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イングマール・ベルイマン監督『沈黙』

2008-01-30 16:13:32 | ノンジャンル
 スカパーの260チャンネル「洋画★シネフィル・イマジカ」で、イングマール・ベルイマンの監督・脚本の'62年作品「沈黙」を久しぶりに見ました。ベルイマンの映画で商業映画館でまともに見たのはこの映画だけだと思います。
 列車の個室に座る翻訳家の姉(イングリット・チューリン)と妹のアンナとその息子の少年ユーハン。姉は吐血します。少年は廊下に出て、外の風景や他の客を見ます。延々と続く戦車の列。場面は変わって、出発の前日。ホテルの窓から言葉の通じない町の喧噪を見る少年。ベッドに寝ている姉。風呂に入るアンナ。アンナは自分の息子と裸でベッドに横になります。ラジオで気を紛らす姉。タバコを吸う姉は町の雑踏を窓から見、酒を飲み、ボーイに酒の追加を持って来させ、ベッドで自慰にふけります。飛行音で目を覚ました少年は、オモチャのピストルを持ち、シャンデリアを修理している男を撃ちます。話しかけて来たボーイから逃げ、小人に出会い、ボーイに捕まりそうになり、そうしてるうちに小人が大勢いる部屋を見つけ、ピストルで撃つと撃たれたマネをしてくれます。王子の服を着せられ、目の前で出し物を見せてくれましたが、1人の小人が止めさせ、少年を部屋から出します。アンナが部屋から出て行くと、姉は嘆き悲しみます。アンナはバーでウェイターに足にキスされます。少年は伯母の食べ残しを食べ、伯母は少年に冬まで叔父さんの家から学校に行くことを教えてやり、海で遊べると言ってやります。そして少年が絵を描き出すと、時計の音が聞こえます。アンナはバーの2階で小人のショーを見ますが、暗闇でカップルがセックスをしているのを見ることに耐えられず、店を出ます。少年はまたホテルの探検を始め、1人で食事を取る老人を見つけ、老人は少年をあやそうとお菓子をあげ、写真に写っている自分を示します。そこへアンナが帰って来て、少年は抱きつき、老人からもらった写真を絨毯の裏に隠します。アンナは姉にこそこそ嗅ぎ回らないで、と言います。タイプを叩く姉はドアのノックを聞き恐ろしい形相になります。夜、姉は窓から町の喧噪を見ます。ラジオでバッハを聞きながらタバコを吸っていると、アンナが息子を抱き締めています。先に今晩発ってくれと姉がアンナに言いますが、それはできないとアンナは言うと、姉は2人で話がしたいと言います。姉がアンナに昼に何をしていたのかと聞くと、バーでセックスしている男女がいたので、自分も隣の男とした、と言いますが、姉に突っ込まれ、後半の話は嘘だと言います。本当は、バーに戻って男と教会に行き、柱の裏の暗がりでセックスした、と言います。アンナはホテルに男を連れ込み、セックスします。息子は読書に飽き、伯母が苦し気に息をして寝ているのを見ます。窓から外を見ると、戦車がやってきてホテルの前で停まります。息子は目を覚ました伯母のために人形劇をします。戦車はまた動き出して、去って行きます。時計の音がする中で、セックスの終わったアンナは男の顔と体をなぞり、姉なんか死ねばいい、と言います。息子はアンナが男とキスして部屋に入っていったと伯母に言います。アンナは姉に自分の欠点ばかりあげつらうと言います。そこへ姉が訪れ、男とキスするアンナを見ます。アンナは姉が優越感で生きていて、すべてを憎んでいると非難しますが、姉はかわいそうに、と言って去ります。アンナは始めは大笑いしますが、やがて泣き出します。廊下に立つ姉の前を通り過ぎる小人の劇団員たち。アンナが部屋に帰ると、姉が床に倒れていました。アンナと息子は2人で食事を取ります。姉は少年へのメモを書き、寝ていると時計の音がします。医者に、孤独な役回りは嫌だと姉は言い、どんな主義主張でもあの恐ろしい力に負けてしまう、とも言います。そして父の優しさを思い出して泣くと、発作を起こし、父のように窒息死はしたくないと言います。戻って来た少年に、伯母は死なないから大丈夫よ、と声をかけメモを渡すと、アンナは少年と出発します。伯母のメモには、精神など大切な言葉がこの国の言葉で何というかが書かれていました。

 大学時代に見た時は、セックスシーンのリアルさだけが記憶に焼き付きましたが、今見てもそうです。この映画は難解すぎます。セックスに奔放な妹と、保守的な姉の相克を描いているのでしょうが、それ以外の要素が多く、整理が頭の中でつきません。そうした中で、アンナの乳首がアップになるところと、撮影監督のニヴェン・ニクヴィストの捕えた太陽の光、闇の中に浮き上がる顔などが印象に残りました。映画自体の判断は皆さんにお任せします。

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