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新築トラブル相談

2008年05月14日 13時33分52秒 | 住宅検査・トラブル相談
みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。


昨日は、調停委員としての話合いで、2回目で合意となりました。
内容からすると今までに無かった早さだと、もうひとりのベテランの委員は
おっしゃっていました。

いずれにしろ、長引かずに早期解決ができて良かったです。

これに前後してメールによるトラブル相談がありました。
質問事項は、現在進行中なのでかなり簡略モデル化します。


 「ある地元ハウスメーカーに依頼しました。

 安くするために、オプションについては、面倒でもできるだけ自分達で
 支給品ということにして契約をしました。

 完成したのですが、最後になって、予想外の追加金額が出てきて、
 それを全額払わないと鍵を渡さないと業者が言っています。

 追加の内容は、本体部分の見積もり落ちや、現場監督のミス、設計のミス、
 予定より金額が掛かったからという内容が、追加金額の半分を占めています。

 追加で自分達が頼んだものは支払うつもりですが、いくら話をしても、
 掛かったものは掛かったのだから、払ってもらうの一点張りで、
 受け付けてくれません。鍵をくれないので引越しもできません。

 どうすれば良いでしょうか?」


というものです。

みなさんなら、どうされますか?

調停で、両方の意見を聞くと必ず双方に言い分があります。

その言い分が、客観的に考えて正しいかどうかは別として、
当事者はお互いに自分の主張が正しいと言い張りますし、
相手の言い分を否定し、相手の非を指摘してきます。
また、被害者は自分だと主張します。
隠蔽やウソ、とぼける、かなり誇張してという人もいるでしょう。

これらは、一般的な裁判などでも同じことでしょう。


ですから、話し合いでは決着が付かないことがあります。

そういう場合は、裁判しかないのですが、

時間や手間が掛かります。調停では費用は、ほんの僅かですが、
裁判では弁護士さんの費用も含めるとかなりの金額が必要になります。
それでも、完全決着を付けるのであれば、やはり裁判ということになります。

調停や裁判は当然、避けたいですね。


今回の場合のトラブルは、起こるべくして起こったと私は思います。

一般の素人がプロの工事業者相手に、支給品や分離工事を増やして交渉をしても
トラブル無く、スムーズに行くケースの方が少ないです。

大手のハウスメーカーは、原則として支給品は認めませんし、
変更も自社で決めた範囲のオプションが原則です。

オプションは、かなりの高額アップになります。
オプション以外でもし受けてくれると、さらに高額になります。

なぜそうなるかというと、打ち合わせミスや勘違いなどのトラブルが多く、
同じ定価でも仕入れ単価も高いので、利益が少なくなるからです。

標準品に関しては、大手ハウスメーカーは、信じられない低単価で仕入れていま
す。オプション品や例外品は、定価の差は僅かでも、仕入れ掛け率がかなり異なる
ので、規定の利益を載せると高額になってしまうのです。


地元ハウスメーカーというのは、ピンからキリまでありますが、
ハウスメーカーというからには、標準の自社仕様は決まっています。
注文を取りたいので、その変更には応じてくれるでしょう。
支給も応じてくれるかもしれません。

ですが、担当者、営業や設計、現場、そして職人さんとの連携がスムーズに行くか
というと、大手でもスムーズにいかずクレームで利益を大きく損失しています。
地元ハウスメーカーだからといって、スムーズにいくでしょうか?

多くは、ミスがあります。なかなかすべてスムーズにはいきません。

それを素人がコントロールすることができるでしょうか?

業者からすれば、対応してあげたけど、ややこしいから手間やミスや経費が
たくさん掛かった。変更や支給品があるからだ。その分をもらう!

と逆切れして、契約時の内容は無視して請求してくるケースは、
珍しくありません。

通常は本体分では取れないので、見積もりを出していない追加工事で、
高額を上載せてきます。このトラブルは、知り合いや親戚、友人の工務店に
頼んだというケースでも珍しくありません。


それに、素人のみなさんが対抗できるでしょうか?
私のこれまでの経験では、ハッキリできないと断言できます。


私が設計や監理をしている場合でも、支給や分離は、かなりメリットがあるもので
ないとしません。しかも、どの業者でもするのではなく、本体業者を選びます。
それが通用する業者と、通用しない業者があるからです。トラブルを避けるために
本体業者にその分の諸経費を払うこともあります。

私が設計監理として、間に入っても、こういうトラブルを避けるために、
かなり慎重に進めています。みなさんに簡単に教えて実行できるノウハウや経験
ではありません。

一般の方が2年や3年、インターネットや書籍でどんなに勉強しても、
しょせん机上の空論で、プロの営利を目的とした業者には太刀打ちできません。

一生懸命勉強し続けながら、10年くらい掛けて30軒位、分離発注で自分で
家を建ててみてというならマスターできるかもしれません。それだけやっても、
マスターできるかも?ということです。それくらい難しいものだということです。


さて、この質問の私の答えです。

相手の業者が話し合いに応じなければ、選択肢はご自身が折れるか、
調停か裁判しかありません。


今回の場合は、この質問内容だけの情報判断で、相手の言い分は不明なので
無視して考えます。

・本体の支払いが僅かしか払っておらず残金が多いこと、
・入居までに制約が特にないこと、
・本体工事のハウスメーカー側のミスを上乗せして請求していること、
・さらに、それを支払わないと鍵を渡さないと拒否していること、

これだけ条件が揃っていれば、私は弁護士さんを通して内容証明を送ってもらい、
損害賠償を含めた裁判をしても良い例だと思います。
引き渡しの時期が遅れるわけですから、遅延行為です。
これに対して賠償請求はできます。

本体金額の残金が多いので、裁判の途中で業者が折れる可能性は高いと思います。
弁護士さんの裁判しますよという内容証明だけでも、折れるかもしれません。
相手の言い分が、認められるはずがないからです。



ご相談の内容と理由が本当であれば、遅延に関しての家賃やその他の損害賠償、
裁判費用や弁護士費用も今回は可能になるかもしれません。
通常はできませんが、弁護士さんに頼み、裁判する以外解決方法が無かったという
場合、認められることも少ないでしょうがあるようです。

真剣に弁護士さんに相談して良い内容だと思います。
ご自身に非がある部分も気付けば、隠さず弁護士さんに伝えてください。


そこまでは、二の足を踏むのであれば、まず調停に進んでみてください。
調停に掛かる費用は、ほとんど無視できる金額と思って下さい。

追加金額についても、必要ならその内容をチェックしてくれますし、
支給品の取り付けを高額にして帳尻合わせしても、専門の建築士がチェック
すればすぐにわかります。


調停を相手が拒否するか、不調に終われば裁判しかありません。


私は、できるだけ争いはお勧めしません。割りに合わないからです。

ですが、内容によっては、その解決が一番良いこともあります。
今回は視野に入れて、天秤に掛けても良い内容だと思います。

結論を出す前に、弁護士さんに早めに一度相談してください。




住宅 設計監理 ミタス一級建築士事務所

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