ハルオは豆?を上から投げてやり、かんなは笑顔でデジカメ撮影。先日の「やればできる」演奏以来、バンドの技量的にもかんなとバンドの関係的にも全てがいい方向に動いてる感じです。
・どこかの露天温泉につかる一行(ハルオとかんな除く)。平泳ぎするヤングは水越しに尻が透けてる。ヤングってこんなんばっか。
・防波堤に座るハルオとかんな。「ツアーが終わったらみなさんどうするんですか」と尋ねるかんなにおれは牛がいるし、とハルオは口ごもる。そんな彼にこのまま終わっちゃうのもったいない気がするなーと言ったかんなはしばし沈黙ののち「アルバム出しません?」「うちはもうムリですけどどっかよそのレーベルとか」と持ちかける。
「パンク嫌いなんでしょ?」「はい。あ、でも嫌いでもライブ上手くいくと嬉しいっていうか。あたし仕事好きかも。初めて担当したアーティストだからなんかお母さんみたいな気持ちになっちゃった」。マサルを養ってる?ことから言ってももともと面倒見のいい、母性的なタイプなのかもですね。
・車の助手席でジミーの歌詞がやっとはっきり聞き取れたというかんな。しかし運転してるハルオは「ジミーさん呂律回ってないからそう聞こえるかもですけど」本来はニューヨークマラソンと言う歌詞ではないという。「ちがいますって。書いた本人が言ってんだから」。なんとあの歌作詞はハルオだった。
そして歌詞を見せられたかんなは「何この歌詞 ?こんなのインディーズでも出せないよ」とモノローグ。かんなの困惑をよそに今の時代ならメジャーからアルバムってのもありかもとちょっと不敵な声のハルオ。かんなのアルバム出さないかの誘いにその気になってしまったか。
・腰にタオル巻いて温泉入ろうとするハルオ。すでに入ってる三人。アキオに「チンコ隠してんじゃねえよ」と言われ「だって、栗田さんが」と恥ずかしげなハルオ。短パン姿のかんなは服着たままデジカメ撮影のため膝まで温泉に入ってくる。「ああ、ぜんぜん平気ですよ」とかんなは笑顔でいいますがそれもちょっとなー。
もっとみなさん近寄ってくださいと言われ寄り集まる一同。「はいチーズ」の瞬間いい笑顔でいっせいにざばっと立ち上がる一同。まあお約束な気はしますが、さっきは見られるの抵抗してたはずのハルオまで(笑)。
・並んだ四人の姿が1982年の4人並んだポスターに変わり回想へ。あの「GO AHEAD」でのライブの様子を少し映し、そこに現在のアキオの語りがかぶさる。温泉宿でどてら姿でかんなのカメラにアキオらしからぬ穏やかな口調で話す。
アキオいわく、ツアーは大盛況だった、アイドル時代のファンは離れていったけどね。「演奏してるとマネージャーの金子が、鼻をこうさわるんだよ。それが暴れろって合図でさあ」。ライブハウスでカメラかまえる金子はタバコの煙を吐き出し長髪姿。アラモードのマネ時代とえらく感じ変わりましたね。金子が鼻をさわりジミーがダイブ。ハルオとアキオが互いに寄り合い殴りあい始める姿が紹介されます。
・どこかの焼肉屋?で一人食事しながらの金子インタビュー。インタビュアー&カメラマンは映ってませんがこちらもかんななんでしょうか。
「だれも演奏なんか聞いてなかったな。客はアキオとハルオがやりあうとこ見に来てるんだからさ」。なんかそれもバンドとして空しいような。温泉につかるヤングのコメントによると「最初はやらせだったんですよ」。やらせでケンカを見せてるうちにほんとに仲悪くなってしまったそう。不和が進んでく状況をなぜかいきなり原色使いのヘタウマアニメで見せる。
・旅館のロビーでジミーに「二人の溝が深まってくの間近で見てて、どうでした?」とインタビューするかんな。心持ち悲しげな無表情だったジミーはかんなの肩越しに床に片膝ついたミニスカートの女を見ている。「ジミーさん?」 座ってるジミーは体を少しずり下げてスカートの中を見ようとする。男に肩を叩かれた女が肩膝立てたまま体反転させる、まさに見えそうな瞬間にほかの温泉客が前を横ぎって女の体を隠す。そして女はスカートを直してしまう。ジミーの目から無言のまま流れる涙。女は立ち上がり男とともに歩き去る。
かんなは「つらかったんですね」ともらい泣き。ジミーは両目を閉じてくやし泣き。二人が泣いてる理由が実は全然違うってのがなあ(笑)。
・夜、車はガソリンスタンドへ。アキオはソファーベンチに寝てた若い男(「日本一周中」の幟立ててる)を追い立てて自分が座る。
かんなはハルオに兄との関係をインタビューする。プレーヤーとしては兄貴を尊敬してる。バンドの要は兄貴のベースだし。ギターもおれなんかより兄貴のほうが上手い。このコメントを受けて、じゃあいい年なんだから仲良くしてくださいというかんなへきっと向き直ったハルオは「かんなちゃんもバンド組めばわかるよ」。初めて名前で呼ばれたかんなは「かんなちゃん・・・」とちょっと嬉しそうです。
・「バンドにはいいときと悪いときがある」。正面向き直って語るハルオ。またアニメ仕様でへんな怪獣(バンドをを具現化したもの)が吼える。所詮人間の寄せ集め、皆の思惑が違ってしまい怪獣は動けなくなる。「そうなったらもう解散するしかない」「解散してやっと気づくんです。自分の無力さに」。ハルオが語っているのに何といつのまにかかんなは寝ている。おいおい。せっかくハルオがいい話してるってのに。
・夢の中でアニメの怪獣の手につかまれてるかんなが放してと叫びまーくんを呼ぶと、ギター持ったマサルが空を飛んでくる。見得を切るポーズで「おまえは間違っている。ファックだのシットだのそんな汚い言葉で世界は変えられない!」 なんかちょっとかっこいいかも。
そしてかんなの名を叫ぶと「君を幸せにする自信がない」とギター弾いて歌い出す。歌うにことかいてこの場でこの歌か。「歌ってないで助けてー」と叫んだかんなの口、のどちんこがアップになったところで頭を車にぶつけて目をさましたかんなは「自信」が流れているのに気づく。「ごめん勝手に」と遠慮がちに謝るハルオ。「なんかうなされてたから」。だから彼氏の歌声を聞けば落ち着くと思ったのか。ハルオの優しさが沁みます。
・「これどうですかね」。おそるおそる尋ねるかんなに、あんまり悪くいっちゃ申し訳ないからなとハルオは遠慮するが、「ダメなんだ・・・」と落胆気味のかんなの声に「いや、ダメっていうか・・・(ここでかんなちょっと期待する笑顔)クソだねー」。
もっと悪いじゃん。ハルオも気を遣ってるんだか何なんだか。かんなの笑顔が固まりアニメの中で歌うマサルが怪獣の足に踏み潰される。この後の二人の関係を象徴してるようでもあります。
・かんなの部屋。仙台寒いかなあ、とか普通の会話しながら荷造りのため部屋を駆け回るかんな。ツアー途中でいっぺん自宅に寄ったわけですね。洋服だんすの上の鏡に上半身はだかのマサルが映りこんでて、何ごとかと思ってしまいます。「なんでだまってんの?」とにっこり振り返るかんな。「いや、なんか言い訳するのは違うっていうか。でも謝るのもなんか違うっていうか」。
いかにも煮え切らない口調のマサルにだんだんカメラが寄っていき、「じゃあ黙ってれば?」とかんなが可愛い笑顔でベッドサイドのカーテンを広く開けたところで事の全貌―マサルが女を連れ込んでた―が明らかに。
「何年生」「高一でーす」と答える女。ベッドの上で携帯いじってまったく反省の色がない。前にバイトのシーンで出てた後輩の女の子です。かんなが顔しかめると「高三でーす」と言い直す。力ない笑顔のマサルが「バイトの後輩?」とすごく裏返った声で言う。「あ、やめたけど」「またやめたんだ」。マサルはバイトも長続きしないのか。
「店長にならないかって言われたんだけど、店長って、なんか、ちがう・・・」。語尾がだんだん消えていく。先輩が彼女と別れたって聞いて自分が押しかけたと殊勝にもマサルをかばう?女。いい感じの作り笑顔で首を横に何度も振るマサル。かんなは自分は別れたつもりは全然ないと主張。「だってこないだ途中でさあ」「帰ったよ二曲目でつまんないから」。ストレートな言われようにマサルは呆然とした顔に。「ここは黙っちゃダメでしょー」とかんなは怒る。
するとパンツ一丁のマサルが立ってきて「おまえだってさーかんなだってさーいやおまえだってさー」。一応大きな声で自己主張しようとしてみるがやっぱり締まらない。「例の中年パンクとさー楽しそうにやってっからさー」。何かべらんめえで微妙に股間いじるような仕草で言いつのるマサルに、楽しいって言葉の意味間違ってんじゃないの、あたしは働いてお金もらってんの趣味でやってるあんたのほうが楽しいはずじゃないの、とかんなはテーブルの上の小銭を背中に投げつける。「ああっ」とマサルはちょっとマゾっぽい声。
「なんで別れたつもりの人がここにいるの。あたしの部屋だよねここ」。この言葉にマサルは怒った顔するものの「出て行くのはなんか違うっていうか」。「違わねーよ!」とついに爆発したかんなはマサルのギターを床にたたきつけてへし折る。過激な恋の結末です。
・そして車の中。後部座席中央で泣きじゃくるかんな。容赦なく「さくららら」を合唱するメンバーたち。しかも歌詞が桜新町でなく桜上水になってるし。ハルオだけはちょっと控えめに気の毒そうな顔で(それでも)歌ってるけれども。
・どこかのクラブ?のソファで泣きはらした顔のかんなが彼のやってる音楽ぜんぜん好きじゃないと思ってたと告白。頑張って聞いてる自分がいとおしいっていうか、彼だけがあたしが女でいられる場所?もろ自分語りするかんなの話を聞いてるのは知らない中年女性。男たちはかんなはほっといて隣りで酒とつまみをやってるし。
「たまにはつきあってくださいねぎらってください」というかんなに構わず、もう寝るわと立っていくアキオ。ヤングが「明日お父さんの墓参りなんだって」と一応フォロー。これが次のシーンへの伏線になっていきます。
・飲み屋街を一人歩くアキオ。また一人焼肉する金子インタビューで、解散の理由はハルオだけメジャーから声がかかったことだと明かされる。当時ハルオは「ロケットビート」というバンドにかけもちで参加してたそう。アラモードといいハルオ需要あるな。技術的には兄が上だと本人も言ってたのに。
アキオは弟ばっかりちやほやされるのが気に入らなかったのだと今度はクラブでヤングが話している。金子のインタビュー、ヤングの話、ハルオの回想、という三つの形で、兄弟が決定的不仲に陥ってく状況が詳しく描かれていきます。
・そんな最悪なときに仙台でライブがあった。2日間でろくにリハもできなかった。二人の地元だしぴりぴりしてた。一人翌日公演予定のライブハウスに来たハルオは後ろから可愛い女の子に声かけられる。ハルオはファンだというその子に誘われるまま寝てしまったが、実はこれがアキオの罠で、翌日警官にホテルに踏み込まれ、女がくれたぬいぐるみの中から白い粉入りの袋が出てきたことで逮捕されるに至ったという・・・。いかに気に入らないからって実の弟にここまでするか。
新聞にハルオが覚醒剤使用で逮捕された旨の写真入り記事が載ってますが、肩書はロケットビートギタリストになっている。こっちはメジャーなんだから当然とはいえちょっと寂しいものがあります。
・繁華街で中年女に声をかけられたハルオ。「怒ってる ?怒ってるやっぱり?」と言う女はどうやらハルオをはめた女のその後らしい。「怒ってねえですもう」と答えるハルオ。
明日のライブはあたしはお店あっていけないけどせがれが行くからと女は笑い「あんたの甥っ子」と付け加える。つまりはアキオの子供ということに。アキオは自分の彼女に弟と寝るよう指示したってことか?あまりのことに言葉もないハルオ。
そこへスポーツ車がけたたましくやってくる。カーステから流れるのは「アンドロメダおまえ」。下りてきた金髪男は若いころのアキオそっくりで父親が誰か説明の必要もない。女は嬉しそうに近寄り「挨拶しなさい」と声をかけるが、男はガン飛ばしただけで母親を助手席に乗せて走り去る。彼
はハルオが自分の何に当たるかわかってるんだろうか。そして父親のこともどの程度知っているのか。アキオは息子のことを存在すら知らないような感じですが。
・逮捕当時のテレビ映像。アキオが弟が戻るまで三人で活動続けると感動的なコメントをしている。「でもまあテレビに売り込んだのおれなんだけどな」と金子。証言はクラブのヤングに引き継がれ、ハルオが復帰して半年後、延期になってた仙台のライブをやってそれが例の解散ライブだったと明らかに。
・事件当時アキオハルオの父親が息子が逮捕されたショックで農薬を飲んで自殺をはかったことが明かされる。スタジオらしき場所で弦を調整するハルオにアキオが実家いってきたよ今朝、と報告し缶コーヒー?の中身をハルオの足元にぶちまける。「親父は生きていた」。
回想で付き添いの看護婦と話すアキオ。兄はロサンゼルスに住んでる有名なプロデューサーだとハルオは話してるらしい。寝たままうめきだす父親に看護婦が、アキオに普通に話しかけながら処置を行う姿。「ああなったのはやっぱおれのせいか?」と尋ねるアキオに「おれはあんたのせがれにあったよ今日見にくるってさ」。無言で見つめあう二人にかんながサウンドチェックを頼みにやってくる。また兄弟不仲が再燃しそうなちょっと不穏な気配があります。
・回想の25年前。坊主頭でスタジオに戻ってきたハルオの姿。あれファッションでスキンヘッドにしてたわけじゃなかったんですね。ジミーが「今日がんばろうな」と声をかけるがアキオだけは目があわせられない。さすがにやましかったのか。
・「世界人類を撲殺、少年メリケンサーック」。ジミーのがなり声でステージが始まる。観客大うけ。かんなも客席の後ろで楽しそう。ちょうど電話がかかりいったん抜けて階段を上がる。電話の相手は社長。「画像見てくれました?」こないだからのインタビュー映像のことらしい。「今見てるよ」。
昨日たまたまTELYAの事務所の社長が来たんで企画書(「オヤジがパンクで何が悪い!」)を見せたという。この社長って金子じゃないか。結果的にTELYAと抱き合わせでテレビ生出演できることになったそう。10万人どころじゃねえぞ、社長は言うがかんなの返事がない。どうしたかと思えばかんなは階段に座り込んで泣きじゃくってる。もうすっかりメリケンサックの成功が自分自身の成功にもなってるんですね。
・電話中に階段を降りていく金髪の若い男をいぶかしげに見るかんな。映像でのみ知る若いころのアキオそっくりなのに気づいたんでしょうか。一方演奏中のアキオは息子がいるのに気づき、自分の顔を殴ってわざと口から出血。ハルオとの間に一触即発風の雰囲気をかもしだす。にらみあい位置を何度も入れ替わる二人に昔の解散ライブの二人が重ね合わされる。
でも何もないまま無事演奏が終わったとほっとしたのもつかの間、終わったとたんにふたりが肩からギターとベースを下ろす。かんなは「やばいやばいやばい」と泣きそうな顔になり「ジミーさーん」と叫ぶ。それを聞いたジミーはギターを振り回す二人を見て高くジャンプ、次の瞬間天井に張り付いて無傷のジミーと互いの腕を殴ってしまったハルオとアキオの姿。
二人は苦痛に座り込み客席は拳つきあげて盛り上がり、天井に張り付いたままジミーは得意げな笑みをもらしピースサイン。走れるしジャンプできるしこの人なんなんだ。しかしかんなは目と歯をむいて硬直。せっかくテレビ出演の話がきた矢先にギタリストとベーシストが腕をケガするとは。救急車のサイレンの音が近付いてくるのがバンド終焉の合図のようにも思えます。
・夜の病院。受付前で腕組んで怖い顔で立つかんな。手前にはアキオとハルオの背中。「あなたがたにはがっっかりです」。がっかりのゆっくりした間の取り方に怒りのほどがうかがえる。椅子に悄然と座るアキオとハルオは、アキオは左手。ハルオは右手をギブスしてる。「がっかりを通り越してげんなりです」「結局パンクってなんなんですか。ねえ。兄弟喧嘩ですか」。かんなが怒ってる最中も足で足を蹴りあう二人。子供ですか。
「いい年して女がどうした親がどうした、中途半端だ、あんたらなんか二人で一人前じゃん!」 言いながら二人の足を蹴り飛ばすかんな。キツい言い方ですがこれが後の二人羽織プレイのヒントになったんでしょうね。「アルバム出せそうだったのに。テレビだって決まってたのに」とのかんなの言葉にテレビ?と食いつくハルオとアキオ。期待の目で聞いてくるアキオに「あんたらなんかに教えない!」と怒鳴るかんな。
「結局あなたたちのいいところなんて見つかりません。パンクの良さなんて全然わかりません」。涙ぐみながら叫ぶかんな。せっかくここのところ全てがうまく回ってたというのに、兄弟喧嘩ですべて台無しにしてしまうあたり25年前と変わりませんね。ジミーさんに大ケガ負わせながらまだ変われないんだもんなあ。
・悄然とうつむいて座っていたヤングが「やりましょうよやらせてくださいよ」とアキオたちを振り向く。「今やんなかったら次いつですか。5年後、それとも10年後 ?また25年後 ?」 ヤングがこんな反抗的なことを言うのは珍しい。泣きながら訴えるヤングを見ながらかんなは「二人で一人前・・・」と何か思いついたような顔になる。「おれらどうせ伝説なんかなれねえんだから、せめてちゃんとしましょうよう」。
ハルオアキオは背を向けて黙ったままだが、ここでヘッドホンをはずしたジミーが足を組んで、「ピストルズはときどきやってるけどね」(ヤングが“メンバー死んじゃって再結成できないバンド”にセックス・ピストルズを加えていたことへのツッこみ)となめらかに喋りだす。「あーそかそか」とヤングが答えたあとにアキオもジミーを振り向き「オリジナルメンバーで再結成したんだよな」と普通に続ける。みんな早く気づけって。しばらく普通に会話したあとにアキオが改めて振り向き、「ジミーおまえ普通にしゃべってんじゃねえか」。
まずいという顔で両手で口押さえるジミー。メンバー皆立ち上がって寄ってくる。普通に喋ればと促されても口押さえて喋れないふりしようとする。最初はいかにも立つことも困難なような様子だったのにその実走れて跳べて喋れて・・・。なんか障害者の振りして恩典受けまくってる気配を感じてしまうんですが。
・一方かんなは思いつめた顔で例のワゴンを運転し、一人夜の道路を走る。何か強い決意の目で正面にらんでいますがメンバーに断ってから出ていこうよ。また職場放棄と思われそうです。
・日中の公園にやってきたかんなは石段を一段とばしに駆けあがる。前にマサルが弾き語りしてた公園。ギターはかんなが壊したんだからここで演奏してる確証はないのでは。レコード会社の他のギタリスト借りるんじゃダメなんですかね。BOAの対バンの件があるから誰も組みたがらないか。
・ニューギター(淡いグリーン地にハート型の空洞が可愛い)を抱えたマサルが歌うのは「さくららら」。かんなのこと歌った歌なのに平気なんですかね。足早に近寄るかんな。彼女の姿に気づいたときから明らかに声小さくなり顔の曇るマサル。彼女がすぐ目の前に立っても目を合わせようとしない。
無言でにらみつけるかんなは「最後にひとつお願いがあるんだけど」。マサルは「ていうかなんでバリカンもってんの」。近付いてきた時点ですでにこれから起こることへの予感があったのか。
後ろから襲い掛かり首をヘッドロックで締めあげながらバリカンをガチガチやるかんな。目をむいて舌を吐くマサル。本当に苦しげに見える。勝地くんの名演技ですね。
・テレビ画面。女子アナが先ほど入ったニュースを読み上げている。そのあとスタジオにかんなが入ってく場面に切り替わり、アナの声はバックに小さく流れるのみになるので聞き逃しがちですが、どうやら誰だかが農薬で自殺したとか殺されたとかいうニュースらしい。
こういう事件が起きた直後というのが「ニューヨークマラソン」がこのタイミングで放送されるヤバさを際立たせる、まさにそのための仕込みだったと思われるのになぜ聞き取れないような音量にしてあるんですかね。
・音楽が流れ「ニュース特集 熱いぜ!中年ロック魂!」と題された生番組が始まる。隣りのキャスターがなにかと質問投げかけても社長に言われたとおり一切しゃべらない(喋らせるとロボットみたいだからだろう)TELYAにキャスターもしばしば困り顔。
ともかくもキャスターの紹介のもとメリケンサック登場。腕にギブスしたハルオとアキオ、ジミーとヤングの後からもう一人髪の毛立てた若者がすごすごという感じで入ってくる。「ん?1234、5人いるぞ」と指摘する社長に無言で正面笑顔で見たままのかんな。若者がエレキベースを手にする。「あれ?ベース変わった?」「どうです?」とちょっと得意げなかんな。
目に手をあててちょっと鼻すすりあげる若者はマサル。ここまで来てまだ泣くか。いきなりテレビ出演なんてある意味すごいのに。イケメンじゃんと社長。マサルが正面向き直ると、頭の向かって右半分は丸刈り。しかもマジックで「自信」とか書かれてる。
一方二人羽織状態でギターを肩から下げるハルオアキオ。人前でギターをちゃんと弾けるか不安をもらすアキオに心配しなくてもだれも兄貴のギターなんか気にしてないと答えるハルオ。言い方はあれですが敵意はないむしろ暖かい声音です。二人で一人分の役をやらざるを得なくなってようやく自然と支えあう気持ちになれたんでしょうか。
・「かんな!パンクのなんたるかをまさかおまえに教わるとはな!」かんながかつて夢で見たとおりのセリフが社長の口から。ちょっと感動的なシーンです。
・そして演奏が始まる。ギターが二人羽織にもかかわらずちゃんとした演奏になっている。しかしにわかに(若いころより)滑舌良くなったジミーの歌がもろ「ノーパン喫茶で農薬のませろ」とちゃんと聞き取れてしまってキャスターも顔をしかめる。画面の下に歌詞はニューヨークマラソンで出しているのに。
顔が引きつっていくかんな。病院飛び出してそのままちゃんとメンバーと話してないとしたらジミーがちゃんと話せる事自体も知らないはずだからまさに晴天の霹靂でしょう。
・「農薬のませろって歌ってるぞ」「こんなのリリースできねえよ」。社長が隣のかんなを見るとすでに逃げ出したところ。スタジオの扉を開け「お世話になりました!」と一礼して走り出していく。結局ツアー最初の公演と同じ展開に。あんなに頑張ったのになあ。金子が扉のすぐ前でステージ指さして大笑いしてます。
・地下駐車場の車に飛び乗ったかんなは「やっぱりパンクなんて、だいっきらい!」とハンドルもって正面にらみつける。相変わらずの実家の車で夜の道路を走り去っていく。メンバーを放り出して彼女はどこへ向かうつもりなのやら。
・それから数ヶ月後くらい?社長は上機嫌でかんなと電話。「20万アクセス突破しちゃったよー」。社長が覗きこむのはメイプルレコードのHP。映ってるのは先日のテレビ放送の動画。しかし電話の向こうのかんなは反応うすい。
「もう関係ないんでわかんないです」。彼女は実家の回転寿司屋で働いてる最中。結局あのまま業界から足洗ってしまったのか。しかしメリケンの人気がいまだ上昇中だからか社長との関係は良好なよう。それにしてもあんな歌詞の歌の動画、公式サイトで流して大丈夫なのか。
・「ところで今日ライブだよね。チケット関係者扱いでなんとかなんない?」。テレビ放送の件で結局仕事をやめて実家に戻ったらしいかんなにこの発言は?話しながら店の外にでたかんなは「関係者って社長は関係ないでしょ」「そこをなんとかー」。この時点では謎だらけな会話です。
・店のワゴンに乗って出かけようとするかんなは父親に店の制服(ハッピ)脱いで投げ渡す。その下のTシャツにはSMS(少年メリケンサック)の文字。「言ったでしょ。今日ライブなの」といい笑顔でいうかんな。
そしてメリケンサックのライブの様子。客席は大盛り上がり。どうやらあの歌詞が原因で結局メリケンサックはメジャーデビューできず、これまで通りインディーズバンドとして全国のライブハウスを回る、かんなはかつての金子のように実家の仕事手伝いながら彼らのマネージャーをしてるということのようです。そのわりにメイプルレコードのHPで動画流したりしてるのが謎ですが。メイプルに所属してるんだかしてないんだか。
・引き続きライブの様子。ハルオアキオは相変わらず二人羽織のまま。いまやマサルもノリノリで自らもマイクに「撲殺撲殺撲殺」とか叫んでる。かんなはステージに向かっていい笑顔で鼻を指でこすってみせる。そのサインって・・・!。それを合図にジミーが背中から客席にダイブ。ステージはますますヒートアップ。アキオの動きに引っ張られるハルオが苦しそう。今度は逆にハルオにアキオが引っ張られる。デジカメで撮影するかんな。
演奏ラストでもはや揉み合ってる体のアキオハルオにかんなはちょっと不安そうな顔。「ケンカしろ」のサイン出したのはかんななんですが、彼女はあのサインで何をやりたかったのだろう?
ギターを奪い合う二人。ついにギターを手にしたアキオは大きくギターを振りかざしてハルオに殴りかかり、体沈めてハルオがよけたため思い切りジミーの頭を殴ってしまう。大きく口開けて悲鳴をあげるかんな。ステージ中央に死んだカエルのようにうつぶせに倒れるジミー。見つめる一同。「ジミーさん?」 ジミーの尻が大写しになり、そこに「END]の文字が縫い付けられている。笑えるようなブラックすぎるような衝撃のラストです。