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2021.10.22 コーヒーカップのこと(その3)

<今日は、コーヒ-カップ談(その3)、最後の日。>


このカップには、思い入れがある。
私は、昔からこのカップが大好きだったが、その頃、一客15,000円もしていたので、
自分では買えなかった。
それで、会社の同僚が結婚する時のお祝いとして、これを何度も贈った。
2客セットにすると、3万円なので、六人出しなら一人5千円、五人出しなら一人
6千円、三人で贈るなら1万円出しになるので、3万円というのは、割り勘し易くて
よかった。

ところが、1997年1月、神戸を大地震が襲った。
神戸の特に東灘区は、壊滅的な被害を受けた。
地域の商業ビル、サティーは大きなビルを建てて開業した直後で、その時、開店3周年を
迎えたばかりだった。
東灘の中でも、サティーの場所が、1番の激震地で、建てたばかりのビルの壊滅は
大変激しく、もう、この建物は使えないと言われていた。
上層部はマンションだったが、全壊で、もうとても住めないと言われていた。

しかし、そのサティーは、自分の被害はものともせず、隣接する自社の大きな駐車場を
使って、あらゆる日常品を破格の値段で売り出してくれた。
あまりにも安いので、評判になって、大阪の主婦達が、それを狙って買い出しに来る
人もいて、非難の声が上がり、新聞に何度か取り上げられたこともあったほどである。
サティーは、それだけでなく、そこで、ぜんざいなどを作って被災者に振るまったり、
様々な支援をしていた。
私は、ここを利用したことはなかったが、それでも、外から見ていて、サティーの好意
にどんなに感謝したかわからない。今でも、忘れない。

この建物は、もう使えないとまで言われていた施設であったが、しかし、その後、
地下が使える様になり、やっぱりこういう時、地下は強いのだと言われていたが、
やがて、すこしづつ上階まで使えるようになって行き、いろいろなものが売られる
ようになった。

その時びっくりしたのが、あの長年憧れていたあのコーヒーカップ!
あの15,000円だったあのコーヒーカップが、 1客2980円で売られていたこと。
そればかりでなく、あのカップ以外に、大好きだったウエッジウッドなどのコーヒー
カップたちが、なんと、すべて1客2,980円で売り出されていた。
自分では、手が届かなかったので、人に贈るものだとばかり思っていた、あの憧れの
カップ達が? 
安すぎるので、もしかして、キズモノか?と思ったが、どう見ても正規のものだった。 

私は、子供の頃から、瀬戸物好きで、高校の頃、アルバイトをして、その報酬全てを
焼き物と塗り物に使って親に叱られた人である。
私の頃は、まだアルバイトをするのは、恥ずかしいことだと思わていた時代だったが、
私は、あえてアルバイトをして、無駄遣いをしてしまった。

就職してからは、好きな焼き物があると、何年もかかって、手に入れていた。
私の獲得談義は、とても面白いらしく、友人が家に泊まりに来たら、私の瀬戸物を手に
入れた経過を聞きたがるので、いつも、それぞれの手に入れた逸話を話してあげた。
それを聞くのが、何よりも楽しみという友人たちにせがまれると、深夜までになり
眠い思いをした。

と、そんなにまでして集めたそれらの焼き物は、阪神大震災で、見事に全て失って
しまった。
食器棚が、前面に倒れてしまった。
ぎっしり入っていた自慢の食器類は全滅で、助かるはずはなかった。

そんな私に、サティーの信じられない安売り放出の開始!
私は仰天した。それで、まず購入したのが、冒頭の写真のカップである。

それで、満足したら良いものを、根っからの瀬戸物好き!
人に贈るものだとばかり思っていた憧れのカップを、次々に買ってしまった。


これこれ、これも好きだったんだよね〜。


ウエッジウッドの定番、これも大好きで、人に贈ったことがある。これも買った。


コーヒーカップを買ったのだったら、それだけで満足すれば良いものを、私はこの
ティーカップが、大好きだったので、同じ模様のこれも買った。
ティーカップは、中に模様があるので、大変華やかである。


それからこれ。
私は長年、このウエッジウッドのこのコーヒーカップに憧れていた。
しかし、その売り出しには、コーヒーカップは出ていなくて、このティーカップだけで
あったので、それを買った。これが、また素晴らしい。
ただし来客に紅茶を出すチャンスがなくて、まだ使っていない。

私の友人で、毎月1回私を食事に招待してくれるセレブの友人宅がいるが、(今は
コロナで中断中)、そのお宅に、この模様の全セットが揃っている。
そこへ招待された時、このシリーズで出される時は、このコーヒーカップが出てくる
ので、嬉しい。

ということで、大地震で全てを失ったはずの我が家に、それにもかかわらず、何やら、
たくさんのカップがあるじゃないのと思われていたむきもあるやも知れないが、
実は、ことの次第は、このようなことであり、その上に、喫茶店から譲ってもらった
20客が加わったものだから、金持ちではないけれど、相当なコップ持ちということ
になってしまった。

なお、この洋食器の放出は、これらの洋食器を扱う外資系の業者からの提供だったかも
しれないとも思っている。
何故なら、キリスト教の慈善事業として、彼らの文化に根付いているのかもしれないと
思ったから。
というのは、私は当時、タッパーウエアの愛用者であったが、その会社の副社長から
提案があり、「お見舞金として、現金3万円を贈りたい。または、タッパーウエアの
商品3万円分贈る方が良いか、どちらか選んで下さい。」と言われた。
それで、衣装ケースを選ばせてもらった。
家が全壊した私は、1年半の間、会社の独身寮の6畳間1室に住んでいたので、衣装
ケースをいただいたのは、大変助かったので、ありがたい贈り物であった。

そんなことで、サティさん、タッパーウエアさん、本当にありがとうございました。
両社のご隆盛を、心から祈っております。


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