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青山真治監督『東京公園』

2012-12-25 08:45:00 | ノンジャンル
 先日読んだ、みんなの記録雑誌“やまゆり”に収録されていた、故小島茂平さんによる文章『愛甲郡愛川村半原の撚糸業とその町並みについて』の中で、江戸末期の文化4年(1804)に上州桐生から八丁撚糸機が導入され、それから50年余り後の嘉永年間(1848~53)になって、その生産の動力に水車が利用されるようになって、本格的に始められた絹撚糸業が年を追っていよいよ盛んになり、大正15年(1926)には動力源が電力に切り替わり、絹撚糸の生産は大幅に増大し、昭和10年代には品質の改良と生産能率の向上を図るため、洋式撚糸機への設備換えが実行され、昭和30年代になると東北や九州方面からの従業員の集団就職も行われ、この頃の半原の町の昼休みや夜など若い従業員達が外出してきて、買物をしたり語り合ったりして、祭りの日のような情景が続いていたこと、それが昭和の末頃になって、大型店鋪が各地に進出し、中国や東南アジアで繊維業が発達したおかげで、一気に半原は衰退していったとのことを教えられました。私は半原の最盛期はもっとずっと昔であったと思っていたので、この文章を読んでビックリしました。

 さて、青山真治監督・脚本・共同音楽の'11年作品『東京公園』をWOWOWシネマで見ました。
 公園で人物写真を撮るカメラマン志望の光司(三浦春馬)は、歯科医の初島(高橋洋)から幼い娘を伴った美しい女性(井川遥)を尾行し、写真をメールで送るように依頼されます。光司は亡くなった弟のヒロの亡霊からデジタルカメラを借ります。女性が現れる公園をメールで光司に知らせて来る初島。バイトの清掃中に同僚に後ろから抱きつかれた光司のモトカノの美優(榮倉奈々)は同僚を突き飛ばし、「『リップスティック』って映画知ってる?」と怒鳴りつけます。光司の家でケーキと肉マンを食べる美優は、バイトを辞めたと言い、ゾンビ化したヒロを光司しか見られない不満を口にして、酔って眠ってしまいます。光司が小6の時に自分を撮ってくれた写真を大事にしているという美優。パーティで会った男は光司に「東京は公園だ」と言います。大島に義理の母を見舞いに行った光司は、血のつながっていない姉の美咲(小西真奈美)に、女性を尾行していることを打ち明けます。見事な景色の島を父に見に連れていかれ、泣き出す美咲。帰ってきた光司に、美優は美咲が光司のことを愛していると言い、2人の間に越えられない何かがあるはずだと言います。女性の姿を堂々と間近で撮る光司。その光司の肩を叩く美優。女性が訪れる公園を聞いた美優は、その公園が渦巻き状に分布していることに気付きます。そしてその女性が光司の死んだ母にそっくりだと言い、光司はマザコンだと言って、「加藤泰の『瞼の母』だよ!」、「兄弟は他人の始まりだ」と続け、「この人のことが姉さんに話したことで越えられない何かなのだ」と言います。ヒロに美咲とケジメをつけに行くと言う光司。母にもらったカメラで美咲を撮っていた光司は、向かい合って食事をしながら美咲にカメラを構えると、美咲は耐えられずにソファに逃げ、それでも光司がカメラで撮り続けながら近づくと、彼をソファに座らせ、彼を抱き、光司も抱き返すと、美咲は彼にキスをします。光司は「姉さんが姉さんでよかった」と言うと、美咲は「私も」と言います。光司は仕事を辞めたいと初島にメールをし、やって来た初島は光司からメールをもらってから、妻である女性が初めて同じ公園に2度訪れたことを告げます。渦巻き状に公園を女性が訪ねていたと聞いた初島は、自分たちが大学の考古学サークルで知り合ったこと、渦巻きはアンモナイトを表していることを知らせると、光司は「ここで終点です」と言い、カメラを渡し、奥さんのことを真直ぐに見つめてあげてほしいと言います。妻と写真を撮り合う初島。美優は光司の家に引越して来て、1人で生きていくのがしんどい、頼れるのは光司だけ、と言うと、2階のヒロの部屋から美優の手に涙が落ちてきます。家具を買う光司と美優は、家族団欒の初島に頭を下げられ、美優は光司に「良かったね」と言うのでした。

 対話のシーンで小津(カメラを正面から見る人物のバストショットの積み重ね)がなされており、デジタル撮影にもかかわらずフックスショットが多用されていました。蓮實先生が絶賛している映画です。

 →Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

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