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斎藤美奈子さんのコラムその128&前川喜平さんのコラムその89

2022-12-09 03:37:06 | 日記
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず11月30日に掲載された「あの国の順位」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「ドイツ10位、コスタリカ12位、スペイン17位。いずれもトップ20位圏内に食い込む好成績だけれども、さてこれは何のランキング?
 日本は116位、と続けば気づいた方もいるはずだ。そう、これは男女平等度を測る、2022年・ジェンダーギャップ指数(GGI)である。
 日本の順位ばかり話題になるGGIだが、上位国に目をやると、近年は中南米やアフリカ諸国の躍進が目立つ。報道ではほぼ無視されていたものの、サッカーW杯一次リーグと同じE組に入り、にわかに「どんな国?」という関心が高まったコスタリカもジェンダー平等先進国だ。特に進捗(しんちょく)著しいのは政治分野で、国会議員の女性比率は45.6%。スペインの41.4%、ドイツの34.8%も上回る。コスタリカはまた20年、世界で29番目に同性婚を合法化している。
 スポーツと関係なく思えても、GGIはその国の人権意識や民主主義の成熟度を知る重要な指標のひとつである。性的少数者などへの差別に反対する腕章を認めなかったFIFAに対し、抗議の意思を示したドイツなどの欧州各国と「いまサッカー以外のことを話題にするのは好ましくない」とサッカー協会々長が述べた日本の差は何に由来するのだろう。ちなみにW杯開催国カタールのGGIハ、137位である。」

 また、12月4日に掲載された「くるみ割り人形」と題する前川さんのコラム。
「最近テレビ受像機でユーチューブを見る楽しさを覚えた。今好んで見ているのはバレエ「くるみ割り人形」だ。ロシア、アメリカ、フランス、ドイツ、スウェーデンなど様々(さまざま)な国のバレエ団がそれぞれの個性を生かして演じていて、それらを見比べるのも楽しい。音楽はもちろん同じチャイコフスキーの曲だが、ストーリーは少しずつ違い、振り付けは全く違う。登場人物の名前もバレエ団によって異なる。主人公の少女の名前がクララだったりマーシャだったりマリーだったりする。
 その中にウクライナ国立バレエ(キエフ・バレエ)の公演の動画もある。収録はもちろんプーチンによる侵攻の前だ。主人公クララと弟のフリッツをはじめ、クリスマスイブに群れ遊ぶ子どもたちは、男の子たちを含めすべての女性のダンサーが演じている。くるみ割り人形の魔法が解けると、王子様になり、クララと王子は魔法の船で人形の国を旅する。そこで数々の異国情緒溢(あふ)れる踊りを披露される。目覚めるとすべてはクララの夢だった。
 文句なしに楽しく、愛らしく、美しく、華やかなファンタジーの世界。それを見せてくれるダンサーたちには畏敬の念すら抱く。戦火の下で彼らは今どうしているだろう。九月にはトップダンサーだった男性が戦死したと報じられた。芸術を圧殺する戦争の野蛮さを憎む。」
 
 そして、12月7日に掲載された「ファームの役割」と題された斎藤さんのコラム。
「自民党国会議員の前職で一番多いのは何?
 答えは県会議員などの地方議員。地方議員はいわば国会議員の二軍、ファームとしても機能していることになる。
 ちなみに二番目以降は議員秘書、民間企業、官僚と続く。かつて自民党議員の有力な供給源だった官僚ルートは影をひそめ、近年では秘書ルートと民間企業ルートが目立つ。この二つには血縁継承者が相当数含まれており、議員の世襲化の進行を裏付けてもいる。
 以上のことを、私はキャスターの安藤優子さんの著書『自民党の女性認識』で知った。この本は国会議員にはなぜ女性が少ないかを探った博士論文ベースの研究書で、興味深い知見が多々含まれているのだけれど、それはそれとして、いまは地方議員の話である。
 旧統一教会と接点のあった都道府県議が334人。本紙五日のこの記事は地方議会の「ファーム」としての役割をあらためて思い出された。地方議員から国会議員へというキャリアアップのコースが想定される世界で青田買いは有効だ。選挙支援であれ会合での登壇であれ、地方議員を狙い撃ちしておけば、地方行政はもちろん、将来的には国政に影響を与える可能性も上がるのだ。
 上からも下からも広がる宗教汚染、この関係を断ち切ることができない限り、政治に期待することなど到底できない。」

 どれも一読に値する文章だと思いました。