一美/一夫の事務的な返事に比べて一夫/一美は顔を振り向ける瞬間から実に嬉しそう。
この一連の表情の動きは「吉澤さん上手いなあ」と感じました。
・思わず「はい」と答えてしまったのを「歯~痛ってえ~」とごまかす一夫/一美。コントのようで可笑しいです。
・「アケミちゃんがおれと?うそだろお~」という一夫のモノローグの声が鼻の下伸びまくっている。
一夫/一美の顔も、もろににやけてるわけじゃないのに見開いた目と口元の緩み方、体の乗り出し方でデレデレっぷりがわかる。
勝地くんも吉澤さんもナイス演技。
・アケミが一美/一夫の手を握ったとき、陰から見守る一夫/一美が目も口も開きっぱなし。いい表情だ(笑)。
・山本が一夫/一美を連れ去るのに気づいた一美/一夫は少し目を細めていて、入れ替わりの秘密がばれるのを心配するより、自分を「狙ってる」という山本がどうするつもりなのかの方が気になっているように見える。
・「ううん、なんでもない。プリン買ってくる」。この台詞のあとに一美/一夫は歯を見せて晴れやかに笑う。
初見のとき「なんか妙な笑い方するなあ」と思ったんですが、なぜこんなに不自然な感じを覚えるのか考えてみたら・・・女の子特有の表情だったから。男の子はまずしない類の、女の子ならではの笑い方。
これまでは、男女どちらにもありうる表情か、あるいは笑いどころとして女の子らしさを誇張して演じているので「不自然なのが自然」な表情かだったんですが、ストーリーの流れに直接関係ないようなごく何気ない場面、言葉づかいも格別女言葉ではないのに、表情はナチュラルに女の子なために違和感が生じる。
そう気づいたとき正直ショックを受けました。
今まで男と女でちょっとした表情がこんなに違うものだなんて意識したことがなかった。
でも16歳の勝地くんはそれをわかっていてきっちり演じてのけていた。
度肝抜かれました、まったく。
・上の台詞の直後、男子生徒とぶつかるシーン。「ごめんなさい」という声のトーンが実にエレガント(笑)。
ぶつかる方もぶつかられる方も動きがすごく自然なのにも感心しました。
・山本に口説かれた一夫/一美の「賭けだろ、それ」と白けきった表情が上手い。
・山本を殴った理由を「あいつちゃらちゃらしててむかついたから」と言って首筋をさわりスカートをさわる一夫/一美の手つきが自然で上手い。
殴った本当の理由を伏せるのは一美が山本に惹かれているのを薄々察していて、彼女の気持ちを思いやったからだろう。
出会い(再会)のシーンから一貫している一夫の不器用な優しさが現れた場面。
・体育用具室に入って「だいじょうぶ?」と問いかける時の声の調子が、つくづくと女の子。
・「一美ちゃんにせまってみたんだよ、こう、」と顔を近づけられて、うっとり目を閉じる一美/一夫に爆笑。
・「私がいつもパパの話をしてるから」って昨日再会したばかりなわけだが。しかも表現の大げさなこと(笑)。
まあとっさのごまかしとしては上出来です。パパもそんな事には気づかず喜んでるし。
・「さっきの保健体育の問題」という比喩。ちょっと一ひねりされてて、かつ高校生らしい語彙が可愛らしいな、と。
・一夫の父親が一美の父親を悪くいうのに反発する一美/一夫。
普段はつれなくしてても外の人に父が悪く言われるのに堪えられないところがやっぱり親子。
先に父が自分の親離れを寂しがってるのに気づくシーンがここで生きる。
・部屋で暴れる一美/一夫。「もういや!もういやあーー!!」の叫びと鞄の振り回し方が見事に女の子のヒステリーという感じ。さすがです。
・回想の子供時代。当時は一美の方が背が高かった。今は逆転してるところにそれだけ二人が大人になったんだな、と時の流れを感じました。
・喫茶店での一美と一夫の会話。まわりのお客さんは彼らの言葉使いにさぞ驚いたことだろう。
実際ロケ現場を見た人たちも「どういうドラマ!?」って思ったのでは。
・落雷のとき、肝心の立つべき位置からはずれちゃってるんだが・・・。
・山本と出会って間もない一美が一夫に「心変わり」するのはわかるんですが、長らくアケミを想ってきた一夫があっさり一美を選ぶのはちょっと違和感があるかも。尺の関係で仕方ないんでしょうが。
まあラストにもあるように「赤い糸」のせいということで(笑)。