チャールズ・チャップリン監督『モダン・タイムス』その１

　チャールズ・チャップリン監督・脚本・音楽の'36年作品『モダン・タイムス』をスカパーのイマジカBSで再見しました。
　秒針が進む時計をバックにタイトル。“人間の機械化に反対した、個人の幸福を求める物語”の字幕。（以下、純粋な字幕は“”、会話を表す字幕は「」で示します。）羊の群れが進む様子に、地下鉄の出口から出勤する労働者の群れがオーバーラップする。工場で配置につく人々。汽笛の音で上半身裸の男がレバーを入れると、ウィーンという音とともに機械が動きだす。“社長室 エレクトロ鉄鋼会社”と書かれた扉。ジグソーパズルをしていた社長は、新聞を読み出し、やがて壁にある巨大なスクリーンで、工場の各部署を監視し始める。ベルが鳴り、上半身裸の男の現場にある巨大なスクリーンに社長が映り、「第５班、スピードを上げろ」と指示が出ると、男は機械のレバーを操作し、機械の音が高くなっていく。両手に持ったレンチで、ベルトコンベヤーで運ばれて来る部品のナット締めをしているチャーリー（チャールズ・チャップリン）。脇をかいただけで、部品は先に流れていってしまい、彼の後で部品を金槌で叩く仕事をしている男の邪魔になる。もっと早くやれ、とチャーリーに命じる現場監督。チャーリーが抗議すると、また部品が先に流れていってしまう。顔の回りを飛ぶハエに悩まされるチャーリー。他の男はチャーリーの額を叩いて、ハエを潰す。ナットからレンチが離れなくなり、隣の男はコンベヤーを止めてもらう。チャーリーは現場監督に隣の男のせいだと言い、隣の男とケンカになるが、コンベヤーが動きだし、２人はケンカを止めてすぐに仕事に戻る。またベルが鳴り、社長から「第５班のスピードを上げさせろ」という指示と、チャーリーを「交替させろ」という指示が出る。他の男と交替した後も、レンチを締める動作がなかなか止まらないチャーリー。タイムカードを押し、トイレでタバコを吸っていると、トイレにもある巨大スクリーンに社長が映り、「おい、怠けるな！ 仕事だ！」と言われる。抗議するチャーリーに「行け！」と命ずる社長。チャーリーはまたタイムカードを押し、自分と交替した男のそばで爪を研ぐ。男はチャーリーと交替しようとするが、チャーリーは部品が流れていることを指摘し、なかなか交替させない。やっと交替したチャーリーに、文句を言って去る男。
　その頃、社長室にベローズ率いる一行が現れ、レコードをかける。「セールス・トーク社のCMレコードです。ベローズ式自動飲食マシーンをベローズが説明します。昼食の時間は不要となり、生産の能率を上げ、コストが下げられます。驚異的な発明です。美しい流線形のボディ。電動装置による騒音を伴わぬ動作。スープで試しましょう。圧搾空気が作用して、スープを流し込みます。皿が回転し、食べ物を口に押し込みます。トウモロコシ用の装置も備えていて、速度も自由に変えられます。殺菌消毒済みの口拭いもあり、シャツにシミを作りません。これらは機能のほんの一部です。試運転して確かめてください。生産向上の鍵はこの機械です」。“ランチタイム”。コンベヤは止まるが、チャーリーはレンチを締める動作がなかなか止まらない。かがんだ秘書の腰のボタンをレンチで締めるチャーリー。隣の男が皿に注いだスープを渡そうとすると、手が震えて全部こぼしてしまう。そこへ社長とその取り巻き、それにベローズ一行が機械を持って現れ、まだ食事を始めていなかったチャーリーが呼ばれる。機械に押し込まれたチャーリーに説明するベローズ。スープを飲まされ、口拭い、肉のブロックを口に押し込まれ、口拭い、回転するトウモロコシが左右に動き、チャーリーはそれを食べる。やがてジジッという音がし、速度が上がり始め、トウモロコシはチャーリーの口に押しつけられたまま、猛スピードで回転し、左右にも猛スピードで動く。機械から煙が上がり、トウモロコシからやっと解放されたと思ったら、ゆっくりと口拭い。ベローズ「もう一度、スープから始めよう」。スープはビシャッとシャツにかかる。ゆっくりと口拭い。スープを足してもう一度するが、今度はチャーリーとエンジニアの顔にかかる。口拭い。機械の修理をするペローズが、ナットを肉の皿の上に置くと、ナットがチャーリーの口に押し込まれる。口拭い。ケーキは顔と胸へ投げ出される。口拭い。すると機械がショートし、口拭いも猛スピードでチャーリーの口を叩きだす。ヘッドレストが外れ、倒れ込むチャーリー。ベローズは社長に駆け寄るが、社長は「だめだ。実用にならん」と言って、取り巻きとともに去る。（明日へ続きます‥‥）

　→「Nature Life」（http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/）