貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

哀しみの向こうに

2018-10-20 09:11:58 | 日記

哀しみの向こうに

平成30年10月20日(土)

 今日は,平成の皇后美智子様の

誕生日!

 おめでとうございます。

 衷心よりお祝いしたい。

 美智子様の心に残る絵本に、

新見南吉の『でんでんむしのかなしみ』

がある。

 南吉の作品は好きで、二度ほど

南吉記念館を訪問。

 その時購入した絵本がこれ。

「いっぴきの でんでんむしが

 ありました。」

「あるひ、その でんでんむしは 

 たいへんな ことに きがつきました。

 『わたしは いままで うっかりして

 いたけれど、 わたしの せなかの

 からの なかには かなしみが

 いっぱい つまっているでは ないか。』

 この かなしみは どうしたら

 よいでしょう。」

 このでんでんむしは、人に例えると、

9歳か10歳ごろ。

 そんなおもにとらわれ、友だちの

ところへ。

 最初に相談した友だちのでんでんむし。

「わたしの せなかにも 

 かなしみが いっぱいです。」

 それじゃ 仕方ないと思い、

次の友だちへ。

 すると、その友も同じように、

「わたしの せなかににも

 かなしみは いっぱいです。」

 友だちを順々に訪ね相談するが、

皆、異口同音に、同じ応答。

 そこで気がつくのです。

「かなしみは だれでも もって

いるのだ。

 わたしばかりではないのだ。

 わたしは わたしの かなしみを

こらえていかなきゃ ならない。」

と。

 そして、もう嘆くのをやめる。

 平成の皇后様は、初めての民間人。

 でんでん虫がかなしみを彼方に押し遣り、

封印したようなご心境もあっただろう!

 「かなしみ」には、

   「悲しみ」や「哀しみ」の他に、

「愛しみ」もあるという。

 わが身を嘆くことの程度や内容の差はあれ、

まだまだひょこひょこ顔を出してくる。

 そのたびに,この話は再生される、

ありがたきもの。