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瀬尾まいこ他『Teen Age』

2008-12-10 15:42:27 | ノンジャンル
 月刊「ソトコト」1月号に、会社の儲けの追求を一旦棚上げにして、経費をとことん削減し、売り上げをマイナス成長をさせたことによって、環境に適合したサスティナブルな企業体を実現した例を取り上げていました。プラス成長神話は、そろそろ賞味期限が来ているように思います。これからはマイナス成長しても継続可能な生活システムの構築を目指すべき、というのが私の意見です。

 さて、瀬尾まいこさん他による'04年に出された短編集「Teen Age」を読みました。
 角田光代さんの「神様のタクシー」は、私立女子校の寮で同室の、ルールにやかましく皆に嫌われている1年上の中3女子が、退学処分になった同級生を恋しているのを知り、強引に見送りに連れて行く話。
 瀬尾まいこさんの「狐フェスティバル」は、家々を回って子供たちが踊りを披露してお菓子やお金をもらう「狐がえり」をこの地区でやるのは今年が最後になって、リーダーとなった僕が、東京からの転入生を口説き落として助っ人として「狐がえり」に参加してもらい、彼女のおかげで現代的な踊りとなって絶賛され、これからも楽しい思い出を彼女と作っていこうと思う話。
 藤野千夜さんの「春休みの乱」は、中学部から高等部に上がる春休みに、お泊まりに来た超能力のある友人と、付き合い始めた彼氏と会い、小学部の時同級生だった男子の友人から電話で告られる話。
 椰月美智子さんの「イモリのしっぽ」は、中学卒業間近で元生物部長のあたしが、現生物部長の矢守君と何気ない時間を過ごす話。
 野中ともそさんの「ハバナとピアノ、光の尾」は、若い日本人女性がかつて恋した男性が今では老人となって思い出のピアノ曲を弾くと、みるみる老女になっていったのを見た、ハバナの若者の話。
 島本理生さんの「Inside」は、女子高生が彼氏との初体験に到るまでの過程と、母が離婚を決意する過程についての話。
 川上弘美さんの「一実ちゃんのこと」は、予備校で知り合った一実ちゃんが、クローン人間であるために、なげやりな生活を送っているという話、です。
 
 面白いのは、圧倒的に瀬尾さんの作品です。小品ですが、いつまでも心に残るいい話であり、また会話が生き生きとしていて、普段中学教師として実際に生徒たちと触れあう機会が多い瀬尾さんだからこそ書ける文章だと思いました。残念ながら、残りの6編は私には面白くありませんでしたが、瀬尾さんの作品を読むだけでも買う価値がある本だと思います。オススメです。
 なお「狐がえり」の詳細なあらすじは、「Favorite Novels」の「瀬尾まいこ」のところにアップしましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

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