴らしい。だからお父さん、あたしのために人生狭くしないで」。
台詞の内容もピン子さんの演技も素晴らしいが、それ以上にボキャブラリー、表現そのものの美しさにぐっときてしまった。
この作品にはこうした魅力的なフレーズが多い。「(人生が)どんなにぎゅうぎゅう中身が詰まってるか」「今お母さんにありがとうって言いたいよ」「あの子のこと、大目に見てやっていただけないでしょうか」などなど。
特別詩的ではない、ごく平易な語彙なのに、相手を思う気持ちや優しさに溢れた素敵な言葉たち。脚本の力ですね!

・最後のカウントダウン後に振りかえった時の秋日子の微笑み。
竜子の笑顔とも陰を背負っていた秋日子の表情とも違う、生まれ変わった秋日子の顔。
朝一番の日差しの中での微笑が印象的でした。

・空港での別れ際、秋日子とリサはハグしあうが、リサは今も秋日子に母親を感じ続けているのだろうか。
鋭敏な彼女は「おねえちゃんが変わった」のを無意識に察しているだろうと思いますが。
米子が見送りに来なかったのは用事があったのかもしれないけれど、茂多くんが外で待機してるのはなぜだろう。お父さんともリサとも大いに面識はあるのに。

・茂多くんのバイクの後ろに乗る秋日子。結局この二人付き合うことになったんでしょうね。
お母さんと彼と親友とに支えられ、また支えて、秋日子は元気に生きているようです。明るく笑う彼女の顔は竜子に負けないくらい生き生きとしているから。


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『ちょっと待って、神様』(2)-3(注・ネタバレしてます)

2007-04-04 00:49:44 | ちょっと待って、神様
〈第11回〉

・秋日子に「ごちそうさまは!?」と言われて椅子に掛けなおし「ごちそうさまでした」と言う茂多くんがなんだか嬉しそう(笑)。
事務所から逃げ出すシーンのあと消息不明だったのでどうしたかと案じていたら、夕べのうちに無事追っ手をまいて帰りついていた模様。秋日子とリサの寝顔を盗撮までしてるし。
しかしこの家の子たち、朝ゆっくりのようですが、ちゃんと学校行ってるんでしょうかね。

・「お嬢さん、どうかなさったんですか?」と尋ねてかわされたときの原田さん(裕木奈江さん)がとても悲しげな表情をする。「関係ない」とつっぱねられた気がしたんでしょうね。

・久留さんを訪ねた秋日子のお母さんが「あの子のこと、大目に見てやっていただけないでしょうか」という場面。秋日子の気持ちを思い、恥をしのんで家庭の事情を打ち明けてでも他人に娘のことを頼まざるをえなかったお母さんの愛情が胸に痛いです。
秋日子はちゃんと親から愛されているし、本人もそれをわかってないわけじゃないのだけれど、長い間両親の関係を取り持つことを自分の居場所にしてきたために、両親の離婚でそれがなくなってしまうことに対応できずにいる。上手くいかないものです。

・「遊んでから帰ろうか」という竜子/秋日子にリサが「いいの?」と聞き返す表情や声が、すっかり母親に対するものになっている。
しかし茂多くんは完全にパシリというかおまけというか・・・。本人が嬉々としてるからいいんですけどね。

・三人並んで繁華街を歩きながら、軽く唇を噛むようにして顔がにやけるのを自制しつつもやっぱりにこにこ嬉しそうな茂多くん。こういう「ついつい出てしまった」風情の表情が勝地くんは上手い。

・服を試着しまくり写真とりまくりの三人。すっかり「店内での撮影はお控えください」状態(荷物を見るに一着も買っちゃいないし)。
竜子/秋日子のセンスが意外におばさんぽくなかった。そしてシャッターを切る茂多くんの楽しそうなことよ(笑)。

・「おまえ、まっすぐなんだよな」。そういう茂多くんの目も実にまっすぐでなんだか見てるこちらが照れてしまう。
アップになると、茂多くんはやや眉を不揃いな感じにしてちょっと野暮ったい感じを出すようにしてるのがわかる。もっぱら写真と室内装飾(あの部屋すごすぎる)に時間とお金をかけていてお洒落には無頓着ってタイプなんでしょう。
それでもオタク臭くならず、飾り気のないさっぱり爽やか少年に見えますから、顔がいいと得ですねえ(もちろん雰囲気も大)。

・リサが帰ってきたとき、振り向いた春夫の顔が本当に嬉しそう。なんだかんだいっても妹が可愛いんだな。

・家に帰るなりの離婚騒動。怒ってドアを閉めた顔は竜子/秋日子だったけれど、その前のショックに固まった顔は本物の秋日子のように見えた。
以前の「やめてよ!」同様秋日子の心に同化しての表情だったんじゃないだろうか。

・「お父さんとお母さんのどちらと暮らすかおばさんが決めて」と言う秋日子。両親の間が彼女の居場所だったからどちらに付くこともできない。
選べない苦しみに泣く秋日子を膝枕して、こちらも涙ぐみながら黙って頭をなでる竜子。切ないけれど二人の強い絆がはっきりわかる場面。

・秋日子の両親が別れ話の途中だったと聞いてもリサはとくに驚かないし同情の顔も見せない。
単に東京で両親が離婚五秒前だと聞き知っていたというだけでなく、秋日子の立場を自分の孤独に重ね合わせて気持ちが同一化しているからでしょう。

〈第12回〉

・学校に出てこない秋日子を心配して電話をかけたものの、肝心なことを言えないうちに一方的に切られて屋上でへたれる茂多くん。その頃大学構内で春夫もへたれ気味に座り込んでいる。
この若い男子二人はしばしば対比的に描かれます。春夫がバイトで学費稼ぐことになるあたりも。

・緊張にちょっと口篭りながらも真正面から秋日子を見据えて「俺、おまえが好きだよ」ときっぱり告白する茂多くん。
竜子/秋日子があせって(浮かれて)後ずさりしつつ段差につまずきかけたりしてるのと対照的に、上から見下ろす霊体秋日子の視線は冷ややか。
竜子に語ったように彼女は茂多くんが好きなのはあくまで竜子の人格だと思っている(もっとも薬子が茂多くんに「秋日子のこと好きでしょ」と語るのを秋日子は見てるんですよね。この時点では竜子と入れ替わってまだ二、三日だったのに、「茂多くんが好きなのは自分」だと思わなかったんだろうか?)。
だから彼が好きなのは自分じゃないことに傷ついているのか、彼に別段興味がないのか。何となく後者のような・・・。告白の場面のモノローグでも薬子とセットで「得がたい友達」なんて表現してたし・・・。

〈第13回〉

・告白翌日の学校での竜子/秋日子と茂多くんとのぎくしゃくっぷりが可笑しい。とくに「何もないわよー。ねえ茂多くん!」といきなりふられた茂多くんが「えっ!?」と聞き返すところ。何に同意を求められてるのかわかってるんだろか?

・「天城のおねえちゃんってお父さんのこと好きなんじゃない?」と語るリサは何だか嬉しそう。少し後に原田さんがお父さんに告白した時はあんなに嫌がっていたのに。
リサが竜子/秋日子を母親としてとらえているのがはっきりわかる。

・竜子/秋日子の背中に「お母さん!」とすがるリサちゃん。リサが秋日子を「お母さん」と呼ぶシーンはどれも感動的。外見が全然違うのに娘は自分だと察してくれた・・・竜子さんさぞ嬉しかったろう。

・お父さんのことを思い竜子/秋日子が涙ぐんでいるところにやってくる茂多くん。絶妙のタイミングで登場し、沈んでいる女の子を自分の家に誘う。
とんだ女たらしに見えかねないシチュエーションですが、せいいっぱい強がって笑う彼女を見る茂多くんの目には心からの気遣いと誠実さがある。
2005年11月発売の『QRANK』で勝地くんが「(役の感情に自身の感情を自在にシンクロさせられる役者さんは)演技してる時の目が全然嘘を言ってないんです。」と語っていましたが、彼自身の目も嘘を言ってなかったです。

・家の離れにあるらしい自分の部屋に秋日子を招き入れる茂多くんはちょっと嬉しそう(動きもなんかいそいそしている)。彼みたいに趣味まるだしの部屋に暮らしてる子にとって、そこに他人を―とりわけ好きな女の子を―入れるというのは、いわば自分の内面世界をさらすようなものなので、結構な緊張があったと思われます。
しかしどこの60年代風カフェかというようなこの部屋。バイクはもってるわカメラは持ってるわ、部屋にお茶セットを常備してるわ現像設備もありそうだわ東京までサクサク出てくるわ、彼の家はどれだけお金持ちなのか。現在バイトはしてないっぽいし。

・アルバムを見たいと言われたとき、一瞬躊躇を見せる茂多くん。盗撮写真ありまくりだからなあ。

・最終週のタイトルでもある「そこにあるのに気づかないこと」というアルバムの名称、被写体の選び方、撮り方(個人的に好みの図が多いです)に茂多くんの感受性の豊かさと暖かな人柄が表れている。
そして最初は無機物ばかり、人は写っても体の一部という感じだった被写体が、途中から秋日子ばかりになってゆく。
茂多くんを知らない人が何らかの理由でこのアルバムを見たとしても、「恋をしたんだな」というのがすぐわかってしまうだろう写真の並びが微笑ましい。
しかし見事にピントが秋日子ばかりにあっていて、薬子やリサはときにピンボケだったりするのがまああからさまと言うか(笑)。

・泣いている女の子に、告白の返事も聞かないうちからいきなりキス。しかも前ふりの台詞が「泣いてるの?」。本当に表面の言動だけ見るとタラシだなこの子(笑)。
真っ直ぐな目や真剣な表情から誠意や愛情深さが伝わってくるから大丈夫なんですけど。演じたのが勝地くんでほんとよかった。

・キスに驚いて茂多くんの部屋を飛び出して走る竜子/秋日子を見守る霊体秋日子は、告白された時と同じくおよそ動揺していない(別の意味で心が揺れ動いてはいるのだが)。
自分の体の貞操問題にこうも無関心とは。まだまだ生きる気力が低いからでしょうか。

〈第14回〉

・秋日子を家の前で待っていた茂多くんの第一声、「夜景、見に行かない?」。いきなりキスしたことは謝らないのかーい!
まあ謝るのも微妙な気がしないものでもないし、まずは彼女の反応を見てから、怒ってるようなら謝ろう、と思ってた(あっさりバイクの後ろに乗ってくれたので結局謝らなかった)ってとこでしょうか。
そういやこの二人朝学校で顔を合わせてるはずですが・・・告白の後あれだけぎこちなかった彼らですから、この日もさぞやぎくしゃくしてたのでは。

・夜空からお父さんと行ったプラネタリウムを思い出し、茂多くんの「写真に残せないものがたくさんある」という話からの連想もあわせて、幼い頃の子供たちの写真が夜空に映写機で映し出される、と想像が広がってゆく。
複数の伏線を生かしつつこんな洒落た、温かみのあるシーンを作り出した脚本と演出に拍手です。

・秋日子の手をぎゅっと握り、彼女を抱き寄せる茂多くん。告白このかた、秋日子をじっと見つめる時の茂多くんの表情は恐いほどに真摯でどこかしら切ない。
秋日子に対する真剣な想いが伝わってきて、見てるこちらまで切なくなってしまう。

・竜子/秋日子に「ほかに好きな人がいる」と言われた時、茂多くんはさほど驚いたという顔はしない。
彼女の態度に自分をどう思ってるのか不安を感じながら、薄氷を踏むように探り探り彼女の心に近づこうとしていた(ように見える)彼はこうなる可能性も常に頭にあったのでしょう。
とはいえショックでないはずもなく・・・秋日子を送っていった別れ際、言葉もなく彼女を見た表情にその痛みが表れていた。

〈第15回〉

・「あたしのこと本当に友達だと思ってる?茂多くんも?」
この台詞を聞かされるのは振られたばかりの茂多くんにはきつかろうに。うなずかれてもうなずかれなくても嫌だよなあ。

(つづく)


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『ちょっと待って、神様』(2)-2(注・ネタバレしてます)

2007-04-01 00:16:27 | ちょっと待って、神様
〈第6回〉

・女先生の持っているピンクの羽は何だったんだろう。揺れるたびにぽよよんと音がするのも不思議。なにか深い意味があるのかと思っちゃったじゃないか。

・自分を(秋日子目線からすれば)過剰に心配する母に「やめてよ!」と竜子/秋日子が怒鳴る場面で一瞬強風に髪と服をなびかせた背後霊秋日子のカットが入る。
本物の秋日子が瞬間自分の体を取り戻して叫んだように思えてはっとした。
あとで竜子は「つい秋日子の気持ちで喋ってしまった」「親ってめんどくさい、そう思った」と言う。秋日子が竜子との関わりを通して親の思いを知るだけでなく、竜子も秋日子を通して子供の思いを知ってゆくのですね。

〈第7回〉

・米子に向かって(そうと知らずに)竜子/秋日子が作ったお弁当を誉めてしまう春夫。
「こういうお袋の味も作れるんだなあ」とお義理じゃなく感心してるわりに、それが母親と同じ味とは気づかない。彼がいつもの食事、それを作り続けてくれる母の苦労にいかに無関心だったかが表れている。
あるいはこの前米子に対して母親の料理を「やぼったい料理」よばわりしてしまった手前、「うちのおふくろの味にそっくり」とは言えなかったものか。
まあ慣用表現としてでも「お袋の味」という言葉を口にしているので、少なくとも無意識では「母の味」を知覚しているのでしょうが。

・息子には無意味なつまらない趣味として批判された「昼ドラ鑑賞」を、お父さんは「会社で嫌なことがあっても全く関係ない話を楽しげにしてくれるので気持ちが明るくなる」とプラスに評価する。
第一話では竜子が何を話しても生返事、それどころか「黙れ」と言うようにTVのボリュームをあげたりしていたお父さんが、ああ見えてちゃんと話を聞いてくれていたと知った竜子はさぞ嬉しかったでしょう。学校で弁当も食べずぽーっとなってるのも無理ないかも。
しかしこの学校(クラス?)、仲いい同士机をくっつけて食べたりしないんですかね?

・秋日子から将来の夢について質問された茂多くんがちょっと嬉しそうな顔をする。
秋日子の方から話しかけてきた、自分に興味を持ってくれたことが単純に嬉しくてしょうがないのがうかがえる。本当に秋日子が大好きなんだなあ。

・目をきらきらさせながらカメラマンになる夢を語る茂多くん。
彼は基本的に低めの落ち着いた、とても優しいトーンの声で話をする(そのぶんときどき語尾が聞き取りにくいけど)。この声だけでも茂多くんの人柄がわかります。 
そして「カメラマンになりたい」という夢に、『さとうきび畑の唄』の昇を思い出しました。彼が現代に生まれ変わってまた同じ夢を抱いている、というような。今度こそ夢が叶うといいね。
夢が見つからずに留年した春夫とちょうど対照的。
春夫の悩みも若者らしくて気持ちはよくわかります。ある意味人生に真剣だからこそですよね。親に隠しているあたりさっぱり根性は座ってないんですが。

〈第8回〉

・お父さんが原田さん(裕木奈江さん)と食事するのを見てショックを受けた竜子の「お父さんにこれから先いくらでもありえるわよね・・・若い綺麗な女の人が横に座って、笑いかけてるって・・・」という台詞。
おそらくお父さんは50歳近く、一般的にいってすでに恋愛対象にはなりにくい(とくに若い女性にとっては)年齢だと思うんですが、こういう心配をしてしまうあたり竜子にとってお父さんは20年以上連れ添った今も魅力的な男性として映ってるんですね。
結婚記念日のプレゼントを買ったときに口紅を塗りなおしてたのにもそれがうかがえます。

・息子の留年を知っても怒らない父親(自分もリストラ予備軍で、それを家族に隠している負い目があるからでしょう)に逆に怒りをぶつける春夫。
塚本くんは、長めの茶髪と天然の赤い唇もあいまって、ちょっとヤンキー入った役が上手いなあと思います。

・リサの家出を知って久留家に走る竜子を水鏡で見守る秋日子と神様(のお使い)。
この神様、困ったような顔をしつつも常に竜子と秋日子を見守り、竜子が昇天する期限もずるずる延ばしてくれる。
この二人しか担当がなくて、暇つぶしにせっかくの特例ケースを長持ちさせて楽しんでるようにも思えます。

〈第9回〉

・久留家にかけつけた竜子/秋日子はチャイムを鳴らすのでなくドアをばんばん叩き、春夫がドアを開けるなり転がるように中に走り込む。
この一連の動作には娘を案じる竜子の思いが詰まっている。

・秋日子が事故前によこしたメールを茂多くんに見せて、秋日子がおばさん化するに至る心境を推察する薬子。
彼女が秋日子のことをよく見てて気遣っているのがわかるシーン。
原作では交換日記だったのがメールに代わったのは時代ですねえ。

・リサの友達のマンションを訪ねる秋日子。
女の子ばかりが集団生活しているこの家、食生活の貧しさは気になりますが、子供の完全非行化を食い止める最後の防波堤、駆け込み寺といった趣きでホッとします。なんかいいなこういうの。

・竜子/秋日子に電話してきた茂多くん、いつになくぶっきらぼうで必要最小限のことしか言わないところに秋日子を心配すればこそ苛立っているのがうかがえる。

・渋谷としか聞いてないのに数時間で秋日子と合流してしまう茂多くん。そんなばかなー(笑)。
名古屋から東京まで出てくるだけで1時間以上かかるだろうに。
そもそも茂多くん名古屋の子なのに東京の土地鑑あるのか(竜子は少し前まで東京にいたので「魔界の入口」渋谷も多少はわかるはずだけど)。
もう秋日子に発信機でも仕掛けているとしか・・・。

・茂多くんが竜子/秋日子に振り払われて倒れる場面、「コケッ」とか擬音を入れたくなるナイスコケッぷり。
教室でも竜子/秋日子にはたかれてつんのめってたり・・・。なーんか微妙に頼りないところが可愛いです。

〈第10回〉

・「君もいいよ。なんか悪いことしそうにないタイプだし」。すごい説得力(笑)。
実際食事のシーンで女の子の集団に一人交じってても全然違和感がない。
別にカマッぽいわけでもない、むしろカッコいいし十分魅力的なのに普通に女の子の群れに同化してしまう、女の子に警戒心を抱かせない男子ってクラスに一人くらいいたりしますね。
茂多くんはまさにそれ。だから薬子も平気で彼と二人きりになれるんだろうし(ラストなど二人で旅行している)。
女友達から相談を受けることもしばしばだという勝地くん自身も、多分そういうタイプなんじゃないかという気がします。

・リサのそばにしゃがみこんで話しかける茂多くん。この場面の声はいつにも増してソフトでとても好きです。
話しかける直前秋日子の方を気遣うように見ていますが、秋日子が「あんたも何かワケありなんでしょ」と言われたのを聞いて、「生きるのがかったるい」と口にしていたという秋日子が改めて心配になり(もともと心配だからこそ東京まで追っかけてきたのだし)、「彼女のために何かしてやりたい」と思ってリサを説得しようとした、という気持ちの流れがわかります。
リサ自身が心配だからというより秋日子のため。とにかく秋日子中心。
もちろんリサのことに全くの無関心なわけではなく、危ない道に入りかけてる小さな女の子が気にはなってるでしょうが(話しかける声だってとても優しい)、秋日子の存在が大きすぎるのですよね。恋する少年だなあ。

・みんなに食事を作ってあげる竜子/秋日子の生き生きした姿。やっぱり「主婦」してるのが彼女には一番自分の居場所を感じられる時なんでしょうね。
女の子の一人と茂多くんがつまみ食いしてますが、茂多くんが実に幸せそうな顔をしてるのは、「料理が美味しいから」以上に「秋日子の手料理」というところにあるんでしょうねえ。
そしてみんなに料理を運ぶ姿の似合うこと。将来はマイホームパパになりそうな感じ。それとも被写体追いかけてどこまでも駆け回る仕事人間?

・「うちの両親離婚5秒前なのよ」という竜子/秋日子の言葉に茂多くんがはっと体を起こす。
顔が画面から切れているので表情はわかりませんが、その急な動作から彼の動揺は十分伝わってきます。

・いんちき事務所に向かうリサに「ついてくるな」と言われて「わかった」と応える竜子/秋日子。
その決然とした表情、実際にはしっかり後をつけて事務所にあがりこんでることからすると、この台詞は「気持ちはわかった。なら力づくで止めてみせる」の意味だったわけだ。

・秋日子の顔が竜子に代わるのを目撃してしまった茂多くん。その後彼がそれを問題にしていないのは、まあ普通に目の錯覚だと思ったんでしょうね。

・「お兄ちゃんもお父さんもよその女の人が来るとそっちばかり・・・」と竜子/秋日子に語るリサ。
無意識でしょうが、秋日子は彼女のなかで「よその女の人」にカウントされていないのがわかる。

・竜子/秋日子に「お母さんにありがとうっていいたいよ」と涙声で語るリサちゃん。
失って初めて母のありがたみを知る、というのは定番ではありますが、リサの心の動きを丁寧に描いているので陳腐に感じさせない。
リサちゃんを抱き寄せる竜子/秋日子は秋日子の顔のままなのに表情が「母親」になっている。
あおいちゃんはピン子さんの表情を研究しつつ秋日子を演じたそうですが、このあたりから竜子/秋日子の表情がどんどん竜子になっていってます。すごいよ。

(つづく)


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『ちょっと待って、神様』(2)-1(注・ネタバレしてます)

2007-03-29 00:13:14 | ちょっと待って、神様
〈第1回〉

・原作は二人が死んで神様に出会うシーンから始まりますが、ドラマでは事故場面を最初に見せたあと、秋日子と竜子の家庭の様子を見せる。
一応平均的な家族の体はなしてるものの皆ばらばらな久留家。明らかに両親の離婚秒読みな天城家。それぞれ竜子と秋日子が家族の楔となるべく(秋日子は自覚的に、竜子は無自覚に)孤軍奮闘している。
一家三人の緊張関係を綱引きに例える秋日子の心情が切ない。

・スーパーのレジでの出会い。竜子を見つめる秋日子の目が人生に疲れた投げやり感を出しているのがさすが。

・旦那さんにプレゼントするネクタイを手に口紅を塗る竜子。その姿に「おばさん」でも「母親」でもなく、「妻」と言うカテゴリーにさえ入りきらない「久留竜子」としての華やぎが表れていた。

・「こんなおばさんにも人生はあるんだ」という秋日子のナレーション。
人は他人を、それが家族であっても(家族ならなおさら?)「おばさん」「母親」など属性でのみ見てしまいがちだし、表面的な人間関係をスムーズに進めるにはその方がむしろ効率的でもある。
属性の中に納まりきらない「人くささ」は見てても見えていない。これまでは秋日子にとって竜子のようなおばさんはただ「おばさん」であって、その人なりに人生を生きていることなど考慮の外、というか考慮する必要すらない存在だった。
上掲の言葉は彼女が表面的属性を越えて竜子その人に関心を持ち始めたこと、これから二人の間に生まれる強い絆の発端を示しているように思えました。

〈第2回〉

・神様の前での二人。表面元気でおせっかいな竜子は「このままじゃ死ねない」と家族から顧みられない辛さを語り、秋日子は「このままずっと体を貸したままでもいい」と生きる欲求の乏しさを口にする。
第1回で彼女たちの家庭が描かれているので、二人の反応に原作以上の説得力を感じました。
秋日子の投げやりさに一瞬自分の立場を忘れ彼女を叱ってしまう竜子の姿に、この先何度も示される彼女の暖かな人柄が表されています。

・神様(京本政樹さん)の魔法?で背後霊秋日子の衣装が薄手のツーピースに変わる。
秋日子の体(中身は竜子)と秋日子の魂(秋日子自身)を視聴者が一目で区別できるための配慮ですね。冬の撮影だったため大分寒かったらしい。あおいちゃんお疲れ様です!

・竜子/秋日子は感情が強く出ると外見が竜子に戻ってしまうという設定にすることでピン子さんの出番を増やし(原作通りだと彼女の出番は冒頭のみになってしまう)、背後霊状態の秋日子とのコミュニケーション場面をスムーズに見せていた。
この設定あればこそ、最終回の「お母さん」の抱きつきシーン(名場面!)が可能になった。
「ピン子さんの制服姿」というのもドラマの売りの一つ、というかピン子さんの制服(怖いもの)見たさで視聴して、そのまま作品に引き込まれてしまったファンは少なくないようです。やるなNHK(笑)。

・授業中延々と教師のスーツにけちをつける竜子/秋日子。普段からパート先の上司の悪口とか一人ぶつぶつ口に出したりしてたんだろうか?
そんな彼女をそっと窺う薬子(鈴木惠美さん)と茂多くん。
茂多くんが無言でそっと秋日子を見つめる場面はたびたび出てきますが、多くは「ちょっと気になる」程度のさりげない表情を浮かべていて、彼女の奇行を咎めるようでもなく過剰に心配するでもない(人の言動をいちいち値踏みしない)ところに彼のさらっとした人の良い性格が表れていました。

〈第3回〉

・自分がどう思われているかは関係なく家族を思ってやまない竜子。家族ならではの無償の愛がそこにある。
秋日子もそう感じたからこそ彼女を第二の母とも思うようになっていったんじゃないかなあ。

・最近の秋日子の様子が変だと茂多くんに相談する薬子。
このツーショット、とくに学内では秋日子・茂多くんのそれより多くて、傍目にはこの二人こそ付き合ってると誤解されてそう。並んで座る時に一人分くらいのスペースを空けているのが他人の距離ではあるんですが。
しかし薬子と二人で秋日子の見舞いに行くほどにどちらとも親しいくせに「なんで俺に(相談したの)?」もないもんだ。
薬子に「秋日子のこと好きでしょ」と言い当てられて慌てる茂多くんの表情の変化が純情な男子高生のリアルと言う感じ。

・カラオケで「北酒場」を熱唱する竜子/秋日子。あっけにとられた感のある友人連の中で「一緒に!」と秋日子にはっぱをかけられ、苦笑しつつマイクを手にとったのはやはり茂多くんだった(笑)。
ほんと人が良いんですよね。相手が秋日子だからってのも大きいんだろうけれど。
しかし茂多くん、「北酒場」歌えるんだろか?レトロマニアな子だから余裕かな?

〈第4回〉

・竜子の服を早くも処分してしまうリサ(碇由貴子ちゃん)とそれを咎める春夫(塚本高史くん)。クローゼットから竜子の服が消えているのに気づいて慌しく箪笥の引き出しも確かめるお父さん(津嘉山正種さん)。
竜子の死にあまりにも動じていないかに見えた久留家にじわじわと「竜子の不在」がのしかかってきているのがわかる。
子役のリサちゃんをはじめ、皆さん演技が上手いので悲しみがじんわりと伝わってくる。とくにリサちゃんの「あんなうるさい人が急にいなくなって・・・」というくだり。
竜子に「ちゃんと家族に愛されてたよ。よかったね」と言ってあげたくなる場面。

・秋日子の部屋に「掃除中 入るべからず」の張り紙。女子高生とは思えない流麗な文字は、後にノートの文字が原因で薬子に正体が発覚する伏線ですね。

・秋日子は両親に対しては二人の関係の楔となるべく自分の本心を隠して明るく振る舞い続け、親友の薬子にも悩みを打ち明けてはいなかった
(薬子は「最近あの子なんか落ち込んでた」と茂多くんに語っている。「生きるのがかったるい」と言った心情は語っても、落ち込んでいる理由-両親の離婚問題については話してなかったのがわかる)。
おそらく他人に本当の意味で心を開くことのなかった彼女が、竜子とは遠慮なく互いの家庭について語り合う。竜子は一つの体を共用している、ある意味分身のようなものだから。
こんな異常なシチュエーションでやっと自分をさらけ出せる相手を見つけたのですね。

・フランクリンを返してほしいと秋日子のお母さんに頼む久留氏。
ここでフランクリンについて語った言葉は全てそのまま彼と久留家皆の竜子に対する想いですね。ベタではあるけれどじんとくるシーン。

〈第5回〉

・米子(安達祐美さん)が料理上手(プロ級)という設定は、二十年以上日々家事(とりわけ料理)をこなしてきた竜子の自負心を揺るがすためのものでしょう。
竜子/秋日子がばんとテーブルを叩いて立ち上がるのが印象的。

(つづく)


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『ちょっと待って、神様』(1)

2007-03-25 23:23:17 | ちょっと待って、神様
2004年1月期放映。大島弓子さんのマンガ『秋日子かく語りき』をドラマ化。
とはいえ最初の一週間で原作のストーリーを全部消化し(それもかなりオリジナル設定入ってる)残り四週間は完全オリジナルストーリーという大胆な業を見せながら、丁寧な心理描写の積み重ねと俳優陣の名演に支えられて、家族や友達の絆、生きることの素晴らしさを見事に描ききった、今もファンから愛され続けているNHK夜ドラ枠の名作。 

勝地くんの役どころは宮あおいちゃん演じるヒロイン秋日子に片思いするクラスメートの茂多三郎くん。
茂多くんは勝地くんが演じた中でも2番目に好きなキャラクターです(一番は『この胸いっぱいの愛を』の布川輝良)。
真面目で真っすぐでとにかく爽やかで・・・竜子(泉ピン子さん)が言う通り「本当にいい子」。
きっとこれまでの役の中で一番勝地くん本人に近いキャラなんじゃないでしょうか。

よくよく考えてみれば茂多くんの行動(ネタバレになっちゃうので具体的には(2)で)ってほとんどストーカーなんですが、きりっと男らしい清潔感あふれるルックスと、声や表情の爽やかさが「気持ち悪い」と感じる余地を与えない。
演じ手によってはもっとオタク少年ぽい感じになっていたはず。勝地くん持ち前の爽やかさあってこそ成立しているキャラですね。 

余談ですが勝地くんの持つ本質的な爽やかさは茂多くんのような爽やかキャラを演じる場合はもちろんですが、むしろ陰のある、何か抱えているような役を演じるうえでより効力を発揮しているように思います。
重くはあっても胃もたれしない。悲痛ではあっても陰惨にならない。その爽やかさがほどよい中和作用を果たしてくれる。
勝地くんが「ワケあり」キャラに多くキャスティングされるのは、繊細な表現力もさることながら、この中和効果を期待されている部分もあるのかな、と思ったりします。 
例によって気になるシーンの寸評は次回で。

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