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アレクサンドル・ソクーロフ監督『太陽』

2007-10-07 15:29:53 | ノンジャンル
 昨夜、NHK・BS2で放送された「コンバット」に、イギリス軍属の非情なギリシャ人大佐の役で、ゲストとしてテリー・サヴァラスが出ていました。自分の村をナチスに抹殺され、最後に燃料タンク目がけて自爆するという感動的な役でした。

 さて、WOWOWでアレクサンドル・ソクーロフ監督の'05年作品「太陽」を見ました。
 終戦直前の東京。地下の個室で1人で食事をする天皇(イッセー尾形)。天皇はラジオをつけるように言うが、米軍放送が入り、侍従が消してしまいます。一日の予定を伝えられると、天皇は米軍が来たら予定は変わるか?と言い、最後に残る日本人は自分だけになるのでは、と言います。軍服に着替え、地下道を進み、御前会議に臨みます。陸軍は本土決戦を辞さず、最大限の抵抗を示していると言い、海軍をけなします。天皇は明治天皇の辞世の歌を持ち出し、戦争はまだ続くであろう、と言い、会議は終了します。階段を上り、ハッチを通り、地上で出ます。白衣をまとい、水生動物の標本を美しいと言い、細かく描写するのを書記が書き留めていきます。すると突然大東亜戦争の原因を語り始めます。日本が訴えた人種差別撤廃に共鳴しない国々への攻撃が始まりだった、と言います。そこへ敵軍の接近があり、待避壕へと誘導されます。天皇は語り続け、天皇人間説を否定します。絶えず響くエレベーターの音。東京大空襲の幻影。火災の上を飛ぶ魚。短歌を書く天皇。皇太子への手紙も書きます。そしてアルバムに見入ります。
 正装して屋外に出る天皇。庭では米軍の兵士が鶴を捕らえようとし、天皇は鶴の鳴き声の中、車に乗せられます。道中、空襲のひどさを目撃し、天皇はアメリカの軍司令官のところへ連れて来られます。自宅に戻され、そこへ占領軍司令部からチョコレートの贈り物が送られて来ます。科学者を招待し、明治天皇が見たという光について説明を求めますが、納得した答えは得られません。天皇はアメリカのマスコミに写真を撮られ、司令官からの夕食の誘いも受けます。夕食会で、天皇はヒトラーのことなど何も知らないと言い、しかしドイツが勝つ可能性は100%だったので、同盟を結んだと言います。天皇がナマズの話を始めると、司令官は出て行ってしまいます。戻って来た司令官は疎開させている皇太子たちを呼び戻すように天皇に言います。皇居に戻った天皇は1人になり、国民の利益のために神格という身分を放棄する、と月光のさす部屋で独白します。そこへ皇后(桃井かおり)が戻って来て、天皇はねぎらいの言葉をかけ、皇后の胸に頭を埋めます。大広間に皇太子たちも帰って来ていると聞き、部屋を出る時、東郷元帥の自決を知らされます。

 イッセー尾形の存在感がすごい、と思いました。本当に昭和天皇に見えました。ソクーロフの映画のことですから事実とは異なる部分がかなりあるとは思いますが、実際戦争末期の天皇が置かれた孤独な世界というのはこんなものだったのではないか、と思わせる迫力がありました。撮影も夢幻的なシーンがあったり、わざとハイキーで撮って地下から屋外へ出て来た印象を強めたりするなど、見事なものだったと思います。まだご覧になっていない方にはオススメです。

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