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西加奈子『こうふく みどりの』

2008-05-08 16:00:03 | ノンジャンル
 西加奈子さんの新刊「こうふく みどりの」を読みました。
 頼もしくて力持ちで、近所の人がひっきりなしに相談に訪れるおばあちゃん。タバコばっかりすって、一日中ごろごろしているけど、一緒にいると安心できるお母ちゃん。夫の暴力に耐えかねて逃げて来た、従妹の藍ちゃんと、4才になるのに言葉をしゃべらず無表情の、藍ちゃんの娘・桃ちゃん。家に家族が帰ってくると必ず律儀に出迎えて「にゃあ」となく猫のカミさんとホトケさん。寝てばかりいる犬のポックリさん。そして中2の私。私は家に帰って来て、出迎えてくれるカミさんとホトケさんを撫でていると、もう何もいらないぐらい幸せで、居心地のいい我が家にこのままずっといたいと思ったりしています。そんな平和な時間の中に、転校生の男の子、背が高く無口だけど何か惹かれる児島犬という男子が現れてから、平和な時間が波立ち始めます。親友の明日香も私も彼に惹かれ、明日香との仲がぎくしゃくし始め、児島犬は意外な人と恋に落ち、中学を卒業したら、他の街にその人を連れて行き、働きたい、などと言い始めます。そして自分の進路を相談しても「自分の好きなようにしてええよ」と無関心なお母ちゃん。私は次第に何事にも関心を示そうとせず、無責任な家族に不満を持つようになってきます。そして家族の知らせざる過去が次々に明らかに‥‥。

 全編、大阪弁で書かれたこの本。前半のほんわかした雰囲気がすごくよくて、読んでてこっちも幸せになりましたが、後半は人間のどろどろしたものがこれでもか、これでもかというように書かれていて、ちょっと引いてしまいました。西さんはどうしても後半を書きたかったのでしょうが、私は前半にちょっと波風がたつぐらいの後半にしてほしかったです。描写もくどくてちょっとイライラしましたが、でも、面白くて2日で読破してしまいました。大阪弁の好きな人にはオススメです。
 なお、詳しいあらすじを知りたい方は、「Favorite Novels」の「西加奈子」のコーナーに掲載しておきましたので、ぜひご覧ください。

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