【ユッケ】
「ユッケ(肉膾)」は、生肉を用いた韓国の肉料理。
『概要』
原語読みでは「肉」はユク、「膾」はフェの発音で、連音化して「ユッケ」と聞こえる。「膾」は獣や魚の生肉を細かく刻んだもの「(なますや刺身の一種)の意味である。
この名称が示す通り、生肉を使った韓国式のタルタルステーキ風料理である。生の牛肉(主にランプなどのモモ肉)を細切りにし、ゴマやネギ、松の実などの薬味と、醤油やゴマ油、砂糖、コチュジャン、ナシの果汁などの調味料で和え、中央に卵黄を乗せて供することが多い。ナシやリンゴの千切りを添えることも多く見られる。食前によくかき混ぜるのが良いとされる。
ユッケをビビンバに乗せたものは、「ユッケビビンバ」と称される。普州市の郷土料理は特によく知られており、ご飯やナムルの上に載った赤い牛肉を花に見立ててファバン(花飯)とも呼ばれている。
『古書におけるユッケ』
1800年代末期の『是義全書』に掲載されている調理法では、薄く切って血抜きした牛肉を千切りにし、ネギ、ニンニク、唐辛子、蜂蜜、油、松の実、ゴマ、塩などで和えるとしている。また食べる際にはコチュジャンと食酢を合わせたチョコチュジャンを加えるのもよいとされている。
『日本におけるユッケ』
日本でも焼肉店の定番メニューである。そのほか各種の料理店では様々にアレンジされ、牛の舌(タンユッケ)、牛の内臓、鶏肉、マグロ、鰹、馬肉で作られる場合もある。
『ユッケの安全性』
ユッケは生肉を食するものであるため、腸管出血性大腸菌やサルモネラなどに感染する可能性があると言われていいるが、内部組織へ菌が侵入しないため、大きな塊を使用し、周りを削り落とす「トリミング」によれば菌低減のこ効果がある。
また、業界団体である全国焼肉協会は、「生食用食肉の取扱」では「安全性の確保についてはお店の対応次第で、ゼロリスクに近づける」としている。
旧厚生省は「生食用食肉の衛生基準」により生食用食肉の衛生管理について定め、これに沿った食肉に限り「生食用」と表示することとしている。
この基準については「膨大な金額がかかり、検査に合格する頃には生肉ではなくなるので実質的な禁止措置」との批判が当初からあった。したがってこれに基づく生食用食肉の出荷実績があるのは馬肉とレバーのみで、牛肉の出荷実績のある施設はなかった。
厚生労働省の発表している食中毒統計よれば、ユッケが原因と見られる事例は10年間で13件の食中毒が発生している。2011年4月に起きたユッケ集団食中毒事件はユッケの危険性を広く社会に知らしめた。
【プデチゲ】
「プデチゲ(部隊チゲ)」は、韓国のチゲの一種。肉、野菜、豆腐などといった一般的なチゲの材料と共に、ソーセージまたはスパムに代表されるランチョンミート、インスタントラーメンといった保存食の食材を辛味のスープで煮込んだ、大衆的鍋料理である。
『概要』
在韓米軍部隊の多い京義道議政府市や平沢市が本場とされ、専門店が軒を連ねるが、その由来には諸説があり、朝鮮戦争中やそれ以降の混乱期に在韓米軍部隊かの残飯や援助物資・放出物資に唐辛子を混ぜて作られたとも、米軍と補給を融通しあっていた韓国軍部隊の若い兵士が共同生活をする中で広まったともいわれる。
1960年代に、おでんを売った店でおつまみで売ったのが始め。初期には炒め料理だったが、次第に現在の姿に変化した。なお、インスタントラーメンの普及は朝鮮戦争後である。韓国の外食メニューとして一般的であり、現在は日本の韓国料理店でも提供するところが多い。
『作り方』
肉系のスープに唐辛子粉、キムチなどで辛味を加え、ここで豚肉などの肉、白菜、ホバク(韓国のカボチャ)などの野菜、豆腐やトック(韓国餅)、そして特徴であるハム・ソーセージ、缶詰のランチョンミート、インスタントラーメンなどを煮込む。
基本的には「キムチチゲ」と近い料理のため、韓国ではハム・ソーセージ、ランチョンミートなどの象徴的な材料さえ入れれば、後は何を入れても「プデチゲ」と見なされる事が多い。
『提供方法』
キムチチゲ、テンジャンチゲなど多くのチゲ類は、一人分の量を小鍋で作って供されるが、プデチゲは日本の鍋物のように、食卓の中央の大鍋で作りながら、皆で取り分けて食べるのが一般的である。