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増村保造監督『悪名 縄張争い』その3

2021-10-01 00:01:00 | ノンジャンル
  自民党の新総裁に岸田氏が選ばれましたが、これでは安倍・菅政権と何の代わり映えもしない内閣になりそうです。これからは野党共闘と市民連合の一本化された候補と、自民・公明の候補との一騎打ちになりそう。立憲民主党と共産党は選挙での協力を昨日決めており、今度こそオール野党vs自民・公明が実現することになります。私は社民党の党員なので、まだ迷っている方は是非社民党に清き一票をお願いいたします!!

 さて、また昨日の続きです。

 元締め「食わんかい。私の勧めた饅頭は食べられんのかい?」朝吉「いただきます」「で、なんやな」「カポネのとこから殴り込みをかけてくるんです」「そんなもの、おちおとさんかい」「相手の人数が多いさかい、元締めさんの口ききで、無事に丸く収めたいと思っていますんで」「女に赤いベベ着せたり、黄色いベベ着せたり、それが仕事やないかい。あんたも見かけによらん甲斐性なしやな。第一勝手なこと言い出すわな。わしが金貸そう言うたら、あんたは断る。ということは親でも子でもないっちゅうことや。カポネが来おったら、おのれの甲斐性でせなんかい。叩きつぶして新世界を乗っ取ったらいい。わては何も文句言わんさかい、しっかりやんなはれ。お手並み拝見しよう」「ご免やす」
殴り込みの準備をする朝吉ら。朝吉「貞、お照をどこかにやらんと」「親戚にでもと思ったんやけど」。お絹、朝吉に「わしはあんたの女房だす。あんたが死ぬときは私も死にます」。お照、貞に「わたい、三人で死にまっせ」とお腹を叩く。犬の吠える声に静まる子分たち。皆、日本刀を手にする。外に足音。朝吉、電灯を消す。おもらしする貞の元子分。扉を乱暴に叩く音。「こんばんは。こんばんは」。戸を開けると「電報!」。
「召集令状来た。立派にお勤めせよ。凱旋したら勘当を許す。父」。子分たち「おめでとうございます」。
 酒宴を行なう子分たち。そこを抜けてきた朝吉、お絹に「わい、一人になってもやっていけるか?」「わてのことやったら、心配せんといて。あんたら、お照ちゃんと食い倒れの店で働くさかい。わてが待ってること、忘れんといてな」。
 朝吉、貞に「言い残しておくことがあんのや」「心配せんでもよろしい」「ちゃんとやってください」「やってや」「今日、松島の元締めさんに助っ人断られてまいてん。やくざの世界、よう分かった。元締めはわいのこと、気いならんらしいねん。わいの体には兵役が入ってるさかい、もう手出せん。だから、新世界のカポネ使こうてやな、~。役立たん奴や、気にいらん奴は紙くずと一緒やで」「この世界、食いつぶそうとしてもあきまへん。そんな奴でも来たら、いってまうだけやで」「こっちがいかれたら、どうしよんねん」「あんさん、わしにどうせいと言われなされるん」「親分なろうなんて思うたらあかんで。殴り込んできたら、逃げて負けたらんかい。縄張り取りに来たらやったれ」「わしに足洗えいうんですかい? そしたら下にいる連中、どうして食わしてならあいいんです?」「~いいたらんかい。わいはお前を畳の上で死なせたいねん。ややもできたや。お照のことも考えたりい」「戦争って、これなんでんねん? 国と国との縄張り争いじゃないちまっか?」「国が縄張り争いしたからって、わいらもしていいとはならんやろう」「そやけど、兄貴、わいを畳の上で死なせたいんやったら、わいにも言わせてくんない。死んだらあかん! あかん! 兄貴の言う通りにして、どんなことをしても待ってます。さかい、生きて、生きて帰って来ておくんなはれな」。泣きだす貞。「おおきに」。
 出征を祝う旗。
 カポネ「私の体、国が持っていくんだったら、手出せんやないかい。誰が残るんや?」源八「モートルの貞や」「このカポネが手、出す相手やない。わいの手でやらんかい。朝吉の縄張りだ。お前にやる」源八「おおきに」。
 汽車。万歳をする人々。朝吉、お照に「やや、できたら知らせてや」「ええ」「ほな、行ってくるでえ」お絹「行っておいで」。朝吉と貞、見つめ合う。汽車、動き出し、朝吉と貞、握手したまま貞歩く。人だかりの中、少年が貞の腹を差し、逃げる。滝のように流れ出る貞の血。お照「あんた」貞「わかっとる。兄貴が見ようなるまで、お見送りせんかい」「あんた」「兄貴、行ったか?」。白目となって、倒れる貞。「あかん」と言って息絶える貞。
 汽車の中の朝吉。タバコの灰が落ちる。「兄貴、わいを畳の上で死なせたいなら、言わしとくんなはれ。死んだらあかん。あかん。生きて、帰ってくんなはれや」「なあ、兄貴、戦争って何でんのや? 国と国との縄張り争いっちゃっか?」。ぼうっと前を見る朝吉。汽笛。画面が暗転し、映画は終わる。

 加藤泰作品とめまごうばかりの傑作です。増村保造監督の代表作の一つと言えるでしょう。

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