そこでもし勝地くんが荘助を、あるいは別の犬士を演じてたらどんな風になっていただろうかと考えてみました。つまりは妄想です(笑)。
その1 犬川荘助義任
まず亀篠に棒でぶたれるシーン、処刑されそうになるシーンなどの痛々しさが増す。
佐藤くんだと大柄で顔立ちも大人なので(当時25歳だから当たり前)そこまで悲壮感はないんですが。
敬語口調は似合うだろうし、小文吾と旅するのも身長差があるのでデコボコした感じで良さそう。
馬加に懸想されるのは・・・洒落にならない(笑)。ぬい(黒川智花ちゃん)とは見るからに可愛らしいカップルになりそうです。
結果的に佐藤くんの荘助で正解だったと思いますが。大らかな感じが出ていたのがよかった。
その2 犬坂毛野胤智
これも結果的には山田優ちゃんの毛野で良かったと思ってるんですが、私を含め「毛野を男性に演じてほしい」と思っていた原作ファンは多かった。
『八犬伝』が映像化されるたび女装の美少年毛野は必ずといってよいほど女優さん(アニメなら女性の声優さん)が演じている。
たしかに絶世の美少女に化けられる俳優がどれだけいるものかと考えたら女優さんが演じた方が無難ではある。無難だからこそ面白味がない。
実際に男性(歌舞伎出身の俳優さん)が演じた例もあるので、ぜひここは冒険してほしいなと思ったのですが、じゃあ誰ならいいのかというと・・・うーむ。
外見も仕草も完全に女に、しかもファニーフェイスの可愛い系ではなく端麗な美少女もしくは美女に見えて、踊りもこなせてアクションもできてなるべくなら演技もできる人――。
『おれがあいつであいつがおれで』を見て以来、勝地くんに女装する役をやってほしいと切望してるんですが(こちら参照)、さすがに毛野はハードルが高すぎる(原作ファンのブーイングも恐ろしい)・・・。
と思ってたんですが、勝地くん演じる大角を見てちょっと考えが変わりました。
大角は女装してるわけでもないのに、長い髪と肌の白さのせいか表情によっては女の子に見えることがある。
そして着物の似合いっぷりと少年体型・・・いけるかもしれない。
着物なら体の線はあまり出ないし、このドラマのヘアスタイルは時代考証無視なので前髪で眉を隠してしまえる。
毛野はもっと華やかな顔立ちというイメージはありますが、目鼻立ちに癖がないから少し濃い目に化粧すればかなり印象が変わるはず。
あとは踊りを頑張ってもらえばOK。運動神経はいいはずだし練習すれば何とかなるだろう
(当人いわく踊るのは苦手だそうですが、2007年4月公開の映画『東京タワー』ではなかなか見事にダンスを踊ってました。8月公開予定の『阿波DANCE』でも阿波踊りを踊ってます)。
「残念ながら妻にはなれませぬ」のシーンも吹き替えなしでできるし、男姿に戻ったときの落差も楽しめる。
さすがに声はどうしようもないですが、「望みを果たすまでは口をきかない誓いを立てております」とか田楽一座のお頭に説明させて、あとは当面無言で通す。
目が口以上に物を言う勝地くんなら台詞なしでも十分感情表現ができるだろうし、喋らなければ喉仏も全然わからない。
そして馬加の前で舞ったときに「望みを果たすまで口をきかないそうだな。欲しいものを言ってみろ。何でもくれてやるぞ」と言われて、「・・・欲しいものは馬加大記、貴様の首だ!」と初台詞とともに馬加をたたっ斬る、とかどうでしょう。
そしてそれでもまだ男と気づかない小文吾にプロボーズされたりとか。実現してたら面白かったろうけど。
その3 犬江親兵衛
2005年12月のトークショーで、勝地くんは「犬士で他にやりたい役は?」との質問に「真田広之さんが演じた親兵衛」と答えていたそうで。
「真田さんが」とわざわざ断る以上原作の親兵衛でも山下翔央くんの演じた親兵衛でもなく、深作映画の親兵衛ですね。
太もも丸出しの衣装で山野を駆け巡り、可愛いお姫様を押し倒してみたり、敵に洗脳されて岩場を跳び回りつつ味方を襲撃したり、英語の曲にのせて長々とベッドシーンを演じたりの美味しくも技術的に難しそうな役柄です。
最後は馬に乗ったままお姫さまと手を繋ぎつつ走り去らねばならないし。なんか想像つかない(笑)。
などと書いてみましたが、結局は勝地くんは大角でよかったと思います。ああいう純和風の気品を出せる若手はなかなかいないように思うので。
DVDのコメンタリーで佐藤くんが、3日の後編の放映終了直後に勝地くんから丁寧なお礼の電話があったこと、どうやら犬士全員に同様の電話をかけたらしい(ハワイにいた押尾さんにはつながったろうか)ことを語っていました。
こういう話を聞くと、「礼」の人勝地くんが「礼」の玉を持つ大角を演じたのはまさに適材適所だったんだなあという気がします。キャスティング担当者の慧眼に拍手したいです。