読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

ダイオウイカvs自衛隊(笑)。『週刊大衆』の秀逸すぎる駄ボラ記事

2013-07-31 22:22:23 | 雑誌のお噂
ふだんはほとんど見ることもない『週刊大衆』という雑誌でありますが、宮崎では本日(31日)入ってきた最新号の表紙から、ちょっと見過ごせない見出しがわたくしの眼に飛び込んできました。

いつものように、どぎつくケバケバしい語句が並んでいる表紙にドーンと鎮座した「特集 ダイオウイカvs自衛隊 もし戦わば」という見出し。これは破壊力ありました。雑誌の梱包を解いてコレを見た瞬間、一人で声を上げて大笑いさせてもらいました。
これはぜひ読まねば!と、ふだんはほとんど読みもしない『週刊大衆』を開き、当該記事を読みました。

•••いやー、これまた笑った笑った。記事のほうも、見出しから受けた期待を裏切らない、すがすがしいまでの駄ボラっぷりでありました。この感銘を皆さまと分かち合わなければ安らかに往生できん!と思い、当ブログにて触れさせていただくことにした次第であります。•••あ、くれぐれも申し上げておくと、極上ラスト・ヌードがどうの、女子アナがこうの、といった記事は見てないからね(笑)。

記事の前半。「まずは敵を知るべし!」ということで、今年1月に放送されたNHKスペシャルの内容や、「農水産ジャーナリスト」と称するヒトの話などを紹介するカタチで、ダイオウイカの特徴や生態が、わりと詳しく解説されます。これまで確認された最大のものは体長18メートルもあった、とか、生息域は水深600メートルから1000メートルが基本、とか。

「生息海域は、太平洋、大西洋を中心とした世界の温帯領域でかなり広い。(中略)つまり、自衛隊が日本の周辺海域の深海でダイオウイカと戦うことは、十分考えられるのだ。」

「十分考えられるのだ」って(笑)。まあ、とにかくそういう前提で、「深海の怪物vs人類という壮大な戦いを完全シミュレート」することになるのであります。

と、記事の中盤で、「そんなダイオウイカと実際に戦ったことのある人類がいる」ときました(笑)。それが、お笑い芸人の寺門ジモンさんだというのですよ。数年前、日本海で夜釣りをしていたとき、強い引きがあったので照らしてみたら「そこには見たこともない巨大なイカがいた」んだと。

「もう怖くなっちゃって、釣り糸を仲間に切ってもらったんだ。そうしたらフッと海中に消えていったね。ダイオウイカに殺されるところだったよ」

どのくらいデカいイカだったかどうかはわかりませんが、もう何の疑いもなく「ダイオウイカ」って言いきっちゃってるし(笑)。ちなみに、もしダイオウイカに出会ったときの“ジモン流対処術”は「船に犠牲になってもらって、浮き輪か似たようなモノで避難すること」だそうな。

そしていよいよ、記事はダイオウイカvs自衛隊の戦いのシミュレーションへと入っていきます。「軍事フォトジャーナリスト」と称するヒトが、大マジメに「世紀の対決」をシミュレートするのであります。
深海決戦で繰り出すのが、「世界最強の通常動力型潜水艦の呼び声高い」という、海上自衛隊の「そうりゅう」。なのですが•••

「しかし難しいですよ。まず、魚雷を発射してもダイオウイカは金属ではないので、誘導できず当たりません」

そりゃあそうだわな(笑)。では海面での戦いはどうか、ということで登場するのが、「強力な哨戒能力が特徴の最新&最大」のイージス艦「あたご」。
ところが•••魚雷はやはり誘導できない上、IWS(高性能20ミリ機関砲)は「仰角の限界から、すぐそばの水面に向けて発射することはできません」というのです。まあ、これもそりゃそうでしょう。艦を思いっきり傾けでもしなけりゃムリだろうし(笑)。
なら打つ手はないのか•••。ところが、最後のほうで「海自にも勝機あり」ということが示されるのですが、これはぜひ、興味のある方は当該記事をあたってお読みいただければと思います。
「特集」と表紙で銘打っているわりには4ページしかないのですが(笑)、大いに楽しめるのではないかと。わたくし、この記事のおかげできょう一日を気分良く過ごすことができました。ありがとう『週刊大衆』。

さて、ここまで「駄ボラ駄ボラ」と蔑むような言い方をしていたわけですが、わたくし、こういうのをけっこう高く買っているのでありますよ。ほんと、大好きですねえ。
近ごろの週刊誌ときたら、おどろおどろしい煽り記事か、不毛極まりない他人の脚引っ張り記事ばかりが目立ち、おカネを払ってまで読みたいとは思えないのが増えてしまっているのが、なんだかなあと思うのですよ。こないだなんか、さるフィギュアスケート選手の出産は是か非か、みたいなアンケートをとろうとして、大ヒンシュクを買ってやめたというしょーもない週刊誌もありましたし。
そんなのからすれば、今回紹介した『週刊大衆』の記事なんて、確かにバカバカしいけれど楽しいし、何よりも罪がなくっていいではないですか。それに、バカバカしい中にもダイオウイカや海上自衛隊についての豆知識がしっかり散りばめられていたりもしているし。
もっと各週刊誌は、煽り記事や他人の脚引っ張り記事ばっかりじゃなくておカネを払ってでも読みたくなるような楽しい記事で勝負せえ!とつくづく思うのでありますよ。
•••まあ『週刊大衆』も、他の記事はお下劣なのが多いんだけどね(苦笑)。

それにしても、この「ダイオウイカvs自衛隊」っての、どこかで映画にしてくれないかなあ。けっこう観てみたいぞ真剣に。東宝か角川映画あたりで作ってくれないかなあ。で、巨大怪獣とロボットが戦うハリウッド映画『パシフィック・リム』にぶつけてくれい。

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