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俳優・勝地涼くんのこと。

『里見八犬伝』(3)(注・若干ネタバレ気味)

2007-05-28 02:15:29 | 里見八犬伝
(1)で書いたように最初勝地くんは荘助のイメージだろうと思っていました。
そこでもし勝地くんが荘助を、あるいは別の犬士を演じてたらどんな風になっていただろうかと考えてみました。つまりは妄想です(笑)。

その1 犬川荘助義任
まず亀篠に棒でぶたれるシーン、処刑されそうになるシーンなどの痛々しさが増す。
佐藤くんだと大柄で顔立ちも大人なので(当時25歳だから当たり前)そこまで悲壮感はないんですが。
敬語口調は似合うだろうし、小文吾と旅するのも身長差があるのでデコボコした感じで良さそう。
馬加に懸想されるのは・・・洒落にならない(笑)。ぬい(黒川智花ちゃん)とは見るからに可愛らしいカップルになりそうです。 
結果的に佐藤くんの荘助で正解だったと思いますが。大らかな感じが出ていたのがよかった。 

その2 犬坂毛野胤智
これも結果的には山田優ちゃんの毛野で良かったと思ってるんですが、私を含め「毛野を男性に演じてほしい」と思っていた原作ファンは多かった。
『八犬伝』が映像化されるたび女装の美少年毛野は必ずといってよいほど女優さん(アニメなら女性の声優さん)が演じている。
たしかに絶世の美少女に化けられる俳優がどれだけいるものかと考えたら女優さんが演じた方が無難ではある。無難だからこそ面白味がない。
実際に男性(歌舞伎出身の俳優さん)が演じた例もあるので、ぜひここは冒険してほしいなと思ったのですが、じゃあ誰ならいいのかというと・・・うーむ。
外見も仕草も完全に女に、しかもファニーフェイスの可愛い系ではなく端麗な美少女もしくは美女に見えて、踊りもこなせてアクションもできてなるべくなら演技もできる人――。
『おれがあいつであいつがおれで』を見て以来、勝地くんに女装する役をやってほしいと切望してるんですが(こちら参照)、さすがに毛野はハードルが高すぎる(原作ファンのブーイングも恐ろしい)・・・。
と思ってたんですが、勝地くん演じる大角を見てちょっと考えが変わりました。
大角は女装してるわけでもないのに、長い髪と肌の白さのせいか表情によっては女の子に見えることがある。
そして着物の似合いっぷりと少年体型・・・いけるかもしれない。
着物なら体の線はあまり出ないし、このドラマのヘアスタイルは時代考証無視なので前髪で眉を隠してしまえる。
毛野はもっと華やかな顔立ちというイメージはありますが、目鼻立ちに癖がないから少し濃い目に化粧すればかなり印象が変わるはず。
あとは踊りを頑張ってもらえばOK。運動神経はいいはずだし練習すれば何とかなるだろう
(当人いわく踊るのは苦手だそうですが、2007年4月公開の映画『東京タワー』ではなかなか見事にダンスを踊ってました。8月公開予定の『阿波DANCE』でも阿波踊りを踊ってます)。
「残念ながら妻にはなれませぬ」のシーンも吹き替えなしでできるし、男姿に戻ったときの落差も楽しめる。
さすがに声はどうしようもないですが、「望みを果たすまでは口をきかない誓いを立てております」とか田楽一座のお頭に説明させて、あとは当面無言で通す。
目が口以上に物を言う勝地くんなら台詞なしでも十分感情表現ができるだろうし、喋らなければ喉仏も全然わからない。
そして馬加の前で舞ったときに「望みを果たすまで口をきかないそうだな。欲しいものを言ってみろ。何でもくれてやるぞ」と言われて、「・・・欲しいものは馬加大記、貴様の首だ!」と初台詞とともに馬加をたたっ斬る、とかどうでしょう。
そしてそれでもまだ男と気づかない小文吾にプロボーズされたりとか。実現してたら面白かったろうけど。

その3 犬江親兵衛
2005年12月のトークショーで、勝地くんは「犬士で他にやりたい役は?」との質問に「真田広之さんが演じた親兵衛」と答えていたそうで。
「真田さんが」とわざわざ断る以上原作の親兵衛でも山下翔央くんの演じた親兵衛でもなく、深作映画の親兵衛ですね。
太もも丸出しの衣装で山野を駆け巡り、可愛いお姫様を押し倒してみたり、敵に洗脳されて岩場を跳び回りつつ味方を襲撃したり、英語の曲にのせて長々とベッドシーンを演じたりの美味しくも技術的に難しそうな役柄です。
最後は馬に乗ったままお姫さまと手を繋ぎつつ走り去らねばならないし。なんか想像つかない(笑)。

などと書いてみましたが、結局は勝地くんは大角でよかったと思います。ああいう純和風の気品を出せる若手はなかなかいないように思うので。
DVDのコメンタリーで佐藤くんが、3日の後編の放映終了直後に勝地くんから丁寧なお礼の電話があったこと、どうやら犬士全員に同様の電話をかけたらしい(ハワイにいた押尾さんにはつながったろうか)ことを語っていました。
こういう話を聞くと、「礼」の人勝地くんが「礼」の玉を持つ大角を演じたのはまさに適材適所だったんだなあという気がします。キャスティング担当者の慧眼に拍手したいです。


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『里見八犬伝』(2)(注・ネタバレしてます)

2007-05-24 01:02:18 | 里見八犬伝
作品全体の感想はよそで書いたことがあるので、ここではその時書かなかった勝地くんがらみの気になる場面について。

・信乃と現八に「お引き取りください!」と怒鳴る声の凛とした響きにはっとさせられました。
勝地くんの声はよく通るので舞台向きだなと思ってたんですが、ある意味テレビ向きとも言えるかもしれない。ながら視聴者を画面に引き寄せる力がある。
正直時代劇の台詞まわしはまだぎこちないと思いますが、この台詞や「私は父上のためなら、自分の命など惜しくはないのだ!」のように、声を語尾までぴんと張った「怒鳴る」台詞はとても自然で、若武者らしい颯爽とした品がありました
『この胸いっぱいの愛を』での「ばかやろう!(おれが話をしてるんだ)」にも同様にはっとさせられたんですが、こちらはヤクザの役だけにもっと太く荒っぽい感じだった。同じ「怒鳴る」シーンでもキャラの性格に応じて声の出し方から違っている。というよりその一声だけでキャラの性格をしっかり伝えている。すごい)。
ぜひ一度大河ドラマを経験してほしい。長丁場なだけに所作や喋り方をきっちり教えてくれる印象があるので。
そこでベテラン俳優さんたちに揉まれて、また一つ大きくなってくれたら、なんて勝手な期待をしています。

・大角の切腹未遂シーン。腹を切るため着物の前を開いたことで左胸下の牡丹の痣が見え、彼が犬士であることが発覚する、という流れなのですが、ストーリーとは全然関係ないところでちょっとホッとしてしまいました。
痣を大写しにするためアップになった彼の半裸(正確には3分の1裸くらい)の幼さに。
筋肉もなければ贅肉もない、かといって骨ばってもない、喉から胸下までストーンとした起伏に乏しいラインと白く滑らかな肌はとても19歳の青年のものとは思えない
(・・・もっとも勝地くんより年長の成宮寛貴くんも、以前グラビア写真で見た感じだと勝地くんと似たような体型だった。今どきの若手俳優さんて・・・)。
『イージス』でさんざんアクション訓練やって「ガタイよくなっちゃいました」とか言ってたのはどうした?少女マンガの男の子が三次元に現れたかのようでした
(「脱ぐ」シーンのために微妙にダイエットしたんじゃないかって気もしますが。偽一角・船虫の登場前後(コマーシャルの前後)を比べると明らかに後半の方が顔のラインが細いので)。
彼にまだまだ大人になってほしくないと思うことしきりの私としては、ちょっと、というかずいぶん安堵してしまったのでした。
ついでに「またりえちゃんの前で脱ぐのか」と思ってしまった(継母船虫役は『1980』で共演したともさかりえちゃん)。
大角の痣の位置について原作では尻と胸二種類の表記があるのですが(馬琴の記憶ミス?)、胸の方を採用してくれてほんと良かった(笑)。
現八と一緒に風呂に入って尻の痣を確認してもらう場面は、実写にするのはどうかと思うし。

・「年寄りの肉は不味かったが、骨の髄までしゃぶり尽くしてやったわ!」と言う偽一角。そういやなんで若い大角は食べなかったんだろ?
原作だと礼の玉が大角を守っていたため手が出せなかったのだが、ドラマでは玉は本物の一角の髑髏に入ってたのだから大角に玉の守りはなかったはず。ちょっとミステリー。

・化け猫に切りかかるとき、一瞬唇を舐める。上品な大角らしからぬ仕草に奇妙な凄みを感じました。
単に勝地くん本人の癖がうっかり出てしまっただけかな?(『フレンドパーク』でもよく唇を舐めていた)とも思ったのですが、他の役で唇を舐めてるところを見たことがない気がする。
つまり自身の癖を役に持ち込んではいない。とすればやはりこれは「犬村大角」としての仕草であるはず。
「気品あふれる聡明で礼儀正しい若侍」から「目の前の敵を斬り伏せることが全ての剣客」へとスイッチが切り替わったかのようで、思わずゾクッとしました。

・髑髏を抱いて泣いていた大角が顔をあげた時の、涙ぐんだ目で唇を噛んで嗚咽をこらえている表情。
『さとうきび畑の唄』でもそうでしたが、勝地くんの泣き顔は本当に幼く見えてしまって、思わず「こんな小さな子泣かすなよ!」と思ってしまう。


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『里見八犬伝』(1)

2007-05-21 00:30:49 | 里見八犬伝
もともと原作が好きなので、ドラマ化の話が発表された時からこの企画には関心を寄せていました。
しかし中国ロケやら豪華キャストやらワダエミさんの衣装やらばかりが喧伝されて肝心のストーリーはろくろく言及されないという状況に、
「これは結局オールスターキャストによるお祭り企画であって、真面目にドラマを作る気がないんじゃないか?」
という危惧を次第に抱きはじめ・・・。

そんな時に滝沢くん以外の七犬士のキャストが発表になり、その中に勝地くんと小澤さんが入っていたことに、勝地くんファンとしてよりまず原作ファンとしてホッとしました。
まだ一般的知名度はさほど高くないものの演技派としての定評を得ている彼らが犬士に名を連ねているならば、一応きちんとドラマを作るつもりはあるのだな、と。
脚本がよほどアレでないかぎり(あの『ニコニコ日記』の大森美香さんなので、いくらなんでもそうそう悲惨なものにはなるまい、とは思ってました)、最低限彼らのパートは見られるものになるだろうし。

とまあその点では安堵したんですが、引っ掛かったのは勝地くんが演じるのが犬村大角だということ。
大角は八犬士唯一の妻帯者ということもあって老成したイメージのある役であり、当時19歳の勝地くんではいささか若すぎるんじゃないか
(大角は化け猫退治の時点で数え21歳、満年齢に直せば19~20歳なので、実は役と役者の年齢が一致していた唯一の例なんですけどね)。
外見や雰囲気からいっても勝地くんはむしろ佐藤隆太くんが演じた犬川荘助のイメージに重なる(ちょっと美形すぎるけど)。

それが大角ってどんなもんだろなあ、と思いつつ放映を迎えたわけですが・・・後編(前編では目立たなかったので)の登場シーンから数分とたたずに、
「やっぱりこういう知的で気品のある役に勝地くんは似合うなあ」
などと思うようになっていました(笑)。
写真で見たときは微妙に思えたオールバックのポニーテール(前編はずっと烏帽子だった)も、動画で見ると違和感なく合っている。

そして驚いたのは上でも書いた気品。
「やっぱり~似合うなあ」とその時は感じたんですが、よく考えると勝地くんが知的はともかく、特別気品を必要とされる役を演じてるのを見たことがない。
全然「やっぱり」じゃないのに日頃からそういう役を見慣れているかのように錯覚してしまうほど自然に、純和風の武家の若様らしい「気品」を備えていました。

もう一つ驚いたのは、表情によっては13歳のときに演じた『永遠の仔』のモウルそっくりに見えること。
当時ネットで『里見八犬伝』の感想ブログを探していたとき、『永遠の仔』以来久しぶりに勝地くんを見たという方が、
「彼は今何歳なんですか。なんであんなに変わってないんですか」
と質問しているのを見つけてちょっと笑ってしまいました(それは本人だって答えられまい)。
「19歳です」と返答をもらって「一番変わる時期なのに・・・」とますます驚いてらっしゃいました。 

15歳~16歳くらいの頃に一気にぐっと大人っぽく、男っぽくなった印象を持っていたんですが、近年には珍しく大人しめの、繊細さが前面に出た役を演じると、被虐待児やいじめられっ子を多く演じていた少年期の面差しが甦る。
こうしてみると変わったのは「顔つき」であって「顔立ち」はほとんどそのままなんだなあ、としみじみ思ったものでした。

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