恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。
まず10月6日に掲載された「内輪の論調」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「初耳内閣」(畠山理仁さん)、「ジャケ買いしたく内閣」(木村友さん)、「重しがない内閣」(山崎望さん)。五日の特報面に登場なさったみなさまもネーミングに苦心なさった由。それもそのはず。岸田文雄新内閣は全貌がなんだかよくわからないのである。
わからないのは報道が永田町の論理に終始しているためでもある。露骨な論功行賞、派閥のバランス、官邸主導から党主導へ、安倍麻生の影、傀儡(かいらい)……。どうでもいいいわそんなこと。とまではいわないが「政治は人事がすべてなの。俺達は、ほら、政治のプロだから、全部わかってるの。素人さんには難しいかな?」といわんばかりの論調が新聞にもネットニュースにもあふれている。
メディアが内輪の論調に終始するのは、内閣が発信を怠ったためでもある。岸田新内閣は恒例だった認証式後の新閣僚の会見を廃止した。深夜から未明に及ぶのが通例だったため、河野太郎前行政改革担当相の「こんなものさっさとやめたらいい」という鶴の一声で決まったらしい。働き方改革の一環としては理解できなくもないものの、おかげで新閣僚の人となりも姿勢も方針もわからないまま一日がすぎた。
憶測だらけで取りつく島のない新政権。かくて政治離れは加速する。しかも彼らは何も仕事をしないまま衆院選に突入する。どうせ仕事しない内閣かい。」
また、10月3日に掲載された「コロナのおかげで総裁に」と題された前川さんのコラム。
「新型コロナ感染拡大の第五波は七月下旬にピークを迎え、九月下旬に沈静化した。その間に自民党では総裁選を巡る権力闘争が繰り広げられた。
もし第五波が起きなければ、菅義偉首相は党内大派閥の支持を得て地位に留(とど)まることができただろう。しかし、第五波の急拡大は菅内閣のコロナ失政を際立たせ、支持率の急速な低下を招いた。自民党議員たちは、菅総裁では選挙を戦えないと浮足だった。菅氏はなおも地位に恋々としたが、岸田文雄氏に二階外しを仕掛けられ、慌てて二階幹事長を外そうとして逆に自分がはしごを外された。菅氏はやっと命運が尽きたことを悟り、総裁選不出馬を表明した。
「選挙の顔」として党員党友の高い支持を集めたのは河野太郎氏。勝ち馬と見た自民党議員たちは次々と河野支持に回った。その中に小泉進次郎氏や石破茂氏もいた。もし第五波が九月に入ってからも拡大を続けていたら、河野氏がそのまま総裁選を勝ち抜いただろう。しかし、総裁選の投開票日を前に第五波が沈静化。それとともに河野氏の求心力も消えた。
コロナが収まれば「選挙の顔」は要らない。代わりに安倍晋三氏や麻生太郎氏の「顔」がものをいうようになった。かくして安倍氏・麻生氏の傀儡(かいらい)岸田氏が総裁の地位を射止めた。すべてがコロナのおかげである。」
そして、10月10日に掲載された「赤石氏の脱法的昇任人事」と題された前川さんのコラム。
「平井卓也前デジタル相、赤石浩一デジタル審議官、向井治紀デジタル庁参与がNTTから過剰接待を受けていた問題。発覚後に氏金を払い「割り勘」だと強弁する平井氏も往生際が悪いが、赤石氏あへの9月24日付減給処分にも納得がいかない。処分の中身ではない。その時期である。
週刊文春が赤石氏への接待疑惑について内閣府に質問状を出したのは、6月21日だという。それから調査しても7月中には処分できた。なぜ三カ月も経(た)ってから処分したのか? それは赤石氏を9月1日付で新設されたデジタル庁のデジタル審議官(事務次官級)に昇任させるためだ。
国家公務員が懲戒処分を受けると、人事院規則により処分に応じて一定期間昇任人事ができなくなる。減給処分の場合は1年半だ。だから赤石氏の処分を遅らせ、昇任人事を先に行った。これは人事院規則を回避する脱法行為である。向井氏が処分を受けずに退職し、退職金を丸々受領したのも脱法行為だ。人事院はこんないかさまを黙って見過ごしてはいけない。しかし人事院にはもはや官邸に盾突いて筋を通る力はない。かくして官邸の気に入る官僚は法を曲げて目こぼしされる。
松島かれん新デジタル相は自身へのNTT接待疑惑を釈明するだけでなく、赤石氏と向井氏の人事についても解明し説明する責任がある。」
みなさん、もうすぐ総選挙ですね。斎藤さんや前川さんの「本音」のコラムを参考に、是非投票されることを願います!!
まず10月6日に掲載された「内輪の論調」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「初耳内閣」(畠山理仁さん)、「ジャケ買いしたく内閣」(木村友さん)、「重しがない内閣」(山崎望さん)。五日の特報面に登場なさったみなさまもネーミングに苦心なさった由。それもそのはず。岸田文雄新内閣は全貌がなんだかよくわからないのである。
わからないのは報道が永田町の論理に終始しているためでもある。露骨な論功行賞、派閥のバランス、官邸主導から党主導へ、安倍麻生の影、傀儡(かいらい)……。どうでもいいいわそんなこと。とまではいわないが「政治は人事がすべてなの。俺達は、ほら、政治のプロだから、全部わかってるの。素人さんには難しいかな?」といわんばかりの論調が新聞にもネットニュースにもあふれている。
メディアが内輪の論調に終始するのは、内閣が発信を怠ったためでもある。岸田新内閣は恒例だった認証式後の新閣僚の会見を廃止した。深夜から未明に及ぶのが通例だったため、河野太郎前行政改革担当相の「こんなものさっさとやめたらいい」という鶴の一声で決まったらしい。働き方改革の一環としては理解できなくもないものの、おかげで新閣僚の人となりも姿勢も方針もわからないまま一日がすぎた。
憶測だらけで取りつく島のない新政権。かくて政治離れは加速する。しかも彼らは何も仕事をしないまま衆院選に突入する。どうせ仕事しない内閣かい。」
また、10月3日に掲載された「コロナのおかげで総裁に」と題された前川さんのコラム。
「新型コロナ感染拡大の第五波は七月下旬にピークを迎え、九月下旬に沈静化した。その間に自民党では総裁選を巡る権力闘争が繰り広げられた。
もし第五波が起きなければ、菅義偉首相は党内大派閥の支持を得て地位に留(とど)まることができただろう。しかし、第五波の急拡大は菅内閣のコロナ失政を際立たせ、支持率の急速な低下を招いた。自民党議員たちは、菅総裁では選挙を戦えないと浮足だった。菅氏はなおも地位に恋々としたが、岸田文雄氏に二階外しを仕掛けられ、慌てて二階幹事長を外そうとして逆に自分がはしごを外された。菅氏はやっと命運が尽きたことを悟り、総裁選不出馬を表明した。
「選挙の顔」として党員党友の高い支持を集めたのは河野太郎氏。勝ち馬と見た自民党議員たちは次々と河野支持に回った。その中に小泉進次郎氏や石破茂氏もいた。もし第五波が九月に入ってからも拡大を続けていたら、河野氏がそのまま総裁選を勝ち抜いただろう。しかし、総裁選の投開票日を前に第五波が沈静化。それとともに河野氏の求心力も消えた。
コロナが収まれば「選挙の顔」は要らない。代わりに安倍晋三氏や麻生太郎氏の「顔」がものをいうようになった。かくして安倍氏・麻生氏の傀儡(かいらい)岸田氏が総裁の地位を射止めた。すべてがコロナのおかげである。」
そして、10月10日に掲載された「赤石氏の脱法的昇任人事」と題された前川さんのコラム。
「平井卓也前デジタル相、赤石浩一デジタル審議官、向井治紀デジタル庁参与がNTTから過剰接待を受けていた問題。発覚後に氏金を払い「割り勘」だと強弁する平井氏も往生際が悪いが、赤石氏あへの9月24日付減給処分にも納得がいかない。処分の中身ではない。その時期である。
週刊文春が赤石氏への接待疑惑について内閣府に質問状を出したのは、6月21日だという。それから調査しても7月中には処分できた。なぜ三カ月も経(た)ってから処分したのか? それは赤石氏を9月1日付で新設されたデジタル庁のデジタル審議官(事務次官級)に昇任させるためだ。
国家公務員が懲戒処分を受けると、人事院規則により処分に応じて一定期間昇任人事ができなくなる。減給処分の場合は1年半だ。だから赤石氏の処分を遅らせ、昇任人事を先に行った。これは人事院規則を回避する脱法行為である。向井氏が処分を受けずに退職し、退職金を丸々受領したのも脱法行為だ。人事院はこんないかさまを黙って見過ごしてはいけない。しかし人事院にはもはや官邸に盾突いて筋を通る力はない。かくして官邸の気に入る官僚は法を曲げて目こぼしされる。
松島かれん新デジタル相は自身へのNTT接待疑惑を釈明するだけでなく、赤石氏と向井氏の人事についても解明し説明する責任がある。」
みなさん、もうすぐ総選挙ですね。斎藤さんや前川さんの「本音」のコラムを参考に、是非投票されることを願います!!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます