日々雑感 ~写真と思い~

今日と言う日は、二度と来ない。 
だから今日を大切に・・そんな私のデジカメ散歩 

* 生・・そして死から教えられ・・ *

2007年09月13日 | 雑感

「9月13日、今日の花は”たますだれ”ヒガンバナ科で、花言葉は潔白の愛」
早朝のラジオから聞きなれた男性アナウンサーの声、そのとき最近撮った花だったりすると
なぜか嬉しくなってしまう。

近況の中に加えていない事がらがあった。
金曜日だった。 次女が「塀のそばに猫がいるよ」と言うので二階から見ると親猫と子猫が2匹。
「産んだんだわ、朝は子猫いなかったもん」隣の塀との40㎝ほどの間でか細い声で泣いている。 
子猫は子猫物語のチャトランのようで可愛い。 捨て猫か・・野良猫かリングはしていない。
親が生まれたばかりの子猫をすっぽりとくるんでいる。 
親のお乳を飲むのかな、飼ったことがないので習性も知らなくてこんな時どうしていいか。
「牛乳やろうか」「住みつかれてもね」「泣いてご近所に迷惑になってもね、今みんな戸開けてるし」
日中は暑い、子猫が死んだら可哀そうだし、我が家も困るし・・。 
どうしたものか保健所に聞いてみた。 動物愛護の関係からこちらから捕獲には行けないと言う。
箱に入れて持って来て下さるのなら、でもごみと一緒に捨てることになりますよと。 (え・・そんな)
でも今日はもう時間がありませんから月曜にして下さい。 来る時は電話を、突然持って来られたら
係りが戸惑いますから・・。 電話したのは4時前だった。 ごみに・・殺生なぁ・・絶句。
役所らしい対応だ。

夫は猫好き動物好き、学生時代飼っていた猫と寝ていたくらいだから。 
二階から糸で煎餅を吊ったら食べていた。 気を良くした夫は階下へ降り塀のそばの猫に近づいた。
「ふー!!」猫に睨まれて威嚇されたそうだ。  子供を守る母親の習性なのか。
子猫が元気になれば、親が連れて行くだろうからそれまで見といてやろうと言う事になった。

「でもなんでうちで・・・見捨てられないよね」「我が家に何を教えているんやろうね」娘と話した。
と言うのも、次女が幼稚園前だった、勤め先の看護婦さんが「あげる」と可愛いパンダうさぎをくれた。
たちまち子供たちのマスコットとなり、とりわけ次女は可愛がり寝転んで良くおなかの上にのせていた。
家族はパンダうさぎを中心として、賑やかで毎日それは和やかな日々だった。 
半年経ったある夏の夕方帰宅した私は、動かないうさぎを見つけてどうしようと困惑した。
子供たちの悲しみを思うと死んだとは言えず、お盆田舎に帰るから返したよと嘘をついた。  

夜遅く帰宅した夫に話すと、子供たちをすぐに起こしなさいと言われ、三人の子供を並べた。
「パンダうさぎは死んだ、なんでか分からないけど生き物を飼うと言う事はこんなこともある、
ただ可愛いだけではいけない、よく知って大事にしないといけないんだ」
子供たちはぽろぽろと涙を流しながら聞いた、今でもはっきりとあの夜の光景を覚えている。
死を隠そうとした私は、自分を恥じながら、生き物の死を教えた夫は偉いと感動した。
「うさぎにごめんなさいと、みんなで埋めに行こう」箱に綿を敷いてうさぎを入れ、まるで弔いのように、
箱を抱いて家族5人が泣きながらぞろぞろと夜中近所の神社公園に行き、穴を掘って箱を入れた。
「砂をかけないで!」次女が泣きながら両手でふさいだ、みんなはよけいに泣いた。
手をあわせ「天国で幸せになってね」そう言いながら別れをしたような気がする。

あの時、私と夫はあることでお互い相容れないものがあり、悶々とした心で日々を過ごしていた。
うさぎをもらってからはそれが媒体となり、半年の間に互いの心は修復、和やかな家庭になっていた。
あげると言ってもらったうさぎだが、我が家を幸せに導いてくれた使者だったのではなかろうか。
あのときの事は我が家には大事な出来事だったと、今でもそう思っている。

月曜の朝泣き声がしていたが、覗いたときはからっぽ。 (いない!!)
夫が近寄ってから、人間さまから守ろうと親猫が子猫をくわえて行ったのか。
子猫をくわえた宅急便のマークを思い出した。 どこか安全な場所へ越したのだろうか。 
生まれたばかりの子猫が見えないくらい、すっぽりと包んだ親の姿は忘れられない。
人間はこんな姿から学ばなければいけないものがある・・今、世間を眺めた時そう思えた。
時には初心に返り・・過去を振り返りながら、今の夫の存在に感謝を・・との使者だったのだろうか。