一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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耐震補強工事と住宅リフォーム

2008年03月05日 06時23分59秒 | 住宅リフォーム・耐震
みなさん、おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水煬二です。

出張の直前に耐震補強工事の費用についてメールでお問い合わせ頂きました。
全面リフォームをお考えで、それに合わせて耐震補強工事を行いたいとのことでした。返信できなかったので、このブログで、少し詳しくお答えしておきます。


全面リフォームに合わせての耐震補強工事は、皆さんがお考えの建物に対しての耐震補強費用は、想像以上に安くできます。

それは、全面リフォームで天井や床、壁を剥がし復旧するという内容が既に存在しているからです。その場合の耐震補強工事費用は、僅かの費用加算で済みます。


リフォームを伴わない場合、僅か1枚数百円の金物と1本数百円の筋交いか数千円の構造用合板を取り付けるために壁や天井を壊し、復旧する費用が掛かってしまいます。この解体や復旧の費用が、全面リフォーム前提であれば吸収されるので、僅かなプラスで済むということです。


このリフォームと耐震補強工事との話は、

横浜市建築事務所協会の設立50周年の公開セミナーで、私が写真を交えて詳しく講演しているビデオがあります。横浜市も後援して頂いたものです。


ミタス一級建築士事務所の事務所にお越し頂きご相談され、真剣にお考えの方には差し上げています。


ですが、リフォームに関係なく費用が掛かってしまうケースがあります。


地盤の補強すなわち地盤改良と基礎補強です。

弱い地盤であれば、既に家が傾いていることがありますし、そうでなくても大きな地震が来たときには不安な地盤の場合があります。


地震で一番大切なのは、地盤、その次に基礎、その次に建物本体なのです。


地盤改良と基礎補強の費用、とくに地盤改良は、既存住宅が建っている
場合での工事費用は、新築時に行うよりも高額になるケースが多いです。

例えですが、新築時に地盤改良工事費60万円掛かる場合、

既存のままで行う場合、コストを下げる最新の方法で全面リフォーム時に行うことを前提にしても、200万円~300万円ということになります。

旧態依然の補強方法では、800万円も掛かってしまう場合も珍しくありません。

このため地盤調査を行い、現在の家の傾きを測り、問題があればその状況に応じて高度な技術をもった専門業者と協議して提案を行っています。


基礎補強については、いくつかの方法が出てきており、状況に応じて提案していますので、このいくつかの方法については、いずれお話したします。


TVの劇的大改造ビフォーアフターで私が匠として行った建物は、築50年、15坪の平屋建てでした。平屋で建物が軽かったため、地盤改良は行わず、全面リフォームと基礎補強を含めた耐震補強を行いました。

新規に基礎も付け、「番組始まって以来、初めて壁が増え、耐震補強について説明やコメントが放映された」例となりました。

このときの価格は、TVでは工事費700万円でした。ウソではありませんが、私があちこちにメーカーの協賛をお願いして、建材を安く入れてもらったり、工務店や下請けの人に、経費なしの直接原価のみでお願いしましたから、通常では無理です。

多分、普通に行っていたら、工事費で1200万円は掛かっていたでしょう。


築年数が18年で構造体が腐っていたり、工事方法がいい加減な建物でしたので、丸裸にして耐震補強を行い、全面リフォームをしました。どうしてもリフォームでというご要望でしたし、かなりグレードをアップしたので、費用だけを考えれば建て替えた方が良いというケースもありました。



耐震補強はそれほど問題が無くても、全面リフォームに増築を行ってのリフォーム希望より、少しプラスして建て替えた方が、ご希望のプランと将来のこと、耐震性を考えるとはるかに良いものができた場合もあります。

このケースでは、リフォームと新築の両方の検討を行いましたが、新築を選択されました。


みなさんのご要望通りに行うことが、必ずしもベターではないことは、珍しいことではありません。どういう選択肢があるか含めて専門家と相談すると良いでしょう。





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