一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

ニュージーランド地震

2011年02月23日 16時52分56秒 | 住宅リフォーム・耐震
▲これは、2004 年新潟中越地震で撮影 


2011年2月22日に起こったニュージーランド地震の報道が続いています。
日本人学生はもちろん、現地の人が一刻も早く瓦礫から救出されることを願っています。

実は、来月に、ニュージーランドへ行く計画を立てている途中でした。
スタッフには、既にその旨を伝えていて、現地で工務店をしている日本人に
コンタクトを取ろうとしていたところでした。

ニュージーランドは、大阪万博の1970年頃では耐震性では
世界の先端を走っていたはずです。

現在は日本の方が研究されていますが、
住宅の考え方や造り方を知っておこうと思ったのです。


「一般の戸建てでは、レンガやブロックの上に木造の平屋なので
耐震性は無い」という話を聞いたこともありますし

「耐震性を考慮したレンガを使っている」

など、百聞は一見にしかずで、現地の工務店に話を聞けたらと
その気になっていました。


私が予定していたのは、北島のオークランドで

今回の地震の南島のクライストチャーチへは、
街並みを観に行く程度と考えていました。

ニュージーランド地震の情報は、
断片的にインターネットやテレビで入ってきます。

「建物は、ねじれには弱かったようだ」とか

「最大加速度が940ガルだった」とか


日本でも大地震の度に、今まで予想していなかった自然の力や
現象に出会っています。


建築基準法上、問題ないからとか
性能表示制度で耐震等級が3だからといった程度では

実は、全く安心できません。

計数化しにくい部分とできる部分がありますが
その両方を満たしていないと安心はできないのです。


木造2階建ての建物では、特にこの計数化すべき
内容でさえ、お粗末であったり、満たしていない
ことが珍しくありません。

例えば、さきほどの「ねじれ」に関してですが
ミタス一級建築士事務所では、プランの時点から
それを意識しながら設計します。


ですから、どうしても媚びを売らないプランに
なってしまうのですが

最終的には、私がコンピューターをスタッフに
操作させながら、ねじれの度合いを示す

「偏芯率」をリアルタイムで計算させながら

耐力壁の配置や強さを決定していっています。

手計算では、このシュミレーションは面倒でとてもできません。
専用ソフトを導入しているから行えるのです。



「木造では、その偏芯率は0.3以下が望ましい」

とされていますが望ましいというだけで、
それを上回っていても罰則はありません。

ですから、チェックをしない建築士がほとんどです。

ミタス一級建築士事務所では、この偏芯率を
鉄筋コンクリート造や鉄骨造と同等の0.15未満を最低基準にしています。

少なければ、少ないほど良いのですが
うまくけば、0.00~とまでなることもあります。

各階の2方向ともそうなるように、配置を考えて調整しながら
計算結果を確認しています。

ただ耐力壁を強くするとか、配置するだけでは意味がないのです。


さらに計数化しにくい、規制していない部分では
知らない建築士や無視する建築士も多く、

実際には大変不安です。

ミタス一級建築士事務所の設計スタッフでさえ、

何回も、その教えにくい部分の考え方を
実際のプランを見ながら教えているつもりですが、

アナログ的な部分ですから
まだ完全には理解できていないようです。



ニュージーランドがこの状態では、
学術的な研究や救出活動に何らかの役に立つというならともかく、
私が行っても邪魔になるだけですから、

今回は延期しようと思っています。

倒壊した建物や住宅を撮影するのは、
当事者が近くにいるときには、申し訳なくて写真に撮ることは
できませんでしたし、

あまり気分の良い行為ではありませんでした。


一刻も早く救出されますことを祈っています。

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こんにちは、ミタス一級建築士事務所の清水です。
住まいに興味のある方はもちろん、無い方にも
何となく役立つか、楽しめる内容になることを願いながら書いています。
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