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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『PICT MAGAZINE』(2)

2008-12-09 00:27:14 | 雑誌など

ビジュアルの話ばかりしてしまいましたが、インタビュアーさん?が紹介する撮影当時の行動やコメントも実に魅力的。

冒頭の「女のコが撮影してますよ!」(前回参照)には、「まったく本当にこの子は女好きなんだから!」と笑ってしまいましたが、くだんの撮影(水着グラビア)のスタッフが、
「 「覗きにおいでよ」と呼んでくれたのに、(中略)「みなさん、お疲れ様です!」と礼儀正しい挨拶をして去っていってしまった」そう。
水着の女の子たちに照れたのもあるんでしょうが、「だって撮影は真剣勝負じゃないですか。邪魔したらダメです!」というの第一の理由。

この生真面目さ、自分が一生懸命仕事をしているからこそ他人の真剣勝負にも敬意を払う真摯な姿勢――。実に勝地くんらしいなあと何だか胸が温かくなりました。

ちなみに小栗旬くんのページにも勝地くんについてちょろっと触れた箇所があります。
なんでも、友達に自分の服などを気前よくどんどんあげてしまう小栗くんがこの頃友達にあげたデビロックのつなぎを、実は勝地くんも狙っていたんだとか。
インタビュアーさんからその話を聞いた小栗くんは「あ、そうなの?じゃ涼もそう言えばいいのに(笑)。もう遅いか、あげちゃったし(笑)」と笑ってたそうですが、勝地くんにも以前に靴紐をあげたことがあるんだそう。
私が知るかぎりでは、この二人の仲良し話のうち最古のエピソードです。微笑ましいなあ。

 


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『PICT MAGAZINE』(1)

2008-12-04 00:08:53 | 雑誌など
2003年10月発売。かつて講談社が若手イケメン俳優さんたちの写真&インタビュー集のようなものをウェブ展開していたのですが(現在はサービス期間終了につき閲覧不能。残念。)、それを抜粋して?ムック本化(参考こちら)。
顔ぶれは勝地くんの他、小栗旬くん、塚本高史くん、石垣佑磨くんなど翌年発売の『BOYS BEAT』と結構かぶっています。ちなみに勝地くんの項の書き出しを引用すると――

「 「ねえねえ、あっちで女のコが撮影してますよ!」 頬を紅潮させてスタジオに飛び込んで来たのは、当代きっての美少年、勝地涼クン。現役の高校2年生!」

「当代きっての美少年」という表現に当初違和感を覚えました。容姿で売ってる子じゃないと思うんだけどな。
でも、そう書かれるのも無理もないか。いやほんっとうに美少年だわこりゃ。時期的には2003年9月放映の単発ドラマ『さとうきび畑の唄』で坊主頭にする前の時期、2003年初夏の頃の撮影かと思います。

衣装は、オーバーオール姿に長めの髪をちょっとつんつんさせた少年ぽい感じのもの、深い赤色のスーツに綺麗に撫で付けた髪型の大人っぽい雰囲気のものの2パターンで、それぞれ4、5枚の写真が載っています。
前者は壁に絵を描くのがテーマのようで、小道具の絵の具で顔や服のあちこちを汚している。
ウェブ上で初めてこの衣装の写真を見たときは、保父さんか子供番組の歌のお兄さんみたい(要するに子供相手のお仕事)という印象でしたが、『マガジン』に載っている写真はやんちゃな笑顔が満載のせいか、本当に無邪気な少年の印象でした。一つ一つの表情が本当に生き生きと愛らしい。

それが後者では一転してクールで悪っぽい雰囲気を醸し出している。
スーツ、髪型、金鎖などのアクセサリーやビリヤードの台を前にキューを構えているというシチュエーションのせいばかりでなく、にこりともしない表情のふてぶてしさ、サングラスをいじる手付きなどによる部分が大きい。

何となくこの前年に勝地くんが出演した昼ドラ『新・愛の嵐』(2002年)で当時21歳の要潤さんが演じた鳥居猛のやさぐれ時代を彷彿としました。
勝地くんは猛の少年時代を演じたのですが、もし『新・愛の嵐』がさらにリメイクされることがあったら、今度はぜひ青年猛を演じてほしいなあと、このジゴロっぽい写真を見つつ思ったものです。
(ちなみに赤のスーツを選んだのは勝地くん曰く「いやらしい感じが良かった」からだとか)

とはいっても一方で、肌質といい顔立ちといいまだ実にあどけなくて、背伸びした格好がかえって彼の幼さを際立たせてしまっている。
以前ウェブで大きく載せていた写真などは唇をわずかに開いた隙のある表情のせいもあり、男装の少女のようでさえありました。
背伸びした格好とそれでも(それゆえに)滲み出てくる幼さのコントラストが一種セクシーな美しさを生み出している。
現在22歳の彼が同じ服装をしたら、きっと背伸びした感じはせずにただただ格好良いんでしょうねえ。

(つづく)


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『JUNON』2007年5月号

2008-06-29 02:52:09 | 雑誌など

「聞かせて!恋バナ 僕の運命の恋」の特集名で、彼を含む若手俳優4人が忘れられない恋の思い出を語っています。
4人とも20歳前後なので必然的に10代の頃の恋バナになるわけで、それだけに全体に微笑ましい、可愛く切ない感じの体験談でした。
彼の「思い出」は中学二年から高校一年まで断続的に(別れたりよりを戻したりを繰り返しつつ)付き合っていた一つ年上の彼女について。

公共の場で語られた話とはいえデリケートな事柄ではあるし、元カノさんは素人の女性である可能性も高いので、なかなか書きづらい話題なのですが、印象に残ったのは彼の真っ正直さ。彼女とキスしたときのシチュエーションまで細かく説明してたのは彼一人です(笑)。
何気に彼が一番アダルト路線だったかも?その一方で携帯の着信ランプがアプローチ中は緑だったのを付き合うようになってピンクに変えたなんて話は実に可愛らしいんですが。

それはともかく、こうした話はどうしてもフった方が悪者になっちゃうと思うのですよ。だからフった話よりフラれた話の方がしやすいんじゃないかと。
なのに彼は自分がフった側、それも泣いてすがる彼女を毅然と突き放したわけですから、読者にキツい印象を与えかねない。それを臆さずきちんと語る姿に彼の男らしさを見た気がしました。
(まあフッた話をしてたのは彼だけじゃないですけどね)
別れる遠因になった彼女の態度―(二人が一度別れたのを知っている)友人に二人でいるのを見られるのがきまり悪い―に対して「堂々と会えないなんておかしい」と反発するストレートさも一種正義感の表れのように思えます。

あまり想像で物を言うのもあれなんですが、たぶん彼女はいろいろ不安だったんじゃないのかな。
二人が最終的に別れたのは2002年のクリスマスイブ、2002年といえば彼が『新・愛の嵐』でプチブレイクした年であり、その後も映画のロケで夏中留守だったり、別の映画では美人女優さんとベッドシーン(のようなもの)を演じたり(公開は翌年)――彼女としてはなかなか平静ではいられなかったんじゃないかと。
それで彼の心を試すような我が儘を繰り返して、でも彼の方も彼女の不安を受け止めきれるほどには大人じゃなくて・・・。
別れの場面など往年のトレンディドラマのごとくですが、まだ二人とも16、7歳だったわけで不器用で当然なのですよね。

この元カノさんの外見や雰囲気は、彼が語る好みの女性のタイプに見事に一致していて、タイプだったから彼女を好きになったというより、彼女との付き合いが現在に至る彼の女性の好みを決定したんじゃないかという気がします。

 


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『婦人公論』

2008-01-10 02:18:06 | 雑誌など
2007年1月22日号に、「花屋の店先から役者への扉が開いた」というタイトルで勝地くんのロングインタビューが掲載されました。
これまでに読んできた彼のインタビューのうちでも、分量・内容ともに充実度では5本の指に入りそうです。

デビューのきっかけになったスカウトの話、『永遠の仔』で芝居の楽しさに目覚めたことなどはファンならよく知っている話題ですが、中学に入ってみたら硬式の野球部がなかった、というのは初耳でした(その後「Kitkat Breaktown」の七夕企画の中でも話してました)。
子供の頃は野球選手に憧れてたという彼がなぜ中学でバスケ部だったのか不思議だったんですが、疑問氷解。
もし硬式野球部があったなら、彼はスカウトを断ってひたすら野球に邁進していたのかも。役者・勝地涼のファンとして、中学に野球部がなかった幸運につくづく感謝してしまいました。

しかし「ロケの何日かあと」(『はなまるカフェ』他では翌日と話してます)事務所からスカウトの電話があったそうですが、普段から近所の人間以外もたくさん集まってくる土地柄(繁華街)にもかかわらず事務所の方がお母さんのお店に連絡したのは、勝地くんがお店の関係者っぽい、「勝手知ったるわが家」な雰囲気だったんでしょうね。
その場ですぐスカウトせずに後日連絡したのも、目下の業務(役者さんのケア)で忙しかったからだけでなく、「お店に聞けば身元がわかるだろう」と思ったからじゃないかなと想像。

そして『亡国のイージス』の如月行役に選ばれた経緯。2004年3月公演の舞台『シブヤから遠く離れて』を『イージス』のスタッフの方、ついで監督が観劇されて、それでオーディションに呼ばれたとのこと。
これについては『キネマ旬報』2005年8月上旬号で『イージス』原作者の福井晴敏さんが、
「もともと監督とプロデューサーが舞台でいい若者を見つけてきたという話は聞いていたんですけど、『あっ、コイツだな』ってすぐにわかりましたよ。それだけ最初から光っていました。」
と話してらっしゃいましたが、ここでさらに詳しい状況を知ることができました。
『CREA』2007年7月号や同年11月~12月公演の舞台『カリギュラ』のパンフレットのコメントを見ても、初舞台だった『シブヤ~』が彼に残したものはすごく大きかったんだなと感じます。

錚々たる役者陣との共演+原作での如月行の人気の高さに「あれこれ考えたり悩んだりしました」そうですが、このころ彼は大学に進学するか俳優一本で行くかでも悩んでたはず。
(『小栗旬のオールナイトニッポン』出演時(2007年12月5日放送)に「今までで一番悩んだ時期」と言っていました)
「仕事を始めてから、すごく緊張するタチになりましたね。」「なんでこんなに考え込んじゃうタイプなんだろう」と語る彼だけに、当時どれほどのストレスを抱えていたのか。

けれどいい意味で場慣れしないからこそ、どんな役にも手を抜くことなく取り組んでゆけるのだろうとも感じます。
「僕の力量というかキャパシティが100だとして、どう頑張ったところで並み居るベテランの方々の、200や300という域には届かない。それでも今ある力を目いっぱい出せば、120くらいにはなるかもしれない。そうやって少しずつ、キャパを広げていければいいと、今は考えています。」という発言にも彼の俳優としての真摯な姿勢、静かな熱さがはっきり表れています。
しかしこのインタビュー当時彼はまだ二十歳と数ヶ月だったわけで――大人だなあ。
外見的にはまだまだ少年の面影が色濃いのに、精神的には、悩んで努力して各現場でさまざまの事を吸収して、人の数倍の早さで成長し続けてるように思います。しかも少年らしい純粋さを減じることなく。

ついで友人や先輩との交流エピソードも実に暖かい。
全然サプライズになってないサプライズ(二十歳のバースディ)パーティーをやってくれる草野球チームの面々、『イージス』撮影当時の「20歳になったら飲みに連れていってやる」約束をしっかり履行してくれた吉田栄作さん――彼の回りは優しい空気に包まれているんだなあとしみじみ嬉しくなってしまいました。

最後に勝地くん流緊張をほぐす方法。これは面接の時などに役に立ちそうです。
そして、「せっかく会ってもらったんだから、相手に何かを思ってもらえるように答える。(中略)単にハキハキ元気よく「頑張りますっ、お願いしますっ」というのは嫌なんです。ちゃんと自分で考えたことを話したい。」 
「せっかく会ってもらった」という表現にはわざわざ時間を割いてくれている相手に対する感謝と敬意が、「嫌なんです」「自分で考えたことを話したい。」というきっぱりした語調には人一倍繊細でありながら決して揺るがない芯の強さがはっきりとうかがえて、背筋が伸びる心地がしました。彼がオーディションに強いというのも納得ですね。

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『ピクトアップ』(3)

2008-01-06 00:49:53 | 雑誌など
掟ポルシェさんのインタビュー。
『ソウルトレイン』関係のポルシェさんのインタビューはどれも面白いんですが、内容が一番真面目だったのがこの『ピクトアップ』。

やや露悪的なまでにズバズバと自分を語る中でさらっと含蓄のある発言(『DVDでーた』での、「ビデオ屋の店員が、バイト仲間の彼女がカワイイって身もだえするだけのダメダメな作品を、こうして1枚のDVDにしてしまうということ自体、日本の文化レベルが高いということのひとつの証明だと思いますよ(笑)」というコメントとか)をし、なおかつ真顔(想像)でギャグを交えているのはいつも通りなんですが、全体のトーンが将来への不安や焦燥感を感じさせるものになっているのは勝地くんとの対談形式でなかったせいでしょうか。
それでも「三浦監督がもう(注・続編を)撮りたくないというならば山本晋也監督でも、村西とおる監督でもいいですよ。」とか笑いも入れてますが。エロ度合いが倍増しそうな人選だ(笑)。

しかし隣ページの勝地くんのインタビューと並べてみると、ポルシェさんの面白さがよくわかります。
今回に限らず勝地くんの発言は、若々しい純粋さやお芝居への静かな情熱に満ちていて、その清冽さに心を洗われることしばしばなのですが、ポルシェさんの発言内容はいい意味で「汚れた大人」な感じというか。
年齢もさることながら『TV Bros』の項で書いた非王道に生きる者の自負心と屈折が彼の話に奥行きを与えている。一言で言っちゃえば「人生経験豊富」というやつですかね。
インタビュー記事など読んでいて「うわこの人面白え!」と感じるのは大体ポルシェさんタイプが多いです。

なのですが、今回のインタビューで「面白い」というより感動を覚えた発言が一つ。 

「自分の中でやってはいけないラインって、ひとつだけしかないんです。それは、〈弱ってる者のために、何かを差し出す〉こと。
弱ってるヤツに手を差し伸べたら向こうが掴んでくるのは当たり前ですよね。それは男らしくない。」

最初読んだときは、「弱ってる人を助けるのは良い事じゃないのか?」と一瞬困惑しかけたんですが、すがってくるのがわかりきってる相手に優しくすることで手軽に自分の孤独や不安感をまぎらわすような真似をしたくない、弱い者同士傷を舐めあうような結びつきは格好悪い、という意味ですよね。
(甘やかすのは相手のためにならない、という意味かとも思ったんですが、「男らしくない」という締めからすれば上の解釈の方が妥当かと)

適当に生きてるような事を言いながらも、ぎりぎりのところで決して自分を甘やかさない。
そこに野木とは一味違うポルシェさんの「男気」を見て、以来私の中でポルシェさんは「カッコいい人」として認識されるようになりました。いかにアホなことをやってる時だろうと。 

翌月発売の『婦人公論』2007年1月22日号に勝地くんのロングインタビューが載ったのですが、

「オーディションや、監督との面接や、現場にいるとき、めっちゃめちゃ緊張していても、あえて胸を張って、自信があるように振舞います。
偉そうにするんじゃないです。ちゃんと落ち着いて、相手の方の目を見て話す。」

という箇所を読んで、このポルシェさんの言葉を思い出しました。
緊張でお腹が痛くなっても足が震えてても、決して逃げ出さずしっかり顔を上げて正面を見据える。その自分に負けない、自分を甘やかさない姿勢は、ポルシェさんにも通じるもの。
一見まるで接点のなさそうなこの二人がなぜ仲良くなれたのか、この時了解できたような気がしたのでした。


三浦大輔監督のインタビュー。
ページのアオリに「ポツドールという劇団は、何かとスキャンダラスな言葉で語られる。「リアルを徹底的に追及したセミドキュメント」「役者のプライベートをさらけ出す」云々。」とありますが、聞いたところでは普通に全裸シーンとかバンバン出てくるようで。
今回映像作品だけにそのへんはずいぶん抑え目にして下さってありがとうございます(笑)。それでも原作よりエロ度合いが増してるんですけどね。

とはいえどこかほのぼのしたポップな感じの仕上がり。
このインタビューを読むと、三浦監督としては本来もっと演出にも演技の付け方にも自分のカラーを出していく予定だったけれど、初めての映像作品で勝手がわからなかったのとスケジュールがきつきつだったために、結局原作の世界観寄りにしたそう。
監督のカラーと原作のカラーがいい具合でミックスされた結果がああなったわけですね。

各章のタイトルやエンディングのバックにまこちん先生のイラストをそのまま使ってるのも、パワーポイントっぽいタイトル文字の出し方も、その際のBGMを毎回違えてあるのも、FLOWのテーマ曲もDVDのパッケージ(こけしも含め、まこちん先生を除く全キャラが登場。こうしてみると本当にキャストの少ない作品だったんだなあ)も、すべてがツボでした。
「映像的にも、トッポいものとかカッコつけたものにはしないで、ポップで観やすいものにしようと」した監督の考えが上手くはまった感じです。

あとこれは想像なんですが、三浦監督絶対女性にモテそうですね。
原作の「白い女」は最終的に「童貞をもてあそんだ悪女」として描かれてる(終始須藤目線なのでそうなる)のですが、DVDでは最終章で須藤視点を離れた素の「川村くんの彼女」の顔を見せる場面(「また刺されちゃうよ」のシーン)があって、実際の彼女は須藤の思い描くような「白い女」でも「黒い女」でもない普通の女の子なんだな、というのがわかるようになっている。
『SOUL TRAIN』(2)で触れた「須藤が「白い女」に幻滅するきっかけ」の変更もそうですが、原作に比べ「白い女」の描写に悪意がない。
これは描き手が、モテない男のルサンチマンに縁薄いゆえなんじゃないかなと感じたのでした。
実際外見も二枚目だし、メイキングで見せる照れたような笑顔にも不思議な色気がありますしね。

 


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『ピクトアップ』(2)

2008-01-02 01:12:54 | 雑誌など
そしてポルシェさんの演技について。
勝地くんはよく共演者を誉めるコメントを口にしますが(この取材でも半分くらいは人の話をしてます)、そういう時の浮き浮きした、あるいは闘争心を感じさせる言葉の調子からは、口先でなく本心から彼が相手を評価しているのが伝わってきます。
ここでも貧乏ゆすりについての話は実に楽しげだし、「細かい芝居してるなあ、やばいなあと。全部がよくて、ちょっとチクショウと思いました(笑)」なんて発言には、負けず嫌いの勝地くんらしい健全なライバル意識がうかがえます。
これ、ポルシェさんにしてみれば最大の誉め言葉だったんでは。

勝村政信さんの話。
初共演は2003年のドラマ『盲導犬クイールの一生』だと思いますが、勝地くんはほぼ一話のみの出演だったので、親交を深めたのは2004年の舞台『シブヤから遠く離れて』のようですね。
2006年のSPドラマ『少しは恩返しができたかな』で共演した時も、主演の二宮和也くんともども勝村さんのお宅に遊びに行ったりしてたようで。時には苦言も呈してくれるよき先輩ですね。

「酔っぱらうとすごくいい話をして下さるんです。だから飲みに行くのについて行って、酔っぱらったところを見計らって、『僕、どうですか?』って聞く。」というのには笑ってしまいましたが。
『シブヤ~』当時勝地くんは17歳、『少しは~』の時でも19歳なので、「一緒に飲みに行く」でなく「飲みに行くのについて行く」という表現になるのはわかるんですが、何か勝村さんの後を慕ってちょこちょこ歩いてく姿を想像してしまう(笑)。
でもって自分はウーロン茶でも飲みながら勝村さんを酔わせにかかるわけですね。
微笑ましいなあ。今なら一緒にお酒を酌み交わせますね。

そしてチェーホフ。
18、9歳の頃公式のメッセージで「今度の休みにはチェーホフに挑戦したい」というような事を書いていたのに「文学青年だなあ~」と感心した記憶がありますが、意外なところで続報が。まだ読んでなかったんかい。
本人も「勉強する意志はあるけど、仕事が終わるとすぐに切り替えて遊びに行っちゃうので」「オンオフはっきりしすぎ」と反省の意を示してますが、インタビュアーさんも言うようにオンオフはっきりしてるのは彼の美点の一つだと思います。

このインタビューでも明らかなように、役者としての勝地くんはすこぶる繊細で、向上心の強さゆえに自分へのダメ出しを終始繰り返している。もう少しくらい調子に乗ってもいいんじゃないか(それだけの結果は出してきてるはず)と思ってしまうほど。
プライベートではきっぱりスイッチが切り替わるからこそ、精神の安定を保っていられる。
インタビュー記事などでもお芝居について語る時の真面目で熱っぽい調子に比べ、プライベートについて語る部分はずっと柔らかく時に茶目っ気さえのぞいている印象があります。

11月に当時公演中だった舞台『カリギュラ』を観劇されたあるプロデューサーさんがご自身のブログで、
「観劇後会った勝地くんは本当にさわやかな好青年で、彼のどこからあらゆる芝居が生まれてくるのか不思議になった」(概要)
と書いてらっしゃったのを見かけました。たぶん素(インタビューや業界関係者に会うのも仕事のうちなので完全なオフ状態とは言えませんが)の彼は、本当にごくごく普通の若者にしか見えないんでしょうね。

『CREA』2007年7月号のインタビュー記事で「目の前の勝地涼は少年の面影を残す、ごくフツーの青年。」と評されていたのを思い出しました。

そして役と自分をきっぱり切り離しているからこそ、過去の役の印象を引きずらず、その時々の役の色に自在に染まることができるのでしょう。
ちなみに前掲『CREA』引用部分の続きは、
「でもスクリーンの中ではまるで別人になる。幅広い役柄でナチュラルを意識的につくる、正真正銘のプロの役者に。」

(つづく)


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『ピクトアップ』(1)

2007-12-29 02:24:31 | 雑誌など

2007年2月号(2006年12月発売)。「試行錯誤から生まれてくるもの」というタイトルで、翌月発売(12月レンタル開始)のDVDドラマ『ソウルトレイン』を特集。
初主演(勝地涼)、初演技(掟ポルシェ)、初監督(三浦大輔)三人それぞれへのインタビューを載せています。

正統派若手俳優、雑誌連載からバラエティ出演まで幅広く活動する異色ミュージシャン、赤裸々な作風で知られる劇団の主催者という異なるフィールドから集まった彼らですが、この作品で大きな「初めて」に直面したのは三人共通。
それだけに全員が「自分はまだまだ」的コメントをしていて、とくに勝地くんのインタビューは不安感が色濃い。何か後半インタビューというより悩み相談みたいになってるし(笑)。

もっとも彼の場合は『ソウルトレイン』に対してというより、当時すでに撮影に入っていただろうドラマ『ハケンの品格』が主たる原因だと思いますが。
「(どの現場でも)顔合わせの日は必ずお腹が痛くなる」というのは『イージス』の時にも言ってましたが、この時期あちこちのインタビューでこの話を見かけました。
2004年の『それは突然、嵐のように』以来3年ぶりの連ドラ出演とあって、かなりナーバスになってるんだろうなと感じたものでした。
案の定「もう久々のドラマなので、最初のうちは雰囲気にのまれてましたね。」「じつは最初のころ、緊張しちゃって全然話せなかったんです。」(『POTATO』2007年3月号)だそうで。

勝地くんは公式の場で愚痴ったりする人ではないですが、ことさら自分を装うこともしないので、かつての事務所公式メッセージ(不定期更新)と違ってスケジュールの決まっている雑誌取材だと、精神的なコンディションがはっきり出てしまいますね。
といっても多少発言が後ろ向きなだけで、笑いを交えた語り口調はいつも通り丁寧で穏やかなので特に問題はないんですが。こういうところ彼はプロだなあと思います。
(『POTATO』2007年7月号のインタビューで「勝地くんの思うカッコいい男とは・・・?」という質問に「何があってもフラットにいられる人かな。だけど自分の弱さもちゃんと人前で出せるような男の人がカッコいいと思います」と答えているのを読んだとき、すでに理想の男性像を地で行ってるなーと思ったものです)

むしろしんどい時に無理に陽気に振舞われるより個人的には嬉しかったり。
何というか、彼が辛さを隠して明るく装ってるのを見て「元気そうで良かった~」とか思い違いしたくはないのです。一ファンとして、何も出来ないなりに心配くらいはしていたいなと。

一方で「初主演」に関しては意外なほど気負いがない印象。
「主役は初めてですね。」というインタビュアーさんの振りを「そうですね。」とあっさり流し、初主演それ自体への意気込みや感慨などは一切語らない。
代わりに「ひとつのシチュエーションで、ほとんどがたった2人で展開する物語自体、初めての経験でした」「作品を通してずっと出ている分、気持ちをつなげて演じれることが嬉しかった。」と演技環境について述べる。

初の主役に浮かれる発言がないのは彼特有の謙虚さもあるでしょうが、彼にとって「主演」の効用がクレジットの順番などでなく、作品全体の流れに深く関われることにあるからなんでしょうね。この人は本当にお芝居が好きなんだなあと再認識しました。

(つづく)


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『TV Bros』

2007-12-25 02:01:12 | 雑誌など
2006年12月23日-1月8日号で、勝地くんと掟ポルシェさんの対談形式のインタビュー記事を2ページにわたり掲載。
内容はもちろん二人が共演したDVD、近くレンタル開始だった『ソウルトレイン』について。

しかし表紙にはポルシェさんの名前しか載ってなかったり、「掟ポルシェ×勝地涼」「DVD『SOUL TRAIN』の準主役に掟ポルシェが抜てきされた!・・・というわけで主役の勝地涼さんとの対談をお届けします。」というアオリなど、完全にポルシェさん中心の視点なのが面白い。
テレビ雑誌なだけに「くるくるドカン」でお茶の間でも知名度の高いポルシェさん優先なのか、テレビ雑誌でありながらサブカル誌のような趣きの紙面作りだけに、サブカル系著名人であるポルシェさん寄りなのか・・・なんて思ってたら、ポルシェさんは『TV Bros』に連載持ってらっしゃる模様。納得。

そして肝心の記事の中身はといえば・・・爆笑。『ソウルトレイン』撮影の舞台裏がいろいろと語られてたんですが――。

ポルシェさんが投げ掛けるエロトークの数々、おばちゃん(浅見千代子さん)の過激なポディタッチ・・・。
私を感激させたあの事務所公式メッセージ(こちら参照)の裏でそんな下ネタの波状攻撃にさらされていたとは!よく汚れないまま戻ってきてくれました(笑)。

『ソウルトレイン』公式ページのBBS(2007年1月19日分)でスタッフの「ヤマノテトレイン」さんが、撮影当時の思い出として「待ち時間に読み合わせをしているのかと思いきや、しきりと勝地さんに下ネタ攻撃をしている掟さん」を挙げてらっしゃいますが、勝地くんは防戦一方だったんですかね?
この対談でもポルシェさんは結構シモ系のネタをフってるんですが、勝地くんはそれを正面から受けるでもなく適当に受け流すでもなく、にこやかに返しを入れながらも自分からは一言の猥語も口にしないという、意外にも高度な話術を見せていたのに妙に感心してしまいました。

この二人、倍近い年齢差(ポルシェさんは68年、勝地くんは86年生まれ。『DVDでーた』2007年1月号によると勝地くんは10歳差くらいだと思ってたそうですが)にもかかわらず息ぴったりの仲良しっぷり。
年の差を超越して、あの物堅い勝地くんに一人称「俺」(基本は敬語口調だけど)で話させてしまうポルシェさんてすごい。
終盤『ソウルトレイン』続編の構想で盛り上がるところなどインタビュアーさん置いてきぼりです(最後は勝地くんがそれとなくまとめてますけどね)。

正直この二人がこれだけ気が合ってるのってちょっと不思議だったのです。
5~6日の短期間とはいえ、それだけにかえって濃密な時間を多く二人で過ごした&ハードスケジュールをともに乗り切った連帯感はあるでしょうが、年齢差を抜きにしても彼らの立ち位置は全く異なっている。
中学一年でスカウトされデビューした勝地くんがアルバイト経験がないのに対し、ポルシェさんは「3日でやめたバイト、10や20じゃきかないですから」というバイトキング、実際の勝地くんが須藤とかけ離れているのと対照的に、ポルシェさんは多分に野木に通ずるものを持っている。

勝地くんは何というか、王道を歩いている人だと思うのです。
もちろんいわゆるエリートコースと違い、役者稼業も水モノだしほとんど人権無視だったりしますが、大きな挫折もなく着々とキャリアを積んでいる。
家族や周囲の人間から当たり前のように愛されてきたんだろうな、という感じの「愛されオーラ」を自然と醸し出している。

一方のポルシェさんは本業のミュージシャンのほかテレビのバラエティーから雑誌連載、DJまで幅広くこなす才人ですが、本人的には「何でもやらないと食っていけませんから。」というスタンスのようで(『ピクトアップ』2007年2月号参照)、自身のキャリアを自嘲気味に語る口調には、その内容の裏返しともいうべき非王道に生きる者の自負心が感じられる。正反対というか全然接点がないんですよね。
ポルシェさんの「毎日バイトしかない人生の不安感がわからないでしょ?俺なんて常にその連続だったのに(笑)」(『DVDでーた』2007年1月号)という発言も、二人の「生きる世界の違い」を思わせます。

『ピクトアップ』で三浦監督が「2人とも、全然ジャンルが違う方ですけど、相性がすごくよくて、一体感があったので。うん、それはいい意味で予想外でした。」と語っていたところの、彼らの結束は何によって育まれたのだろう?
翌年、『婦人公論』の勝地くんインタビューを読んだときにこの疑問が解けたような気がしました。詳しくは『ピクトアップ』の項で。

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『Urb 10月号』

2007-11-14 01:09:09 | 雑誌など

2006年8月発売。30代女性を対象にしたファッション系雑誌。
「さりげなさあふれる女(ひと)をすべての男が求めている。」という特集で、ミュージシャンの武田雅治さんと勝地くんが各1ページ、アーブ世代=30代女性の魅力について語っています。

「トップクラスの女性の〝美〟を見逃さないアーティスト、俳優の立場から、二人のステキな男性が求める女性の魅力について語ってくれました」というこの企画、何で勝地くんに白羽の矢が立ったんでしょうね(笑)。
年下代表とありますが、あちこちで「年上の女性が好き」発言してるので、「30代女性を語らせるなら勝地涼」と雑誌サイドなり事務所の人なりが思ったんでしょうか。 

さて記事の内容について。前々から思ってたんですが、「この子は本当に女好きだよなあ」と再認識しました(笑)。
「女好き」といってもスケベとかプレイボーイとかいう意味ではなく、『ハニカミ』でしずちゃんが話してたような、「女性の存在を大切に思っている」感じ。
勝地くんのお父様は、「男とは」と語り出したら3時間でも喋り続けるそうですが、勝地くんも理想の女性像を語らせたら微に入り細をうがち、何時間でも語り続けそうです。
実際、隣ページの武田さんのインタビューが、半分は近々発売されるアルバムの話(女性に関連した内容ではありますが)なのに対し、勝地くんの方はこの時期宣伝すべき番組も映画もなかったこともあってか、1ページ丸々30代女性を語り倒してますし。
(宣伝がらみでないだけに、「なぜ勝地くんを起用?」という当初の疑問がまた甦ってきますが) 

ここで語られてる勝地くんの理想の女性像を総括すると――「自然体」「自立している」「甘え上手」「美しいあいさつができる」。

「年上の女性に甘えられるのって、僕好きなんですよ。」というのは『ハニカミ』で言ってた「甘えるのが結構好きなんですよ」と矛盾するみたいですが、甘えられたい男のプライドを理解して上手にくすぐってくれる、甘えてみせる事自体が包容力になっているようなそんな女性に「手の平で転がされ」たいんでしょうね。年上好みになるはずです。

それと今回気が付いたのは、男性はわりにパーツ(女性の身体の一部分)フェチ要素のある人が多い気がするんですが(武田さんも「パッと見て〝ステキだな〟と思う女性の手は、見るのを後回しにお楽しみに取っておく(笑)。」 という「手フェチ」なコメントをしてます)、勝地くんてそういう発言がないですよね(単に口にしてないだけかもしれないけど)。
むしろこの特集で語ってる内容や、好きな女性の仕草はくしゃみだとか(ソースこちら)、後に『さんま御殿SP』に出演したさいの「(彼女にしてほしいことは)耳掻きですね」なんて発言からすると、彼は「シチュエーション萌え」の人なような。
「外見ではどういうところを気にするの?」との問いに「やっぱり顔ですね。」と答えたのには「そんなミもフタもない(笑)」と一瞬思いかけましたが、「顔そのものというのではなくて、〝話している時にちゃんと目を見て話してくれるかどうか〟とか」と続けていて(いつも相手の目をじっと見て話す勝地くんらしい着眼点)、そんなところも個々のパーツより言動重視なのが感じられます。
外見やメイク・ファッションについてのコメントに比べて仕種やふるまいについて語るコメントは倍くらい長いですし(笑)。

また、女性の魅力として「美しいあいさつができる」を挙げるのには、いつもながら今時の若者らしからぬ彼の古風な感性と礼儀正しさを感じました。
上記の「ちゃんと目を見て話してくれる」もそうですが、彼自身がそれらを大事だと思い実行しているからこそでしょうね。

ここで「美しいあいさつ」をすべきシチュエーションとして「親に会わせたりした時」を想定しているのに、この年1月に出演した『はなまるカフェ』で「女友達とか連れてった事ある?お父さんの前に」と聞かれて「ないですけど、これからやっぱり、親父にはこう、ちゃんと会わせなきゃいけないのかなって思いますね。」と答えてたのを思い出しました。
その後親に会わせることを意識する相手ができたのかな?なんてちょこっと想像してみたり。『月光音楽団♪』での爆弾発言?からしても。

さて勝地くん自身のまとめによれば、「きっと30代女性って、強くて、賢くて、そして可愛らしいんだと思います。」 
――まあ、そういう30代女性もいますよ、いるでしょう、きっと(笑)。少数派かもしれませんが。
何せ具体的イメージは「『ロングバケーション』の役柄の山口智子さん」ですから。理想高いです。
そしてそんな理想を語る彼はまだ多分に夢見る少年めいていて、つい「可愛いなあ」とにやけてしまうのでした。


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『俳優になる 06-07』

2007-11-11 01:44:26 | 雑誌など
2006年8月発売。11人の俳優・女優さんが、役者になったきっかけやその後の道のり、気構えなどを語るインタビュー集。
演劇ぶっく社(月刊の舞台雑誌『演劇ぶっく』の出版元)の発行とあって、舞台をメインに活動してる役者さんが多く取り上げられている(もっとも同社は『映画監督になる』シリーズも発行してますが)。
それも超メジャーどころではなく、舞台をいっさい見ない人なら名前さえ知らない可能性も高いような、名脇役もしくはこれからの人が中心になっている印象です。

そんな中勝地くんは目立って若く(文中では20歳となっていますが正確にはまだ誕生日前。他の方々は62年生まれの池田成志さんをのぞけば20代後半から30代前半)、舞台経験もまだ3回(当時)という、ちょっと異色の存在(紅一点の水野美紀さんが経歴の面では一番近いかな)。
発言内容も何となく可愛らしい、微笑ましい感じのものでした。以下心に留まった部分を箇条書きで。

 

・冒頭のライターさんの言葉に「印象的な真っ直ぐで鋭いまなざし。」とありますが、写真の印象はずいぶん柔らかい、というより茫漠とした雰囲気。
わりあいふっくらしてた時期なのと、おそらくはノーメイク(メイクさんの名前が入ってないので。服も写真が白黒なので確証はもてませんが2005年12月のトークショーで着てたという自前のZuccaのジャケットじゃないかと思います)なせいでしょうか。

・「事務所に所属が決まってからも、レッスンを受けて俳優としての訓練が始まることもな」かったそうですが、『月刊デ・ビュー』2006年7月号では、
「週1回、練習のために事務所で台本を読まされると、『滑舌が悪い』とか言われて楽しくない。正直、苦痛でした(笑)」
と語ってました。これはデビュー前後になってからの話なんですかね。

・「名前もない小さな役」で「鈴木杏出演のドラマ」にいきなり出演することになった、というのは2000年のデビュー作『千晶、もう一度笑って』(TBS)のことですね。
名前もない役だったとは初めて知りました(DVD化されてないため、どんなドラマだったのかほとんど情報がない)。
以前『Look at star!』vol.7(2004年春発売)で「勉強のためにドラマのエキストラをやったんですけど、その時のことは覚えてないんですよ。あまりに緊張して(笑)」と言ってたのがたぶん『千晶~』のことかと思います。
ちなみに、たまに勝地くんのデビュー作を『目撃者2』(TBS)としてる雑誌がありますが、『千晶~』は1月7日、『目撃者2』は1月17日の放映なので、『千晶~』が正解ですね。

・小栗旬くんと仕事の話で「熱くなってバトルになったりします(笑)」というのはちょっと意外でした。バトルになるということは、二人の演劇観は一致しない部分も多いわけですよね?
初共演の舞台の現場で今頃またバトルってるのかな(笑)。
(←p.s.先月発売の『Top Stage』52号によれば、小栗くんと論争したり―論がなくて争だけしたり―するそう。二人が所属する野球チーム全体の気風のようです。
小栗くんの方も『シアターガイド』12月号で、「わがまま言ってたら、勝地くんに二度ほど怒られた」(概要)話をしていました。
忌憚なく意見を言い合える――いい関係だなこの二人)

・小栗くんの舞台(時期的に2006年4-5月の『タイタス・アンドロニカス』?)を見終わったのちに小栗くんの車の中で、「なんていい演技してんだ!」って叫んでしまったというエピソード。
人様の車に便乗させてもらいながら中で大騒ぎする勝地くん(笑)。あまりにストレートな誉めっぷりに小栗くんも照れ笑いしてたんじゃないですかね。

・「例えば40歳位になった時に、今の僕位の年齢の人が、あの人みたいになりたい、と思ってくれるような役者になるのが理想です。」 
ブログを検索していて、役者のタマゴの方たちが、「彼のような役者になりたい」「いつか彼と共演するのが夢だ」と書いてらっしゃるのを見つけたことがあります。
20歳そこそこですでに「憧れの役者さん」として名指されている勝地くん。これから年齢とキャリアを重ねるほどに、彼を目標とする若い役者さんたちがどんどん増えてゆくんだろうな。

・「男から見ても色気のある役者になれたらいいなと思います」との勝地くんの発言を受けての地の文が、「今のところ、色気があるという自覚は本人にはないらしい。」
これは、ライターさん的には勝地くんは色気があると感じた、と解釈していいんでしょうか。
ちなみに私自身は勝地くんに男の色気を感じることはほとんどないです(時折例外があり)。
個人的見解ですが、男女問わず色気とは酸いも甘いも噛み分けた、いい意味で「汚れた」ところに醸し出されるものだと思っているので、勝地くんは男の色気をうんぬんするには透明感が勝りすぎてるかなと。
(その代わり特有の透明感と結びついた青少年の繊細な色気はすごく感じます。ライターさんが勝地くんに見た色気もこちらの方でしょうか)
ただ稀に透明感と男の色気を共存させている大人の男性(役者さん)も存在するので、彼にもそんなふうに成長していってほしいなあと期待してみたりしています。

・「今までやったことのない悪役は、すごくやってみたいです。」 
ストーカー役とかやってみたい、とのコメントも以前からあちこちでしていますね。 
顔立ちだけを見れば、勝地くんは吊りぎみの目ときりっとした眉、眼光の強さでしばしばキツい印象を与えがちなので(2007年8月公開の映画『阿波DANCE』で共演した橋本淳くんが、「初対面のとき勝地くんの眼光が鋭かったので、言うこと聞いといた方がいいと思った」話を舞台挨拶でしてたそうです。勝地くんは「(この目は)生まれつきだもん」と可愛く反論していたとか)、今まで悪役が回ってこなかったのが不思議な気もします。
ただ内面も合わせて見れば、人の良さがどこか役に滲み出てしまいそうな気もするので(その点、せいいっぱい突っ張ってても根は繊細で心優しい『亡国のイージス』の行や『この胸いっぱいの愛を』の布川みたいな役にはぴったり)、純悪役ってできるのかな?などと思ったりしてたんですが、2007年7月~9月の舞台『犬顔家の一族の陰謀』(『劇団☆新感線』に客演)の劇中劇?での腹黒い桃太郎役を見て見解を改めました。
声色も台詞回しも表情も実にブラック。これなら念願のストーカー役も遠くないかも。いやお見それいたしました。

・野球チームの忘年会の話もあちこちでしているのを見聞きしてますが、忘年会のお芝居で「一昨年は僕が女の子役で」――。
実はこの本で一番「おお!」と食いついてしまったのはここでした(笑)。「おれがあいつであいつがおれで」の項でも書きましたが、ぜひ女装する役を一度やってほしい(非常に演技力を問われる役柄だし、視聴者へのインパクトも強いので)とつねづね思ってただけに。
きちんと女の子の格好をしたのか、ビジュアルはそのままで女の子だと言い張ったのかは不明ですが、「普通の恋愛」ものだと言うお芝居の筋が気になります(笑)。

・上記の忘年会のお芝居について「あり合わせで小道具をそろえたり足りないものを買い出しに行ったりして、すごく楽しいんですよ。」との言葉。
これは小劇団の役者さんなら普段からごく当たり前にやっている(やってきた)ことですよね。この本に登場している俳優さんたちも、多くはその俳優としてのキャリアの最初期で経験しているはずのこと。
それを彼はごく新鮮な経験として語っている。スカウトされて芸能界に入りテレビドラマでデビューした勝地くんは、舞台出身の俳優さんとちょうど逆のコースをたどって役者としての経験値を上げているんだなあとなにやらしみじみ感じました。

・「皆さんはストレッチ、していますか?」の質問に対する答えの中の、「普段は全然やらないし身体も硬いんですけど」のくだり。
発売当時読んだときはとくに何とも思わなかったんですが、『Look at star!』2007年9月号で古田新太さんが、
「(『犬顔家~』での稽古場で)ダントツ若い人間なのに、笑えるほど身体が硬いんだよね(笑)。(中略)本気で『勝地君、腰かどこか痛めてるの?』って思ったもん(笑)」
と話していたのを読んだあとだと、無性に笑えます。

・台詞の覚え方について、「とにかく、何回も読みます。でも覚えすぎると、機械的に喋っちゃうような気がするので、難しいです。」 
懸命に努力しつつも、そうした自分の行為を「これが本当にベストなのか」と半歩引いて客観的に見つめている。
『演劇ぶっく』129号(2007年9月発売)でも古田新太さんに「お前、本当にいろんな事考えてんな(笑)」と突っ込まれてましたが(古田さんは「あれこれ考えるより先にまず行動」の人のような気がする)、下手すればああでもないこうでもないと自縄自縛に陥って何事にも自信が持てなくなりかねないところを、今のところ彼は理屈倒れになることなく、いろいろ思い悩みながらもそれを糧に着実に成長しつづけているように思います。

・ボイストレーニングの話題で、ノドが弱いと話してますが、2回舞台(『犬顔家』×2)を見た印象では長丁場にもびくともしない、よく通るいい声をしていました。
どの舞台の観劇評でも彼の喉が潰れてたという話は見たことないです。あの声はマスクしながら寝たりハチミツノドスプレーを愛用したりの努力によって保たれてたんですね。
ストレッチや台詞覚えの話もそうですが、自分の弱いところをちゃんとわかっていて適切なフォローを怠らないのに(職業人として当たり前とはいえ)感心しました。
ついでに「(身体を)ストレッチしてほぐしてあげて」「ノドを休めてあげて」と、自分の身体(の部位)に対して「~あげる」という表現がちょっと女の子みたいで可愛いなと思ったり。

・バスの中で音楽(とくに「サイモン&ガーファンクル」)を聞くのが好きという話はよくしてますが、たぶんここが初出でしょうか(『フレンドパーク』を観覧した方のレポによれば、放送されなかった部分でこの話をしてたようですが)。
「信号待ちでエンジン切ってシーンとした瞬間、人がたくさん乗ってるきに静かだなぁ、と、そういうのが何かいいなあ、って。」というあたりに彼のロマンティックな感性がうかがえます。
そして音楽への感情移入度の高さは俳優としての天性がそうさせるんでしょうね。『Kindai』2006年5月号でも「夜、音楽を聴いてる時かな、たまに気持ちが入って、〝なんてオレってだめなんだ〟って思いながら、涙を流してみたり(笑)」する話をしてたのを思い出しました。

 

文中でも触れましたが、今回この項を書くにあたって久々に本を読み返してみたら、当時は特に気にしてなかったけれど、それから一年数ヶ月の彼の軌跡を踏まえると、胸に沁みてくる箇所が多々ありました。
たとえば「第三舞台」などを経てフリーランスになった池田成志さんの、「役者ってアホみたいなのが多いんじゃない?(笑)当然なんとかなる、っていう甘い下心の持ち主で、たまたま上手くいった人間が生き残ってる。もちろん、わざと楽天的に思うように持っていってるというのもありますよ。周到な部分もありますし。でもそうしないと、役者なんてやっていけないと思う」という言葉。
その後成志さんとは『犬顔家~』で共演してるわけですが、こうした成志さんの、おそらくは古田さんたち『劇団☆新感線』の劇団員にも共通する逞しさ・したたかさに、感化される部分もあったんじゃないかなーとか考えてしまったのでした。


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