一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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住宅の手摺の間違いからわかること…

2006年11月13日 09時49分25秒 | 住宅ノウハウ・実例
おはようございます。


住宅の手摺が必ず付くようになってきたのは、まだここ数年~10年くらい前からですが、

当初は一流のハウスメーカーでも、トイレの手摺が、全く意味の無い思わず笑ってしまう場所ような場所に付いていたこともありました。

手摺は、実際に動作してみて、どの位置にどの高さで付けるかということを決めるべきですが、通常の健常者には一般的な位置で良いでしょうし、もっと言えば邪魔な場合があるので、無い方が良いと私は思います。

お年寄りや手摺が無いと歩行できない状態の特定の方のために手摺は付けると効果があるのですが、これはそれぞれの人によって取り付け位置は全く違います。これがわかっていないため結果的に意味のない場所に、図面で適当に付けてしまうのです。


先日も、市からの依頼で介護保険を使って改築する方の工事内容や見積もりのチェックやアドバイスに現場へ行きました。業者の見積もりや図面、内容を拝見すると介護関係専門の販売や工事業者のはずが…、???でした。部屋から玄関、門扉までの手摺取付けだけの工事ですが、ただご希望通りに手摺の取り付けを提案しただけ、というのがハッキリわかりました。

質問すると担当者が家族の方の要望だけで手摺の位置と高さを決めただけで、ご本人には確認していないということでした。

私はそのご老人に実際に動作して頂き、そのあと私も自分で何度もその方のマネをしてみて、いくつもの指摘や変更、追加、改善を提案させて頂きました。これは邪魔になるとか、この場所は必要なくて、ここにないと不安だとか、実際にやって頂いて、ご本人からご意見を頂き、お話できない方の場合は、自分で同じ動作をその方の気持ちになり、試行錯誤して決めるべきなのです。できれば、数年後はどうなっているかということも考えます。さらに言えば、手摺につかまろうとして、つかめなくて転倒して怪我をする事故が多いことを考えれば、単純な考え方ではダメなこともわかります。

ご家族の方からは、「本当に専門家の提案を聞けて良かったです」と何度も感謝、感激されました。私は、介護の専門家ではなく、ただの建築士です。その業者の担当者の方こそホームへルパーですし、いつもそういう介護の仕事をしているのですから、専門家です。

なぜこうなるかというと面倒なことをせずに、工事も手配の必要な工務店の仕事をできるだけ減らして労力少なく、簡単に自分達の器具が売れた方が良いからです。その方が仕事の効率も上がり、苦手で面倒な工事も必要なく確実に利益が見込めるので会社には褒められるのですから、やはりどうしても立場立場によって、考え方や行動が変わるのは止むを得ないでしょう。


どの視点で考えるか、これによって実は大きく変わってしまうのは、住宅だけではないでしょう。




※ 今週の土曜日はミタス一級建築士事務所で勉強会があります。

神奈川県横浜市 ミタス 一級建築士事務所のホームページ 
http://www.mitasu.com/
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