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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『犬顔家の一族の陰謀』(2)-3(注・ネタバレしてます、か?)

2008-12-29 01:13:03 | 犬顔家の一族の陰謀
・湖から突き出している(たしか)四人分の足。「ヨキ・コト・キク」ならぬ「モン・クワ・ナス」の「門」の見立てだそうで、映画『犬神家の一族』で一番有名かもしれない(偽)佐清の足が湖から突き出しているシーンのパロディですね。
しかしなぜ四人?それも助比代らしいのがいないうえに、女物の下着着けてるのがいるような?(この時点であんな展開がくるとは思いもしなかった(笑))。
そこへ『デスノート』のリュークもどきが現れ、「千の風になって」の替え歌を歌い、それに合わせて8本の足がシンクロのごとくに踊ってみせる。歌詞も踊りも不謹慎きわまりない(苦笑)。
リュークが直立不動のまましっかりマイクを構えて歌っているのが笑えます。なまじ歌上手いだけになおさら。

・洞の中での太郎子と玉男の会話。ここで回想が入り助比代がブラジルで受けた手術の実体?が明らかに。
原作の珠世(女)を玉男(男)に変えたのに、珠世と結ばれるはずの佐清は男設定のままで、どうなるのかと思ったらこんなオチですか!しかし女ならいいってものじゃないしなあ。
とはいえ本人に向かって「犬顔のニューハーフは無理」とはっきり言い放つ玉男はさすがにひどい。財産目当てで玉男と結婚しようと性転換したわけじゃなく、もともと玉男を好きでそこまでしたんだから、受け入れるのは無理でももうちょっと言いようってものがあるだろう。
まあさわやかにひどくてこそ玉男、という気はしますが。

・助比代がいなくなった今、財産を手に入れるべく、「こうなったら自分が玉男の妻になる!」と宣言して襦袢姿で玉男に強引にせまる太郎子。
当然拒絶して逃げる玉男。助比代よりはまだまともな相手じゃないかという気もするけども、それでもやっぱり年の差がアレすぎますな。
逃げる玉男と追う太郎子の攻防はロビー、廊下、男子トイレにまで及び、中継カメラが状況を舞台上のスクリーンに映し出し、わざわざ「LIVE」の文字まで入る凝りよう。
にもかかわらず、なまじタイミングを上手く撮ってあるだけに、「前もって録画した映像」説が公演中後をたたず、そのうちロビーを走るあたりで「生中継です」(うろ覚え)と書いた札を掲げているスタッフも映すように。
結局台風の日に台風情報を記したフリップ?を映して以来、「まぎれもなく生中継」であることが明らかになりましたが。毎回これライブで撮るのも大変でしょうに。しかもストーリー的には特別必要なシーンというわけでもない(舞台の外に出る必然性はない)。それをあえてやっちゃうところがネタものの醍醐味ですね。
男子トイレのシーンではしっかり玉男が用を足していたり、追ってきた太郎子にあわてて外へ逃げる玉男を「ちゃんと手を洗ったかー!」と叫びながら追いかけたり、ほんとくだらなくてツボです。

・存在は紹介されつつ、というか犬顔家の相続人の一人で事件の鍵を握ってそうなくせに、まるで影の薄かった赤沼千鶴の娘・静香=大地マヤ(中谷さとみさん、二役)が意外な形で登場。こうしてみると結構原作の展開に沿ってるんですね。
彼女が助比代を殺す直前に、助比代が心情を語る場面はちょっとホロリときた。助比代の悲恋関係はこの爆笑芝居の中で、一応ギャグの一貫でありながらも何だか切なくて感動的でさえあります。
一度は死のうとした「彼女」(あえてそう書く)が生き直そうと決めた直後に殺されてしまう(それも決意を語った相手に)というのもまた切ない。

・正体を暴露されたマヤ=静香が玉男を人質に取る。うーむ玉男弱々。
その時静香と玉男は実は姉弟なのだと衝撃の事実が知らされる!思わず「姉さん!」「弟!」と盛り上がる二人ですが、直後単に静香の気をそらすための嘘だったことが明かされる。
ここで静香のみならず玉男まで「ずるい!」と怒っているのがツボ。はじめて玉男を「いいやつかも」と思いました(笑)。

・太郎子の口から次々と連続殺人の真相(ほとんどが信じ難いような事故)が語られる。助垂と柴子の死のシチュエーションとか無理ありすぎです(笑)。
そして間接的には金田のノート(デスノート)が元凶だったという・・・。実はこれまで依頼された事件全部、このパターンで金田が死者を増やしてたんじゃ?
個人的には「助焦に好きな音楽を尋ねたら「ボレロ」だと答えた→「Oh、ボレロ」=「溺れろ」」という展開の強引さに爆笑しました。こんな質問してる場面なんか全然出てこなかったじゃないか。何とすがすがしい後付け。
観劇後しばらく「ボレロ」を耳にするたびに笑えて仕方なかったです。

・助焦の直接の死因となった電気ウナギによる感電ショック事件、なぜウナギの名前(コウイチ)までいちいち紹介されるのかと思ったら、堂本光一さんの舞台『SHOCK!』にかけてあったんですね。なんと細かい(笑)。
元ネタが『SHOCK!』であることを示すためにウナギの名前をコウイチにしてしまうあたりのセンスが素敵です。

・ともかくも事件は解決し(したのか?)、列車で東京へ帰る金田。駅で皆が見送ってくれるのだが、その中に当たり前のようにリュークもどきの姿が(笑)。
驚いた金田が「みんな、あれ見えないの?」と指さすのに夢中で窓から身を乗り出していたら、柱に頭を強打(この時の表情のマヌケっぷりがまた絶妙)するというオチ。
しかも強打のショックでお店「おかわり亭」の看板の文字が一っこちて「おわり」になるというトドメが。ドリフのコントみたいだ。
最後までどれだけ下らない話にするかにこだわり続けた舞台でした。あっぱれ。

・上述の見送りの場面ですが、二度目に見たときには、嘘から出た真で静香と玉男は本当に姉弟だった、という会話が追加されていました。
こんな重要設定が公演途中で付け加えられたことに驚愕。しかし新たに増えた台詞を皆さん言いなれてないらしく微妙に棒読み(笑)。
観劇された方のブログによると、この新設定は私が二度目に観劇した回の前日からだったらしく、まだ台詞がこなれてなかったために勝地くんが台詞を忘れて立ち往生する一幕があったとか。
結局クドカンさん(たしか)が上手く繋げてくれたらしいのですが、回りの役者さんも勝地くん本人もさして慌てるふうでもなく朗らかに笑ってたそうです。
ネタものなればこそでしょうが、それにしても勝地くんも舞台度胸がついたもんだなあ、と何だか感心してしまいました。

・カーテンコール。気軽に客席に手を振ってくれる役者さんもいらっしゃる中、勝地くんは先程までのおバカ芝居はどこへやら、生真面目に深々とお辞儀を繰り返していました。
舞台挨拶などでもいつも丁寧に客席に頭を下げる勝地くんらしいなあとしみじみ嬉しくなりました。

・これも人様のブログによれば、東京公演中の日曜日は幕間に役者さんによる罰ゲームが行われることがあったそう。
ちなみに初回が勝地くん(稽古に遅刻したため)、二回目が中谷さとみさん&保坂エマさん(不明)、最後は木野花さん(鼻の頭を黒くするメイクを何度か忘れたため)。
勝地くんは「青春スター野見山玉男、デビューだ!」みたいなのぼりをしょって森田健作氏の「さらば涙と言おう」を熱唱したとか。普通にロビーでやってたので回りにお客さんが群がっちゃって大賑わいだったらしいですが、そんな状況でも歌の合間にギャラリーに爽やかな笑顔で手を振ったりしてたそうな。
これは「勝地涼」ではなく「野見山玉男」としての行動ですね(上で書いたように気安く手など振れずに丁寧にお辞儀するのが勝地くんなので)。こんな罰ゲームでも(だからこそ?)ちゃんと役柄になりきっている。彼は生粋の役者さんですね。

 


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『犬顔家の一族の陰謀』(2)-2(注・ネタバレしてます、か?)

2008-12-25 01:30:24 | 犬顔家の一族の陰謀
・露天風呂でエマニエルと混浴する玉男。
『月光音楽団♪』でジムで鍛えられた太い二の腕を見て以来、「胸筋や腹筋はどんな感じよ?」とここの場面に興味津々でした。結果は「少年の顔に大人の体」の台詞通りな感じでしたね。逞しくなりんさって。
私は大阪と東京とそれぞれ一回ずつ観劇したのですが、どちらの回だったか、腰に巻いたタオルがほどけそうになって(こちらが)思わず焦ったのですが、勝地くんは「てへっ♪」て感じの笑顔でしっかり結び直してました。まあ下に肌色の下着つけてたようなので、どのみち大惨事にはなりえないんですけどね。

・露天風呂周辺の岩やら壁やらに変装してた面々が次々と登場(笑)。
この頃映画が公開された『トランスフォーマー』のパロらしいですが、みんなの格好も大バカなら、こんなセット(コスチューム?)をわざわざいくつも拵えるあたりはもっとバカ(誉めてます)。
(1)でも書きましたが、日本有数の人気劇団でありながら、いい年をしてお金と手間をかけて全力でおバカ芝居に取り組む彼らの姿勢には頭が下がります。とくに体重計に化けていた敗地探偵(逆木圭一郎さん)がエマニエルの下着の重さを量るシーン(のバカバカしさ)ときたら・・・。いやもう最高です。

・服一式を持っていかれて風呂から上がれないエマニエルと、服を渡すことを条件に彼女を口説く助焦(右近健一さん)のデュエット。これはミュージカル『エリザベート』の有名な歌のパロディなんだそう。
ミュージカルに詳しくないので全然知らなかったんですが、「お湯にのぼせ~る」なんて歌詞を真面目に歌っているのと、桶で局部を隠す振り付けだけで十分に笑えます。
本当に作者と演出家(要はいのうえさん)の頭の中身を覘いてみたいです。どこからこんな発想が出てくるんだ。

・助比代が本物かを鑑定するため犬滝神官(橋本じゅんさん、二役)を訪ねる助垂(河野まさとさん)たち。
質問に答えているはずなのに「○○です、か?」と語尾が疑問系になってしまうボケ気味の神官さんの喋りがいい味すぎて癖になります。助比代の足型(の入った箱)に妙に固執するシーンのテンションもインパクト大。
古田さんもそうですが、アドリブなのか脚本通りなのか判然としない、思いつきをそのまま口にしてるかのような(演技とは思えない)喋り方につい引き込まれてしまいます。

・太郎子の(でしたっけ?)亡き夫による大量猟奇殺人の状況が語られる。
逃げ惑う人々のシルエット映像、公演の途中からなぜかサザエさん一家のシルエットに変更されました。しかもお魚くわえたドラネコまでいる丁寧さ。
サザエさんの独創的な髪型はシルエットでも誰なのかすぐわかるから便利。

・小屋でちわ子(中谷さとみさん)を襲おうとする助垂。
緊迫感あるシーンのはずですが、パンツ一丁で四つんばいになり「ムーニーマ~ン」と歌いながら近付いてくる助垂・・・別の意味ですっごい怖い!
こんなお芝居をやってのける河野さんの役者魂にはつくづく感服。でも勝地くんには絶対やってほしくない役柄だ(というかロベールも助比代も助焦も敗地も全部イヤだ)。

・絶妙のタイミングでちわ子を助けに飛び込んでくる玉男。しかも意外にも腕っぷし強し。おおヒーローっぽい!と思ったら、「一番格好よく登場できるタイミングを待っていたんだ!」(うろ覚え)のような発言に萎える。
自分が格好つけるためにガールフレンド?に怖い思いさせるな!それを自分の口からあっさりバラすな!
そのうえ騒ぎを聞きつけて下男の猿兵衛(前田悟さん)がかけつけてくると、「助けてくれ猿兵衛!助垂さんに暴力をふるわれた!」(超うろ覚え)みたいに言いつけたために、坊ちゃん可愛さで怒った猿兵衛がすでに玉男にボコボコにされた助垂をさらにボコボコに。
もともとは助垂が悪いとはいえ玉男ひでえ。しかも猿兵衛が助垂を殴るのを冷ややかな笑顔を浮かべて眺めている。
その表情につい「絶対ブラック桃太郎の生まれ変わりだ。犬顔家に復讐するために蘇ってきたんだ!」とか(二度目の観劇の時に)思ってしまった。もうさわやかどころの話じゃないです玉男さん。

・小屋で並んで死体で発見される柴子(村木よし子さん)と助垂。
しかしその死に様たるや、柴子はSMの女王様のような衣装で、助垂は「ムーニーマ~ン♪」の時のブリーフ姿で、二人とも尻に鍬が刺さっているという・・・。こんな死に方絶対イヤだー。
後に明かされるこの死に方に至った状況もあまりにアホらしくて(笑)。

・実は現場にずっと潜んでいたという敗地探偵登場。今度の変装は漬物桶(笑)。
初登場時の公衆電話にはじまる変装シリーズの中でこれが一番好きかも。話しながら顔にかかる白菜をいちいちかきあげる仕草がたまらなく笑えます。
そして肝心の時には居眠っていて結局何も見ていないという・・・。「敗地大五郎」という名探偵・明智小五郎を意識したネーミングからして、金田のライバルとして推理合戦を繰り広げても良さそうなキャラなんですが、実際はこの通り。やはり「敗地」という名前が悪かったか。
事件の起こる現場に次々先回りしていることを思うと、実は有能なんじゃないかと思われるだけに惜しい。

・犬顔家の呪われた歴史として語られる劇中劇がなんと『桃太郎』+『泣いた赤鬼』+『花咲かじいさん』+・・・―あと何だっけ―をミックスしたような物語。
この劇中劇のメンツはみんな本編とのダブルキャストですが、同じ役者が演じてる役(たとえば木野花さん演じる太郎子と赤鬼)は前者が後者の生まれ変わりとかそんな設定があったりするんでしょうか。
玉男がちょっとそれっぽいくらいでみんな二つの役の間にとくに関係性はうかがえないですけどね。犬とロベールが同一人物である必然性なんてないよなあ(笑)。
花咲かじいさんが犬(古田さん)に向かって「大阪芸大の頃からおまえが恐ろしかった」「野田(秀樹さん)に擦りよりやがって」などと言い出すのには場内大爆笑。私怨入ってますよ~。

・勝地くん演じる桃太郎の腹黒さがすさまじい。表情が(一応)さわやかが売りの玉男とは全く違っている(パンフレットの稽古場写真、衣装をつけてなくても表情で玉男なのか桃太郎なのか十分判別できます。さすが)。
勝地くんはかねてよりインタビューなどで、悪役をやってみたいと話していますが、たぶんこれが初悪役ですね。唇の片端を吊り上げた不敵な笑いといい鋭い眼光といい太い声音(特に「死ね」の場面)といい、実にブラックです。
さらに刀を鞘にしまうときの刀裁きが見事。殺陣も結構いけるんじゃ(『里見八犬伝』でもなかなかいい感じだったけど)。
今度はぜひ「いのうえ歌舞伎」に出演して殺陣を存分に見せていただきたい――と思ってたら2009年上演予定の『蜉蝣峠』への出演が決まりましたね!(勝地くんも『Stage Actors 08』での木村了くんとの対談で、今度の舞台ではガンガンアクションやりたいと力強く語っていました)。
公式サイトでポスターの写真を見る限りでは黒桃太郎をも超えるワルそうな雰囲気・・・。しかも脚本がクドカンさんとあって目下大期待中です。

(つづく)


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『犬顔家の一族の陰謀』(2)-1(注・ネタバレしてます、か?)

2008-12-21 02:05:08 | 犬顔家の一族の陰謀
パンフレットの記述と一年以上前の記憶を頼りに、箇条書きレビューしてみます。おそらくシーンの順番がかなり狂ってる気がします。ご容赦ください。


・いきなりシャンデリアが吊るされた洋風の部屋から幕開け。
一瞬「『犬神家の一族』が大もとのはずなのに何事!?」と思いましたが、すぐに『オペラ座の怪人』のパロディだとわかる。映画だけでなくミュージカルもガンガンバロってるんですね。
最初「リンチンチン」という名前(この名前を叫ぶときの裏返った声が最高)の元ネタがわからなかったんですが、その後映画『ALWAYS 三丁目の夕日2』を見たさいに「名犬リンチンチン」なる語句が出てきたので調べてみたら、そういうタイトルの映画があった模様。なるほどー。

・ストーリーは『オペラ座の怪人』から『キャッツ』パロへと移行。この流れに「このお芝居、どこへ行く気なんだろう」と思っていたら殺人事件が起こり、そこから今までの展開が劇中劇であったことが明らかに。
舞台上で殺された女優が犬顔家の一員だったことで、やっと本筋への合流点が見えてきます。
スクリーンに映像を映す形で輪転機の回転と新聞の見出しを見せるやり方は、ドラマやアニメの古典的演出パターンのパロディってことでいいんでしょうか。

・スクリーンを使って、黒地に出演役者の名前を白抜き?で紹介する―役者名が途中で直角に折れている妙な表示法で―のは映画『犬神家の一族』のパロディ。
音楽も大野雄二氏による有名な『犬神家の一族』のテーマ曲ですね。舞台を見る前に一応映画を見て予習しておいた甲斐があった。
ところで開演前ロビーで、「ルパン三世のテーマ」が流れていたのは何だろうと思ってたんですが、大野雄二作曲つながりということのようです。他の曲も全部大野メロディだったらしいですし。
この大野作品メドレーから一転して「ジューダス・プリースト」の曲(新感線の開演時の定番)が響き渡ったときはシビれたなあ。

・自分の名前がスクリーンに出たところで役者さんが一人ずつ登場し軽くパフォーマンス。
野見山玉男=勝地くんはテニスのラケットをもってさわやかに素振りをしていました。玉男がテニスをする場面は本編に登場しないのでなぜテニスなのかちょっと不思議。
そして演出家・マックス犬顔役の池田成志さんが登場のさい、前方に灰皿を投げつけると後ろから巨大な灰皿が飛んできて後頭部にぶつかる、というネタに爆笑してしまいました。これ若かりし頃の蜷川幸雄さんがよく怒って灰皿を投げていたというエピソードが下敷きなんですよね?

・キャスト名の中に、(映画で金田一を演じている)石坂浩二さんの名前が出たのに「おお!ゲスト出演してるのか!?」と期待したら、「・・・は出ない」と続く(笑)。
上記の灰皿直撃シーンもそうですが、あの物悲しいテーマ曲と演出のギャップが可笑しさを倍増させている。

・主人公・金田真一(宮藤官九郎さん)初登場。そのボサ髪と貧相な(誉めてます)外貌がすごく金田一のイメージに叶っている。そのうちドラマなどで本家の金田一耕助も演じてほしいなあ。絶対ハマると思うんですが。
そば屋?の隣りを間借りして探偵業とそば屋の電話番を兼任してるあたりも金田一っぽい感があります(本家にそんな設定はないですが何か似合いそう)。

・助左衛門助介(橋本じゅんさん)死去の場面。犬顔家のメンバー+玉男が本編初登場。
今公演の目玉(?)・じゅんさんの日替わり物真似が炸裂。ダッチワイフ振り回して暴れる場面といい・・・自由な人だなーと感じさせます。
実は非常に緻密な計算に基づいたお芝居だったりするのかもしれないけど。

・オープニング場面で分かってたことではありますが、玉男の髪が思ったより明るい色なのに驚いた。パンフレットとセットの玉男ブロマイドが黒髪ぽかったのでてっきり黒髪で演じるのかと。
そういえば公演前に行われた記者会見写真?でも明るい茶髪だった。七三分けの髪型と舞台メイクもあいまって、宝塚の男役の人みたいに見えたものです(写真こちら)。

・助比代(礒野慎吾さん)が黒い覆面を取ると、その下からは白い不気味なゴムマスクが!と書くと原作通りですが、犬耳(+犬ヒゲ)がついてるだけであんなに可愛らしくなるとは。耳がピンと立つシーンとか最高です。
これが実は誤って整形された素顔ということで、なぜ整形が失敗したかの経緯が語られるところなどもうくだらなすぎて。リオのカーニバルって何よ(笑)。
そして何よりも「助比代(すけぴよ)」という名前があまりにもツボでした。この先「すけぴよ」って名前が呼ばれるたびに、どんな真面目なシーン(そんなものは皆無に等しいですが)だろうと漏れなく噴き出してました。

・これも日替わりネタな「助比代の吐き出したガムがどこへ転がるか」。
結構みなさん本気で阿鼻叫喚してるような気がします。そりゃ人の吐き出したガム当てられたかないわな。

・ロベール(古田新太さん)とエマニエル(保坂エマさん)の父娘が登場。
この場面に限りませんが古田さんの台詞まわしは淡々と気がなさそうで、今思いついたことをそのまま喋ってるかのように響く。それが妙なおかしみを醸し出している(後半のヘアヌード写真うんぬんのくだりなど特に)。
リアルに内面から発せられた言葉のようで、作り物の匂いがしない。演技に見えない演技というのが一番難易度が高いと思うので、さすがは古田さんだよなあと感心してしまいました。

・溺れるエマニエルを助けに出た糠橋さん(インディ高橋さん)のボートが大爆発。
金田が激怒する糠橋さんを評して「糠橋さん大爆発」ってヘンな表現だなあと思ってたら、ここに繋がる伏線だったと後々にわかる。
スクリーンに大写しになった、爆発で吹き飛ばされる糠橋さんの図には爆笑。

・「誘われている!」で始まる玉男オンステージ。
一人芝居、ひたすら独白(しかも内容がしょーもない)で数分観客の興味を繋がなくてはいけない、演技上最大の難所と言えるシーン。ですが、思い入れ、というか思い込みたっぷりのオーバーアクションなハイテンション演技で笑いをもたらしてくれました。
勝地くん自身もしばしば語っているように、シリアス芝居以上にコメディは難しい。しかもこれだけ濃い出演者揃いの中でも埋もれちゃっちゃいけないわけで。
脚本・演出のいのうえさんの「(勝地くんは)一服の清涼剤」というコメント(こちら参照)を読んで、個性の薄い綺麗どころといった役なのかなと思ったりもしてたんですが、どうしてどうして。
「さわやかだけがとりえ」と言いつつ、自らそう宣言しちゃう段階で十分濃いし変だよ、という愛すべきおバカキャラクターに仕上がっていました。
改めて彼は「出来る子」だなあと感じたものです。

(つづく)


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『犬顔家の一族の陰謀』(1)-2

2008-12-17 00:41:35 | 犬顔家の一族の陰謀
さて肝心のお芝居についてですが・・・「あとに何も残らないお芝居を目指した」と脚本・演出のいのうえひでのりさんが語ってましたが、確かに(笑)。
何かを学んだり感動したり、という作品では到底ないですね。

いや、ある意味感動的ではありました。大の大人、それも演劇界に相当の名をなしているような人たちが、結構な金と手間をかけてやることがこれか、と(←誉めてます)。
パロディにつぐパロディ(というより全編そればっか)、しょーもないコスプレ・下ネタ・歌詞のオンパレード。そもそもストーリーそのものがすでにしょーもない。いや本当にもう、バカじゃないの?(←絶賛してます)。
正直大好きですこの作品。ぜひもう一度、いや何度でも見たいものですが、全編パロディ三昧だけに権利関係でひっかかりがあるらしく、WOWOWやスカパーでの放映はおろかDVD化さえされていません・・・。残念無念。

ついでに書くと、パンフレットとそのおまけまでしょーもないです。
大学ノートを模したパンフレットは子供の落書きのようなイラストこそあれですが、稽古場の写真やキャストのインタビューなど、ごくパンフレットらしい有意義な情報も満載。

(個人的に一番大きかった「情報」は、2004年の舞台『シブヤから遠く離れて』に始まって三回勝地くんと共演している小泉今日子さんが寄せてらしたメッセージ中の一文。
「舞台の楽屋で「キョンキョン、やっぱりカワイイねぇ!」と言ってくれたチョイ悪オヤジ風のお父さまはお元気ですか?」。
勝地くんが『はなまるカフェ』他でお父さんについて語っているのを聞くかぎりにおいては昔ながらの無口で頑固な親父様な印象だったんですが、チョイ悪オヤジ風?うーむ) 

・・・なのですが、漏れなくついてくるのが角川文庫の『犬神家の一族』を模した文庫本と勝地くん、もとい野見山玉男のマルベル堂風白黒ブロマイド一枚(6種類あるうちのどれかが入ってくる)。
この写真が、いかにも「青春スター」風の表情とポージングで写っていて(笑)。よくあれだけうさんくさい笑顔を浮かべられるものだ(←感心してます)。

そして文庫本の中身はというと、舞台のノベライズではなく、座付き作家の中島かずきさんをはじめとする諸氏による、探偵・金田真一の事件簿というべき短編集なんですが、その方向性は「メイド荘の惨劇」「恋の呪文はスケキヨヨキケス」といったタイトルから推して知るべし(微苦笑)。
そして巻末の「新感線文庫発刊に際して」なる挨拶文や「文庫目録」まで徹底してパロりまくり。最後の最後まで手を抜かないきめ細かな仕事にはため息がでます(感心半分呆れ半分)。

この「~発刊に際して」文中の、「 「こんなのがあったらおもしろいのでは?」という思いつきを、実現可能性や予算などの冷静な検討を飛び越え、「それおもしろい!」という愉快反射のみで決定してしまう」という一文に、このパンフ一式の、そして舞台そのもののの精神がそのまま凝縮されているように思えてなりません。
いつまでも新感線の皆さまには「愛すべき阿呆」で居続けてほしいです。


p.s. 今回ブログを書くにあたり、かの新感線のジンクスについて検索してみたところ、どうも「新感線で主役をやると太る」が正解の模様。
そうか、主役でなければ大丈夫なのか。染五郎さんは主役だったし、新感線の看板役者・古田新太さんも言わずもがな。

ちなみに今回の主演・宮藤官九郎さんの場合、あの針金のように細い体はジンクスなど全く寄せ付けなかったようです。
『未来講師めぐる』の頃に「子供の頃は太ってた」という話をどこかで見聞きした記憶がありますが、今となっては信じがたいよなあ。

 


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『犬顔家の一族の陰謀』(1)-1

2008-12-13 01:07:44 | 犬顔家の一族の陰謀

 

「劇団☆新感線」による舞台作品。2007年7月17日から8月4日までシアターBRAVA!(大阪)、8月11日から9月9日までサンシャイン劇場(東京)にて上演。
正式タイトルは『犬顔家の一族の陰謀~金田真一耕助之介の事件です。ノート』。この長いタイトルが示すように、『犬神家の一族』『デスノート』などをパロった壮絶なコメディ作品です。

新感線といえば壮大なストーリーと派手なアクション、歌舞伎的な演出の「いのうえ歌舞伎」の印象が強かったのですが、数年に一回「チャンピオン祭り」と題して、思いっきりはっちゃけたおバカなお芝居も上演していることを今回知りました。
勝地くんが新感線に出ると初めて聞いた時には、毎回のようにメインの役に客演を起用している新感線とはいえジャニーズ以外の若手俳優の抜擢はあまりないだけに、「新感線に呼ばれるなんて名誉だなあ」と言う気持ちと「これはヤバい!」と思う気持ちが相半ばしたものでした。

「ヤバい」といっても演技面のことではないです。いわゆる「ネタもの」芝居の評判を聞くにつけ、「これは試練だなあ(笑)」と思いはしましたが、勝地くんのことだからしっかりハイテンションなおバカ芝居でも魅せてくれるに違いない(もともとコメディ芝居も上手い人ですし)と、正直こちらの方はあんまり心配してませんでした。
気がかりだったのはむしろ、だいぶ以前に耳にした新感線の不吉なジンクス。すなわち、

「新感線に客演するとかなりの高確率で、太る。」 

――何でも新感線は飲み会が結構激しいので、慣れない客演の役者さんにはダメージが大きいらしく・・・。『阿修羅城の瞳』の時に客演・主演した市川染五郎さんが9キロ太ったとか・・・。
そんな噂が真っ先に頭をよぎり、メンバーでダントツに若い勝地くんなんて絶対飲まされるに決まってるし、太りやすい体質だって自分で言ってるくらいだし、危険だ!と、お芝居に関係ないところでビビってしまいました。
その後公演が近づくにつれ、雑誌のインタビューで勝地くんが「有名な新感線の飲み会」に言及しているのを読むたび、ますます戦々恐々としたものでした。

結果としては、今回ジンクスは無効だったようで・・・ホッとしました(笑)。まあ露出度80%みたいなシーン(腰タオル一丁)もあるので、太ってる場合じゃあないですもんね。
それどころかこのシーンに備えてか単に体力づくりの一貫としてか、この時期から頻繁にスポーツジムに通って筋トレに打ち込むようになり、すっかり筋肉質ないい体になっていました。
前年1月放映の『里見八犬伝』のときはいかにも少年らしい薄い体つきだったんですが。大人になったなあと嬉しいやら寂しいやら。

(つづく)


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『PICT MAGAZINE』(2)

2008-12-09 00:27:14 | 雑誌など

ビジュアルの話ばかりしてしまいましたが、インタビュアーさん?が紹介する撮影当時の行動やコメントも実に魅力的。

冒頭の「女のコが撮影してますよ!」(前回参照)には、「まったく本当にこの子は女好きなんだから!」と笑ってしまいましたが、くだんの撮影(水着グラビア)のスタッフが、
「 「覗きにおいでよ」と呼んでくれたのに、(中略)「みなさん、お疲れ様です!」と礼儀正しい挨拶をして去っていってしまった」そう。
水着の女の子たちに照れたのもあるんでしょうが、「だって撮影は真剣勝負じゃないですか。邪魔したらダメです!」というの第一の理由。

この生真面目さ、自分が一生懸命仕事をしているからこそ他人の真剣勝負にも敬意を払う真摯な姿勢――。実に勝地くんらしいなあと何だか胸が温かくなりました。

ちなみに小栗旬くんのページにも勝地くんについてちょろっと触れた箇所があります。
なんでも、友達に自分の服などを気前よくどんどんあげてしまう小栗くんがこの頃友達にあげたデビロックのつなぎを、実は勝地くんも狙っていたんだとか。
インタビュアーさんからその話を聞いた小栗くんは「あ、そうなの?じゃ涼もそう言えばいいのに(笑)。もう遅いか、あげちゃったし(笑)」と笑ってたそうですが、勝地くんにも以前に靴紐をあげたことがあるんだそう。
私が知るかぎりでは、この二人の仲良し話のうち最古のエピソードです。微笑ましいなあ。

 


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『PICT MAGAZINE』(1)

2008-12-04 00:08:53 | 雑誌など
2003年10月発売。かつて講談社が若手イケメン俳優さんたちの写真&インタビュー集のようなものをウェブ展開していたのですが(現在はサービス期間終了につき閲覧不能。残念。)、それを抜粋して?ムック本化(参考こちら)。
顔ぶれは勝地くんの他、小栗旬くん、塚本高史くん、石垣佑磨くんなど翌年発売の『BOYS BEAT』と結構かぶっています。ちなみに勝地くんの項の書き出しを引用すると――

「 「ねえねえ、あっちで女のコが撮影してますよ!」 頬を紅潮させてスタジオに飛び込んで来たのは、当代きっての美少年、勝地涼クン。現役の高校2年生!」

「当代きっての美少年」という表現に当初違和感を覚えました。容姿で売ってる子じゃないと思うんだけどな。
でも、そう書かれるのも無理もないか。いやほんっとうに美少年だわこりゃ。時期的には2003年9月放映の単発ドラマ『さとうきび畑の唄』で坊主頭にする前の時期、2003年初夏の頃の撮影かと思います。

衣装は、オーバーオール姿に長めの髪をちょっとつんつんさせた少年ぽい感じのもの、深い赤色のスーツに綺麗に撫で付けた髪型の大人っぽい雰囲気のものの2パターンで、それぞれ4、5枚の写真が載っています。
前者は壁に絵を描くのがテーマのようで、小道具の絵の具で顔や服のあちこちを汚している。
ウェブ上で初めてこの衣装の写真を見たときは、保父さんか子供番組の歌のお兄さんみたい(要するに子供相手のお仕事)という印象でしたが、『マガジン』に載っている写真はやんちゃな笑顔が満載のせいか、本当に無邪気な少年の印象でした。一つ一つの表情が本当に生き生きと愛らしい。

それが後者では一転してクールで悪っぽい雰囲気を醸し出している。
スーツ、髪型、金鎖などのアクセサリーやビリヤードの台を前にキューを構えているというシチュエーションのせいばかりでなく、にこりともしない表情のふてぶてしさ、サングラスをいじる手付きなどによる部分が大きい。

何となくこの前年に勝地くんが出演した昼ドラ『新・愛の嵐』(2002年)で当時21歳の要潤さんが演じた鳥居猛のやさぐれ時代を彷彿としました。
勝地くんは猛の少年時代を演じたのですが、もし『新・愛の嵐』がさらにリメイクされることがあったら、今度はぜひ青年猛を演じてほしいなあと、このジゴロっぽい写真を見つつ思ったものです。
(ちなみに赤のスーツを選んだのは勝地くん曰く「いやらしい感じが良かった」からだとか)

とはいっても一方で、肌質といい顔立ちといいまだ実にあどけなくて、背伸びした格好がかえって彼の幼さを際立たせてしまっている。
以前ウェブで大きく載せていた写真などは唇をわずかに開いた隙のある表情のせいもあり、男装の少女のようでさえありました。
背伸びした格好とそれでも(それゆえに)滲み出てくる幼さのコントラストが一種セクシーな美しさを生み出している。
現在22歳の彼が同じ服装をしたら、きっと背伸びした感じはせずにただただ格好良いんでしょうねえ。

(つづく)


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