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白井聡『武器としての「資本論」』

2020-08-14 05:04:00 | ノンジャンル
 白井聡さんの2020年作品『武器としての「資本論」』を読みました。本文中からいくつか文章を転載させていただくと、

・それ(資本制社会)は、「物質代謝の大半を商品の生産・流通(交換)・消費を通じて行なう社会」であり、「商品による商品の生産が行なわれる社会(=価値の生産が目的となる社会)」というものです。

・産業革命の特徴は、化石燃料を使う工場をどんどん建てたことです。

・富はどの時代にも、どの社会にも存在するが、その富が主に商品の形で現れる社会は資本主義社会だけなのだ。

・商品は、交換から、しかも共同体の外での交換からのみ生まれるのだということ、これはマルクスの決定的な発見だったと言えます。

・「剰余価値」を生産することこそが、資本主義の肝と言えます。

・熟練や特殊技能を要する作業が、機械等の発展によって「機械+単純労働」に置き換えられてゆくと、包摂の度合いはグッと高まります。その究極の形態がベルトコンベアのラインにおける工場労働で、人間が機械の一部にさせられてしまうような状態です。このように労働過程をまるごと資本が形づくってしまった状態を、マルクスは「実質的包摂」という概念でとらえたわけです。

・新自由主義はさまざまなものを変えました。「あらゆるところに競争原理を導入しろ」と国営事業の民営化を進め、小さな政府を実現し、大企業もどんどんスリム化して、人を減らし、本来の業務だと思われていたものすらも、外注するようになった。そしてその外注先を買い叩いてコストを下げ、利益を増やしてきた。

・新自由主義が変えたのは、社会の仕組みだけではなかった。新自由主義は人間の魂を、あるいは感性、センスを変えてしまったのであり、ひょっとするとこのことの方が社会的制度の変化よりも重要なことだったのではないか(後略)。

・「増えることによって、人々が豊かになる」ことは資本の目的ではありません。人々が豊かになるかどうかはどうでもいいことであって、増えることそのものが資本の目的なのです。

・機械装置は剰余価値の生産のための手段である。

・技術革新は、人間を幸せにする目的で行なわれているわけではないのです。その目的はここで説明したような特別剰余価値の獲得にあります。

・労働者階級を富裕化して中流階級するということが20世紀後半の資本主義の課題となり、相当程度実現されたわけです。

・イノベーションによって生まれる剰余価値は、たかが知れているのだ。

・格差の拡大、中間層の没落からくる需要不足を、資本はどう解決するのか。
 おそらく一つの答えは戦争でしょう。

・「戦争をやったことで恐慌を脱し、世界経済を支配する大国になれた」という成功体験があるわけです。

・先進諸国の社会民主主義体制を「修正資本主義体制」と呼んでも同じことです。要するにそれは、国家の介入によって平等化を図る体制であって、フォーディズムに基づく資本主義の発展と一体的に構築されました。
 なお、これのアメリカ版が政治思想家のジョン・ロールズが唱えた「リベラリズム」です。

・安倍政権はじめほとんど全部の政権は経済成長を強調していますが、「それって要するに富国強兵のことだよね。強兵なんて言うと角が立つから、経済成長と言い換えてるんだな」と理解できます。

 300ページ弱の本でしたが、1日で読んでしまいました。ここで紹介されているマルクス論は、とても分かりやすいと思いました。

 →サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

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