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ロジャー・コーマン監督『侵入者』

2013-07-01 06:43:00 | ノンジャンル
 ロジャー・コーマン監督・製作の'62年作品『侵略者』をWOWOWシネマで見ました。
 オープニングタイトル。サスペンスあふれる音楽。農園を横移動で写すカメラが引くと、バスに乗るサングラスの男が映ります。町に入り、前進移動していくカメラ。タイトルが終わるとバスは停まり、音楽も止みます。男はホテルに行き、数週間滞在する旨を伝え、宿帳に“アダム・クレイマー”と記帳します。ホテルのオーナー、ランバート夫人に尋ねられ、福祉係として町をよくするためにやって来たと言うアダムは、人種統合のためにも来たと言います。夫人は白人の高校に10人の黒んぼが入学することになり、皆反対だが、法律で決まったから仕方が無いと思っていると言います。「私たちは友人だ」とアダムは言い、夫人と握手します。夫人が去ると、拳銃を取り出し、撃つマネをして楽しむアダム。
 カフェのカウンターで、ませた少年を相手にしていた若い娘のエラは、アダムの訪問を受け「町に来たばかりなので、若者と知り合いたい」と言われます。そこへエラの父親で新聞記者をやっているトムがやって来て、知人に「すんなりと高校の新学期が始まりそうだ」と言い、娘とともに帰宅します。トムの妻は変な電話があったとトムに言い、「娘が黒人と同じ教室で学ぶのをどう思うか?」と尋ねられ、「いい気はしない」と答えたと言います。電話相手の名前は忘れたと妻は言いますが、エラの祖父が「それはアダム・クレーマーだ」と教え、「この町にガッツある男がやって来た」と言います。祖父はエラに「デカい黒んぼどもと一緒なのをどう思う?」と言い、トムが「エラは自分と同じ意見だ。法律で決まったことなのだから、仕方がない」と言うと、祖父は怒って席を立ちます。
 翌朝、ランバート夫人に「仕事は順調だ」と報告したアダムは、夫人から隣人のサムを紹介されます。サムは朝食をおごると言い、妻と一緒にアダムをレストランに連れていきます。機嫌よく、誰彼かまわず額にキスをして顰蹙を買うサム。アダムがロスから来たと言うと、サムは「妻のヴァイもそうだ」と言い、自分がペンの行商人をしていて、これからファラガートへ数日間行くつもりだ」と教えます。アダムが「自分の仕事は社会変革だ」と言うと、サムは「夏は居心地がいいので、ずっとこのセクストンの町にいる。皆暖かい人ばかりだ」と言うと、ヴァイは表情を曇らせ、「頭が痛い」と言って1人先にホテルへ帰ります。
 「黒んぼの町まで」とタクシーの運転手に言うアダム。サスペンスあふれる音楽がまた鳴り出します。道の両側の家がどんどん貧しくなっていき、やがてタクシーは黒人の居住区の真ん中で停まります。騒がしい子供たちの声。アダムはタクシーを降り、周囲の様子を伺うと「ここはもういい。リッジウッド22番へ」と運転手に言います。音楽は止みます。
 馬を調教している黒人に「やはりいつも白人の勝ちだな」と声をかける、でっぷりと太った白い背広姿の男、シップマン。そこへやって来たアダムは「ワシントンのパトリック・ヘンリー協会からわざわざ来た」と言い、シップマンに「人種統合に賛成か?」と尋ねます。「私は南部の人間なので、もちろん反対だ」と言うシップマン。アダムは「我々も同じ。この法律は大きな間違い。戦うべきだ」と言いますが、シップマンは「もう戦いは終わった。負けたんだ」と答えます。「どうでしょう? 民主主義は人民の意見を尊重すべきです。黒人に世界を乗っ取られていいんですか? 十分起こりえることです。しかし、あなたの助けがあれば法的に止められます」と言います‥‥。
 
 現代版『オックス・ボウ・インシデント』、つまりリンチを描いた傑作です。リンチを行う側の人間の醜い表情をこれほど生き生きと捕えた映画は今までに存在していなかったのではないでしょうか? 1時間23分しかないのが信じられないほど、内容の詰まった、見事な“ショット”からなる“映画”そのものでした。なお上記以降のあらすじは、私のサイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Movies」の「その他の傑作」の場所にアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto