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俳優・勝地涼くんのこと。

『盲導犬クイールの一生』(2)

2007-10-15 00:32:23 | 他作品
とりわけ印象深かったのは政晴が盲導犬を否定する発言をした両親に怒鳴る場面。
TBSの単発ドラマ『さとうきび畑の唄』で昇(勝地くん)が友人をかばって上官に怒りをぶつけるシーンを彷彿とさせますが、昇の声が語尾まで発声が明瞭なのに対し、政晴の声はもっとざらついた、感情をそのままぶつけた風情の乱暴な響き。
どちらも怒りのあまり声が詰まり気味で泣きそうにまでなっているのは共通なのに、戦前の教育を受けた少年の背筋の伸びた感じ、現代っ子らしいちょっと甘ったれた感じがちゃんと演じわけられているのに驚きました。
撮影時期は数ヶ月しか違わないはず(『さとうきび畑の唄』は2003年7月~9月収録、『クイール~』は2003年6月~7月放映なので4、5月頃の撮影?)なのに。たいしたものです。

そして終盤、学校に戻ると宣言し歩き去ってゆく政晴の後ろ姿は、先に三都子に頭を下げて歩き去るときとは対照的に背筋が伸び、しっかりした足取りには進んで困難に立ち向かってゆこうとする決意が滲み出ていました。
その後政晴がどうなったのか、はっきりした説明はなされていませんが、仁井家のテーブルに飾られた写真の中、野球のユニフォームを着てチームメイトに囲まれた彼の笑顔だけで、宣言どおり野球部に復帰した彼が充実した日々を送っていることが察せられます。
クーちゃんと遊んでいる時、すでに柔らかな笑顔を見せるようになっていた彼ですが、バットを手にグラウンドに片膝をついた写真の彼はさらに生き生きした、これまでで最高の笑顔を見せているから。

原作に政晴にあたる人物は登場せず(彼に限らず第一回のゲスト・亜弓ちゃんも渡辺さんの娘や息子など少年少女キャラはほぼ全員ドラマ独自の設定)、「盲導犬は人間社会の犠牲者」という偏見に対する回答とアニマルセラピーの効能を合わせて描いたようなストーリーはやや強引な感もあり(お父さんの転勤はどうするのだろう?)、とくに盲導犬に対する無理解の象徴というべき政晴の両親の性格付けはかなり表面的なものになってましたが、政晴のキャラクターは極端に少ない台詞にもかかわらずしっかりと造型がなされていた。
最低限の台詞と動き、小道具でそれを表現した脚本・演出の巧みさと、その演出プランを見事に具体化した勝地涼という年若い俳優の実力を、大いに(改めて)思い知らされたものでした。

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