gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

大島渚監督『無理心中 日本の夏』

2022-06-12 06:33:00 | ノンジャンル
 大島渚監督・共同脚本の1967年作品『無理心中 日本の夏』をDVDで観ました。
 サイト「MOVIE WALKER PRESS」の「ストーリー」に加筆修正させていただくと、
「男を求めないではいられない十八歳のネジ子(桜井啓子)は、ある町でオトコ(佐藤慶)を拾い、海岸に誘ったが、彼はしきりに死にたがり、ネジ子の裸に無関心だった。
 そこへ数人のやくざが現われ、砂の中から鉄砲や刀を掘り出した。その一部始終を見ていたネジ子とオトコは彼らに捕えられ、廃屋の一室に監禁されてしまった。この廃屋はやくざがデイリの時に使う集合場所だった。
 ネジ子とオトコの部屋には一人のやくざを刺し殺した鬼と名乗る男(小松方正)と、ライフル銃を盗みに侵入してやくざたちの兄貴分に捕った少年(田村正和)がいた。二人はしきりに人殺しの衝動に駆られていた。
 一方、やくざの助っ人として、拳銃を持ったおもちゃ(殿山泰司)、マイクロテレビを手にしたテレビ(戸浦六宏)という男たちがこの家に集ってきた。彼らは何事か起るのをじっと待っていた。逞しい男たちを見てネジ子は盛んに媚を売ったが、誰も彼女を抱こうとしなかった。
 そんな時、外国人のライフル魔が逃げ回って、町は警官隊の厳重な警戒のもとにあると、テレビが報じた。オトコは恐怖に駆られ、おもちゃに殺してくれと頼んだ。しかし、おもちゃが射った相手はおにいさんだった。それを見た少年は外へとび出し、二人の警官を射って帰ってきた。
 そんな異常は雰囲気の中で、ネジ子は三人の男と寝た。その三人は、外国人と一緒に戦争をするんだ、と叫ぶ少年に反対して殺され、結局、ネジ子、少年、オトコ、テレビ、おもちゃの五人は外国人がたてこもっている場所に行った。しかし、警官の包囲する中で仲間割れから、テレビ、おもちゃ、少年、それに外国人が死に、ネジ子とオトコの二人だけが残った。二人は警官隊に向って猛然と射撃を浴びせ、オトコは弾丸の雨の中で初めてネジ子を抱いた。ネジ子が「心中みたいだね」と言った時、オトコは「うん、無理心中だ」と答えたが、その瞬間、二人に弾丸が当った。血の海の中で、二人は笑って死んでいった。」

 ラストの騒然な銃撃戦を除けば、不思議な感覚のグランド・ホテル形式の映画でした。

青木理『破壊者たちへ』

2022-06-11 10:58:00 | ノンジャンル
 青木理さんの2021年作品『破壊者たちへ』を読みました。著者が『サンデー毎日』に寄稿してきた文章をまとめた本です。
 その内容からいくつか引用すると、
・昨年12月の米軍大型ヘリによる窓落下事故があった沖縄県宜野湾市の普天間第二小学校で、米軍機接近による児童の避難は、運動場の使用が再開された2月13日から3学期が終了した3月23日までの39日間に合計242回に上ったことが同校のまとめで分かった。最も多い日は一日に29回で、20回以上の日が3日間あった。米軍機接近による避難によって体育の授業は中断する。
・そもそも普天間飛行場周辺では、昨年の窓落下事故を受け、政府と在日米軍が「可能な限り宜野湾市内にある学校上空の飛行を避ける」と約束したはず。
・ひとたび他人事(ひとごと)になると、人間はこうも酷薄になれるのか。自殺、溺死、凍死、若年での心疾患や脳疾患、そんな不可解かつ理不尽な理由で過去3年間、計69人もの外国人技能実習生の命が失われたことをどう捉えるか、国会の場で問われたこの国の首相は、いかにもうんざりした表情で、時に薄笑いすら浮かべながら、平然とこう言い放った。
「いま初めて聞いたので答えようがない」
・文民統制を逸脱した海外での情報活動が明らかになった陸上自衛隊の秘密情報部隊「別班」を、特殊部隊「特殊作戦群(特戦群)」と一体運用する構想が2008年ごろから陸自内部で検討されていることが分かった。(中略)想定する任務には、海外での人質救出、敵地への潜入と攻撃目標の偵察なども含まれている。武器使用基準の緩和、憲法解釈で禁じられている「海外での武力行使」に踏み込むもので、改憲を見越した構想とみられる。
・防衛省の情報機関である情報本部には、ヒューミントや衛星情報もなども集まりますが、最大の武器はなんといっても電波情報です。特にロシア、中国、北朝鮮をターゲットにした電波傍受の基地を一番持っているのは自衛隊ですから、米国もその情報を欲しがるほどの力を持っています。
・世界中のありとあらゆる通信を対象とし、NSAが貪欲かつ大規模に監視・盗聴活動を繰り広げていた実態が明らかになったからである。
その全貌はここではとても記しきれないが、ごく一部を列挙すれば、例えばプリズム(PRISM)と称されるシステムを使って米国内で行っていた網羅的な通信情報収集がある。また、日本などを含む各国の大使館、代表部、果てはドイツ首相らの携帯電話までをも対象とした盗聴も実施し、果てはマイクロソフトやグーグルなどの協力も取りつけ、インターネット上での通信監視・傍受は世界規模で実施されていた。
・(『国体の本義』では)人びとがいて国家を構成するのではない。国家が先にあり、人はその“部品”にすぎず、余計なことは考えずに没我服従せよ━━つまりそういうことである。
・要は日本の刑事司法の後進性━━つまりは被疑者や刑事被告人の人権を軽視する姿勢と制度を放置する限り、米国が協定の改定に応じる可能性は低い、ということだろう。最近では日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の事件によって、そうした悪弊はさらに強く国際的に印象づけられた。
・2016年に大幅改定された盗聴法(通信傍受法)がこの6月1日、ついに完全施行された。警察庁はすでに専用の盗聴機器を141台も導入し、今年度中に200台近くまで増やすという。これによって警察当局の盗聴捜査は飛躍的に“利便性”を増し、制御を誤れば個人のプライバシーなど丸裸にされてしまうだろう。

 一読の価値のある本だと思いました。

大島渚監督『日本春歌考』

2022-06-10 08:34:00 | ノンジャンル
 大島渚監督の1967年作品『日本春歌考』をDVDで観ました。
 サイト「MOVIE WALKER PRESS」の「ストーリー」に加筆修正させていただくと、
「豊秋(荒木一郎)は広井や丸山たちと共に大学受験のため上京してきた地方の高校生である。彼は試験場でベトナム戦争反対の署名をする女に引かれ近づく。女は豊秋の視線を感じ“藤原×××”と署名し立ち去る。
 試験の終った後、街へ出た豊秋たちはなんとなく建国記念日反対のデモに加わったがそこで、かつて彼らの教師で、いま大学のドクターコースに学んでいる大竹(伊丹十三)と彼の恋人高子(小山明子)を認めた。豊秋たちは高子を見ていっそう性欲を刺激され跡をつけるが、それに気づいた高子に用件を聞かれるとただ逃げ去るしか無かった。
 翌日、クラスメートの女生徒早苗(宮本信子)や幸子(吉田日出子)と会った彼らは、大竹を訪ねたが、大竹は居酒屋で豊秋たちの性的欲求不満を見てとるとやおら春歌を歌い始めた。そして男生徒は一層性欲的になったのだが、女生徒は意味も分らず、無邪気に唱和していた。
 その夜、忘れ物を取りに大竹を訪ねた豊秋は、ガス管を蹴とばして寝ている大竹を見たが、助ける気にならなかった。
 翌朝大竹の死体が発見され、女生徒は泣いて悲しんだ。刑事から検死の結果は過失による一酸化炭素中毒と聞かされた豊秋は忘れ物を取りに部屋に行ったことを告げる。不審がる刑事。
 解放された豊秋は、遅れて到着した高子の前で春歌を歌う。それが生前最後に大竹が唄ったと聞かされた高子は泣き崩れるのだった。先に帰る早苗たちを上野駅で見送った豊秋たちは、春歌を唄いながら彼女たちや藤原を犯すことを想像する。
 大竹の葬式の後、豊秋は居残った高子を訪ね、大竹を見殺しにしたことを告白し、一番から十番まで春歌を歌うと十一番目に高子にのしかかる。一方広井たちは偶然通りかかったプロテストソング大会で藤原と再会する。豊秋は高子を連れて合流する。そして彼らは空想で彼女を犯したと告げたが、意外にも藤原は空想を実現して欲しいと言う。
 翌日ある教室の中で豊秋たちはそれを実行したのだった。」

 歌が終始歌われ、ロングショットが多用されていました。

大島渚監督『忍者武芸帳』

2022-06-09 13:10:00 | ノンジャンル
 大島渚監督・共同製作・共同脚本、小沢昭一語りの1967年作品『忍者武芸帳』をDVDで再見しました。白土三平の劇画を編集して作られた映画です。
 サイト「映画ウォッチ」のあらすじに加筆修正させていただくと、
「頃は永禄年間、群雄割拠の戦国時代で、各武将たちは天下を取ろうと戦いに明け暮れていました。奥州出羽の伏影城では、城下で侍相手の辻斬りが頻繁に起こり、城主・坂上主膳(声・佐藤慶、以下同じ)を悩ませていました。
 坂上主膳は実は掟を破り伊賀の仲間を殺した抜け忍でした。主膳は実の妹であるくノ一螢火(松本典子)をその対策に当たらせ、その辻斬りを追い詰めます。ところが螢火が辻斬りの左腕を切り落としたところで謎の忍者が出現。忍者は同じように螢火の左腕を切り落とし、辻斬りを連れて逃走します。
 辻斬りの正体は伏影城の前の城主、結城光春の一子・重太郎(山本圭)で、忍者の方は影丸と呼ばれる正体不明の男(戸浦六宏)でした。
 この頃、大飢饉が奥州出羽を襲い、百姓の困窮は極に達していました。しかも年貢の取り立ては以前にも増して厳しくなっていました。領主への怒りが膨れ上がり、ついに一揆という形で爆発します。
 しかし2万の城兵によって一揆は鎮圧され、城主への恨みだけが蓄積していきます。影丸は一計を案じ、重太郎、雷雲党と呼ばれる野武士、それに百姓たちに城を襲わせます。
 襲撃は成功しますが、坂上主膳は螢火とともに逃げ遂せてしまいます。しかもその逃亡を手引したのは、なんと重太郎の味方のはずの影丸でした。
 主膳はひょんなことから明智光秀(露口茂)の影武者となり、重太郎は彼への復讐を果たすために尾張へ。その重太郎を慕う影丸の妹、明美(小山明子)もそのあとを追います。
 そして各地の一揆や反乱を仲間たちと様々な形で支援しながら、影丸は折々に重太郎と再会し、明美とともに彼の命を度々助けることとなります。
 やがて本願寺教団と百姓が一緒になり、越前、加賀、雑賀などで大規模な一揆軍を結成。その先頭には常に影丸の率いる坂本の馬借隊がありました。
 しかし、圧倒的な戦力を備えた信長(渡辺文雄)軍は天正2年に長島、天正3年に越前、天正5年に雑賀と、次々に一揆を鎮圧。最後に残った加賀では影丸が支えていましたが、重太郎の罠にかかって捕えられます。
 重太郎は主膳の奸計で、影丸が明美を殺したと勘違いしたのです。太い切り株に寝かされた影丸は牛によって八つ裂きの刑に処せられます。
 天正10年、明智光秀と密かに入れ替わっていた主膳は本能寺の変を起こしますが、羽柴秀吉の軍に追われ、討死。重太郎は目的を失い、砂塵の中を彷徨います。そして最後、影丸の述べた言葉「破れても人々は目的に向い、多くの人が平等に幸せになる日までたたかうのだ」が示され、映画は終わります」。

 見事な「革命」映画でした。

大島渚監督『白昼の通り魔』

2022-06-08 17:55:00 | ノンジャンル
 大島渚監督の1966年作品『白昼の通り魔』をDVDで観ました。
 サイト「MOVIE WALKER PRESS」のストーリーに加筆修正させていただくと、
「草深い信州の農村。ある夏、川の氾濫で畑を駄目にした篠崎の娘シノ(川口小枝)はホップの栽培とニジマスの養殖を計画しその資金を彼女に気のある村長の息子源治(戸浦六宏)から借りたが、その代償に彼女は彼に身をまかせた。シノに惚れていた小山田英助(佐藤慶)は現場を見つけて、村中に言いふらしたが、彼女は平気だった。彼女は仕事が波に乗った一年後、村会議員に当選した源治に心中をせまられた。彼はシノの気持をためしたかったのだ。彼女はその時ふとその気になって彼に従った。源治は死んだが、シノは二人の後をつけていた英助に助けられる。英助はシノを犯した。これは“白昼の通り魔”になる英助の第一歩であった。源治は事故死として葬られたが、恋愛は美しい無償の行為だとシノたちに教えた中学教師倉マツ子(小山明子)は事故死とすることに反対した。その夜彼女は同じ反発を抱く英助と結ばれた。シノは村中の非難をあび村を出た。一年過ぎた。神戸で女中として働いていたシノは突然英助の訪問を受けた。そして再び失神させられ犯された。その上彼は抵抗した女主人を殺した。シノは彼を噂の“白昼の通り魔”と確信したが、警察の取調べに対し、犯人が旧知の英助であることは黙っていた。そして今は英助の妻になっているマツ子に相談してからと考えて手紙を書いた。数週間後マツ子は修学旅行で大阪へ来た。シノは会って相談したが、苦悩するマツ子の言葉はあいまいであった。東京へ走る列車が浜名湖を通過した時マツ子は意を決して、尾行してきた原口刑事(渡辺文雄)に英助の写真を渡した。だが既に英助は東京で逮捕されていた。裁判で彼は最初にシノを犯したのが犯罪のきっかけだと言った。打ちのめされて生徒と別れたマツ子と一緒にシノは信州へ帰った。村が見えた時急にマツ子はシノに心中してくれと言った。マツ子は死んだが、シノは生き延びた。シノはまたも一人だけ生き残った。そして先生の死体を背に山道を下っていくいのだった。」

 この映画ではワンシーンワンカットは少なく、ゴダールが『女と男のいる舗道』で行なっていたような、意味のないパン撮影がラストの列車内でのシノとマツ子の間で使われていました。