一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

外壁防水の秘訣に関して

2007年12月04日 14時13分28秒 | 住宅ノウハウ・実例
みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

外壁サイディングの防水処理を十分な耐久性にもったものにするためのノウハウを、このブログで以前公開しました。誰も行っていない私のオリジナルなものです。

外壁防水の秘訣

このブログを読んだ工事業者の方から、メールで質問が来ました。

皆さんにもお知らせするために、お答えをこのブログでいたしましょう。


質問事項は、

「私は、15年以上の間、屋根工事、外壁工事(サイディング)に携わっております。貴社の施工でサイディングジョイント部分の下地にフェルトを使用する記事を読み良い施工と思い当社の施工基準に入れてみようと思っているのですが、商売柄ハウジングメーカーの雨漏れを調査(雨漏れの原因を理解している業者等がいない為)を15年間行なって来た結果フェルト自体に通気性が全く無い為2*4及びパネル工法の壁パネルに結露による腐食等が発生する事が見られます。ジョイント下地のフェルトの結露対策は、行なうのでしょうか?今年の台風で発生した雨漏れ現場(築15年前後12棟全てが外壁下地にフェルト使用)を剥してみると雨漏れ後10日以上たっても雨水が滞留しており雨漏れと関係の無い部分にも結露が見られました。フェルトの結露対策に付いてのご意見頂けたら今後の施工に役立つと考えております。」


要するに「結露の心配はないでしょうか?」という質問なのですが、

一言で結論をお答えすると、「通気層があれば、心配はありません。」


質問のようにアスファルトフェルトやアスファルトルーフィングは、ほとんど透湿性がありませんから、水蒸気を通しません。そのため蒸れるのです。結露の原因になります。

私が外壁をモルタルにする場合でも、費用が掛かっても、多少外壁にヘアークラックが生じやすくなっても、外壁通気工法にしなくてはならないと言い続けているのは、このためです。そして実際にこの方法で必ず行っています。


今回の質問では外壁サイディングですが、サイディングでも通気工法を取っていますから、その通気層の外側にアスファルトフェルトやアスファルトルーフィングが来るので、全く心配は無いのです。サイディング自体が通気性の無い素材ですが、それで外壁を覆っても、通気層があれば大丈夫なのと同じことなのです。


ハウスメーカーや工務店の中には、モルタル外壁はもちろん、サイディングでさえ通気工法を取っていない業者もあります。また、外壁合板の上にアスファルトルーフィングを直接張るというケースでは質問にある、「結露の心配」は大いにあります。

通気層を取っていない、または正しく工事が行われていないケースでは、ご心配のことが起こります。もし、サイディングでも通気層を取っていない、または外壁合板下地に直接アスファルトルーフィングを張っているのであれば、このノウハウを駆使する以前の問題です。家の耐久性を考えているとは思えません。

また、質問のケースでは結露ではなく雨漏れで濡れているケースです。
また、それ以外の部分で濡れているのが結露であるならば、通気層が全く取られていないか、通気層があっても正しく取られていないか、室内の防湿が正しくなされていないかのどれかです。

外壁で通気層があっても起こる結露の原因は、室内側からの水蒸気の問題だけです。それ以外の原因で濡れているのは、雨漏れなどの水漏れです。

耐久性を求めるのであれば、この外壁に通気工法を採用するのは、サイディングだけでなくモルタルでも「木造では、通常の工法では必需だ」とお考え下さい。


室内側の防湿層との関係や、もっと詳しく様々なケースと条件での組み合わせでの解説も可能ですが、皆さんには難し過ぎることと私の時間の無駄ですから、最後に結論を繰り返します。

「正しく通気、防湿工事された通気胴縁の上からアスファルトフェルトやアスファルトルーフィングを使えば、結露の心配は無いのです。」




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