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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

25年

2024-08-20 06:43:20 | その他
『キリン 一番搾り』の新CM「普通かよ」篇のメイキング映像を見ました。

相方の中村倫也くんとは20代前半からの友人ということで、CMの雰囲気そのままの、自然で楽しいトークが繰り広げられていたのですが、中村くんの冗談を受けての「ハマってきたから25年やってこられたんだよ」という台詞にハッとさせられました。
デビューは2000年ですが、スカウトされた時点から数えると今年は25年目。インタビュー部分の「10代から一緒にやってきた仲間が、他の仕事に就いたり、役者を辞めたりする中、俺たち何とか頑張ってやってるね、という気持ちにもなる」という言葉の通り、浮き沈みの激しい芸能界で25年間コンスタントに仕事が来ている、ドラマ・映画・舞台・声の仕事と多岐にわたって活躍しているというのは凄い事なんだよなあと改めて感じました。

お誕生日、おめでとうございます。


来週からしばらく、彼の声の仕事─その転機になったともいえる作品『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Traibllazer-』について、週一ペースくらいで語ってみようと思います。

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フィールド

2023-08-20 21:47:32 | その他
今年もこの日がやってきました。
 
彼は舞台の公演中、彼自身も含めた出演者複数の体調不良による休演というトラブルにも見舞われましたが、ほどなく復帰できたようで安堵しました。  

それにしても「絶対ダメ音感の持ち主」(『未来講師めぐる』)だった?彼がミュージカルに出演する日が来るとは。一応歌手デビューもしてるもののあれは完全なネタものだったので、本格的に歌い踊る舞台に彼が立っているという事に驚嘆せずにいられません。きっとこの先も年々着実に活躍のフィールドを広げてゆくのだろう彼の前途を、静かに見守り続けたいです。

37歳、おめでとうございます。

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HAPPINESS

2022-08-20 05:39:34 | その他
今年もこの日がやってきました。

出演舞台が関係者のコロナ感染で初日が延期になりハラハラしましたが、彼自身は感染することなく、数日遅れで無事開幕できたのに安堵しました。
三年目になるコロナ禍で一番影響を被っている業種の一つが興行関係だと思います。俳優さんたちも何かと振り回され、特に一年目は精神的にダメージを負われる方も少なくなかった。
そんな中でも彼が元気な顔を見せてくれることにホッとします。また共演者さんたちとお酒を飲みながら芝居談義ができる日々が一日も早く戻ってくるといいですね。

36歳、おめでとうございます。

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BIRTHDAY

2021-08-20 06:12:10 | その他
先日彼のデビュー作に近いドラマ『六番目の小夜子』が再放送されましたが、あの初々しい少年(当時13歳)がもう35歳を迎えるということに何やら感慨深いものがあります。
今年前半はプライベートでいろいろありましたが、後半は主演(!)舞台も控えており、俳優としての彼の飛躍がますます楽しみです。
そしてこんなご時勢だけに・・・ とにかく元気でいてください。

お誕生日おめでとうございます。

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不要不急

2020-08-20 09:52:39 | その他
2007年放映の大ヒットドラマ『ハケンの品格』が13年を経て続編が作られると聞いたとき、正直彼の出演はないものと思っていました。なので出演するのがわかったと知った際は素直に嬉しかったです。
そこまで重要な役ではなかっただけに「演技力を買われたのかな」と思えたし、何より安定した視聴率が見込めそうな作品で毎週彼に会えるというのが大きかった。ところがまさかの疫病流行に伴う緊急事態宣言で撮影が延期に──。

この新型コロナで多くの職業が打撃を被りましたが、とりわけ影響が大きかった業界の一つが芸能界だったと思います。ライブも舞台公演も中止、映画の公開やさらにはドラマなどの撮影も軒並み延期となった。
多くの観客が集まることで感染が広がる、観客のいない撮影現場であっても俳優同士やスタッフが密になれば感染リスクが高まるというのが一番の理由ですが、緊急事態宣言下にあって娯楽や芸術は不要不急と見なす雰囲気が醸成されたのも大きかったのでは。
宣言解除後は感染防止対策を取ったうえでドラマの撮影も再開されましたが、東京の小劇場でのクラスター発生などで、いまだ芸能界周辺には逆風が吹いていると言えるでしょう。

そんな状況下だけに、予定より短い話数ながら無事放映を終了した『ハケンの品格』最終回における主人公春子の、人間は無駄だらけの存在、やけ酒を飲んだり嫉妬したり恋愛したり失恋したりする「無駄」こそが人を人たらしめているのだという主張が胸に沁みた。無駄や不要不急こそが人間性の豊かさを形作っているのだという、脚本家の方の想いを強く感じました。

今再び全国的に感染者が増加しています。コロナと家計の両面で不安感が胸に貼り付いてはいるものの、不要不急を楽しめるような心の余裕も失わないでいたい。彼のお芝居や今後の展望にワクワクできるようでありたい。感染拡大によって彼の活躍の場が狭められないことを切に願います。

お誕生日、おめでとうございます。

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ambition

2019-08-20 21:01:18 | その他
7月26日放送の『アナザースカイⅡ』で、久しぶりに彼を見ました。

4年前にこの番組に出演した時に訪れたロンドンの街を再訪。当時は自分のために買い物をしていた彼が、今回はもっぱら子供の物ばかりを購入していた。奥様へのプレゼントは買ってない─おそらく買う必要性があるとさえ思ってない─ことにスタジオからツッコミが入っても「いや、二人も子供(第一)って感じになってるから」と当然のように答え、奥様を子供に取られたように感じることもないというのに驚きました。
決して奥さんをないがしろにしてるのではない、すでに新婚の甘い時間を過ぎて長年連れ添った夫婦のごとく、共に子供を守り育てていく同志としての固い信頼で結ばれているのだと何だか胸が熱くなりました。

そんな良き家庭人ぶりを見せる一方で仕事に対する思いもしっかり語ってくれた。この番組で語られた言葉は大概どれも聞きどころ満載だったのですが、とりわけ印象的だったのは「結局一人でできる仕事じゃないから 僕はアーティストじゃないから 誰かにこの役をやってもらいたいって思われなきゃいけなくて 役柄が振られて台本をもらって、それを読んだ時点から初めて僕がその役柄をスタートできる」という発言。
漫画家や小説家、あるいはミュージシャンなら自分一人で作品を制作しネットなどで発表することもできる。しかし俳優は一人芝居でもない限り共演者がいなければ作品が成り立たない。さらに原作・脚本・演出。まれにこれら全てを一人でこなし主演も兼ねる才人もいるものの、その場合だって撮影・照明などのスタッフは必要不可欠だ。
そしてその作品を観客(視聴者)に届けるためにはプロデューサーや配給元も介在することになる。これだけネットや音楽・絵画の制作ソフトが発達した時代において、舞台・映画・テレビを問わず芝居とは最も人力頼りの芸術なのかもしれない。人と積極的に関わろうとし、人から愛される彼は、俳優として大きなアドバンテージを持っているといえるんじゃないでしょうか。

とどめが「主役をやって バリバリやっている人の景色も見たい」という言葉。彼はすでに単発ドラマや小さい舞台、アニメの声優としては主演をやっていますが(映画もダブル主役はあり)、より注目度の高い場で堂々の主役を張る日が遠からず来るかもしれない。いつにない彼の力強い、思い出の地での宣言にすっかりワクワクしてしまいました。新しい家族を得てまた新たなステージへ踏み出した彼の一年をしっかり見届けたいと思います。

33歳、おめでとうございます。

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NEXT STAGE

2018-08-20 00:30:21 | その他
まず最初に、お誕生日おめでとうございます。
そして─こんなに早くこの言葉を書くことになるとは思っていませんでしたが─ご結婚おめでとうございます。


年齢的には普通に適齢期なんですが、『恋するハニカミ!』での「僕は(結婚は)40までにできればいい」という発言を結構真に受けてたのもあり、入籍のニュースを読んだとき「早すぎないか?」と真っ先に思ってしまいました。
交際期間が短めなこともあって、何となし不安というかもやもやした気分がなかなか拭えませんでした。


それが一気に吹き飛んだのが映画『銀魂2』完成披露試写会の記事を読んだ時でした。写真の中の彼の陰りのない最高の笑顔。指輪をかざしたポーズもあいまって、今本当に幸せなんだなあと、心から納得することができたのでした。
この先いろいろと山あり谷ありでしょうが、彼女と二人で仲良く乗り切って行ってほしいものです。そしてその経験を演技に生かして、さらに俳優としても進化していってくれることでしょう。彼のこれからの活躍が改めて楽しみです♪


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新たな一歩

2017-08-20 00:51:05 | その他
去る8月12日にNHKのスペシャルドラマ『1942年のプレイボール』が放映されました。

このところ、NHKの終戦記念ドラマに毎年のように出演している彼ですが、今作での役柄は主演を務めた2014年のドラマ『撃墜~3人のパイロット』にも匹敵する出番の多さであり、名演でした。
近年すっかりコミカルな演技のイメージが強くなった彼ですが、やはりこうした目で語る、重心の低いお芝居こそが真骨頂という気がします。
涙ぐむようなシーンでも、〈泣きの芝居が必要だから泣いてみせた〉感のない、感情が高ぶった結果涙が出たように見える、あざとさのない実に自然な演技を見せてくれました。

そんな彼の次の大きなお仕事が笠原秀幸くんとの演劇ユニット「ともだちのおとうと」としての9月21日開演の二人芝居。少年時代からの友人である笠原くんとの〈二人で何かやりたい〉という夢がついに実現した形です。
とはいえ『fabulous stage』のインタビューでも話していたように、キャストが二人だけ、それも年の近い同性同士というのはドラマを展開するうえで面白味を出しにくい。脚本・演出の石井監督も映像では実績のある方ですが舞台の演出は初経験、キャストの集客力も正直高いとは言えず、そのわりにハコは大きい、と不安材料の多さが心にかかって仕方ありませんでした。

その不安感を一気に霧消させてくれたのが「ともだちのおとうと」公式ツイッターで7月15日に紹介されたとあるエピソードでした。なんと「劇団☆新感線」恒例の罰ゲームとして、ロビーでDVDの販売をやらされたのだという。
「新感線」の舞台に出るたびに罰ゲームをやらされている彼ですが、今回は出演者じゃないのになぜ?と思ったら〈観劇に遅刻した〉のが理由なのだそう。
もちろんこれは表向きの理由であって、物販のかたわら二人舞台の宣伝チラシも配っていたこと、この日「新感線」を観劇に訪れた笠原くんもあとで合流したことからして、ユニット初の舞台を控えた彼のために宣伝の機会を用意してくれたのは明らかです。
彼が「新感線」の方々から可愛がられているのは承知していましたが、ここまで愛されているとは。
感激すると同時にすごく安心しました。この〈愛され力〉があるかぎり彼は大丈夫だと。
考えてみれば彼らの夢に石井監督が乗ってくれたのも、新ユニットの初公演にしては分不相応なほどの大きな会場で演じることになったのも、周囲の人間に彼の、彼らのために〈何かしてやりたい〉と思わせたゆえだったのかもしれません。

今回の舞台がすぐに成果を出せるかは未知数ですが、彼にとって大きな成長の糧となることは間違いないでしょう。
本来得意ではないだろうSNSを始めたり、そのSNSのフォロワー数を増やすためにバラエティ番組で呼びかけたり事務所の後輩に助力を仰いだりしているこのところの彼の姿には、自分たちのために動いてくれている人々に報いるためにも舞台を成功させなければという責任感と気魄を感じます。
今日31歳になったばかりの彼がこの舞台を通してどれだけ大きくなるのか、ワクワクしながら見届けたいと思います。

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Age

2016-08-20 00:03:34 | その他
先日、NHKの番組で歌手・俳優の吉川晃司さんが、こんなお話をされてました。

「シワを隠したいって人が世の中にはいるかもしれないけど 俺は隠したくないなっていう
「このシワ作るのは結構苦労したんだよ」「いいシワでしょ」という だから若く見せたいとかっていうのはないですね 
男の顔ってやっぱりね ある程度の年齢からは内側が全部出ちゃう 背中もそうかもしれないですよ 生き様が全部隠せなくなる 
それを自分なりに出せて 受け取ってもらえればいいんじゃないかと思う」(※)

この言葉を聞いたときに、十年くらい前に彼も同じような事を言っていたのを思い出しました。

「早くシワができてほしいんですよ。年を取って、味のある役者さんになりたい」(こちら参照)

彼はまだまだ皺ができるには間があるでしょうが、いずれ40代になり50代になった時、吉川さんのように「いいシワでしょ」と言えるように年を重ねていってほしいと思います。

30歳、おめでとうございます。


30歳という節目のお祝いをかねて(?)、これから数回にわたって週一ペースで久々に作品レビューを書く予定です。テーマは俳優人生の転機となったと彼自身が語った2010年の舞台、井上ひさし作・蜷川幸雄演出による『ムサシ ロンドン・NYバージョン』です。



※『SONGS 吉川晃司 ~“やけくそ”を貫け!~』(NHK総合、2016年5月19日放送)

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Front

2015-08-20 00:28:04 | その他
ここ最近の彼の活躍ぶりが実に目覚ましい。本人が冗談めかして言うようにまさに「最近きてる」感じです。
4月期の『ヤメゴク』7月期の『ど根性ガエル』と連ドラ三番手が続き、とりわけ穏やかなオネエキャラから最終2話でサイコパス的な裏の顔を一気に見せつけてきた『ヤメゴク』の佐野くんは、彼の演技力をより幅広い層に印象づけたことと思います。

本業以外でも7月にはまさかのCDデビュー!(それまでも配信で2曲歌ってましたけど)以前「『Relax』」で書いたように個人的にはあまり彼に俳優以外のアイドルっぽい展開―写真集とか歌とか―は望んでないのですが、今回みたいのならむしろ歓迎です。あくまで「勝 勝次郎」(/涼 the graduater/ラブ地涼)名義で宮藤官九郎さんの番組内の(冗談)企画なので、俳優として〈歌手の役を演じている〉のがはっきりしてますから。

このCD発売と連ドラ両方の宣伝で、ここ数ヶ月これまでにないほどの頻度でバラエティーやトーク番組への出演が相次いだのも嬉しい悲鳴でした。
そうした場での振舞いもすっかりこなれて、自分から積極的に笑いを取りに行き、司会者の無茶振りにも体を張って応え・・・――10年前舞台挨拶で必ず噛んでいた頃が嘘のようです(笑)。

こうした番組の中で最も印象深かったのが2015年5月1日放送の『アナザー・スカイ』。俳優人生の転機となったという舞台『ムサシ』の公演が行われた思い出の地ロンドンを再訪するという内容でした。
『ムサシ』にまつわるエピソードなど数々語られるなかでも、演出の蜷川さん、主演の藤原竜也くんとのエピソードが凄かった。


「本番の始まる1時間くらい前に舞台上に蜷川さんが1人で来て、『お前小っちゃい頃から、子役の頃からやってるから、大人の顔色ばっか見ているんだよな』『後輩でいるのは楽だからな』(中略)『えっ、ここで人格的なダメ出し!? えっ!?』。
もしかしたらこれは、まだまだ未熟だけど一役者なんだっていうプライドを、そういうポリシーじゃないけどちゃんと持てって言われた気がして、“よし”っていう気持ちになりました」

「竜也くんから、『武蔵と小次郎っていう役柄同士なのに、お前いつまで敬語使ってんだよ』ってすごく言われた。(中略)『いや年上ですから敬語使いますよ』、俺の中のプライドもあって、『そういうスタイルだから』。(中略)すごく最終的に煽られて、藤原竜也くん、引っ叩いたんですよ、飲み屋で」
「竜也くんがニヤッて笑って『なかなかやるじゃねえか』。『なにこの人』と思って(笑)。・・・今思えば蜷川さんと同じこと言ってるっていうか、『この舞台で俺と一緒にやるんだろ?』っていう、変に生意気になることじゃなくて自信持てってことだったような気がして。それを幼い俺は何かすごいバカにされたような気分になり、引っ叩いちゃうっていう(苦笑)」


以前蜷川さんの著書で読んだ話ですが、藤原くんが初舞台にして主演を務めた『身毒丸』楽日、藤原くんが腰痛のため舞台に立つことが難しくなり、降板もやむなしという事態になったことがあった。けれど藤原くんが「絶対やりたい」と泣いて抵抗し、その強い思いにほだされた蜷川さんが心中覚悟で藤原くんの続投を決め、結果藤原くんは鬼気迫る見事な芝居を見せたという(※1)。
また唐十郎さん作の『盲導犬』を蜷川さんが演出したさい、スケジュールが合わず出演が叶わなかった岡本健一さんが稽古場に遊びに来て、どうしてもこの役がやりたいから台本がほしい、明日までに台詞を覚えてくるからオーディションしてくれと言い出し、翌日稽古場で見事な演技を披露したことがあったそうだ(※2)。
これらのエピソードを読んだとき真っ先に思ったのは、彼に同じような行動ができるだろうか、ということだった。芝居の最中に倒れてしまうかもしれない、そうすればスタッフにも観客にも大きな迷惑がかかる、そのリスクを冒しても降板したくないという自分の意地を通せるだろうか。実際の舞台で演じることが叶わない役をそれでも諦められないからと、いわば自己満足のために多忙な演出家に時間を割かせようとするだろうか。おそらくは周囲の迷惑を考えて自分の気持ちを抑えてしまうんじゃないか。
謙虚で周りの人間に気遣いできる、それは間違いなく彼の人としての美点であり、私が彼に強く惹かれる部分でもあります。けれどそれが役者としてはブレーキになってしまうこともあるのではないか。スタッフや観客にとって真に強い印象を与えるのは、我が儘とわかっていても役への執着を、芝居への情熱を抑えられない役者の方なんじゃないか。現に蜷川さんは藤原くんも岡本さんも非常に高く評価している。自分の演出する芝居にここまでの執着を見せられたのだから多少の迷惑をかけられようと悪い気がするはずもない、むしろ演出家冥利に尽きると感じて無理もないというものでしょう。


蜷川さんが最近の若者の〈大人しさ〉を物足らなく思ってるのはその数々の発言からうかがえます。藤原くんや小栗旬くんを繰り返し主役に起用しているのも、演技力・集客力を買っているのみならず、多分に彼らの“やんちゃ”なところが気に入ってるのだと感じます。
だから蜷川さんから見たら勝地くんは優等生すぎるんじゃないかとちょっと心配していました(本当に気に入らなければ二度と起用しないでしょうから、何度も呼ばれている時点でそれなりに買われているのはわかってたんですが)。この『ムサシ』の時に言われたことというのがまさに彼に対する不満を表したものでしょう。
もちろん〈だからお前はダメなんだ〉という意味ではない。勝地くんが受け止めたようにもっと自信を持てということ、さらには〈もっと我が儘になっていいんだ〉ということなのだと思います。藤原くんも勝地くんの遠慮を突き崩してもっと生々しい感情を引き出そうとした。だからこそ彼を煽ったし、その結果引っ叩かれても〈してやったり〉と言う思いで笑ったんでしょう。
もっと遠慮せずに迷惑をかけることを怖れずに、芝居に関するかぎり我が儘であっていい。それが許されるだけの年齢とキャリアと実力と人望を彼はすでに備えている。蜷川さんや藤原くんが言いたかったのはそういうことだったのでは。
もちろん我が儘を通すからには相応の責任と、批判を受け止める覚悟が必要になる。むしろ物分りのよい、後輩キャラの優等生でいるほうが楽なはずだ。それでも、だからこそあえて楽をするな、茨だらけの我が道を行け。そういう彼らのメッセージを勝地くんはしっかりと受け止めたと思います。

上で挙げたようにこのところバラエティーなどで彼を見る機会が格段に増えました。それは連ドラや映画・舞台などの出演が引きも切らず、それらでの番手が上がってるため宣伝に駆り出されているというのが一番の理由でしょうが、勝地くん自身も宣伝番組への出演に積極的になってるように思います。
メイン級の出演者として、作品の視聴率・集客数のアップに多少なりとも貢献すること、それも俳優としての責任のうちだと考えてるんではないでしょうか。
今回CDデビューに当たって直接お客様にCDを手渡しで売り込むようなイベントをやりたいとも話してたそうですが、あの緊張しいの勝地くんが!かつてのように噛み噛みではないものの相変わらずイベントやトーク番組では緊張で大汗かいてるらしい彼がこの発言。もともと冗談企画とはいえ自分の名前を冠した作品のために大勢の人間が動いている状況にあって、関係者の皆様のためにも売り上げという結果を出す責任をより強く感じているのだろうと推察しています。去年初の主演舞台を経験したことも、そうした責任感をさらに強くしたことでしょう。

そしてきっとそんな彼の眼差しの向かう先には『アナザー・スカイ』のラストで語っていた夢がある。その目標に向けて今日29歳になった彼はどんな足跡を刻んでゆくのでしょうか。

 

※1-高橋豊『人間ドキュメント 蜷川幸雄伝説』(河出書房新社、2001年)。「最終日の前日の夜、藤原は激しい腰の痛みで救急病院へ行く。 楽日。藤原は楽屋に戻ったものの、動けない。昼の公演は代役で切り抜けた。夜の公演もそのつもりだったけれど、藤原が「絶対にやりたい」と号泣した。単に泣くというより救済を求めているようで、魂が揺すぶられ、よし一緒に心中してやろう、蜷川は思わず、「任せた」。 本来なら身動きできないはずの藤原が、板の上では懸命に動く。白石はじめどの出演者にも気迫が籠る。皆で支え合うから、どんどん、いい舞台になる。蜷川は演出家として至福の時だった。」

※2-蜷川幸雄『千のナイフ、千の目』(紀伊國屋書店、1993年)。「ぼくが唐十郎の『盲導犬』という芝居の演出をしているときだった。岡本健一(男闘呼組)が稽古場へ突然遊びにきた。その前年にぼくは岡本君とやはり唐十郎の『滝の白糸』という芝居をやっていた。(中略)岡本君がスケジュールの都合で『盲導犬』に出演できなくなったことを聞いた唐十郎は、本当にがっかりしていた。 その『盲導犬』の稽古場へ、岡本君は遊びにきたのだった。稽古が終わると、ねえ蜷川さん、『盲導犬』の台本くれる、と彼はいった。どうして? とぼくがきくと、ぼくタダハルという役をどうしてもやりたくなっちゃったから、明日オーディションしてくれる? といった。でも出演できるわけないだろうとぼくがいうと、いや出演できなくていいんです。ぼくがタダハルの役をどうしても自分でやってみたいと思っただけだから。明日までに科白も全部覚えてちゃんと稽古してくるから、絶対見てよ、といった。(中略、その翌日)「演技が始まった。そこにはいつもの岡本君ではなく、素朴で屈折したタダハルがいた。演技が終わった。稽古場に拍手と歓声がわきあがった。みんな岡本君の演技と、その行為に感動していた。岡本君は出られない芝居の、やれるはずもない役を、ただ自分が演じてみたいという、ただそれだけでのことで、ぼくの稽古でやったのだった。たぶん彼は一睡もしていないはずだ。ぼくは岡本君を、こいつ格好いいな、と思った。」

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